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人狼物語 三日月国

258 【身内】冬融けて、春浅し


【赤】 靖国 冬莉


[視界が満たす彼の笑みは、——柔らかくも情を色濃く孕んだそれは空想でもなしに、紛れもなく目の前に其処に在った。>>*9


 ……… そうか。
 それなら、良かった。


[傍寄る彼に頬を摺り寄せて 胸中を占める安堵に身を置いた。彼の言葉一つで蝕んでいた不安が晴れるかのようで、その女々しさは行為の上でからか。他人の様々な目に晒されてきた身としては、目の前の彼が 他者の一人になるのを何よりも恐れていたのかもしれない。
 可愛い=Aと。紡ぐその言葉はまだ自身として捉えるには こそばゆいものがある。が、それが彼の愛だと思えば、喜悦に更に口元が解けていく。期待に応えられているのだと、緩みきってしまった年甲斐の無い顔を彼の前に差し出してしまうことに躊躇は、もう無かった。]
(*12) teco 2024/05/03(Fri) 22:04:47