【赤】 空虚 タチバナ[フォークから一房解いて口に含んでは見たが、 残念ながら味はよく分からなかった。 飲み込み切れない物体が口腔内に居座る。] ん……。 [蝶が花に吸い寄せられるように唇を合わせた。 途端、彼の感じた味が僅かに染みた気がする。 いつか、もっと彼の中まで入り込んだら 味を思い出す日も訪れるんだろうか。 それは満たされる日が近いことに他ならないけど。 口の中の物を咀嚼するためか、彼の唇を啄むためか、 食事でもしているような口づけを贈った。] (*24) 2022/08/14(Sun) 16:12:12 |