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人狼物語 三日月国


94 【身内】青き果実の毒房【R18G】

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【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史

 捉えどころのない言葉に眉を顰める。瞳に滲む欲の気配にたじろいだ内心を捩じ伏せて。
 押し黙ったまま、唇を合わせる、それだけのことを躊躇う。その間にも、身体は無理やりに高められ続けている。

 そうして――不意をつく、軽い衝撃。視界が揺れる。気がつけば、鮮やかな青緑に、見下ろされている。
 降ってきた言葉を咀嚼するより、先に。明かりを背負う少年の手が、肌に触れる。滑らかな、白い手。


 ――――あっ、と情けない声が漏れた。


「……ふ、ぅ、――っあ、……っ!」

 唇を噛み、それでも止まらず、口元を手で抑える。
 少年の細い指が微かに動くだけで、過剰な程に肩が跳ね、噛んだ親指に鈍く痛みが走った。

 擽る手を掴み、引き剥がす。一切の加減を忘れた、強い力で握りしめて。
 その折にまた首元を掠めた指先にすら、びくりと反応した。
(-11) 榛 2021/10/02(Sat) 15:11:29

【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人


「声、我慢しなくていいのに。恥ずかしいから?俺、人間じゃないし良くない?」

目の前の男からこんな声が漏れるのは、少し心地が良い。
先ほどの様子とこの掴まれた手を見るに『他者に抱かれる』ことを想定していなかったと見た。

別に掴まれた手はそのままにしている。力を込められても、例え爪でも立てられても退く意思も辞める意志もないとばかりに、その手が傷付こうと行為を進めるのをやめない。

こちらの指か触れるたび、掠る度に跳ねる動作を間近で感じて、「かわいいね」と思わず、嘲笑でもなく純粋な愛おしむ本音が口をついて出る。

相手が声を抑えている隙に、手慣れた様子でベルトを引き抜いて、この行いもこの催しの中で何度目だろうか。下着ごとズボンをずり下げようとする。

抵抗が見えたならその瞬間今のこの感度の状態で布越しか直接か。あえてやや乱暴に掴んで上下に擦り、妨害を防ぐから結果は同じだろう。後は足の上に乗って、自分も膝までズボンを降ろすだけだ。

「痛いでしょ、指。
気持ちいいは悪いことじゃないよ、彰人くん」

最低限の挿入ができる程度に互いに肌を晒し終えて、それでもまだ口を抑えてるならその手を降ろさせようと、トントンとその手の甲を叩く。
(-15) poru 2021/10/02(Sat) 16:56:34

【秘】 0251 鏡沼 創 → 3839 南波 靖史

「あたりまえ、でしょぉ……」

後孔に与えられる刺激に身体は跳ね、もっと欲しくて貴方を引き寄せるように足に力が入る。
怖い。恥ずかしい。
気持ちがいい。


きもちがいい。

「っ、あっ……? ひッ―――!」

問いかけに返ったのは吐精と、言葉の形を取れなかった嬌声と、突き立てられたものへの締めつけだ。
余計な思考は全部吹き飛んだ。ただ、『気持ちいい』を与えてくれるそれを覚えている。縋ればいいと、教え込まれている。
反応を返せばしっかり応えてくれる貴方に甘えて、声も腰の動きも隠しようがないほど激しくなる。
顔を隠していた腕も伸ばし、もっと与えて欲しいと強請るように貴方の首元に回した。

なにかを、問われた気がした。
『気持ちいい』が『幸せ』であるなら。
間違いなくこの瞬間、鏡沼創は『幸せ』だ。
腹を満たす熱さに吐精を伴わない絶頂を迎えて、尚も湧き上がる衝動に後孔を締め付ける。

―――そうして、何もわからないほど乱れに乱れて。
次の日、行為を全部覚えていた彼は先日同様機嫌悪そうにしていただろう。カメラはちゃんと提出しました。好評だそうです。
(-23) sym 2021/10/02(Sat) 20:30:27

【秘】 9949 普川 尚久 → 3839 南波 靖史

「ん……」

 重ねられた唇には、受け入れるように少し動いただけだった。なんとなく、されなれているように思えたかもしれない。
そんな思い出はもう遠くだ。
 離れていく熱を見送って、

「ひっ、──ッ〜〜〜〜〜〜!!!!」

 実際、その唐突に普川はよく反応した。真っ暗な視界が真っ白になるくらいのきもちいいのがどこからきたのかわからなくって、消えないでずっとあって、息が詰まったのはほんの一瞬。
 声を抑えるだなんてそんな思考はなかったし、あったとしても抑えようなんてもうなかった。

「は、ぁッ、あ、あ、ひッ、あぐッ、も、むり、あぅ、ん゙ッ、」

 身体は素直に動いて、仰け反ってるのかなんなのか、もう自分ではどうなってるかなんてわからなくって。きもちい、きもちいの。何の為だとかそういうのもぜんぶぜんぶどっかにいっちゃって。容赦なく襲い来る快楽の海に溺れさせられる。おぼれたい。
(-25) Vellky 2021/10/02(Sat) 22:48:08

【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤


『俺のため?』
『俺に伝えたかった?』

つまりは快楽と幸せの事は否定されたが、それ以外は最初からずっと、見ていてくれたということ。

どうしてそんな好意を向けてくれていたのか。
それこそ『君を見た』ことしか心当たりがないから、『与えるのは当然』でも『与えられる事はない』自分には不思議でならなかった。

けど、彼が嘘をついてるようにも思えない。だからきっと本当なのだろう。

──でも、

それが本当であればあるほど、
貴方の言葉が、不吉で、怖くて、思い出しそうになる。


これは、
この言葉の流れを、
何故か
俺は知っている。


  『ふみちゃん』

  『諦めるなとは言わない。でも、』

  『私は君の人生が『私を見る』以外の他にあると──』


これは、
同じだ。あの時と、同じ。

お別れを、告げられる時の言葉だ。


(-35) poru 2021/10/03(Sun) 4:23:17

【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤


「やだ」

「やだ、やだ……
やだやだ
やだ嫌だ!」


「どうして語ってくれないの!?何かの人質になってるってことじゃないの!?」


「『また』説明も何もなしでいなくなるんだ。何で?何で?俺悪い事した?したなら謝るよ。治すように頑張るよ。ごめんなさいをいくらでも言えるよ。
だから、ねえ、潤くん。潤ちゃん。──お願い、だから、」



     「また、」


     「君まで、」


               「──俺を、置いて、いかないで」
(-36) poru 2021/10/03(Sun) 4:32:42
南波 靖史は、『記憶にある限り』はじめて、縋るように泣いた。
(a21) poru 2021/10/03(Sun) 4:41:30

南波 靖史は、でも、掴んで、縋って、幾ら離さないと決めた腕が
(a22) poru 2021/10/03(Sun) 4:42:28

南波 靖史は、解かれる事があるのを知っている。知っていた。
(a23) poru 2021/10/03(Sun) 4:42:54

【秘】 0043 榊 潤 → 3839 南波 靖史

「……置いていくが」

「俺はここにいられないからな」

縋られた腕は外す気になれず、掴んておいてやった。
お前が離れたければ離れろ。今の俺は放っておかないでおいてやる。
(-54) toumi_ 2021/10/03(Sun) 19:11:26

【秘】 0043 榊 潤 → 3839 南波 靖史

「お前からもらったらしい幸福も忘れる。
 誰かに語った幸福も忘れる。
 残るのは18年間の記憶と。
 お前たちと話を紡がなかった過去の俺だ。

 身体は残る、縋られていたら離されん。
 まぁ、抵抗はするし同室は普川になったらしい。
 常に一緒にはいるな、邪魔だ」

冷静に、淡々と、ふざけたような。
そして普通では理解できないようなことを言う。
聞こえることが正しいのならば、榊はかなり部分的に記憶が消えるのだ。

「そんな俺が意味があると思わなかった。
 偉そうにお前に幸福と未来を考えさせて。
 答えを出させられなかった俺はいなくなる」

お前に関わろうとして手伝おうとした俺はもういなくなる。

「病気だというには、彼らに不謹慎だな。
 これは、外的要因らしい。
 俺を、成長させようとしない、止めようとする存在がいる。
 ……これ以上他人との絆を作らせないようにか、別のことか。
 たかが1年、されど1年、されど数日だ。

 身体もお前に抱かれる前になってお前が残らない。
 まだそこに俺がいて気が向いたら抱いてやれ。
 感想は変わらないが……場合によってはお前を食ってやる。
 やり返す、それで思い知らせてやるよ。
 お前がその幸福と言いやがった行為と快楽の内訳を」
(-55) toumi_ 2021/10/03(Sun) 19:19:54

【秘】 0043 榊 潤 → 3839 南波 靖史

だからとは言わんが。

「泣くな、これまではお前に手を出したいと思わなかったんだ。
 気安く抱かれてくれなさそうで。
 五月蝿そうで、あんまり気にかけたいと思わなかった。
 だけど、ここ数日観察していて。
 名前を呼ばれて、色々悪くはなかったぞ。
 お前の幸福が見つかるように祈るぐらいはな」

後悔してしまうじゃないか、他のやつもそうだ。
まだ忘れたくなかったと思ってしまうじゃないか。
仕方ないことなのに。
面倒なやつだ、とため息をついて適当に泣き止むまで見ていたが…途中でデコピンをして置いた。
早く泣きやめ
(-56) toumi_ 2021/10/03(Sun) 19:21:27

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史


 下着の中は先走りでぐずりと濡れていた。染みをつくった下着ごと、スラックスを脱がされる。
 身を捩って抵抗を示すも、少年の片腕であしらわれる。直接的な刺激を与えられ、くぐもった声が漏れる。
 掴んだ手をきつく握りしめる。爪が滑らかな手の甲に食い込んだ。
 顎の力を緩め、口元から外した手を首元へだらりと落とす。唾液が糸をひいて、口の端に垂れた。

「……ゃ、めろ、」

 いれるな、と熱に浮かされた声で拒む。
 のろのろとした動きで、先ほどまで咥えていた片手を曝け出された下肢へ伸ばす。隠そうとしたか、押しのけようとしたか。ほとんど意味を持たない動きだった。
(-65) 榛 2021/10/03(Sun) 20:19:54

【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人


「だめ」
「俺達セックスしないとでしょ?」
「いい子なら守れるよね」

こんななってるし、大丈夫だよね。と、抵抗の意味もない手を掴んで、逆にその手で相手の陰茎を掴ませて、その上に手を重ねて扱くように抜かせる。自慰に近く思えて、不規則な読めない動きで、ぐりぐりと何度も責め立てる。強引かもしれない。

だってこのまま、相手が射精した精液を多少後孔に何度か出し入れするだけで、あとはそのまま同じように興奮して勃起している己の先走りを塗りつけてから、グッと最低限の前戯だけで挿入する早急さは、この男に関しては珍しい事だった。薬が、多分回っているのもあるけれど。

こう言う『駆け引き』めいた事をされると、自分が乱れないと、犯されないと疑ってもない存在が拒否するのを見ると、正直クるのも仕方ない。……そんな感性を、一番わかってくれそうな相手に見えたけど、どうだろうね?いつかこういう事、話してみたいな。
その上で、俺を叩き潰してくれる気概があるなら、それもそれで好きだけど。


(-69) poru 2021/10/03(Sun) 21:44:42

【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人


「……っ、狭……、……?」

いつもよりも前戯を減らしたのもあるが、やはり経験が少ないのか中がキツイ。ただ、勘は未経験と言う風には見えなくて、少し疑問符を浮かべつつも、辛うじて腰を掴んで引けば、ばちゅん、と音が鳴る程度に腰を打ち付けて前立腺か、弱い部分を探す。

癖のようにMっケ…被虐心とも言うそれを感じるタイプか少し確かめた後、その結果その傾向が見られるとしても、『あえて』痛覚を殆ど切る。つまり、純粋な快感しか与えないようにする。だってその方がきっと楽しい反応を見せてくれそうだから。あとは。

「……溺れられるなら、溺れちゃおうよ」

貴方の声色が、身体の跳ね具合が明らかに違う箇所を探り当てれば、あとは執拗にそこを責める。泣かせて、鳴かせて、啼かせたくて仕方なかったし、実際する気だけれど、その前に。

散々感度を上げられて疼くであろう相手の腹に手を当てて優しく撫でてから、唇は嫌がるからその黒髪に愛おしむキスを落とした。そうして欲望のまま、中に白濁を流しこんだ。零れて溢れるまで、快感を教えこませるように、その後何度も行為は続いた。
(-70) poru 2021/10/03(Sun) 21:46:41

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史


 己の手で、知らない動きで追い立てられる。やっと正面から与えられた刺激に、半ば自発的に手を動かしていたかもしれない。ぬるついた性器を扱けば、呆気なく射精して。

 放ったものを塗り込めるように後孔へ触れられれば、往生際悪く、いやだ、やめろと譫言のように繰り返す。
 けれども入り口を解す指が止まれば、あるいは抜かれれば、切なさが勝って、みっともなく腰が揺れる。苦しい、痛い、いやだ、やめろ、
やめるな、足りない、はやく、はやく。
(-84) 榛 2021/10/03(Sun) 23:39:37

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史


「……っ、ん゛、……ぅ、」

 捩じ込まれる質量に呻きながらも、無意識のうち、背が反り返ってしまう。数年ぶりに男を咥え込んだ後孔は異物を拒んで、けれどもその先にある快楽を知っている。
 痛覚すら興奮を駆り立てる材料と成り果てて、けれどもばらばらに解けた思考を手放そうとするたび、走る痛みに引き戻される。

「ゃ、そこ、……っ、〜〜〜〜!!」

 ばちばちと弾ける、脳を揺らす。穿つものから逃れようとするように腰を引く。快楽が追いかけてくる。
 ……この一時、痛みが失われたことに気づく余裕もなく、その動きはいつしか、追い求めるものに変わっていく。▼
(-85) 榛 2021/10/03(Sun) 23:43:18

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史


 ――……

 どれほど経った時分か。

「あ゛〜〜〜……ああ゛っ、あ、あ、」

 揺さぶられ、知り尽くされた性感帯を責め立てられる。
 意味のない音が、律動に合わせて口から押し出され続ける。

 ――不意に、シーツの上、爪の先がかつんと何かに触れる。小さく硬いそれは、幾らか前にこの手で投げやった装飾品だった。
 摘まみ上げ、震える手で少年の手を掴む。縋るように、その指に輪を添える。きっとその行為は上手くはいかなかった。

 そうしてまた、溺れていく。今度こそ、指の一本も己で制御できなかった。もう何度目になるか、体内で脈打った熱を感じながら、理性の手綱を手放した。
(-87) 榛 2021/10/03(Sun) 23:45:08
南波 靖史は、黒塚が行った動作と、漏らした声を、聞き逃さなかった。
(a38) poru 2021/10/04(Mon) 0:17:50

南波 靖史は、聞き逃せ なかった。
(a39) poru 2021/10/04(Mon) 0:18:10

【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人


事後。こんな状況だが後始末をしなければらならない。
取り掛かろうと動こうとしつつ、

「ねえ」

「俺、君が出した言葉の意味、わかるかもしれない」

「────
靖史


外れたまま転がっていた──一瞬、貴方がもう一度着けようとしているように見えた──指輪を拾い上げて、指輪とあなたを交互に見た。

「──どうして、君は、」

「どんな気持ちでこれをはめ直そうとしてくれたの」

上を見上げた。どこを見ても同じだ。
多分この間、これすら彼は話してくれないだろうから。

あなたの意識が落ちている間に全部を済ませて、大きすぎる抱きまくらにでもするように背中に顔を埋めて、その日は眠りに落ちた──
(-99) poru 2021/10/04(Mon) 0:30:42

【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤

 
「先に一つだけ教えて」

「置いていくのって、さみしかった?」

「しなくていいなら、したくなかった?」
(-102) poru 2021/10/04(Mon) 0:56:20

【秘】 0043 榊 潤 → 3839 南波 靖史

「さみしくなかった」

――真だ。

「したくなかったなんて考えたこと無かった」

――真だ。

「だけど、今は、きっとそう思っている。
 誰かさんに弱音を吐くぐらいには、俺は終わりたくなかったよ」

死んで消えた方が、よっぽどでは無いかと思うほどには。
残して、何も出来なかった事実が残るのは。
それを償えないのは、償いたい自分で居られないのは。
嫌だな、と思った。
(-107) toumi_ 2021/10/04(Mon) 1:06:08

【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史


 返ったのは、寝息だけだった。

 
翌日は昼過ぎまで寝ていただろうし、
起きてからは過去一レベルに不機嫌だったろうと思われる。
散々、無様を晒した後なので。
それでも最低限の会話は成り立っていただろう。それが美徳であるうちは。
(-109) 榛 2021/10/04(Mon) 1:12:13

【赤】 3839 南波 靖史

 
「ライト、もう点かなくなったね」

この部屋には何もいない。誰もない。
貴方に最後に祝福を授けた者も、もう姿は見せない。

ここに居るのは『異能』である存在と、貴方の一人とひとつ。
或いは──二つ?それとも、貴方はふたりと表すだろうか?

「ここならもう誰にも聞かれないよ。
 文字通りの“舞台裏”だ。お話ししてくれますか。
 
 俺に近くて、遠い。
 『靖史』を助けてくれた、不思議な“あなた”。
 ──君に、俺からも感謝を伝えたかった」
(*1) poru 2021/10/04(Mon) 1:32:01

【赤】 3839 南波 靖史

 
「彰人くんは意図していなかったんだろうけど、
 “靖史”やすしは両親以外に触れられた経験が無い。
 
 ……俺が、その前に対話するようになって。
 俺が──俺を、“僕”を、止める為に姿を消した。
 靖史は小学校すら通い終えていない。学歴もない。

 その上で俺が身体を持ち続けていたから、
 例え誰かに『触れられた』としても、異能である俺だ。

 だから、多分。あの子は宗教が、聖句が嫌いだったのに。
 君の幸せを『祈る』と言うくらいには、
   ──幸せに感じる行為だったんだよ」
 
 ▼
(*3) poru 2021/10/04(Mon) 2:22:23

【赤】 3839 南波 靖史

 
「俺はその時、見ていた訳じゃないよ」

  
「 “思い出した” 」


「大好きな大好きな、誰を殺しても何をしても愛されたかった“靖史”やすしに。
 去られた事が、置いて行かれた事が。その理由が。当時の俺は全く理解できなくて、悲しすぎて、耐えきれなくて、……自分の記憶から、抹消していた」

「まさか、靖史が残っていたなんて知りもしないまま」

「でも、消し切れるわけなかったんだ。当然だよね」

「 それだけ、“靖史”を愛していた」


「──思い出した切っ掛けトリガーは、他との会話でもあるし、君とのここでの接触行為でもあるし、きっと、靖史にとっても賭けだった。最も、時間の問題でもあったと思う」

そう、淡々と語れるくらいには、記憶を受け止められる程には。
賭けには勝ったのだろう。下手をすると狂乱の末自殺でもしていてもおかしくない。己を愛しすぎるとどうなるかなんて、……語らずともいい話か。
(*4) poru 2021/10/04(Mon) 2:30:30

【赤】 3839 南波 靖史


「ん……」

 嬉しそうに目細めて、その感触を受け取る。
 本当はこれを受け取るのは俺じゃない筈だ。
 でも、あの子が好きなモノを俺が好きじゃない訳がない。

「──そう。難しい。
 “コッチ側”と言ったよね、この舞台で。
 俺はその辺りの感性を含めて、近いんじゃないかなと思った。
 勿論勘が殆どだったけど、君の異能を考えると強ち間違いじゃなかったんじゃないかな。

 俺達は、
 『他者の事を正しく愛せないし、
  社会の倫理にも適応できなかった』……違う?」
(*6) poru 2021/10/04(Mon) 3:44:50

【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤

 
「ありがと、潤ちゃん」

“だけど、今は、きっとそう思っている”


 同じ事、君も思ってくれてたかな。
 ずっと“靖史”が 理由もわからないまま居なくなった時、
 辛くて悲しくて迷子になって、

 

「全部、思い出した」


“誰かさんに弱音を吐くぐらいには、”


 君が彰人くんに、姿を現すのを避けていたのに話しかけていたのは、
 多分後悔も心配も、罪悪感もあったから故の、つまりは、僕の為だった?



「思い出しても、まだこうして君と対話し続けられている」

“俺は終わりたくなかったよ”


 僕があの頃、君の気持ちを理解できていたなら、別れる事はなかったのかな。
 それを嘆くには遅すぎたけど、嘆く事ができるそれを、教えてくれた人がいた。


 ▼
(-115) poru 2021/10/04(Mon) 4:07:18

【秘】 3839 南波 靖史 → 0043 榊 潤

 
「それが凄く幸運で、恵まれていた事を。
 今の俺は“理解”できる」

記憶を思い出すと言うのは、もっと劇的なものかと思っていた。
例えば、叫び狂うとか、衝撃に耐えきれずに自殺するとか。

──実際、その未来も普通にあっただろうな、と。
どこか他人事のような気持ちで、あり得たであろう自分の末路の一部を俯瞰した。

「話してくれてありがとう。そう思わせてごめんね。
 俺、もう潤ちゃんを悲しませたくない。だから、もう泣かない」

記憶を取り戻した事による、他者から見える劇的な変化はない。
故に、早く泣き止むのが、君を安心させられるのではと。
その不安を取り除く方法は、まだ未熟な俺にはそれしか浮かばなかった。

だから、代わりに笑顔を浮かべ返した。
(-116) poru 2021/10/04(Mon) 4:08:17

【赤】 3839 南波 靖史

 
「──何で皆すぐ消えたり死んじゃうのかな」


ぽつり。もう暴れはしないけれど。
遥か彼方の自分から、つい最近の潤くんまで。
出会って好きになった相手は、みんな何処かで消えてしまう。

「でも、引き継げるんだ。コピーのコピー(35)でも。
 感情じゃなくて、記憶だけを引き継ぐのかい。

……これさ、今元気に記憶もってる俺の目の前が君が、新しい子を作ったとして。そっちが先に死んだ場合、真っ白上書きコピーとかになったりしないの?」▼
(*9) poru 2021/10/04(Mon) 14:18:45

【赤】 3839 南波 靖史

 
「死を望んだのは“ただしい人”達でしょ。

 同じじゃない事を酷く怖がる人達。或いは異端に害される前に排除したい人達。……単に“多数派”って言うだけの存在なのにね?

「俺、ずっと思ってたんだけどさ。
 “ただしい人”とや、一緒に生きる必要あるのかな。
 彰人くん、ただしい人を目指してたのって、ここから出る為じゃないの?ここを出た後もそれを目指して生き続けるの?」

「俺、君がここを出た後何をしたいか聞いたことが無いや」

「俺はね。結局のところ、“ただしい人”と相容れないから。
 別にわざわざ害する気はないけど、不干渉でいられる──彼らを邪魔しない場所を探して、ただしくなくても、自由に過ごせたらって思う。……彰人君は、ここを出てどんな生き方をしたい?」
(*10) poru 2021/10/04(Mon) 14:22:00

【秘】 0043 榊 潤 → 3839 南波 靖史

「……悲しくなんて」

通り越した、とは言い切らないが。
お前のほうが随分厄介なものに捕まってるじゃないか。

「とんだわがままをこちらも押し付けていた。
お前が笑えているのなら、少しはましだというものだ」

他人の不幸を見ていると落ち着くな、自分のことが些細に思える。
他人が大変なのを見ていれば、本当にこれは。
些事であったのだと、思い知らされる。

「……靖史」

「また、苗字に戻ったら。
しつこく怒ってくれ」

厄介事が嫌いな俺が起こしたミスが、今となっては合図になってしまう。
(-144) toumi_ 2021/10/04(Mon) 18:33:45

【秘】 0043 榊 潤 → 3839 南波 靖史

「だから、」

だけど、じゃない。
これを必然思おう、作られた舞台ではなく新しい確かな再演だ。

「お前にまた会う日まで」

笑えているといいな、悩んでる姿は似合わんぞ。
次はお前を可哀想だと思わないことを祈っている。

たとえ、記憶が戻らなくてもこの際、どうでもいい。

この世界が正しくないことを、
お前が、改めて俺に思い出させてくれた。

それだけで、俺は俺の世界を取り返しに行く。
(-145) toumi_ 2021/10/04(Mon) 18:34:57

【赤】 3839 南波 靖史



「そう。羨ましいな。仲間だね、彰人くん。
 ──俺も、一番大切な自分には“二度と会えない”し、
 “誰も、その存在を証明も観測もできていない”から。

 彰人くんは最期に話せたみたいだけど。
 
俺は未だに自分の中に“靖史”がいるのを認識できない」


「……生きてるのか死んでるのかすら、不明で、」

「俺と言う“自我を持った異能”“やすふみ”が存在する事すら、証明ができない。
創くんの記事見た?異能が自我ってマズいらしいね色々と。
でも俺こうして普通に生活してるのって、普通に見逃されてるのか、
ただの多重人格者の狂人
の“戯言”と思われてるのか」

「──実は、最も存在があやふやなの、俺なんだよね。
 記憶だけが、『私』と『僕』の存在を証明してくれる。俺にだけ、ね」

君はコピーがあるから。肉体があるから。
同時に二つの個体が存在する限り、『外部の観測』によって証明がなされるだろうけど。俺の答えは誰一人観測ができない。『ただの多重人格者の妄言』を否定できない。

「……俺は死んだ事がないから、羨ましいとは言わないけど。
 ただ、『最も大事な自分を、他者から認められなかった』」

「その一点は、君と共感できると思っている」 ▼
(*13) poru 2021/10/04(Mon) 19:42:23