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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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視点:


【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 家族愛 サルヴァトーレ

撫でられるとやはり、きゅっと目を瞑る。
何と答えればいいのかわからなくて、開いたり閉じたりする口は。

「……選り好みなんかしてられないだろ」

迷った末に、そんな生意気な言葉を吐く。
大人だなんて言われるのは、こども扱いされているからこそだろう。
その証拠に、すぐに取り上げられてしまうのだ。
翠の瞳が、じとりとあなたを見上げる。

「ああ、またそうやって――」
「これぐらい、べつにヘーキなのに」

なんて、文句を言ったって、もう遅い。
じきに焼き上がるそれを、店主から手渡されることだろう。

「……なんかしてもらうとさ、何も返せるものないのになって思う」
「それこそ仕事するぐらいしか」
(-381) beni 2022/08/20(Sat) 14:48:02

【秘】 どこにも行けない ヴェルデ → 銀の弾丸 リカルド

少年は曖昧に笑った。
灰被りCenerentolaに、白雪姫Biancaneve、それから捨てられた兄妹Hänsel e Gretel
母親に虐げられる童話は存外多い。
少年は、もう、それがふつうではないことを知っている。
けれど事実として、ずっとそれがふつうだったのだ。
そしてそれは、もう、なかったことにはならない。終わったことだから。

「……ん」

それでも、取り返しのつかないものばかりでもなかった。
あなたとの交わりの中で確かに欠落の一部を埋め、少年は人間になった。
人間として死ぬことができた。
それはきっと、幸いなことだった。

「ちゃんと読む」
「けど、わかんないことあったら。
……また、教えて」

結局、根拠もなくそこにあると信じていた未来は失われてしまった。
この物語を最後まで読むことはできなかった。
あなたともう一度、言葉を交わすこともなかった。
だとしても。
(-404) beni 2022/08/20(Sat) 17:22:40

【秘】 家族愛 サルヴァトーレ → どこにも行けない ヴェルデ

君の言葉を、男はじっと聞いていた。
赤に近い紫の瞳は慈愛を宿している。
────高い位置から降り注ぐそれは、やや翳って見えるかもしれない。きっと気のせいだ。


「返してほしいものなんて何一つないさ」

男が身を折る。君の上に影が落ちる。空気を含んだ柔らかい声が、君だけに聞こえるよう囁いた。

「愛してるよ、ヴェルデ。どうか、ただ受け取っていて。
​ ────君が僕に、何かをしたいと思うなら」

そのまま、君の頬にキスを落とすだろう。もちろん嫌がられなければ、の話だ。僅かにでも拒むのなら、にこりと笑って引いてくれる。それから何もなかったように焼きあがったものを受け取り、店主に礼を告げた。
どこかに座るにしろ歩くにしろ、ひとまず店からは離れなければいけない。店頭は先程より賑わいを増している。

「行こうか」
「選り好み、すればいいじゃないか。どうにも君たちはわがままってものが苦手みたいだけど」
(-416) rik_kr 2022/08/20(Sat) 18:44:47

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデ

「そう?」


何もなかった。
意味もなかった。
ゴミ捨て場に倒れるこどもを見た時、なぜ傘を差し伸べたのだろう。
なぜ、その手を引いて連れ帰ったのだろう。

きっと、疲れていたのだ。
つまりは、ただの気まぐれだ。
何の道理も通らないし、
何の意味もありはしない。

ただ、かつて失ってしまったものが、
もう決して手が届かないはずのものが、
そこにあるような、気がしただけ。


「ま、あんたがそういうなら」

――子供は嫌いだ。
けれどまあ、意味のないことなら。

「いいかな」


別に、そうしてもいいだろう、と。
隣にきたあなたを見下ろして、笑うのだ。

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(-422) gt 2022/08/20(Sat) 19:08:44

【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → どこにも行けない ヴェルデ



「…あんた、でかくなったねえ」

あの時、ただ引いた力ない手は。
ほんの少しだけ、暖かくて。



――もう二度と、失いたくはないと思っていたのだ。
(-423) gt 2022/08/20(Sat) 19:09:01