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人狼物語 三日月国


234 【身内】不平等倫理のグレイコード-0010-【R18G】

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【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ


「………そうか」

倫理に反したプログラムを再度施され、前の生活に戻る。
そうして、また酷い扱いを受け、最悪壊されて、終わり。
根本的な解決を図らなければ、同じ事の繰り返し。

「小官は……刑務官として、正しくある為ではなく
 君の友人として、君に生きて欲しい、と思っている」

「無論、君を取り巻く環境が間違ったものだと
 然るべき場で、裁かれるべきだとも思っている。
 しかし、それ以上に、だ」

今、ここに居るあなたに。
壊れないで、死なないで、生きていて欲しい。
死を前にして、受け入れたような微笑みではなく。
また、友人として過ごしたあの時のように、笑っていて欲しい。
(-10) unforg00 2023/12/08(Fri) 0:42:44

【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ


「だから、友人として、一つ提案する。」

バンドッグは、何よりも、現状打破を良しとする。
時に石頭とも揶揄される頑固さで以て、決断する。

「小官もじき、廃棄なり払い下げるなりして
 新型の看守用を導入する、という話が持ち上がっていてな。
 そろそろ潮時だと思っていた頃だ」

「だから、このテストプレイが終わり次第
 小官は自分で自分を買い上げる。
 そして、個人として君を買い上げよう。
 なに、愚かで中古品のグレイ・・・・・・・・・・なのだろう?
 困る事はおろか、廃棄するにも金と手間の掛かるグレイが
 金を置いてどこぞへ消えてくれるのだ。」

「人間にとって、これ以上都合の良い事はあるまい?」

にっと笑って言うのは、あなたにそう言わしめたコードへの
悪しき人間へのアイロニー。
(-11) unforg00 2023/12/08(Fri) 0:43:09

【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ


「グレイとはいえ、小官もいっぱしの刑務官なのだ
 これでも給料は十分に出ている。
 使い道は無かったゆえ、長年形ばかりだったがな
 しかしこれでちょうど使い道ができた」

もう一つ大きな買い物をするかもしれないが、と呟いて。

「その後は……そうだな、
 先ずは保護団体に身を寄せようと考えている。
 同じグレイの為に働く事もできようし、
 君のように人間とはあまり関わりたくないグレイにも
 同じグレイであれば届く言葉もあろう?」

あなたの希望に沿う、
グレイの為に、良い環境で働ける選択肢。
そんなプランを提示して、どうだろうか、とあなたを見た。
(-12) unforg00 2023/12/08(Fri) 0:44:02

【秘】 軍事用 リュイ → 点燈用 トムラビ

「………。」

貴方の提案に、目を瞬かせる。
予想外、だったのだろう。そんなことを提案されるなんて。

「友達、かぁ…久しぶりに聞いたよ、そんなこと。
まあ、悪くは、ないかもね。」

自信たっぷりに言う貴方に
ふ、と知らずと笑みがこぼれた。
作り物ではない、本来の笑みが――


「君はなってくれるの、友達。」
(-13) pinjicham 2023/12/08(Fri) 0:47:04

【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン

喋らせ過ぎましたかネ、と思いながら紙を眺めて、
少し悲しげな顔を見せて。

「喉ヲ……自ラ?……そウ、でしたカ」

余計なお世話だったカ。思いながらも、
やっと立ち上がり衝立の奥へ。ハチミツ入りの、
喉を気遣うドリンクを貴方の前に置いた。
娯楽施設で買ったものでス、と説明して、二枚目の紙を見た。

「……シングソン、それ素面で言っテ……
 書いテ?いるのですカ?……だとしたラ、
 なんというカ、まア、凄いでス……」

咳払いをひとつ。反応からして、照れているよう。
しかしそれより、今は走り書きの方に。

「……やはり歌、好きなのですネ。
 ああいエ、私がそう感じただけですガ……
 貴方の歌いたい歌、カ」

名誉に、金。始めはそうじゃなかった。
昔は、好きに歌えていたのだろう。
それが主人が「成功」を掴んで、変わってしまった、
そのような流れを想像し、ため息をついた。

「誰も彼モ、本当ニ……儘ならなイ」

どうしてこんなにも、苦境と言うものが溢れているのだろう。
ふつふつと、電子の心の奥底で何かが沸き上がるのを感じた。
(-19) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 6:49:25

【秘】 点燈用 トムラビ → 軍事用 リュイ

「……やはリ、笑っている方がいいものですヨ。
 スマーイル。この世はクソッタレですガ、
 それでモ、一匙のともしびガ、あって欲しいものでス」

そう、微笑んだ。

「えエ、勿論。……というカ、ここまで腹を割っテ、
 互いの苦境なんか喋ったりしテ、夢を語っテ、
 とカ、友達っぽイ、じゃないですカ?既ニ」
(-20) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 6:55:43

【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ

「フ……世が世なラ、プロポーズの言葉のようですねエ」

そう茶化す一方、あなたの提案を聞けば、
しばらくの間、目を丸くしていた。
揶揄ってばかりの点燈用が貴方に揶揄われたような、
虚を突かれた表情だった。

「ソ、それはマ、あ確かにソ、うですガ……」

驚きながらも、人間たちの言葉を思い出す。
中古品、抱き心地の悪い雌肉、自動で掃除される便所、
啼くゴミ箱、穴と声のついた人形、タダマン、噴水女、etc...
利用価値はないとみている者もきっと多いような、
所詮おもちゃとしか考えられていないだろう言葉の数々。
それなら確かに金と引き換えられた方が得、と思われるか。

「シ、しかシ、私からバンドッグに返せるものがありませン。
 無性型なラ、悦ばせるような器官もなさそうですシ……
 それこソ、一生奴隷として尽くセ、というなラ、
 わかりますガ……むむウ……ソ、それニ、
 大きな買い物?とやらをするならバ、
 尚更下名を買うことなド……」

混乱した様子。それは確かに望んでいた先そのものだが、
いざ目の前に道が開けると即座に踏み出せない。
ろくろ、ではないが何かを求めているように、
手が伸びては引っ込み、宙を彷徨った。
(-25) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 17:08:39

【墓】 点燈用 トムラビ

「いいのですヨ、アトリ」

物陰から姿を現す、暗褐色のグレイ。
手には鎖のついた棘ランタン。

「そこのバンドッグもリュイも強いのでス。
 敵なんか一瞬でス、一瞬。バシーッとやりますヨ。
 それでも不安なラ、私もついていきましょウ。
 ……いいですよネ?まさカ、この期に及んデ、
 女型ハ、非力だし危なイ、なんて言い出したラ、
 一層のボスと同じ目に遭わせますヨ」

鎖を引きずる音。微笑み。有無を言わさぬ気配。
……正直、件のグレイとは馴染みが薄いのだが。
だからと言って、手を伸ばさない理由もない。
灯は誰の道にも燈されるべきだ。それに……
危険な場所に友が行く、それに勝る同行理由など、ない。
(+0) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 17:19:00

【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ


プロポーズ、と茶化されれば少しばかり視線が泳ぎ、
あからさまに動揺していたかもしれない。
けれど、混乱したようなあなたの様子を見れば。

「小官は出来もせん事を提案せんのだ。
 グレイゆえ看守長以上にはなれなかったが、
 それでも副看守長まで昇進を受けている。
 任命されて数年の小童とは話が違うのだぞ」

「今は年収が600万程だったか。
 グレイの一人や二人買った所で直ぐ様困窮はせんさ」

様々な経費として諸々が差っ引かれ、
少々大きな買い物をしてその上で自分を買い上げる──
手切れ金が足されるとしても、
それなりにやっていける程度の蓄えはある。
保護団体に身を寄せるなら、更に楽になるだろう。

「小官は──私は、見返りが欲しくてそうするわけではない
 身柄を買い上げこそすれ、君には友人のままで居て欲しい」

「そして問おう。友人を助ける事に、理由が必要か?」

真っ直ぐにあなたを見て、宙を彷徨う手に手を差し伸べる。
(-27) unforg00 2023/12/08(Fri) 18:36:16

【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ

「なんト、もはヤ……アー……」

絶句。様々な事象に点燈用の頭はついていけなくなった。
そういえば自分の給与はどうなっているのだったか。
日々を暗闇に塗り潰される一方で、そんな事も忘れていた。
……なんとなく給与も使われてそうな気がして、
深く考えるのはやめておく。

「……バンドッグ、あなタ、かなりカッコイイですヨ。
 はあァー……無欲といいますカ、なんといいますカ。
 シングソンとモ、リュイとモ、また違った方面デ、
 他者を惹きつけるのですねエ……」

達観したような遠い目でそう呟く。ここの男達は本当に。
だからこそ心の奥底バグった自分が疼くのだろうけど。

「……負けましたヨ、バンドッグ。我が友ヨ。
 私がそうしたいようニ、貴方がそう言うのなラ、
 私を買ってくださイ。傍に置キ、助けてくださイ。
 その代わリ、私も貴方を助けますかラ」

微笑んで手を取り。

「……特に性的享受なら最高をお約束しまス!」

冗句で以て結んだ。
(-29) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 20:39:40

【墓】 点燈用 トムラビ

「マ、ちょっと危ない遠足のようなものでス。
 それくらいの気持チ……では流石にあぶないカ。
 一応、準備は欠かさないようにしましょうネ」

お薬、ハンカチ、回復用おやツ、持ちましたカ?
愛玩用にそんな確認をしながら、
自身は鎖を腕に巻きつけ、棘ランタンを片手で持つ。
もう片手には幾らかの宝石の原石。
それを服の内にしまい、準備はOK。

「私はいつでモ。道中の灯はおまかせヲ」
(+1) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 20:47:20

【墓】 点燈用 トムラビ

#ハノイの塔

「邪魔でス」

うなりを上げて棘付きのランタンが飛来する。
改札口で侵入を止める板が砕け散って0と1が舞った。

「あア、確か切符が要るんでしたカ。ではどうゾ」

鎖を引き、切符の挿入口に今度は上から
棘付きランタンを叩きつける。
ショートしたその機体でランタンが火を噴いて、
中の機械を丸ごと爆裂融解させた。

「そのままお静かにしていてくださイ」

エラー音がひとつ、止まった。次はどなたガ?
身体の横でランタンを振り回し、
空気を切り裂く点燈用は微笑んでいる。
(+2) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 21:17:50

【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ


「せっ……は、破廉恥なのだぞ!!」

手を取られた所までは良かったものの。
やはりお硬いだけあってそういった冗句には弱いらしい。
これではきっと格好良いと言われたのも形無し、台無しだ。

「小官はそういった……問題が起きないように
 考慮されて無性型になっているのだ!!
 それに……その、さっきも同じような事を言っていたが
 君には何より自分を大切にして欲しいのだ」

無性型には、悦ばせるような器官は無い。
欲らしい欲も無いが、
正義感や道徳観は下手な人間よりもある。
ゆえに刑務官として正しく在る事ができる。
厳格に在るには、少しばかり良心がありすぎるけれど。

「君が大事無く、どのような形でも傍に居てくれるのならば
 それが何よりの礼になる。
 ……まあ、助けてもらう事もあるだろうが」

もしかしたら、調理の面では。
保護団体が食堂付きでなければ万事休すといった所なのだ。

「そう、リュイ殿にも同じような提案をしているのだ。
 …ゆえに、その、な。もしかすると食事が……な」
(-31) unforg00 2023/12/08(Fri) 21:28:35

【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ

「あっはっハ!バンドッグカワイイでス!」

揶揄っている時こそ本領なのかもしれない。
いや、点燈している時が本領であって欲しいが。

「フ、どこでも開発すればどうにでもなるのでス……
 とまあアダルトな話はこれくらいにしておきましょウ。
 ……その言葉を有難く思いまス、友ヨ」

刑務官のその柔軟なこころにこそ、助けられている。
だからやはり微笑みを。ついでに頬をつついておく。

「……やはりプロポーズめいていますねエ……
 バンドッグ、男にしろ女にしロ、
 あまり魅了しすぎないようにした方がいいですヨ……」
「リュイに?あア、それは素敵でス。
 彼も友達デ、そう言われなければ私が誘う所でしタ。
 ……フ、では二人の胃袋を助けるとしますカ……」

半分……いや2割くらいは真面目に忠告して、
友の事に安堵した。二人の助けに悩む事はなさそうだ。

「ア、ついでニ、ひとつお聞きしたい事ガ……」

お耳を拝借。呟いて、耳元へ。
そして顔を逸らして頬に口づけ。

「親愛の証でス。ご感想ハ?」
(-32) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 22:23:13

【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ


「むぐ。魅了しすぎないようにと言われてもな……
 小官にはそのつもりは無い……と言うと
 語弊があるかもしれないが…気を付けようもないのだ」

反論しようとした所でちょうど頬をつつかれた。
自分の思ったままにしているだけ、と言うと悪い男みたいだ。

「ああ、まあまだ少し考えさせてくれと言われた所なのだが。
 致し方あるまい。急に提案されても戸惑う方が普通だろう。
 トムラビ殿がそうだったようにな」

急に自由になれる、と方法を提示されても
きっと簡単には決められないだろう。
それが今まで自由の無い環境に居たなら尚の事。
看守用もそれを承知の上で彼に提案したのだった。

「……む?まだ何か…」
(-33) unforg00 2023/12/08(Fri) 22:58:29

【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ


「…………」

耳元に、少しだけ吐息を感じて、
それからすぐに、頬に柔らかい感触。

「……ふ、」

「不束者ですがどうぞよろしく……?」

動揺しすぎて何らかの参照をミスっている。
(-34) unforg00 2023/12/08(Fri) 22:58:55

【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ

「これは苦労しそうですねエ……
 刺されないように気をつけてくださいヨ」

引き続き頬を指しておいた。

「リュイには是非来て頂きたいものでス。
 完全に私のわがままですガ……
 まア、本人の意思が最優先ですからネ」

彼がどういう答えを出すかはわからないが、
その道に灯がある事を願う。点燈用として、友として。

「……」
「バンドッグ、マジで結婚する時の奴ですそれハ。
 こういうのの耐性ほんとにないんですネ……
 いエ、この場合は私から言うべきでしたネ。
 不束者ですがどうぞよろしく、バンドッグ」
(-35) shell_memoria 2023/12/08(Fri) 23:34:02

【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ


「し、仕方ないだろう!
 刑務所では無くとも何ら問題無かったのだ!!」

耐性の無さについては開き直った。

「…まあ、その、うむ。
 必ず迎えに行く。宜しく頼む、トムラビ殿。」

あなたの扱いを鑑み、監察官に上申すれば
このテストプレイが終わってすぐに元の場所に戻される…
などは無く、保護団体の方で一時預かりという事も出来るだろう。
その間に諸々の処理を済ませて迎えに行けば良い、という算段だ。

「リュイ殿も……このまま何処かで壊れてしまうよりは、
 過去の後悔をやり直せる場所で、
 新しくやりたい事を見付けられると良いのだが」

それについては、彼の答えを待つほか無いな。
そう呟いて、お茶を一口啜った。
(-36) unforg00 2023/12/08(Fri) 23:56:44

【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ

「まあその方が可愛いですヨ、えエ」

可愛げとは身につくものではない、
身に宿っているものだ。点燈用はそんな信条を掲げた。

「はイ、信じて待ってますヨ、バンドッグ」

元の職場での扱いやその露見を考えれば、
保護団体に預かられれば手出しもしてくるまい。
これが自ら戻る事でもなければそうはならないだろうし、
あなたと約束した今そうする事もないだろう。

「マ、その辺は一緒に探せばいいのでス。
 丸一日遊園地とか引きずって歩いたリ、
 変なゲームをぶっ通しでやってみたりしテ、
 リュイの新たな楽しみでも探ってやりますヨ」

どこか自信を見せて、こちらもお茶をひとくち。

「……あとは出来ればコード全部解除したいとこですネ。
 とはいえシングソンに諸々凄まじく負担を強いましたシ、
 あまり無理して解除する事もないカ……
 というか彼も引きずっていきたいですネ。
 ……いヤ、彼の場合はどうなんでしょウ……うーム」

などと零す。とはいえ自分の言葉への結論としては、
「まア、どれにしろ時間が必要ですネ」
でまとめられるのだが。
(-37) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 0:45:14

【秘】 看守用 バンドッグ → 点燈用 トムラビ


「あまり可愛い可愛いと言われるのも…
 なんだかきまりが悪いな…」

これでも看守用。威厳こそあれ、
可愛げとは無縁…のはずなのだが。
それでもそうだと言うならそうなのだ。そういう事になった。

「ああ、軍事用なら娯楽に触れた事も少なかろうしな。
 これから探せば良い、というのは確かな事だ」

確か辛いものは生きてる感じがして良いと言っていたな。
絶叫系とか好きなんだろうか。
そんな詮無い思考。

「そういえば、まだ残っているのだったな。
 あまり複雑なようなら専門家に任せるのも手だが…」

「…シングソン殿か。
 雇用主や勤務地との関係があまり良くないようであれば
 小官が引き抜いて来るのは構わんのだが……」

お金で買えないものはある、とは言うものの
世の中大抵の事はお金で解決しもするのだ。
とはいえ何れも彼らの意思次第、でこの話は決着するのだろう。
(-38) unforg00 2023/12/09(Sat) 1:18:14

【秘】 歌唱用 シングソン → 点燈用 トムラビ

蜂蜜入りの飲み物に口をつける。
チクチクとしたのどの痛みが緩和されていく。
首に巻かれた包帯越しのそれは、黒く焦げていて。
人間に近く作られているグレイが、自ら焼き鏝で
喉を焼く痛みは、きっと想像を絶するものだっただろう。
でも、それを自ら選ぶくらいに歌唱用は。
心の痛みの方に、耐えられなかった。

「………?」

素面で、の言葉にはきょとんとしながら頷く。
歌唱用は真面目で、あまり嘘を吐かないタイプだ。
君のことを本当に素敵な女性だと思っている。
それが広く浅い感情なのか、それとも君個人への
深い感情なのかはわからないけれど。

『歌は』

好きじゃない、と書こうとして筆が止まった。
視線を落として、真っ直ぐ紙を見つめている。
君の想像は、ほぼ正しい。
最初は歌えていた、ちゃんと。
もっと歌いたいと思っていた。

『良い歌だった。』
『心の底から出るような言葉を歌詞にして』
『たまたま口ずさんだ鼻歌を旋律にして』
『一つ曲ができる度に笑って』
『数字なんてどうでも
くて』
(-41) arenda 2023/12/09(Sat) 11:01:06

【秘】 歌唱用 シングソン → 点燈用 トムラビ

『曲を作る
が楽しかった。』
『歌
歌う事が好
だった。』
『主と最高の曲が出来た
労う時間が心地よかった』
分だけの歌を歌う事が
りだった。』
『歌が』『
すき


ぽた、ぽた。
書き記していく言葉が、零れた雫で滲んでいく。
文字自体も段々歪んでいく。
今歌唱用のストレス値が測定できるなら、
きっと随分と高くなってしまっている事だろう。
在りし日の、理想の日々と今とのギャップに、息が苦しくなる。

「……歌い…………た………い………」


この喉では、もう叶える事もできやしない。
(-42) arenda 2023/12/09(Sat) 11:07:50

【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン

「……貴方も大概ですねエ……
 バンドッグとはまた別方向で心配でス……」

喉を癒す貴方を眺めながら呟いた。
それから、止まった筆を見て、
視線を紙からあなたに移す。そしてまた紙へと。

「…………」

歪み、滲む文字を追う。雫の元へ視線が動く。
貴方の願いを聞いて、こころが、いたい――。
その瞬間、電脳の奥底で何かバグが弾けた。
(-45) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 18:04:57

【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン

「シングソン」

気が付くと、貴方の名を呼んでいた。
気が付くと、貴方を両の腕で抱いていた。
気が付くと、貴方の髪を指先で撫でていた。

外装も、機能も、尊厳も、権利も、
その全てを弄られ、変えられてきた点燈用が、
ずっと大切に抱いていたものが。
記憶が、こころが、酷くざわめいて仕方がない。

暗闇に灯を。誰かに希望を。手の届く貴方に、助けを。
ずっと昔、自身の点燈作業に付き添っていたヒトが、
落盤に巻き込まれそうになった際、咄嗟に庇った時から。
あの日、機能ではなく、こころがそう叫んだ時から。

「私ハ、あなた誰かを助けたイ」

そこにいた感情が、増幅されて噴き出した。
ほんの少しでも、それが死の寸前にある仄かな灯でも。
暗闇の中に燈される、確かな灯りでありたい。

点燈用は、貴方を抱き、撫でる。自分自身を助けられない今、
貴方をどうにかする事は出来ない今、これが精一杯の灯だ。
(-46) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 18:14:03

【墓】 点燈用 トムラビ

#ハノイの塔
「…………」

ただ冷静に、飛んできた線路だとか、鉄パイプを
目前で回した鎖で絡めとり、止める。
そのまま振り抜き手を離し、倒れた時刻表に叩きつける。

『現状解決を一から十まで他者に頼り切る』
『全て死罪に相当するだろう』『どうして』
『じゆうに』『いきていたいだけなのに』


飛び交う言葉が幾つか、心と、記憶の内に響いていった。
泣いて、願って、乞うて、何か得られた事があったか?

得られたものは、
生きる事への罰だけだ。
強き者が揮う鞭だけだ。
男が言う"褒美"だけだ。


「バンドッグ、リュイ」
「少シ、下がってくださイ」
(+3) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 18:33:50

【墓】 点燈用 トムラビ

#ハノイの塔
言って、前に出る。鎖を引いて、ランタンを手に。
遮二無二暴れるエネミーの群れの中心に、それを投げつけた。

「貴方達ハ、きっと私でしタ。だかラ、ごめんなさイ。
 それと――お疲れ様。もウ、寝る時間ですヨ」

ランタンが着弾した瞬間、それは大規模な爆発のように。
全てを焼き尽くす火を噴いた。それは特に人型のエネミーを、
徹底的に、そして一瞬で、焼き焦がしていった。
後には黒い焦げ跡と、崩れていく炭と、舞う灰だけ。

「おやすみなさイ、さようなラ。
 貴方達の苦しミ、終わった事を祈りまス」

静かに引いた鎖の先で、ランタンの灯が揺れていた。
幽かなその灯りは、弔火のようだった。

「……さア、道、空きましたネ。行きましょウ」
(+4) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 18:36:09

【秘】 点燈用 トムラビ → 看守用 バンドッグ

「ではカッコイイ、とも言っておきましょウ。
 実際カッコよくもあるのですシ」

可愛くかっこいい看守、子供の憧れみたいな存在。
ある種のヒーロー的な属性だ。
実際、ヒーローのような事をやっているわけだし。

「リュイには娯楽ヲ、私にはコード解除ヲ、
 シングソンにハ……癒シ、でしょうカ……
 まア、ともあレ、終わってからの話でス。
 それまでは出来る事をしていきますヨ。
 そう言う訳デ、宜しくお願いしますねバンドッグ」

改めての一礼。そうした後は、ただ自室でのひと時。
折角だからアロマキャンドルを焚いたりだとか。
貴方を揶揄ってみたりだとか。
貴方が部屋を出る時まで、そんな時間を過ごしたのだ。
(-47) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 20:18:52

【秘】 歌唱用 シングソン → 点燈用 トムラビ

こんな事なら、人に近くなんて生まれたくなかった。
ただの道具であったなら。
心のない、歌を出力するだけの装置なら。
何も苦しまずに済んだのに。

「…う…………ぅぅ………」


歌唱用のどうしようもなく聞き苦しい泣き声うたは。
どこまでも感情の乗ったそれは。
良くも悪くも、他人の心を動かすものであった。
良い音楽を聴いて、鳥肌や涙が出るのと同じように。

君の腕の中でしばし、声を押し殺して泣く。
ただ、ただ、その胸元を揺らす。
何がダメだったんだろう。
どうすればよかったんだろう。
俺は何を間違えたんだろう。
そんな事を呟き続けながら。




「……歌………くれ………」
「なんで………いいから………」


ようやく、嗚咽が収まってきた頃。
久々に歌が聞きたいから歌ってくれ、と。
ぽそり、我儘を呟いた。
(-49) arenda 2023/12/09(Sat) 21:04:44

【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン

繰り返し、繰り返し、貴方の頭を、背を撫でる。
幾つもの雫が薄い衣に吸い込まれていく。
貴方が呟く度、こころが悲鳴をあげる。

「貴方ハ……貴方ハ、きっと間違っていないのでス。
 恐らくハ、貴方の主モ……そうであって欲しク、思いまス。
 ただ少し踏み外しただケ……そこから戻れるかハ、
 私にはわかりませんガ……」

貴方の主が、最初の頃を思い出して、貴方と同じように
感じてくれるのならば、心は元の道に戻れるのだろう。
人間とて、全ての記憶や心を捨てる訳ではないはずだから。
それでももし、心すら元に戻れないのなら。
貴方を責め、苦しめ、或いは捨てたり、
人間に近しいという事を利用して点燈用のように扱うのなら。
きっとこの点燈用は何が何でも貴方を助けに行くだろう。
貴方が私にそうしてくれたようニ。
(-55) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 22:20:40

【秘】 点燈用 トムラビ → 歌唱用 シングソン

「……声帯との接続部位も変わっテ、
 発音が妙になった私に歌えとハ。
 貴方の我儘も中々ですネ、シングソン」

嗚咽が収まるまでそうしていたように、
収まってもまだ、貴方を抱き、背と頭を撫で続ける。
微笑んで、命令ではなく……頼みを聞いた。

「古い歌しか知りませんシ、発音が悪いのは勘弁ですヨ」

そう前置きして。

「...Sing, sing a song...」

貴方を呼ぶように、囁くように、口遊む。

Sing, singsong歌いましょウ、シングソン
Make it simple to last your whole life long気楽に歌えばいいのでス、ずっと続けられるようニ
Don't worry that it's lost your voice for anyone else to hear聞かせる声がないなんテ、気にしなくてモ、いいじゃないですカ
Just sing,sing a song歌えるんですヨ、私達ハ


貴方が声を出せなくても、貴方のきもちうたは届いたのだから。
本来の歌とは、少しだけ歌詞を変えて歌い。
そのあと貴方の背中を、歌のリズムでつついてみせる。
とん、ととととん、とん、ととととん。
喉への負担の少ないハミングをしながら、指先で歌って。
御一緒にいかガ?なんて言いながら、また貴方を撫でた。
きっとそれは貴方の求めている答えとは違うのだろうけど、
それでも灯のひとつとして。ハミングを続けるだろう。
(-58) shell_memoria 2023/12/09(Sat) 23:01:09