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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 花で語るは ソニー

触れ合った体温が、鼓動が、吐息が。
香水のように互いの身体にまとわりついて、きっと暫くは残り続ける。
そう信じるかのように、もう一度頬を摺り寄せて。

「はい。またねArrivederci

車の窓越しに、恋人のように微笑む。

バック・ミラーに自分が映る限り、そうして振舞う。

あなたの前であるかぎり。

↓[1/2]
(-141) gt 2022/08/18(Thu) 18:01:41

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 花で語るは ソニー



「………またね」

太腿には、ごつごつとした金属の感触。
女だって、ホルスターをさせば――いつでも銃がそこにある。

[2/2]
(-142) gt 2022/08/18(Thu) 18:02:01
ビアンカは、「またね」と繰り返した。
(a11) gt 2022/08/18(Thu) 18:02:26

【人】 小夜啼鳥 ビアンカ

かつ、かつ、かつ。

石畳は今日も、リズミカルに音をたてる。

女は今日も、傘を片手に街を歩いていた。

かつ、かつ、かつ。
かつ、かつ
かつ


ときたまよろめいて、こけそうになりながら。
目許を覆い隠すほどの濃いアイシャドウを、燃え盛るすい星のように曳いて。

眸だけは真っ直ぐに、前を見る。

かつ、かつ、かつ。


ビアンカはこの街で、石畳がたてるこの音が好きだった。
それ以外は、みんな嫌いだった。
(18) gt 2022/08/18(Thu) 18:04:40

【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ

案内された椅子に座る。
足をそろえて、手をその上に乗せて。
ゴシックな服装に身を包んだ、可憐な容姿の女は、
ともすれば精巧な人形のようにすら見える。
ぴくりとも動かない表情が、尚更にそれを助長して。

営業スマイルを見送って、視線だけで店内を眺め見る。
小柄な女では、敷居の外の光景はほとんど見えない。
精々照明一つ当りがどれほどの範囲を照らすのか、とか。
カメラは何処かに設置されてるのか、とか。
その程度の事しかわからない。

やがてこちらへと歩いてきた貴方を一瞥だけして。

右手の中指に、透明な細い糸。
袖の中に繋がっている。

「えぇ、初めまして。」
「何かをしに来たわけじゃないの。」
「渡すものがあっただけ。」

そうして、白いシルクグローブを付けた手が。
懐、内側の胸ポケットに伸ばされて─────
(-143) arenda 2022/08/18(Thu) 18:10:14

【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ

──貴方がそれを警戒して何か行動を起こしたりしなければ。
女はそこから、裸の紙幣を数枚取り出す。
金額にして、300ユーロほど。
くしゃりと皺がついてる様子を見るに、
元は小さい隙間に押し込められていたのだろう。

「貴方に渡してほしいと言われたわ。」
「借りてたから返したいって。」

淡々と告げて、それを左手で持って差し出した。
(-144) arenda 2022/08/18(Thu) 18:13:43

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア

「かわいらしいお客様。
 見惚れちゃった」

女は荒事の経験があるようには見えなかった。
あえかに裾を抑えて、向かいの席に座り、あなたの言葉を笑顔のままに聞いている。
ポケットに手を入れた所で、女は表情を――すくなくとも表向きは──変えることもない。

「あらそう? 残念」

白粉は、感情すらも塗り固めるのか。
口紅は、青ざめた血色を塗り重ねるのか。
人形のように精緻で可憐なあなたのかんばせに比べて、
漆喰を押し固めたようなその顔はなんと醜いことだろう。

ただ、あなたの動きを目だけで追って。

↓[1/2]
(-146) gt 2022/08/18(Thu) 18:36:29

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア



「――……」

差し出された紙幣に、視線すら落とさない。
ただ、どこかけだるげに持ち上げた手で口許を抑えて。

「私、人に金を貸したことなんてない。
 何かの勘違いでは?」

女は笑顔の上に笑顔を重ね、コケティッシュに小首をかしげた。

「あら失礼、何か飲む?
 ノン・アルコールのほうがいいのかな。
 レモネードとかおすすめだけど」

掌をあげる。カウンターの向こうで、従業員が背を向けてなにがしか準備を始めた。

[2/2]
(-147) gt 2022/08/18(Thu) 18:38:39

【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ

花咲くように君は笑う。
朝露に濡れる薔薇のような、完璧なまでの笑みで君がこちらを見る。整ってあでやかな、隙のない表情に、男はいつもまず目を見張る​────それが血の通ったつくりものだとわかっているのに。

「そう見えなくなったなら、僕は自分の目がおかしくなったのだと信じて疑わないだろうね」

男に夢を見せる女の仕草。
これに溺れた哀れな誰かのことを、よく知っている。

「はは。わかりきったことを言うじゃないか、ビアンカ」
「少しでも、なんて寂しいこと言わないで。愛してるよ、心から」

気まぐれな猫のようにころころと変わる君の言葉、態度、表情。計算、打算、心算、そこにも一抹程度、本当の気まぐれは混じっているのだろうか。
男は乗じて享じる。つれない女を一途に想う男として君を追う。二人の距離が少し離れて、けれど靴音ばかりは確と耳に届いた。

「お眼鏡に適ったなら光栄だ」

視線につられて自分の靴先に目を落とす。
ぴかぴかに磨かれた黒い革靴。立場柄趣味柄そう安物を履くわけにはいかないし、草臥れた服装も宜しくない。手入れはしっかりしているけれど、拘りがあるとは言えなくて。
君の足元に視線を滑らせた。

(-148) rik_kr 2022/08/18(Thu) 18:38:52

【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ

「確かにね​────」

ヒールが地を蹴る。華奢な足元に不似合いに硬質の、つっけんどんな音が響く。
君が硬い音を立ててアジトの廊下を歩いてくるのが、男は好きだった。背筋をぴんと伸ばして、口許をきっと結んで、畳んだ日傘を細身の身体に添えて。真っ直ぐに要件を告げる凛とした姿が、好きだった。
無骨な石畳には、尚更よく映える。

そんなことを考えていたものだから。
その小さな声を、あと少しで取り落とすところだった。

(-150) rik_kr 2022/08/18(Thu) 18:39:51

【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → 小夜啼鳥 ビアンカ

小さく息を呑む。
動揺未満の驚きがあって。


一足。

上背の差があるから、一足伸ばせば君に追いつく。

身を屈めて、声を潜めた。

「不安かい? ビアンカ」
「だけど、大丈夫。ボスが君たちを見捨てるなんて、あるわけないだろ?」
「僕たちは家族だもの」


その言葉は酷く陳腐だ。
けれど子供だましでも誤魔化しでもなければ強がりでもなく。
確かで当然な根拠あっての発言であると、そう響く。
(-153) rik_kr 2022/08/18(Thu) 18:51:05

【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカ

あなたがどうして笑ったのかわからない。
それでも、立てつくような言葉を吐いてなお、そんなに悪い気分ではない。
拾った絵本を小脇に挟み、差し伸べられた手を握る。
少年の痩せた手は節くれ立って、二年前よりずっと、大きくなった。

「一回読んだぐらいじゃわからない」
「ばかだから」

そも、その一度読むという行為自体に時間がかかる。
知らない言葉が出てくれば、調べて理解しないと先へ進んだって意味がわからないままで。
ゆっくりと時間をかけて文字を辿り、何度も読み直して物語をなぞる。
そういうことが、必要なのだ。
ゆら、ゆら。繋いだ手が揺れる。
(-154) beni 2022/08/18(Thu) 19:02:24

【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ

おべっかに照れたり喜ぶような素振りもない。
何処までも冷たく、無感情なその表情は、
何の色を落とすこともなく。
都会の星のような頼りない照明に映された
女の顔は、どこまでも"お人形さん"だった。

差し出したまま、夕闇の瞳が貴方を見つめる。

「そう。じゃあ、その人の勘違いだったのね。」
「興味がないわ。飲みものなんて。」
「外で飲食するのは嫌いなの。」

受け取られなければ、テーブルにそれをぱさりと置く。
そうして、席を立つ。
用件は、もう済ませた。
客としてここに来たわけではないのだから、
もうこれ以上居る意味もない。

「それ、処分しておいてもらえるかしら。」

紙幣に視線を向けて、それから。
くるりと、背を向けた。
(-155) arenda 2022/08/18(Thu) 19:14:53

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 家族愛 サルヴァトーレ

多少は、生来の顔立ちもある。
けれどやっぱり、その美しさは作り上げたものに違いない。
だから女は、自分が美しいなんて本当は思っていなかった。

ただ、それが価値あるものであると誇り、
引き金に指をかけ続けなければ、
生きてこれなかっただけだ。

「ふふ」
「ありがとう、あなたといるとお姫さまになったような気分」
「こう見えて、女の子だからね──……」

虚ろな言葉がうわ滑る。
ただ一夜の夢のように、かたちのないものばかりを織り上げて共有する。


それが恋だとしたら、この世界に確かなものなんて何もなかった。
それが恋でないなら、この世界に美しいものなんて何もなかった。


「愛されるのも、褒められるのも好き」

すきよ、と。
女の唇は、濡れたように艶のあるリップを纏う。

かつん。高く鳴る靴音が、あなたの視線を朝靄のように曳いた。

↓[1/2]
(-164) gt 2022/08/18(Thu) 20:01:46

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 家族愛 サルヴァトーレ



本当に聞き間違いであったかのように、女はその歩幅にも、姿勢にも、一切の違いを見せなかった。
ただ、あなたの語る陳腐な言葉に。


「だといいけど」

笑う。

「もし、私の大切なものがなくなったら、
 私とても悲しいわ。

 トトー、守ってくれるよね?」

水平線の向こうで輝く太陽のように、にんまりと笑った。
[2/2]
(-165) gt 2022/08/18(Thu) 20:02:08

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデ

「それでいーの。
 あんたには、時間があるんだから」

大きな、けれど小さな手をぎゅう、と包むように握る。
ゆらゆらと揺れる手は、水面で揺れる揺り籠のようだ。
ざわざわとした雑踏が波濤となって、ふたりだけの揺り籠をぐらり、と揺らす。
だから、ビアンカは前を歩く。

打ち寄せる波を、自らの身体でうけるよう。

「ばかは何もしないやつのこと。
 バカはマジでバカだから、何もしないくせに文句ばかり。

 いい、ヴェルデ。
 あんたは、」

■■■■■■■■■■■■■■私みたいなばかになっちゃだめ


――その言葉は、どうにも言いづらくて。もごもごと、不明瞭になってしまった。
(-167) gt 2022/08/18(Thu) 20:06:11

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア

「そう。
 わざわざ来てもらって悪いなあ」

あなたの背後で、笑みを含んだような声。

がちゃり、と。
バーの入り口が、外から締まる音がした。

カウンターにいる従業員が、トレイに乗せたレモネードをビアンカのもとに持ってくる。
皮を細かく切り刻んだ、たっぷりのレモン汁が入ったレモネード。
そのトレイの上には一緒に、
銃身を僅かに切り詰めて9mmパラベラムをたっぷりと詰め込んだ自動拳銃ベレッタM92FSが乗っていた。

↓[1/2]
(-170) gt 2022/08/18(Thu) 20:14:15

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア


「おい」



それ・・、いつ受け取った」

めえが殺ったん
じゃ
ねえだろうな──」


従業員はただの素人。
ビアンカもまた、訓練された動きにはとても見えない。
彼女がトレイの上から拳銃を掴むのを、あなたは黙って見ているだろうか。
(-171) gt 2022/08/18(Thu) 20:15:42

【秘】 ”昼行灯” テンゴ → 小夜啼鳥 ビアンカ

「お前さんがそう思うなら、俺は優しいんだろうさ。ま、少なくとも他の連中よりは穏健派を語ってはいるがね。」

そう言いながら、試食を差し出しつつ。

「16か。面倒でも見てるのか?」

実の子供にしては歳が過ぎている、と。
少し首を傾げながらそう尋ねた。
(-176) ぴんじぃ 2022/08/18(Thu) 20:46:33

【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ

女は、殺しのプロだ。
どんな状況、どんな武器、どんな場所であれど。
切り抜けて、今日この日まで生きてきた。

経験の差は、絶対的だ。



ガンッ!



と、後ろを向いたまま、踵でテーブルを蹴り上げる。
鉄の入ったパンプスは、蹴りの威力を増幅させて。
バン、と貴方の方めがけてテーブルが倒れ込む。
レモネードが従業員の顔の方へ飛ぶ。
皮を細かく切り刻んだ、たっぷりのレモン汁が入ったレモネード。
一滴でも目に入れば、悶絶する痛みを味わうことになる。

(-180) arenda 2022/08/18(Thu) 20:52:19

【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ

貴方がその蹴り上げた音や、倒れ込むテーブルに、
少しばかりでも動揺し、身を強張らせたなら。


ゴッ!



と鈍い音と痛みが、その横面に走ることになる。
振り向き様の蹴り。
足りない筋力の分、しならせるような動きで放ったそれは。
まるで鞭に撃たれたかのような、焼けるような痛みを与える。

貴方が椅子から倒れ込んだなら、女はその鎖骨辺りを踏みつけて。
倒れ込んでいなければまっすぐ、貴方の顔に手を伸ばして。

どちらにせよ、中指をくい、と動かせば。
袖から出てくるのは、改造された小型拳銃。
装弾数を減らすことで、違和感なく袖に仕込ませる
事が可能になった、暗器を。
貴方の右目に向かって構える。
視界の半分が、小さな黒い穴で埋まる。

「表を開けてくださる?」

そうして降り注いだ言葉は、やはり。
一切の温度も色もなかった。
(-181) arenda 2022/08/18(Thu) 21:01:33

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ

「穏健派ね。……ま、そうだろうけど。
 参ったな、聞いてたより大物だったりする?」

肩を竦めて、試食を受け取る。

「んー? うん。 ゴミ捨て場で拾ってね。
 特に面倒見てるってほどじゃないけど。
 たまに餌やって、あと部屋貸してるくらい」

面倒を見ているようだ。
(-185) gt 2022/08/18(Thu) 21:26:39

【秘】 ショウダウン ヴィオレッタ → 小夜啼鳥 ビアンカ

>> ビアンカ

「嫌味ですか?」

投げかけられた言葉と笑みに、むっとした様子で応じる。
別に本気で怒っているわけではないけれど、ポーズだけ。

注文を承れば、ではコトレットで、と応じて。
とりあえずの前菜カプレーゼを用意し始める。

「相手もいないのになれるわけないでしょう?
 お店みたい、で」

 
ワインはお気に入りの白があるからそれで
後で出す赤は……少し奮発したは良いけれど
開けてないのがあったはずですね


算段を立てながら、一皿目とワイングラスを2つテーブルへ。
あなたの方に置いたグラスに注いで。

「それに……持ちたかったんですよ、自分のお店」

自分の分も注いで、グラスを軽く掲げる。
(-187) 968. 2022/08/18(Thu) 21:33:50

【秘】 ”昼行灯” テンゴ → 小夜啼鳥 ビアンカ

「…まあ、その辺の奴らよりは上である自負はあるが。俺はノッテの人間だ。故にそう簡単に明かすわけにはいかなくてね。」

「嗚呼、勿論お前さんのことを上に言いあげるような真似はしない。そこは安心してくれ。あくまで俺は駄菓子屋の店主として会ったに過ぎないのだから。」

成り行きであったとはいえ、掟を破っているのは事実で。
しかしながら、貴方を咎める気も無ければ、自分のファミリーにこの事を明かすつもりもないと言う。

「ほう。そりゃまた大変だな。いくら売れている娼婦だとて、人一人を養うのは相応に苦労するだろうに。で、菓子を買う程度には気に掛けてやっている訳だ。」

「これも何かの縁だろう。代金はまけておこう。」

半額の値で良い、とこの男は言うだろう。
(-196) ぴんじぃ 2022/08/18(Thu) 22:46:45

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア

「あ


タイツに包まれた細い足がテーブルを強かに打ち、けれどあなたと違い純粋に筋力が乏しいだけの女の足はそのまま、反動とともに体勢を崩す。
息を飲み込む間もなく顔を打つ蹴撃。
痛みと熱が激しく弾け、視界がぐるりと回転した。

「…げほっ」


ひとつせき込み瞼をあげたときには、目の前に穴があった。
――鉄と血、硝煙。
鼻の奥に溢れ出す鉄の匂いに、全身が強張る。

怯えたような、顔。
鼻と唇の端に、血の雫をぼこり、と浮かべて。

「………、……、」


許しを請うように、両掌をあげた。
化粧でも隠し切れないような青ざめた顔で、
震える唇で──

↓[1/2]
(-199) gt 2022/08/18(Thu) 23:40:03

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 暗殺屋 レヴィア



『姉さんッ!』『アヤぁつけに来たんか!』


ん、と。

扉が蹴り破るように押し開けられ、ばたばたという足音が響いた。
店の奥から飛び出してきた従業員たちが、一斉に拳銃を構えあなたへと向ける。
――そこに、如何程の隙ができただろう。
女が倒れ込むように、銃口から身を反らす間はあっただろうか。
どちらにせよその後は、頭に血が上ったばかな女の、衝動的な捨て身の行動だ。

ハンズアップした掌で頭部をかばうようにかざし、あなたの銃口を避けて一歩踏み込
む。
――もうとする。

ぷ。
口の中で砕けた歯の欠片と、
鮮血と唾液が混じったものを吹きかけ
る。
――ようとする。


倒れ込んだ時にひび割れ、欠けた朱色のネイルの下から血がにじむのも構わずにグリップを握り締め、
銃口を跳ね上げるように両手で構え直
す。
――そうとする。


「くたばれ、くそがき」



あなたがどうしようと、その言葉だけは口にして。
引き金を、引いた。
(-200) gt 2022/08/18(Thu) 23:43:27
ビアンカは、引き金を引いた。
(a23) gt 2022/08/18(Thu) 23:44:05

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ショウダウン ヴィオレッタ

「本音。
 どっちがいいのかなーって。
 うん、ほんとにお店みたい。
 美味しそうなご飯の気配、そしてステキなワイン、美人の店員──……」

椅子をぎい、と傾ける。
ごめんごめん、と口では呟くものの、その瞳はあなたをぼう、と見つめて。

「私はね」


「お嫁さんなんだよね」


呟くような言葉。空調の音にすら、紛れてしまいそうな小声。
――笑いもしない。冗談ではないようで。
けれどグラスにワインが注がれると、にんまり、と楽しそうに笑う。

「――できたら通うよ?
 常連客、一名確保だね」

グラスを掲げる。

「二人の夜に」

これはもう、完全に冗談だ。
にやにやと笑いながら、グラスに満ちた液体を揺らした。
(-201) gt 2022/08/18(Thu) 23:49:49

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ

「ありがと。
 美人だと得ですね」

いけしゃあしゃあと言って、アマルフィの夜明けのような満面の笑みを浮かべる。

「それとも、やっぱりあなたが変なのかな。
 ……また来ますね」

するとスカートのどこかから、折りたたまれたユーロ紙幣を数枚取り出した。
それをカウンターの上にぱらりと重ねて、ひょいひょいと駄菓子を抱え込む。

「養ってなんかないから。
 全部あとで返してもらうつもり。
 ……この菓子代もツケとこうかな」

駄菓子で、さらに半額だというのに。
どうやら、守銭奴であることは間違いないようだ。
(-202) gt 2022/08/18(Thu) 23:55:09

【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ

諦めたように見せる標的が、その実全く諦めていない、
という光景は、もう何度と見てきた。
だから、手を上げた所で油断はしない。
───しなかった、のだが。

「!」

扉の蹴破られる音、多数の声。
それにちらりと夕闇が動いた。
それは機械じみた女の、確かな隙であった。


一瞬の隙を突かれ、銃口を避けられ距離を詰められ
る。

女は一歩引こうとするが、貴方の捨て身の行動の方が早い。
顔に体液の混ざったものを吹きかけられ
る。

腕で防ぐことで目を潰されることは防いだものの、
視界は一瞬塞がる。
自動拳銃を握り、此方に銃口を向けられ
る。


「─────」

女がぐらりと、後ろに倒れる。

(-205) arenda 2022/08/19(Fri) 0:14:21

【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ

───ただしそれは、引き金を引くより前の話だ。

後ろに倒れながら、跳ね上げた脚で銃を構えた手を蹴り上げる。
引き金が引かれ、放たれた弾は天井へ。
照明を割り、ガラスが降り注ぐ。
辺りが一段暗くなる。

倒れれば、そのまま即座に姿勢を整え、足払いを。
頭に血が上った状態では、避けることは難しいだろう。
そうして体勢が崩れたならば、此方は跳ねるように立ち上がり。
足を振り上げ────
その脳天に向かって振り下ろす。


ゴンッ


当たれば鈍い音が鳴る。
痛みに体が鈍ったなら、貴方の手をシルクグローブの手が掴み。

バキッゴキッ


右手の指を3本へし折り、そのまま肘も折る。

最も簡単な武装解除。
てこの原理で込められた力は、女の細腕程度なら
即座に砕いてしまう。

(-206) arenda 2022/08/19(Fri) 0:23:03

【秘】 暗殺屋 レヴィア → 小夜啼鳥 ビアンカ

───まだ、終わらない。

頭のリボンを片方解いて、きっと痛みに俯く貴方の首にかける。
そのまま、ギリギリ、と上に持ち上げるようにしながら、
どんどん締め上げていく。
人間の身体は高性能だ。
首を絞められれば、その苦しさから逃れるように、
体が勝手に力を加えられた方へ引き寄せられる。
上に持ち上げられるように力を加えられていたのなら。
苦しさから逃れるように立ち上がってしまう。

そうして立ち上がったのならば。
貴方は、従業員と女の間に張られた、肉の壁となる。
女の力加減は絶妙だ。
首に痕は残るものの、死にはしない。
蜘蛛の糸が垂らされた地獄のような苦しみを貴方に与えて。
そうして。

「私はここに、お金を届けに来ただけよ。」
「背中を向けた所を不意打ちで発砲しようとしたのはそちらの方。」
「ここで私を殺したら、貴方と、貴方の所属する組織の立場は相当に悪くなる。」
「戦争の火種になりたくないのなら。」

「───表を開けてくださるかしら。」

底冷えするような声で、再度、告げた。
(-208) arenda 2022/08/19(Fri) 0:32:11