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人狼物語 三日月国

94 【身内】青き果実の毒房【R18G】


【赤】 3839 南波 靖史



「そう。羨ましいな。仲間だね、彰人くん。
 ──俺も、一番大切な自分には“二度と会えない”し、
 “誰も、その存在を証明も観測もできていない”から。

 彰人くんは最期に話せたみたいだけど。
 
俺は未だに自分の中に“靖史”がいるのを認識できない」


「……生きてるのか死んでるのかすら、不明で、」

「俺と言う“自我を持った異能”“やすふみ”が存在する事すら、証明ができない。
創くんの記事見た?異能が自我ってマズいらしいね色々と。
でも俺こうして普通に生活してるのって、普通に見逃されてるのか、
ただの多重人格者の狂人
の“戯言”と思われてるのか」

「──実は、最も存在があやふやなの、俺なんだよね。
 記憶だけが、『私』と『僕』の存在を証明してくれる。俺にだけ、ね」

君はコピーがあるから。肉体があるから。
同時に二つの個体が存在する限り、『外部の観測』によって証明がなされるだろうけど。俺の答えは誰一人観測ができない。『ただの多重人格者の妄言』を否定できない。

「……俺は死んだ事がないから、羨ましいとは言わないけど。
 ただ、『最も大事な自分を、他者から認められなかった』」

「その一点は、君と共感できると思っている」 ▼
(*13) poru 2021/10/04(Mon) 19:42:23