【赤】 3839 南波 靖史──まだライトはついていない。 そして聖句もまだ聞こえてこない。 区切りの良い時間なのにこれと言う事は、 余程アレは“あの子”の言葉を気にしているのだろう。 ……遺憾だがそろそろ認めるべきか。 その“気にする”には私も含まれている。 「よくわかりましたね。ありました。 アレにとっての存在意義が下手すると丸ごと変わるお話を、とある方とされていまして。まあそれがアレにとって良い事かはわかりませんけども」 何より“私”が今出ようと思えた発言の意味を考えると、酷く珍しい事だが、貴方の会話に応えようと思った。 稀に一方的なツッコミを入れたくなって出た時は除くとして。 皮肉で言われているのは当然理解しているが、生憎別に気分を害すほどの心も持ち合わせていない。 正確には、他者と「会話」をしたのは何年振り?十数年振り? うろ覚えだが、まあそれのせいで別に刺々しさなど気にならなくなってるのもある。 「つまりは今、アレがそぞろな気分で空っぽだから“実は隠れていた私が見えてる”って感じですね。まあ、聞き耳を立てたくなる話だったので、私も前に寄ってたせいなんですけども。 ……アレに見つかりたくないんですよね」 (*0) 2021/09/23(Thu) 22:14:24 |