─月曜日・夕方/私立野薔薇大学・喫煙所─

　そうかな……僕からしたらもう、今のエピソードだけで十分、
　短編一本分くらいの濃さを感じちゃったよ。

[笑い出す彼>>2:21の吸っている電子煙草が随分と面白い代物に見えてきて思わず銜える様を目で追いかける。
大学生が偶々通りかかった店で、UFOが呼べるという触れ込みで喫煙具を買わされる。そんな書き出しの文芸作品が小説新潮なんかに掲載されてたら……ちょっと気になって読んでしまうかもしれない]

　なぁんだ、パチモンだったか。
　何とか捌きたかっただけなんだろうね……

　って、ええ、きみまだ面白エピソードの残弾あるの？
　楽しい人生送ってるなぁ……羨ましいよ……
　で、それのご利益はあったのかな。

[吸い込んだ煙を吐き出そうとしていたところへ披露された相手の腕に填まっているブレスレットとその口から紡がれた次の話に、思わず勢い良く吹き出して、噎せそうになったのを何とか堪えた]

─水曜日・正午/私立野薔薇大学・購買─

[了承の返事>>2:24を聞けば満足げに歯を見せてレジに向かう。手の中の商品をすべて差し出して、会計の間に首だけ振り返った。
自身のことを問われれば、肩を竦めて口調だけは気まずげに、表情は悪びれず茶目っ気を混ぜた笑みをのせて]

カフェテリアで誰か捕まえようと思ってたんだけどさァ、ちょーっとサボりすぎて見つかったらヤバそうな授業のセンセーがね？

てーか、やっぱ俺このままだと留年になりそー。
ま、そうなったら来年も仲良くしてー。

─水曜日・夜/自宅・自室─

もう何件か返事来てんのな……これならなんとかなるか。
相手側の方も今頼んでるし……

[参加するのがこの大学の生徒であることを伝えると、女友達は人数集めを快諾してくれた。
なんだか知らないが、顔の良い男が集まるということでよそでは有名らしい。

かまってくれと言わんばかりにじゃれついてくる、泊まりに来た方向音痴の友人を適当に相手しつつ、返信を打ち込む。

……チハヤだけはちょっと可哀相だから、追伸を入れておこう]

─水曜日・正午/私立野薔薇大学・購買─

えっ嫌ですけど。

[へらりとした顔で放たれた言葉>>2に満面の笑顔を返しつつ心持ち距離を取った。口調も思わず敬語である。隣のレジへと向かい、レジ横の一口チョコを会計の商品に乗せながらゆるく左右に手を振って]

留年したら留年菌が移るんで近づかないでくださーい。
僕はストレートに卒業したいんで。

─水曜日・正午/私立野薔薇大学・購買─

[細かな端数を揃えて出すのは面倒で札だけ出して会計し、ジャラジャラと受け取った小銭を膨らんだ財布に放り込んだ。
存外辛辣な言葉を返されて>>8、笑みを浮かべていた口端が一瞬ヒクリと引き攣る。すぐに拗ねたように唇を尖らせて上書きしては、相手の会計を待ちつつ不服げに間延びした語尾で抗議して]

うっわー、ひでぇー。すっげー傷付いたんですけどー。
伝染るとしたら留年菌じゃなくてサボり癖っしょー。

─木曜日・午前/私立野薔薇大学・カフェテリア─

[今日は夜に合コンがあるからと服装も髪型もいつもよりキメてきた。そのために朝早く起きた結果、珍しく遅刻せずに2限目に十分な余裕を持って間に合っているのだから褒めてもらいたい。
講義まであと半刻ほど。それまで優雅に甘いカフェオレを飲みながらスマホでSNSを流し見して時間を潰すことにした]

─木曜日・午前/私立野薔薇大学・カフェテリア─

　わ…なんか珍しく遅刻魔がいる。

[2限目の授業からで少し時間が有るからと人が少ないと踏み、カフェテリアで軽くラップサンドを食べようと注文し席を探してれば珍しい人物>>10を見かけ思わず声に出てしまった。
ヤバい、そう思ってとっさに片手で口を塞ぐも間に合ったかは分からずただ聞こえてないことを願った。]

─月曜日・夕方/私立野薔薇大学・喫煙所─

そんなに面白いですか？
俺は有川浩の小説みたいに万人受けする人生が良かった。

[自分の話に予想以上の反応をくれる相手>>0に気を良くして数歩歩み寄る。
己の性格の薄暗さは自覚しているが、これっきりの付き合いだろうと思えば存外普通に接することも出来るものだ。
そんな自分自身に驚きつつ、再び相手の問いには首を振って]

駄目です。
野良猫との遭遇率は上がったんですが……あれ、もしかしてあれが宇宙人だったりしたのか……？

[惜しいことをした、と口元に手を当てつつ真面目な顔で悩み始める。
とはいえ過ぎたことは仕方がない。気持ちを切り替えて顔を上げると相手と目が合わない程度に顔の方向を見て]

何かそういう、気味の悪いモン見つけたら教えてください。
先生と会うことも、こうして偶然が重ならないともう無いでしょうけど。

─水曜日・夜/自宅─

……あれ、メールが届いてる……？

[ようやく家に帰ると、誰かからメールが届いているらしい。
開いてみると、３年の阿倉台先輩からだった。

何度か講義が同じになったことがあって、その時に連絡先を交換したんだったか。]

合コン……

[俺は知っている。この世界における合コンはだいたい女の子は女の子同士で固まるし男は男同士で固まるものだと。

しかし、こういうイベントでもないとモブの俺には女の子と知り合う機会が！　ない！！
ということで、一も二もなく返事を送った。*]

─水曜日・夜/寮の自室─

[風呂上りの濡れ髪をタオルでがしがしと掻きながら、不意に鳴り響くメールの着信音にびくりと肩を揺らす。
サークルメンバーと家族からの着信に設定している音ではない。
一体何かと恐る恐るスマホを手に取り画面を覗けば、そこに表示されたメールの内容>>2:25に溜息をついた]

間違いメールか…。

[この名前は、他学部の公開科目で同じ班になって、仕方なく連絡先を交換した人のもののはずだ。
きっと友人らに送るメールに間違えて自分が混ざったに違いない。わざわざ『俺宛てではないですよね』と確認するのも面倒だし滑稽だ。こんな根暗に送るわけないだろと思われたら死にたくなる。
スマホをベッドへと投げると無視を決め込み、そのまま普段通りの夜を過ごすのだった**]

─木曜日・正午/私立野薔薇大学・中庭のベンチ─

……怪しいミサンガは駄目、ドリームキャッチャーも駄目、煙草も駄目、ブレスレット……は、今度猫に話しかける方向で。

[ベンチに座り込み、膝上に置いた鞄のさらにその上で小さなノートに筆を走らせる。
この大学に入るより以前から――それこそ幼少期から――、こつこつと溜めてきたこのメモには、未知との遭遇に役立つという前触れで購入したグッズの効果や、どういった条件が必要なのか調査したものが書かれている。
『×』が並ぶ一覧表を見ながら、僅かに眉尻を下げると溜息をついて]

……クソが、偽物ばっかだな。
今度口コミサイトで低評価つけてやる。

─木曜日・正午/私立野薔薇大学・廊下─

[今日はいつもより少しお洒落をして学校へ来た。あくまで、モブとしての両分を弁えた範囲内で、だが。

そしてスマホを取り出して、メールを開く。
宛先は、先日交換したばかりの宮野に設定。

先日借りた本を読み終えたから、返却したい旨をメールの文面にしたためて送信した]