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人狼物語 三日月国


73 【誰歓突発RP】私設圖書館 うつぎ 其漆【R18】

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[舌戦にも睨めっこにも敗北を喫した俺は
 ヒビ入りの花瓶へと視線を移して
 何度目かのお断りの言葉を述べた。
 がその言葉すら、まつ毛に飾られた目の光を
 陰らせるには至らなくて。]


  ……お前さんこそ、明日には俺より
  もっと良い奴が見つかるかもしれないのに
  眼を曇らすと見えるもんも見えねェぞ。


[好きになれ、と言われてもなれないのは
 俺もよく知っている。
 でもここで引いてしまって
 その柔らかそうな頬に口付けてしまえば
 全部全部、無駄になってしまう。]


  …………好きとか、嫌いとかじゃねンだよ。
  聞き分けろ。


[そう厳しい顔を作ってみたけど
 結局、また来週になればこの子は店に来るだろう。
 多分、その手にコーヒーを持って。]
(3) シュレッダー 2021/05/19(Wed) 19:59:08

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介



  強行手段て。


[いきなり噴出した物騒ワードに
 うまい返しが思いつかず
 俺はひくり、と口の端を震わせる。

 若い言葉はよく分からなかったが
 ともかくデートじゃなく
 友達と遊ぶらしいのだけは分かった。]


  クラブもスペードも無ェよ。
  遊びに遅れッちまうから早く行きな。


[突き放す言葉を重ねたのに
 ひらひらと手を振り店を後にするお嬢さんが
 コーヒー持って現れる光景を瞼に描いて
 つい、くす、と笑みが漏れる。]
(4) シュレッダー 2021/05/19(Wed) 20:02:27

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[嵐のような娘がいなくなれば
 古物たちの匂いと、重ねた年月分の
 濃厚な沈黙が店の中を満たすだろう。

 医者になれ、とうるさい母から逃げて
 うるせぇ、これが俺の好きなものだ、
 これが俺の人生なんだ、と始めた店を
 四方八方埋め尽くさんばかりの俺の宝物たち。

 分かるさ、何言われても止められやしない。
 これだ、と思い込んだら
 どデカい壁に当たるまで突き進む。]


  ……ふう、


[すっかりぬるい茶を喉へと流し込むと
 それでも俺は次の断り文句を考える。]
(5) シュレッダー 2021/05/19(Wed) 20:11:24

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[「あの店ジンジャークッキー以外に
  何があったっけ」─────なんて

 一瞬頭をよぎった莫迦な考えを
 ぺちん、と頭を小突いて振り払って。]*
(6) シュレッダー 2021/05/19(Wed) 20:12:54

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[もしこのお嬢さんが
 もう何週間も顔を見せずに
 ある日店の前を、知らない男と一緒に
 ちらりと此方を振り向くことなく歩いていたら

 清々する、なんて思わない。
 別に嫌いだから拒んでるんじゃない。

 少し三白眼を見開いて、
 それからその背を見送ったあと
 ひとりそっと微笑むに止めるだろう。

 良かったな、なんて
 褪せた色の店で一人呟いて。
 ─────結末は、それでいい。
 結ばれるだけがハッピーエンドじゃねェ。]
(21) シュレッダー 2021/05/20(Thu) 19:03:12

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[もうぐうの音も出ない俺は
 「すき」の言葉に舌打ちひとつ。

 他に女がいる、といえば良いのか。
 それとも、とてつもなく嫌われることを
 すればいいのか。
 お嬢さんが居なくなっても俺の頭の中には
 赤い口紅がにっこり弧を描いて
 時々、ちゅ、とキスを投げてくる。

 見上げればこちらをにやにや見下ろす
 恵比寿天と目が合って
 俺はカウンターに残された、
 グロスの赤がほんのり残る茶碗に目を落とす。]
(22) シュレッダー 2021/05/20(Thu) 19:05:35

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[親友殿を笑えないほど
 前に酷い女に引っかかった事がある。
 曰く俺と手前は前世で王子と魔女、
 禁じられた恋人同士で、
 来世で必ず結ばれると願って身投げをし
 嗚呼今こそその念願の叶う時、とか。
 なんじゃそれはと一笑に伏したら怒髪天、
 店の中で包丁振り回した大立ち回りときた。

 そんな手合いと比べれば、毎週店に押しかけて
 茶を嗜んでいくことの、なんと可愛いこと。

 けれど、彼女の求める方に
 足を踏み出しては、いけない。
 踏み出した足はきっと彼女の未来を汚す。]
(23) シュレッダー 2021/05/20(Thu) 19:09:56

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[ぼう、と考えながら一週間が過ぎようという時
 俺はまた親友殿の店に顔を出していた。

 コマドリの描かれたアンティークのティーカップは
 店主のお眼鏡に叶ったらしく
 カウンターでうきうきと磨いている。
 俺はそれを眺めながら、いい断り文句を
 絞り出そうと渋面を作っていただろう。]


  「……ねえ、顔ひどいよ。」


[視線はカップに向けたまま
 店主はたしなめるような声を出した。
 店主は例の人とは順調なのか
 その顔には曇りはない。

 それすら妙に腹立たしくて
 カウンターに腰掛けたまま、ぷい、と横をむく。

 レジ横にある小さなショーケースには
 紅茶セットにつく小さなおやつシリーズが
 小分けに袋詰めにされている。]
(24) シュレッダー 2021/05/20(Thu) 19:11:30

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[ジンジャークッキーだけじゃなく
 犬の形に抜かれたペッパーチーズクッキーや
 全身真っ黒なチョコマフィン、
 アールグレイマカロン、なんてのもある。

 あの子は何が好きだろう。
 ─────いやいや、選んでどうする。

 ショーケースから視線を移すと
 信じられないものを見た、と目を丸めた
 店主とぱっちり目が合う。]


  「甘いの嫌いじゃなかったっけ?」


[それとも……?なんて意趣返しの詮索に
 ぎろりと睨み返して。
 店主はくすくす笑うと、ショーケースの中から
 デコレーションされたカップケーキを掴んで
 そっと俺の方に押しやった。]
(25) シュレッダー 2021/05/20(Thu) 19:12:14

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介




  「女の子の好きそうな、映え、ってやつ。」


[気に入ったならデートしに来なよ、と。
 こいつも大概お節介だ。]
(26) シュレッダー 2021/05/20(Thu) 19:12:38

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[そして、カップケーキをもらったその日に
 また店頭に花が咲く。

 ふわ、と薫るコーヒーの香りに
 先週の言葉を思い出して、つい頬が緩んだ。]


  人の言うこと聞かねェくせに
  律儀なもんだね、まったく。


[そう笑いながらも、小花を散らした皿に
 ちょん、とふたつ、カップケーキを添えようか。
 ひとつは薄い紫色のバタークリームに
 カラフルなマーブルチョコが乗っていて
 もうひとつは今日に上のバタークリームに
 にょん、とうさぎの耳を突き立てたもの。

 これを見たら笑いやしないか、気が気じゃなくて
 俺はまだお嬢さんの企みに気付かない。

 す、とチケットが差し出されたなら
 目を丸くして─────]
(27) シュレッダー 2021/05/20(Thu) 19:12:59

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介



  こういうの、興味あったんか。


[隣町の美術館で開催されている
 『香水瓶の歴史』というタイトルと
 お嬢さんの顔を見比べて、問う。

 正直に言うと美術館巡りは好きだ。
 この仕事をする前から、ずっと。
 でもお嬢さんが興味もないなら
 このチケットを持ってきた理由は明白。
 受け取らない方がきっと懸命だろう。
 いや、でも、
イキタイ……ッ!


 お嬢さんの目の前で、ゆらゆら。
 唇を噛み締めながら迷う。]*
(28) シュレッダー 2021/05/20(Thu) 19:14:16

【独】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

/*
ふぁーーーーーーーーーーーーーーん>>29>>30
(-6) シュレッダー 2021/05/21(Fri) 21:15:42

【独】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

/*
なんか人魚姫みたいだ……綺麗なシーグラスみたいにぽつぽつ、ログの波に洗われている感じが……ををん……
(-7) シュレッダー 2021/05/21(Fri) 21:17:03

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[カップケーキは、俺の想定していたよりも
 大きな反応を齎した。
 年頃の女の子がはしゃぐ様を
 こんな目の前で見た事がなくて
 俺はつい、くしゃり、と顔を歪めてしまうんだ。

 だから、きっと連写の中の俺は
 6割くらいは笑っている─────かも。]


  ……お嬢さん相手に気張ったりしねェや。


[残りの4割の困り顔のまま捨て台詞。
 この子相手に舌戦を挑むのは負け戦。
 悪い男に捕まりかけてる時の
 「彼氏なう」には構わないけれど
 この子の待受はそういうんじゃないだろう。]
(43) シュレッダー 2021/05/21(Fri) 22:30:01

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介



  それは、


[好きだと思ったのはカップケーキか、それとも。
 聞き返せない俺は語尾を濁して
 「そうかい」と小さく呟いた。

 気に入ったんなら、行かないか。
 知り合いのやってる店でな……
 なんて、繋げてしまえば
 きっともっと喜ぶ顔が見れるんじゃないか。


 分かっていても、踏み込めない。
 踏み込んじゃならない。]
(44) シュレッダー 2021/05/21(Fri) 22:31:09

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[古いものの匂いを払うように
 ふわ、と焼き菓子とコーヒーの香りが
 二人の空気を満たしていく。

 そんな中のお誘い。
 やっぱりそういうことか、と
 渋面を作れば、チケットの隙間から
 心の迷いを見透かしたように
 お嬢さんはちょんと口をとがらせる。

 問い掛けには、YesともNoとも返せない。
 む、と口を噛んだまま言葉を探しに心の底へ。

 何故こんな態度を取るのか
 言うべきか、否か。
 俺が迷ううち、ぱさり、とデートのチケットは
 カウンターの上に散った。]
(45) シュレッダー 2021/05/21(Fri) 22:31:38

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介




  ─────おい。


[困った顔のまま、コーヒーへ口付けた
 お嬢さんを向いて、唸る。

 あげるッつったって、
 そんなの、受け取れるはずがない。
 どんなに欲しいものであったって
 ここでお嬢さんからチケット巻き上げて
 一体何が楽しいっていうんだ。
 違う違う。そんな顔して欲しいんじゃない。
 俺は─────]


  …………お客さんでいてやるッて、
  ひとつも買ったことねェじゃねェか。


[ひどくいがらっぽい声で絞り出して
 俺はコーヒーを一口飲んだ。
 笑おうとして、唇が動かない。]
(46) シュレッダー 2021/05/21(Fri) 22:32:35

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[コンマ一つ分の沈黙の後
 俺は小皿の花を見つめながら切り出した。]


  ─────姉が、いてな。
  5個上の。


[緩く巻いた茶髪の似合う明るい人。
 瞼に浮かぶ彼女の顔は笑っているか、
 それともどんよりと曇っているか。]


  俺が大学に上がったその年、
  突然腹に子どもをこさえて仕事を辞めた。
  相手は職場の上司で、妻子もいてンのに。


[カウンターを無意味に掻いていた指先から
 まっすぐ、お嬢さんへと視線を向ける。]
(47) シュレッダー 2021/05/21(Fri) 22:33:40

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介



  それでも「愛してるって言われた」からって
  一途にトンズラこきやがった男を待ってたけど
  愛した男は知らぬ存ぜぬを貫いて
  姉ンとこにゃ、男の奥さんからの
  慰謝料請求しか来なかったよ。

  ……まァ、後はお察し、ってやつ。


[愛を信じ続けた姉を中心に、
 ボロボロと家が崩れていった。
 あんなのは、もう二度とごめんだ。]
(48) シュレッダー 2021/05/21(Fri) 22:48:10

【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介



 本当にその「好き」は、言って後悔しないかい。
 俺は、君の人生を明るく照らせるかい。
 ─────俺にはとンと、自信がねェ。

 
(D0) シュレッダー 2021/05/21(Fri) 22:49:37

【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[つ、とチケットの1枚を
 仏頂面のままお嬢さんの手元に突き返す。]


  俺が2枚持ってたって
  俺が2回行く他ねェや。


[もう1枚を唇にかざしたまま
 受け取ってもらえるのを待つ。]*
(49) シュレッダー 2021/05/21(Fri) 22:56:01

【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介

[それでも、そうじゃない、と言われたならば
 俺はまた渋面を作って考えてしまうだろう。


 あんたの事を嫌いじゃない。
 あんたが来てくれるのは楽しみで
 でも、そんなあんたの未来を穢してしまうかも
 しれない自分自身が怖いのだ、と。

 それをどう説明したものか
 俺はまたじっと考え込んでしまう。]*
(D1) シュレッダー 2021/05/21(Fri) 22:59:43