ヒナは、メモを貼った。 (a2) ナムル 2020/09/15(Tue) 15:08:24 |
【人】 マリィ[けどホテルに着いて、締め切った部屋に 二人っきりになると、普段のお喋りはどこへやら。 綺麗な内装にも、念願の温泉にも 何にもコメントも思いつかなくて。 恐る恐る、「話」について切り出したら 由人はすんなり応じてくれて アタシも対に向かい合ったソファへと そっと腰を下ろすでしょう。] …………。 [「お茶、要るわよね」って逃げ出したかった。 神様の前にいたときは由人が隣にいたけれど 今は、由人がアタシの正面。 開いた唇を、またすぐ噛み締めて。 じんわり滲んだ脂汗が、血の気の失せた頬を伝う。 何か言わなきゃ、って必死に考えるんだけど、 何から喋っていいか、全然分かんなくて。 結局、先に口を開いたのは 由人の方だったでしょう。]* (13) シュレッダー 2020/09/15(Tue) 17:17:28 |
【赤】 マリィ[開口一番切り出された話題に アタシは目を見開いて、微かに呻きを漏らした。 なのに、アタシが一番謝んなきゃいけない話を 何故だか由人の方が頭を下げていて アタシは何も言えずに由人の耳の裏の辺りに じっと視線を落としている。 なんでよ。 なんであんたが先に謝っちゃうのよ。 家主に嘘をついたのはアタシで、 プライバシー侵害だとか言える立場じゃないもの。 話の先が見えなくて、 でも、遮ったら、由人が何を考えてるか 知る機会がダメになる気がして。] (*6) シュレッダー 2020/09/15(Tue) 17:38:59 |
【赤】 マリィ[だから、黙って聞くことにしたの。 「いつ出ていくのかって思ってた」って 言われた時には流石に、ちょっと堪えたけど。 でも、ちゃんと続く真意を確かめなきゃ、 何も言えやしないもの。 自分で決めた期限を超えて 一緒に暮らしたいって気持ちのことを あんたは何度も「わがまま」だって自分で言った。 それを言うことで、アタシが困るって。 そんなことない、とか バカじゃない?とか。 色んな気持ちが、アタシの喉元を渦巻いて 何度も、息を詰まらせた。] (*7) シュレッダー 2020/09/15(Tue) 17:39:22 |
【赤】 マリィ[話の結びに、由人が泣きそうな顔して 微笑んだ時――――アタシは多分、おんなじくらい 泣きそうな顔しているんだわ。 アタシは、何から打ち明けるべきか テーブルの木目に視線を落としながら 何度も唇を湿した後、ゆっくり話し出すでしょう。] (*8) シュレッダー 2020/09/15(Tue) 17:39:51 |
【赤】 橋本 雅治……アタシ……、俺、さ。 漠然と「女の子を好きになんなきゃいけない」のが なんか違うって思って…… そのまま中学の時に、 掲示板で掴まえたおっさん相手に 体売って、小遣い稼いで……そんで、 それ、母親にばれて、家追い出されてさ。 「気持ち悪い」って。 そんでおばあちゃんちに引き取られたけど 居心地悪いのに変わりなくって、 中学出てすぐこの業界入って…… それからずっと「マリィ」として生きてんの。 (*9) シュレッダー 2020/09/15(Tue) 17:41:12 |
【赤】 橋本 雅治でも、ゲイ隠して生きる以上に 水商売の「マリィ」でいるの、辛くなり始めて…… だって、部屋も借りらんないの。 金があっても、出来るだけ音も立てないように 息を殺して生きても……でも、ダメだって。 それだけじゃなくて、なんも考えてないフリして 傷付いてない顔して生きるのも、嫌で。 だから、公園で由人に会ったあの夜ね…… ホントは俺、死のうと思ってた。 (*10) シュレッダー 2020/09/15(Tue) 17:41:47 |
【赤】 橋本 雅治だけど、あの日、由人の話聞いて、 「俺と同じ匂い」って思った。 「普通」の輪の外で、寂しい気持ちを持ってるけど それを誰にも吐き出せないまま 生きてる人かも、って。 一緒にご飯食べて、夜一緒に寝るだけの よくわかんない関係だったかもしれないけど、 自分を受け入れてくれる場所があるのって こんなに安心するんだって…… だから、シェアハウスの話、持ってこられても 全然、由人のところよりいいって思えなくって。 ……だから、由人との約束を破ってでも ずっと一緒にいたい、って思ったんだ。 (*11) シュレッダー 2020/09/15(Tue) 17:43:55 |
【秘】 橋本 雅治 → 環 由人[言いたいことが、まるで両手で掬った砂みたいに 頭の端からぽろぽろ零れて、うまく形にならない。 泣いていい立場じゃないのに、 目頭から鼻にかけてが、じんと熱くなって 搾りだした声は、みっともなく濡れていて。] 由人が、一緒にいたいって、言ってくれるの 俺、ホントにうれしい、はずなのに…… 俺のこと大嫌いな俺が、心の中で 「お前じゃだめだ」ってずっと言ってる。 迷惑なんかじゃない。 ずっとこの先も一緒なら、ホントに、 これ以上無いってくらい、嬉しい。 ─────どうしよ、俺、自分で 何言ってるか分からなくなってきた…… (-11) シュレッダー 2020/09/15(Tue) 17:53:26 |
【秘】 橋本 雅治 → 環 由人……………… …………………… [息が落ち着くまで、じっと。 木目を睨んで洟を啜っていたが、 たっぷり挟んだ沈黙の後、 俺はぽつりと絞り出すだろう。] 俺がハッピーエンドを迎えるのを、 俺がいちばん許してない、んだと思う。 ……そのくせ、由人から離れて 生きてける気も、しない。 [どうしていいか、分からないんだ、って。 心の一番柔らかい部分を晒しながら 俺はまた貝みたいに押し黙る。 「うわ、超重い」……って 頭の片隅で「マリィ」が笑っていた。]* (-12) シュレッダー 2020/09/15(Tue) 18:10:52 |
空腹な迷い人 レックスは、メモを貼った。 (a3) kasuga_2jp 2020/09/15(Tue) 18:13:18 |
【独】 環 由人/* 雅治くんの気持ちが死ぬほどわかるんだよな 環がどうのこうのじゃなくて 人間として、その気持ちが死ぬほどわかる わたしもよくそうおもうから (-13) ななと 2020/09/15(Tue) 19:17:35 |
【人】 環 由人[ たぶん、彼から切り出したなら、 己は一度遮って、先に話させてほしいと 頼んだだろう。 だって、彼のW話Wはきっと、 「家が見つかった」って始まると 思っていたから。 その報告よりも早く、 もうすでに決めてしまっていることで ゆるがないことだとしても、 己の気持ちを伝えておきたかった。 そんな、わがままだった。]* (14) ななと 2020/09/15(Tue) 19:53:53 |
【赤】 環 由人[ 拙く、たどたどしく、 うまく言葉にできない思いを 訥々と、どうか届いてほしいと、 そう願いながら落とした。 いつのまにか下がっていた視線を ゆっくり上げて、泣きそうに笑ったら、 鏡みたいにおんなじ顔した彼がいて、 なんでそんな顔すんのって。 その潤みの理由はなんなのって。 聞きたかったけど、喉が詰まって、 言葉にならなかった。 彼の視線が下がっていく。] (*12) ななと 2020/09/15(Tue) 19:54:11 |
【赤】 環 由人[ いっそ、らしくなくとも明るい声の一つでも 出してしまった方がマシではないかと 思うほど、重くなってしまった空気。 ああ、困らせてるんだなって。 そんな気、なかったんだろうなって。 いつかの記憶が蘇って、苦くて。 だけどあのときと違って今度は、 ちゃんと自分の気持ちを伝えたから。 だからきっと、これから先も、 大丈夫だろうって思って、唇を結んだ。 それからまたすこしして。 ゆっくりと開かれた口に、そちらを見る。 視線があわなくても、じっと、 その睫毛の先を見つめて。 だまって、語られる言葉を一つたりとも 取りこぼさないよう、聞いた。 予想していた話とは違っていて、 すこしばかり面食らうけれど、 それを表情に出すことはしない。] (*13) ななと 2020/09/15(Tue) 19:54:33 |
【赤】 環 由人[ だんだん濡れて、かすれる声に、 己の喉奥も震えるのがわかる。 すん、と鼻から息を吸って、吐いた。 ああ、どうしてこんなに─── 難しいんだろう。 きっと同じ気持ちなのに。 もっと単純に考えてしまえば、 楽になれる気がするのに。 ───ただ、彼の気持ちもわかる気がして、 うまく言葉にできなくて。 その恐さとか、いろんな感情全部 ひっくるめて、───そうだな。 ぐちゃぐちゃで、まとまらない心を すべて曝け出してくれた目の前の人に、 いつもの明るくて面白い、 WみんなのママWの面影はなくて。] (*14) ななと 2020/09/15(Tue) 19:55:06 |
【赤】 環 由人[ また押し黙った彼の睫毛の先を見つめて。 結びすぎてくっついた、乾いた唇を ゆっくり離して、すう、と息を吸う。] ───そっち、行ってい? [ 返事があってもなくても、 腰を上げて、正面にいた彼の足元に 膝を立てて座れば、そのままそっと、 その肩口に手を伸ばして、 表情は見られたくないかもしれないから、 覗き込むことはせずに、抱き寄せる。 後頭部に差し入れた手で、 柔らかな髪をくしゃ、と握った。] (*15) ななと 2020/09/15(Tue) 19:56:33 |