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人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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到着:  早乙女 菜月

【人】   早乙女 菜月



雲を泳ぐラッコ、

を、

誰が見た、と言うのさ?


 
(18) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 6:48:38

【人】 チアリーダー 早乙女 菜月

[ぐっと体を沈ませると、ハルカとフユミが柔らかく受け止めてくれる。
「オー!」
 落ちない。私は落ちない。絶対的な安心感は、気が狂うほどの反復練習で、ハルカとフユミから貰ったもの。
「ティー!」
 二人が私を掲げ上げると、背中にトンと軽い衝動。トップのアキナだ。
 私達の勢いを受け取って、アキナは飛ぶ。雲まで届くほどに高く。
 まわれ、アキナ。
 誰よりも高く。
 誰よりも美しく。
「ティー!」
 目の前に広がる客席、そこから沸き上がる熱狂のウェーブに、頭が追い付かない。
「イー!」
 歓声が全身を刺激する。厚い。体が熱い。このまま血液が、細胞が、全身が、沸騰して消えてしまいそうだ。
「アール!」
 笑われるかもしれないとか、恥ずかしいとか、そういう思いがどこかへ消えていく。もっと見てほしい。もっともっと、私たちのチームを見てほしい。
 高々と跳び上がったアキナが、重力を思い出した。
 人間が、降ってくる。
「エス!」
 私だけでは受け止めきれないけれど、ハルカとフユミがいる。勢いと共に増した重みを、二人が和らげてくれる。
 キャッチ。]
(19) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 6:50:51

【人】 チアリーダー 早乙女 菜月

[ワァ、という歓声がドーム内に響く。声は重なり合い、反響し、共鳴し、 まるで巨大な生き物の鳴き声みたいだ。
 その声の渦に負けないぐらい、私たちは大きな声を出す。
「GO! FIGHT! WIN! SEA OTTERS!」
 声がどこまでも広がって、やがて自分の耳に戻ってくる。反響。たっぷりと体に染み渡るような、残響。
「……完璧」
 耳元でアキナが囁いた。
 どうしてだろう。演技は完璧で、ドーム内は熱くて、こんなにも幸せで、みんなも笑顔にしているのに、

 全部、不要不急だなんて。]
(20) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 6:51:43

【人】 チアリーダー 早乙女 菜月

[チアリーディングはスポーツだ。
 グラウンドの外の花じゃない。技を競う真剣勝負。
 勝利の証は、会場に溢れる笑顔。
 私たちは誰かを応援するために、競い、高め合う。

 だけど、イベントも練習もなくなってしまった。
 世界を感染症が襲ったから。

『不要不急の外出は控えるように』の報道のもと、
 入学式さえ消えた2020年4月、
 私達は、高校2年生になった。]
(21) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 6:52:59
二年生 小林 友は、メモを貼った。
(a2) シュレッダー 2020/09/27(Sun) 6:55:01

【人】 二年生 早乙女 菜月

 ──断髪式──


「ナツキ、本当に良いの? チア部は前髪厳禁でしょ?」


 うん、大丈夫、もう辞めたから。
 おもくそバッサリいっちゃってー


 [「それなら……」友人は眉毛を下げた割に遠慮なくハサミを入れていく。髪の毛がバラバラと降ってきて、慌てて目を閉じる。「ねぇ雑! 目! 目に刺さる!」「ハイハイ」ジョキジョキ。細かい髪がマスクの中にまで入り込んで、「待ってめっちゃえげつないヒゲなってる!」「ハイハイ」ザクザク。

 これでいいんだ、と思う。

 だって、どれだけ練習したって、結局イベントは消えちゃうし。
 だったら短い青春は、もっと賢く使いたいじゃない?

 換気の為に開けっ放しの窓から風が吹き込んで、できたての前髪が揺れる。「あ、ごめ」「ねえ待ってなんで謝るの、どうなってんの乙女の命の前髪」「大丈夫だよ今までデコ全開だったんだから」「これからの花のJK生活ズタズタやぞ」「大丈夫だよそれも美味しいから」「……確かに」それに合わせて、校舎の横断幕もはためいている。]
(22) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 6:57:53

【人】 二年生 早乙女 菜月

[こちらは教室の中だから裏面だけど、表の文字は知っている。

 チアリーディング部 2019年度全国大会 銅賞』


 私立桐皇学院高等学校チアリーディング部、「SEA OTTERS」はチア界の強豪だ。
 横断幕が少し小さいのは、銅賞が恥だから。金賞を取って当たり前、なのだ。
 それだけ本格的な部活だから、入部すれば青春は全てチアに捧げる。練習は週七、日の出とともに筋トレし、昼休みはミーティング、暇さえあれば倒立の練習、柔軟と共に眠りにつく。
 今だって、グラウンドの方から練習の声が聞こえてくる。「せーの、」『あ、い、う、え、お!』「せーの、」『か、き、く、け、こ!』と、はたからは遊びか怪しげな宗教にしか聞こえないが、いたって真面目な練習メニューの一つ。全力で目玉をむき出し大口を開けて表情筋をグリグリ動かすことで、チアに欠かせない笑顔を身に着ける。
 やっぱり怪しげな宗教かもしれない。
 そしてお年頃だろうが何だろうが、容赦なくデコ全開です。チアは表現力が大事なの、デコも出せずに己出せるか。

 まあ、もう辞めちゃったから、作るけど。]
(23) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 6:59:39

【人】 二年生 早乙女 菜月

[断髪式を終えると、「あれ」と友人が声を上げた。視線の先には、私の鞄が横倒しになっていて、一冊の本がはみ出ている。「童話集? ナツキが本なんて珍し。そういうの好きだったっけ?」


 うん、


[さりげなくしまい込みながら、言葉短に答えた。]
(24) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 7:00:36

【秘】 二年生 早乙女 菜月 → 二年生 小林 友



これから、好きになるの。

 
(-5) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 7:01:33

【人】 二年生 早乙女 菜月

[例えば、劇場に潜む怪人とか。
 空に浮かぶ宝島とか。
 雲を泳ぐラッコとか。
 そういった空想話とは無縁な人生を送ってきた。
 カサカサな紙をパラパラするより、
 自分の体を使って、生の声で話す方がよっぽど楽しい。
 あの時までは、そう思っていたんだ。]*
(25) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 7:02:51

【独】 二年生 小林 友

/*
いきなり秘話来た!!!
なんだよぅ、陰の者ころころしたら泣いてゃう
(-6) シュレッダー 2020/09/27(Sun) 7:06:52
元チアリーダー 早乙女 菜月は、メモを貼った。
(a3) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 7:08:41

【独】 元チアリーダー 早乙女 菜月

/*
わーいやっと!!!!やっと始まったぞ!!!!楽しみにしていました、よろしくお願いします!!!!!
突然の秘話がやりたいがために朝五時に相方にメッセージ送り付けるという暴挙
ともくんよろしくお願いします!!!!
さてこれから好きになるために小川未明読むぞ☺
菜月と同じ気持ちになるため読むの我慢してた☺
(-7) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 7:13:27
到着: アクスル

【人】 アクスル

 
[新たな価値を、生命を、
 誰かが与えてくれると思っていなかった。
 それは僕にとって夢のような出来事。*]
 
(26) nagaren 2020/09/27(Sun) 9:28:55
到着: 在原 治人

在原 治人は、メモを貼った。
(a4) YA'ABURNEE 2020/09/27(Sun) 9:53:55

【独】 元チアリーダー 早乙女 菜月

/*
イメージソング「カルデネ」でいきます

知らないことを隠したい、のは
あなたと、話したい、から、

とか

あなたの腕にすがりたいのは
ミルクを、注ぐのと、似ている

とか、歌詞が美しくて好き
淡いふわっとした好意を寄せていく感じが
あまじゅっぺぇぇぇぇぇええええしゅきいいいいいい
(-8) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 10:48:07

【独】 アクスル

/*
27日、にき七の日おめでとうございます!
(-9) nagaren 2020/09/27(Sun) 11:09:49

【人】 元チアリーダー 早乙女 菜月


 鞄の中にしまい込んだ文庫本。
 古い童話の短編集は、
 挟み込んだ紙一枚分だけ、本来より重い。

 
(27) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 11:56:49

【人】 元チアリーダー 早乙女 菜月

[図書室はちょっと苦手だ。みんな息をひそめていて、なんとなく苦しい。友達と宿題を広げながら、やっぱり教室の方が良かったなって、ちょっと後悔してた。斜め向かいの友達が、なんだか遠く、希薄に感じる。
 パラパラと紙をめくる音、シャーペンのこすれる音、カーテンのはためく音、放課後の部活の掛け声、咳払い。図書室は、無音のようで色んな音がある。まっさらなシャツに落ちた一滴のカレーみたいに、静かな場所だからこそちょっとした音が目立つのかもしれない。ここを使う人たちはみんな、本か床か窓の外を見ていて、誰も人を見ない。それなのに、音だけ大きく切り出されてしまって、耳をそばだてられているみたいで、やっぱり嫌いだ。
 図書室にいると、自分がほどけていく。薄く黒くなって、ペラペラの紙に焼き付けられていく気がする。]


 ……あれ?


[沈黙に耐えかねて、質問にかこつけて話しかけようとして、初めて向かいに座る友人が消えていることに気づいた。
 友人だけじゃない。その他の利用者も、友達が広げていた宿題も消えている。開け放した窓から夕方の風が侵入して、クリーム色のカーテンがシフォンスカートのように膨れていた。]
(28) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 12:00:22

【人】 元チアリーダー 早乙女 菜月

[オレンジ色に染まった空間で、一人困惑して視線を落とす。私の宿題も、無い。]


ここ……どこ?


[いや学校の図書室なんだけども。
 気が付けば、窓から入ってくるのも無言の風で、カリカリとノートを引っ掻く音も消えていて、人の気配は完全に消えている。世界から私だけが切り出されてしまったみたいだ。
 誰もいないっていうだけで、知らない場所に迷い込んでしまったみたいで、急に不安になる。
 夢じゃない、と思う。こんなに心臓がドキドキしてるんだし。]


 ねえ! からかわないでよ!


[声は空しく広がって、だれにも拾われずに消えた。
 しんとした空間の中で、自分の息遣いがやけに大きい。視界の中で動いているのは、私と、揺れるカーテンだけ。]
(29) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 12:01:12

【人】 元チアリーダー  早乙女 菜月

[いや。
 ひとつだけ、人影が目の前を横切った。]


 ……え?


[私の声に気づくそぶりもなく、その人は本棚に影を映しながら歩き去る。
 男子だと思う。スカートを履いていないから。

 確信できないのは、人影『だけ』だったから。
 何もない空間から、するすると黒い影が伸びて、本棚に映っている。そうすると、次は窓からピーターパンでも飛び込んでくるのかな。子供のころ見たアニメを思い出したけど、窓からは誰も入ってこない。身動きもできずに見つめていると、実体を持たないその人は、足音も忘れて、図書室の奥へと歩いていく。]


 あ……ねぇ、待って!


[だけど、影は振り返らない。というより、私の声が聞こえてないのかもしれない。歩く速度は全く変わらず、本棚の向こうに消えた。
 思いっきり話しかけたくせに、少し怖くなった。関わらないほうが良いのかもしれない。異世界? ぽい場所で影についていくのって、なんか碌な目に合わない気がする。けど、このままだと確実に見失う。
 ちょっと迷った末に、結局その影を追いかけた。]*
(30) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 12:03:17

【人】 元チアリーダー  早乙女 菜月

[その影からは、私はどういう風に見えていたんだろう。
 普通に見えていたのか、全く見えていないのか、それとも同じように影だけが見えていたのか。

 私も影だけじゃないかねって予想して、私は本棚から伸びる四角い影に隠れながら、忍者みたいにこそこそ『彼』を追いかける。
 実体が見えてたら、まぬけなぐらい丸見えだけど。

 彼は一番奥、壁際をびっちり埋める本棚の前で考え込んでいるみたいだった。
 だけど私が本棚の影に隠れたままじゃ、何の本を見ているのか分からない。

 彼の視界に私の影が入らないように気を付けながら、こそこそと背後から近づく。
 私は背が高いから、どうしたって壁際の本棚に影が映りこみそうになる。彼にばれないようにと思うと、自然と這いつくばる形になる。
 それぐらいなら羞恥心とかないです余裕。下にハーパン履いてるし。]
(31) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 12:08:37

【人】 元チアリーダー  早乙女 菜月

[猫みたいな四つん這いで、風下ならぬ光下から近づく。斜め下からその影を見上げていると、彼はすっと手を伸ばして、一冊の本の背表紙に手をかけた。
 たしかに一冊の本に手をかけていたけれど、抜き取ったのも影だけだった。透明な本が光をさえぎって、まぶしくてしかめていた私の顔に、影を落とす。]


 あ……あの!


[チアで鍛えた脚力を存分に発揮して、一気に伸びあがった。高い背よりもさらに長く私の影が本棚に伸びる。彼にもしも私の影が見えていたなら、いきなり現れたように感じただろう。
 彼が抜き取った本は、そのまま本棚の中に納まっていた。私が背表紙に指をかけると、影と一緒に実体もついてくる。軽くて、セピア色に変色した本を彼に見せながら、]


 私も! これ、借りてもいいですか!


[コミュニケーションを試みた。
 これで何事も無かったように本を変えられたら爆笑だなって思いながら。]**
(32) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 12:09:31
到着: 志隈

【独】 元チアリーダー  早乙女 菜月

/*
一人称一年ぶりだけど、こんな書きやすかったっけ。めっちゃ楽しいな!
(-10) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 12:12:00
志隈は、メモを貼った。
(a5) louz 2020/09/27(Sun) 12:14:54

【独】 サティ家次期当主 シャーリエ

/*
N しっているか 
ラッコの秘話宛先チップはルトリス

早乙女ちゃんじじさんぽい文体だけど量が多いな?
すごいふしぎ世界だ、設定生かしてくれてて拝む
(-11) 七雲 2020/09/27(Sun) 12:21:31

【独】 元チアリーダー  早乙女 菜月

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…………(小川未明勿体なくて読めないの巻
(-12) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 12:30:46

【独】 元チアリーダー  早乙女 菜月

/*
月夜と眼鏡 読むかー
(-13) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 12:31:41

【独】 元チアリーダー  早乙女 菜月

/*
べっこうぶちのめがね……
(-14) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 12:33:15

【独】 元チアリーダー  早乙女 菜月

/*
こちょうってなに?っておもって調べた
(-15) kumiwacake 2020/09/27(Sun) 12:35:23