[>>102>>105>>106>>118>>163

気がついたら。「私」は検査室のベッドに横たわっていた。心配そうに見つめてくるフランク、ビトロ、ビオトの姿と。目覚めた事を確認し淡々と検査の準備を始める博士と。
…………リヒトも、ここには居ないが心配していただろうか。


見慣れた面々に囲まれていたけれど。己はまだ地に足が着かない感覚の中にいた。]

[念の為と、様々な検査をしてくれる博士には。「私」と“これ”になにがあったのか、なんてバレてしまうだろう。

……正直に言って、かなり、気まずい。いやそれ以上に。客人の中でも特に地位の高い相手(代表者として名乗り出ていたのはあいつだった)へ無礼を働いてしまった……いや、された、のか？ともかく褒められた事では無いというのは、確かだ。

……検査が終わったら、あいつの同胞たちにも…………何というべきなんだろうな。]

[未だに正常に働かない頭で、無意識下で紡がれてしまった疑問の言葉がこぼれ落ちる。]


…………はかせ。

どうしてヒトは「愛」を求めてしまうの？*

[>>93
問題はない、という返答にとりあえず納得しておく。彼の場合もこういうのが常であるから。……常であろうと、それが苦ではないとは限らないのだが。]


そうか。念の為、博士に調整してもらった方がいいとは思うが…………

急に、なんだ。別にこちらこそ普通だが。


[最近ソワソワしているだの血色がいいだの。そんな自覚はなかったから面食らう。…………多少の「特別なこと」が出来ているとはいえ、そんな他者に伝わるような何かは無い、はずなのだが。]


……そうだな、確かに「私」は過去の記憶の断片を持ち合わせているが……そんな、愛して愛されたいだなんて語った事は無かったはずだぞ。「私」はあ、いを、求めてはいない。


[フランクから奇妙な事を言われてしまった。本当に、彼にそんな事を告げた覚えがないのだ。過去の検査で“これ”の記憶がどこかから漏れ出して、彼へと流れ込んでしまったのだろうか。]*

>>120

…………また根差していたのか。他に楽しめる事は無いのか？


[検査も終わり、自由時間である。適当に光合成でもしようかとも考えていたはずだったのに。何故か、何故なのだろうか。また、彼の姿を捜して、こんな場所にまで来てしまった。]

先日は不躾な頼みをして申し訳なかった。
……興味はないかもしれないが、今日は、一緒に植物園の散歩でも、しないか？



[是の答えが来る事は、あまり期待せずに。同時に語りかけようとする“これ”の事はさらに気にしないように。]*

>>132>>133 あ、ああ……驚かせてしまったというなら、すまない。そんな、長い話では無いから……


[急な訪問者に気を悪くしているのか、
……確かに、直前で彼が力を使っていた事は、直視はしていないが知っている。>>131
“これ”がいるから、植物に影響を及ぼす力はある程度察知できてしまうから。]


あの……きみと、あいつ……雷恩、どのは。かなり近しい仲であると見受けられるから……その、

[白い青年は、黒い青年と共に有るように見えていた。それは、「私」とあいつが出会うより、ずっとずっと前で。ずっとずっと深い結びつきのはずで、だから、]

勝手に、きみの片割れに近づいていてしまって、申し訳ないと思っている。

…………けど、大丈夫、だと思うよ。「私」じゃあ、きっと彼の心に刻まれるような存在では、ないから。大丈夫、そんなのじゃ、ないから……


[ただ、誤解のないように、それだけは伝えておきたかった。]

**

[>>192 雷恩を見つける少し前だ。先にリヒトと遭遇したので先にそちらの方へと向かう。]


ああ、リヒト。いつもお疲れ様だ。先日はすまなかったな……


[機械的で旧いと、リヒトは自分をそう称しているけれど。「私」はリヒトがそれだけの機械ではないと、なんとなく思っている。本人に告げた事は無いが。]


まあ少し世間話でもするか。今来ている客人は、AIが何名かいただろう？……彼らは、きみからはどのように映ってみえた？
…………ほら、外から来る「同族」？というのは、得てして珍しいものだから。

[度々、あの男性を模したAI達と交流している事は知っていた。内容までは知り得ようも無いが、少なくとも。リヒトの中で何かが、芽生えたりしていたのではないかと。

……期待したかったのかもしれない。]*

……………やはり、必要で有るよな。そちらの大切な貴人へ、あんな事をしてしまっているのだから。


[いわゆる博士と近しいポジションのAIが彼らだとは聞いていた。定期的にメンテナンスや体調管理を行なっているのだということも。
……多分、あいつの方からは「私」や“これ”の残滓は検出されないとは思うが……]


うん。客人に無礼をした事は詫びておこう。
そう考えて、彼らが控えているはずの部屋の扉をノックした。*

[雷恩以外の『sintoisMécanique』とはあまり関わりは強く無い。客人だから、というのもあるのだが……AI達の近くに寄ると、“これ”が騒めいて煩くなるから。どうにも彼らの身体に搭載されている『種壺』なる機関が原因らしいのだが……それはともかく、だ。

緋雁、と名乗った個体が博士となにやら対話をしている姿をいくどとなく見かけてはいたのだ。……博士の方は、良くも悪くもいつも通りだったけれど。緋雁どのの方はいつも、苦悩を浮かべたような表情をしていた事を覚えている。

……彼とも話をした方がいいな。

それは彼が敬愛してやまない『新人類』の片割れと度々、表では言いづらい行為をしている事への弁名でもあったし……彼が、この研究所の最高責任者を、どうするつもりなのかも気になっていたから。

最も、博士を害するつもりだというならば、「私」に博士を護る力なぞ皆無であるのだが。]

[緋雁に出会ったら、開口一番で出してしまっていただろう。]


あなたは、博士に何を望んでいるのだ？


[と。]**

[>>232
了承を唱えた彼の言葉に胸を撫で下ろし、その後に呼ばれた呼称へ反応を返す。]


……「私」には、メディウムという名がある。次からそちらで呼んでくれ。興味があるものは根ざす事以外になにか無いのか？




[>>233 散歩に行くとしても、この『楽園』内は広い。せめて目的地か何かはほしい……と思ったところで「栗鼠が見たい」と申しつけられた。]


栗鼠か。たしか、あっちの区画に生息していたはず……

>>233>>234




[「私」の意思に反して、そっと差し伸べてしまった手が、引っ込められる事もなく彼の手を握る。

そのまま導くように栗鼠の生息する区画まで。道中で軽い会話を交わしたり、誰かが近づいてくれば反応を示しただろう。]*

>>245
…………同じではない。


「私」が“これ”と同じなものか。



[“これ”と同一視されるのは、正直受け入れがたかった。同じ存在だとしたら、こんなに苦痛を与えてくるのは何故なんだと、思うから。]

>>246


……………。


[興味が続かないと、彼はいう。その希薄な自己へは一種の羨望を抱くものがある。]


興味、な。「私」もあまり強く感情を覚えないようにしているからな……ああ、この植物園に生きる生命たちの事を知るのは、楽しいかな。



[大した事ではないけれど。ぽつり、ぽつりと言葉をこぼしていく彼へ、出来る限りは返せるように。]*