わ、わたしは……、
決められたことに従うんじゃなくて、自分の意思で蛍になりますからっ。
[ちょっとむくれた様子で告げる。
たとえ灯守り相手でも物怖じしなかったのだ、わたしは。
従兄に止められるのがもう少し遅かったら、
「どうしてやりたくもないのに灯守りをやるんですか」とまで訊いていたかもしれない。
>>*54けれど、そうはならなかった。
小雪さまが手を振り返してくれたのを見届ければ、
あとは振り返ることもなく、従兄に文句を言い始める。
飴ごとりんごをしゃくっとかじったけれど、幸せみたいな味はしなかった]