それは、何時の事だっただろうか。
あなたが誰の目も気にせず居られる場所で、
百鬼夜行に思い巡らせていた時のこと。

その黄色い“何か”は、前触れも無く現れた。

「あなや！そこの御方･･･強い願いを抱いていらっしゃる
ようでございますね？」



「いみじいみじ！
是非、是非是非是非！！！
見せて、魅せて、いただきたいものでございます！」

「勿論ただでとは申しません！
来たるべき日に、立ちはだかる総てを下し、最後まで勝ち残れば
必ず貴方の願いは叶うことでございましょう！」

視線を逸らそうと、執拗に覗き込んでは騒ぎ立ててくる。
強引に追い払おうとしたならば、それは忽然と消えたものの、
あなたの胸には言いようのない凝りが残っただろう。

あれは、百鬼夜行の先駆けだったのだろうか。それとも、別の何かか。

どう受け止めるにせよ──此度の百鬼夜行は、
波乱含みとなりそうだった。