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人狼物語 三日月国


188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】

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【人】 [『 力 』 フォルス

 
 
  
―――回想:ある日 街の中 悪魔さんと 出会った !



[ 己も街に出る類ではあるが
 " 彼 "は己よりもその頻度が高いように思う

 職員がぴりついている時は
 大抵" 彼 "が洋館に居ない時が多く
 その日、声をかけたジャスミンがぴりついていれば
 街で見かける可能性は決してゼロではない
 くらいには思っていた。


 悪魔が店に入っていけば
 程なく後を追って店に入る事にした ]
 
 
(574) snow_rabbit 2022/12/13(Tue) 17:39:41

【人】 [『 力 』 フォルス

 
[ "そういう事"ばかりをする訳じゃないだろう
 けれど予感めいたものもあった

 それが元商人志望のカンか
 失礼千万のカン違いかは
 ――悪魔のみぞ知る所だが

 動きかけた男の手を掴んで
 いつものようにへらりと笑った ]
 
(575) snow_rabbit 2022/12/13(Tue) 17:41:40

【人】 [『 力 』 フォルス

 
 
  ハローあっくん♡

  こんなトコで会うなんて奇遇だねえ
  もしかして彼女へのプレゼント探してた?

  それならさっき向こうの店でイイのがあったよ!
  絶対気に入ると思うから〜
  行こ行こ♡


[ 手は振り払われたか、どうだったか
 "外"に出る時は常に白い手袋を嵌めている事もある
 振り払おうと思えば容易だったろう ]
 
(576) snow_rabbit 2022/12/13(Tue) 17:42:53

【人】 [『 力 』 フォルス

 
[ 往来を颯爽と進む好青年二人

 手を引いてか肩に腕を回してかは
 まあ、大した差では無かったか

 文句を言われた所で「まーまーすぐそこだから」
 とかなんとか言ってすいすい連れてって
 なし崩し的に射的に付き合わせた記憶はある ]
 
(577) snow_rabbit 2022/12/13(Tue) 17:43:36

【人】 [『 力 』 フォルス

 
[ 悪魔の一流の外面職人の見せ所の一幕(確定)


  「 ホラ、アレ
    クリスタベル好きそうじゃない? 」

  「 その下のはシャルが好きそーだよね
    どう思う? 」

  「 次来た時に渡せるかなー 」

  「 お兄さーん、
    俺とあっくんの分一回ずつよろしく〜♡ 」

  「 もしかして自信ない? 」


[ 受け取るのを渋りたい年頃なら
 ほいほいその手に持たせるので問題ない。

 ちなみにシャルへの贈り物
 白いうさぎのキーホルダーは五発中発目で成功した ] 
 
(578) snow_rabbit 2022/12/13(Tue) 17:45:03

【人】 [『 力 』 フォルス

 
[ そんなこんなで俺はその日
 なんと街で悪魔君とデートをした。

 あのインクまた仕入れるからさあ
 一杯付き合って♡ って好青年らしくねだって
 射的の後ももう少し続いたデート(確定)


「 楽しい? 」
 主語の無い悪魔への問い

 彼への初めての質問らしい質問は
 その日のどこでのものだったか ] *
 
(579) snow_rabbit 2022/12/13(Tue) 17:47:04

【人】 [『 力 』 フォルス

 
  
――回想:売店の上客


[ 性質上赤字以外あり得ない売店は
 実はそこまで赤字でも無い。

 バニッシュ・インクとラーン・インクは
 店において利益の出る数少ない商品であり
 定期的に売れる事で赤字をそれなり補っている ]


  ハロー悪魔いらっしゃい!
  好きなだけ見て行って♡


[ ここは誰であろうと拒む事は無い
 俺を厭う人間であっても、同様に>>512 ]
 
(580) snow_rabbit 2022/12/13(Tue) 17:55:42

【人】 [『 力 』 フォルス

 
[ 彼はよくインクを買って行く ]


    ―――楽しい?


[ 何度目のリピートの事だったか
 いつかの日と同じように尋ねた事がある。

 答えがどうであれ、返らずとも
 「 まいどどーも♡ 」って

 商品を渡して上客を見送った ]
 
(581) snow_rabbit 2022/12/13(Tue) 17:56:08

【人】 [『 力 』 フォルス

 
[ 花達を撫でて行く気持ちの良い風
 近付いてくる足音に目を開けた ]


  ?
  んー まいどどーも


[ ひらり手を振って
 背を見送ればまた目を瞑った

 薄ら香る花に 風の音に揺蕩いながら
 律儀な奴ってくすり、笑いがこぼれた ] *
 
(582) snow_rabbit 2022/12/13(Tue) 17:57:09
]X『悪魔』 ゼロは、メモを貼った。
(a85) udon 2022/12/13(Tue) 18:00:21

[『 力 』 フォルスは、メモを貼った。
(a86) snow_rabbit 2022/12/13(Tue) 18:05:57

III『女帝』 シャルレーヌは、メモを貼った。
(a87) utatane 2022/12/13(Tue) 18:06:33

【独】 III『女帝』 シャルレーヌ

/*
>>578
嬉しいなぁ、ありがとう!

ってのほほんとしていたら、自分のうっかりに
気が付きましたね!
書きたいことが多すぎて…つい…

フォルとのお出かけなんて嬉しいに決まってるじゃないですか!ああぁ
(-131) utatane 2022/12/13(Tue) 18:13:15

【独】 III『女帝』 シャルレーヌ

/*
やっぱり事前にもっと質問とばしたかったなぁ。
フォルにもエトにも。
リアル余裕なくてできなかったんだけど。

フォルにはさりげなく伝えたい言葉があるけど、
言うタイミングができるかな?

あとこっそり描写したいこともあるけど略
(-132) utatane 2022/12/13(Tue) 18:19:16

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ アリアちゃんに連れられて洋館へと向かう道中
 わたしはずっと、肩を丸めてきょろきょろしていた。
 目に映り耳にするほとんどすべてのものが、
 わたしにとっては初めて経験するものだった。
 
 山を下った先にも、
 ずっとどこまでも道は続いていて
 故郷の村の家々と似た作りの家も
 まったく違う作りの家も並んでいた。
 故郷が遠ざかれば遠ざかるほどに道は整い幅は広がって、
 立ち並ぶ家々の数も、すれ違う人の数も増えていく。
 
 軒先ではしゃぐ子どもたちの笑い声。
 庭に干された、知らない色の洗濯物。
 長い椅子に座って外で食事を楽しむ人たち、
 記憶にある小川とは比べ物にならないほど大きな川。
 空の色も、村のものとは心なしか違う。
 
 これまで自分の生きてきた世界が、いかに小さかったか
 カーテンの向こうに広がる世界が、いかに大きかったか

 そう長くはなかったはずの旅路の間に
 こんなにも未知の世界が広がっているなら、
 もっと北や東の彼方には一体何があるんだろう ]
 
(583) rinto 2022/12/13(Tue) 18:38:32

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ 初めて口にした我儘を叶えてくれた彼女に
 わたしは、できるだけ迷惑を掛けまいと思っていた。
 けれどいざ洋館に辿り着いてみれば
 どう過ごして良いのか、それすらもわからなかった。

 結果、無意識のうちに、あるいは意識的に
 気付けばいつもアリアちゃんの後を追っていた。
 このひとの傍に居れば何も怖いものはない、
 このひとの傍から離れてはいけない、って
 魂が訴えかけているみたいだった。

 洋館で暮らし始めた最初の頃は、特に
 完全にひっつき虫状態だった。
 アリアちゃんの隣で過ごせる時間が
 一番、ほっとしていられた。 ]


  できなくても、いい……


[ メイドさんにお世話になってしまう度
 先住のみんなに世話を焼かせてしまう度に
 心の底から感謝しながらも
 申し訳なさでいっぱいになってしまうわたしに、

 自分の無力さを思い知って泣いていたわたしに
 アリアちゃんは、そう言ってくれて>>261 ]
 
(584) rinto 2022/12/13(Tue) 18:39:53

【人】 XIV『節制』 シトラ



  失敗しても、いいの…… ?


[ 仕損じれば間違いなく誰かを
 困らせたり怒らせたりしてしまうから、と
 何かをする前から立ち竦んでしまうわたしの、
 背中をそっと押そうとしてくれて ]


  わたしが、やってみたい、ことを
  するのが、一番…………


[ そんなこと、
 そんな風に言ってくれるひとは
 今まで、身近には誰もいなかったよ。

 与えられる惜しみない優しさに返せるものを、
 わたしは何も持ってはいないのに。

 それどころか、
 わたしは、あなたを置いて死へ逃げたのに。
]
 
(585) rinto 2022/12/13(Tue) 18:40:07

【人】 XIV『節制』 シトラ



 [ あなたが、そう言ってくれるなら── ]

 
(586) rinto 2022/12/13(Tue) 18:41:03

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ それから一歩ずつ、毎日すこしずつ
 わたしはわたしの心に耳を傾けて
 やってみたいことをしてみるようになった。

 文字をきちんと学んで、書けるようになりたい。
 お菓子を作れるようになって、お礼に渡したい。
 お金の使い方が、わかるようになりたい。
 洋館に書庫があるなら、本を読んでみたい。

 アリアちゃんにばかり頼るのは申し訳なくて
 教えてくれそうなひとを見つければ>>36
 希望が叶うか否かは別として
 すれ違うたびにじっと見つめてしまったり

 故郷の近いらしいシャルレーヌさんには
 どこか懐かしい空気と親近感を勝手に覚えて、
 実際に会話が成り立つかどうかは別として
 お話してみたい、と思うようになるのも早かった。

 植物の知識は、アリアちゃんから教わろうとした。
 お薬の調合はさすがにできなくても
 素材集めならもしかしたらわたしにも
 役立てるんじゃないかって、そう思ったから。]
 
(587) rinto 2022/12/13(Tue) 18:41:19

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ そうした小さな挑戦と失敗、
 失敗を重ねた先の成功が積み重なって
 ほんの少し自信が持てた今があるからこそ
 「歌ってみたい」なんて言い出せたのだ。

 かつてのわたしなら、とてもじゃないけれど
 そんな大それたことは言えなかったと思う ]


  ひぇ……っ
  そ、そう……です、けど

  ま、まだ、ぜんぜん 練習中……で
  でもあの、が……
がんばる、ので…………

  

[ 心底驚いた様子なヒナギクさんの声に>>375
 反射的に身体がびくりと強張った。
 こちらを二度見する視線から逃げるように
 アリアちゃんの方へと一歩、後退る。

 そ、そんなに……意外だった? 二度見するほど??
 
 とはいえ改めて日頃の己を振り返れば
 当然ではある。何せ、
 表舞台と称されそうな場には
 とことん出たがらない自覚は一応あるもので ]
 
(588) rinto 2022/12/13(Tue) 18:42:19

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ けれど何やら感慨深そうな様子の彼女は>>377
 わたしが参加しようとしているのを
 喜ばしく感じてくれているよう、で。 ]


  あの、えっと、えと……


[ エーリクさんやプロセラさんや
 ユグさんやゼロさんが歌ってくれる姿を
 一瞬思い浮かべてみてからはっと我に返った。

 勝手に想像しちゃうなんて、申し訳ない。
 おねがいしたら歌ってくれないかな
 なんて思うのは、心の内だけに留めて ]
 
(589) rinto 2022/12/13(Tue) 18:42:59

【人】 XIV『節制』 シトラ



  ……そ、です ね
  歌えるなら、全員で……歌えたら

  ──素敵、です


[ ほんとうに素敵だと思った。案そのものも、
 そういう発想が自然と生まれて
 それを実際に言葉として発することのできる彼女も。

 わたしが出逢う前 彼女にも
 笑わなかった時期があったなんて
 目に見えるものしか視えないわたしは、想像もしない
]
 
(590) rinto 2022/12/13(Tue) 18:43:46

【人】 XIV『節制』 シトラ


[ チェレスタさんが荷物持ちの申し出をやんわり断って
 代わりにお茶の準備を頼んでくれたのが>>216
 彼女の思慮深さゆえだったとも、気付けない。
 わたしより早くすらすらと必要事項を
 全部言ってくれるアリアちゃんの言葉に>>427
 隣でこくこく頷くのが精一杯だ。

 『一緒に歌も見てもらえると心強い』の一言には
 特に大きく首を縦に振ってみせた ]


  まっ、また、あとで……っ


[ チェレスタさんにぺこりとお辞儀をして
 食堂か売店か、
 何処かへと向かうアリアちゃんの後を追う。>>428
 
 振り向きざま、
 既に荷物を奪わんとしているヒナギクさんの姿が>>379
 ちらりと視界の端に映り込んだ。

 ……まったく大丈夫ではなかったのに
 『大丈夫』が口癖になっていた母さんの声を、
 不意に思い出したのは
 チェレスタさんたちからすっかり離れてからだった。]*
 
(591) rinto 2022/12/13(Tue) 18:45:29
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。
(a88) rinto 2022/12/13(Tue) 19:10:03

【人】 XI『正義』 マドカ

── 僕の知らない彼らについて ──

[『正義』と『力』は
 殺し合いの末、相討ちとなった。

 『正義』にとって『力』とは、
 尊敬に値する人物であり、
 同時に最高の好敵手
ライバル
だった。

 間違っても、敵ではなかった。

 交わす刃が互いを切り裂き、
 振り切った刃の先から鮮血が散る、
 それまで何度も交わしてきた、
 刃のない刀の記憶が、
 互いに太刀筋を覚えさせた。
 けれど刃の狭間に見えるのは……
 
 覚えのない、殺意。]
(592) だいち 2022/12/13(Tue) 20:08:26

【人】 XI『正義』 マドカ

[彼らが最期、何を想ったのか。
 それは経典のどこにも明言されていない。

 それはそうだ、語る口は既に閉ざされていた。

 綴られる言葉があったとして、
 それら総ては赤の他人の憶測に過ぎぬ。


 彼らの想いは、彼らの胸の内にのみあって、
 彼らと共に終えたもの。

 誰にだって、分かるはずが、ないのだ。


         
────勿論、僕にだって。
(593) だいち 2022/12/13(Tue) 20:08:44

【人】 XI『正義』 マドカ

── 7年前『力』 ──

[売店がある、と僕に教えたのは、
 多分『世界』だった。
 もしかしたら違うかも。
 そうだとしても、誰かから聞いた。

 その頃僕はまだ、洋館に招かれたばかりだった。

 例えば、僕が故郷を失う前だったなら、 
 例えば、もう少し時間が経っていたなら。

 僕はあの時、
 もう少し違う反応ができたのだろうか。

 魂が覚えている感情というものを知っていたなら、
 もう少し……もう少し。

 自らの手で何かを買う、と言う発想が、
 元々あまりない僕だったけれど、
 教えられたからには一眼見ておこうと。

 思ってしまったのが、
 そもそもの間違いだったかもしれない。]
(594) だいち 2022/12/13(Tue) 20:09:28

【人】 XI『正義』 マドカ

[えずきながら廊下にうずくまった僕の頭に、
 氷よりも冷たい二音が突き刺さる。

 心臓を、
 鋭い刃が貫いたような痛みが走り抜けた。
 
何故だかその痛みに、安堵する。



     
か……は、



[息が止まりそうな錯覚を覚えて、
 喉奥に溜まりかけた、
 苦味を帯びた酸味を吐き出す。

 頭がクラクラする。

 通り過ぎて行く気配に身を強張らせ、
 けれど何も言われないのに、ほっとして
寂しさを覚えて


 なのに彼は、その青年は、
 何を思ったか、
 踵を返して隣にしゃがみ込むものだから。]
(595) だいち 2022/12/13(Tue) 20:09:54

【人】 XI『正義』 マドカ

 

     ぁ……ぅ、


[ありがとうとか、なんとか言えんのかと。
 自分で自分を殴りたい気分だ。

 それでも僕の口からは、
 ありがとう、も、
ごめん、も

 こぼれ落ちることなく。

 
言いたかった、伝えたかった。
 なのにどうしても、言葉が喉から出てこない。
 汚物は垂れ流すくせして、
 本当に必要な言葉ひとつ、生み出せない。


 僕は結局何も言わず、
 ただ、示された扉を見やり、
 ふらりと立ち上がった。]
(596) だいち 2022/12/13(Tue) 20:10:23

【人】 XI『正義』 マドカ

[ちらりと振り返った先、
 彼は僕の吐き出した汚物を片付けているようで、


 初対面の相手に
また
、後始末をさせることを、


 ひどく申し訳なく思ったものだった。*]
(597) だいち 2022/12/13(Tue) 20:10:39

【人】 XI『正義』 マドカ

── 面白くもない過去の話 ──

[今世の僕は、大陸よりも東の海の上、
 浮かぶ島の一つに生まれ落ちた。

 幸か不幸か、会場に並ぶ島々の中でも
 さらに小さな島に生まれたものだから、
 『証』を持って生まれた僕に対しても、
 普通の『人間』の子供のように、
 両親はもちろん、島民も接した。

 そもそも、大陸で信じられている件の『宗教』
 そのものに興味があまりなかったのかもしれない。

 僕は、『証』を持っていたくせに、
 『証』がない者のように扱われた。

 それが非常に稀有なことであったと、
 幼い頃僕は知らずに呑気に笑っていたのだ。]
(598) だいち 2022/12/13(Tue) 20:10:53

【人】 XI『正義』 マドカ

[僕が平和な日常を過ごしていた時、

 『証』を持つ誰かはその存在を否定され、
 あるいは石を投げられて、
 親にすらその生を否定され、
 けれど殺すこともできない、
 ……と腫物のように扱われ、
 もしかしたら厄介払いされ。

 書物でそのことを知った、8つの頃、
 僕は両親に尋ねたことがある。

 僕は、ここにいて良いの?と。

 両親は驚き、それから悲しみ、僕を叱った。
 
 たった一つの痣があったからと言って、
 そんなものは、何の理由にもならない。
 持って生まれた痣でなくとも、
 生涯消えることのない印など、いくらでもあるのだと。

 僕はその時…………

             妙な心持がした。]
(599) だいち 2022/12/13(Tue) 20:11:09

【人】 XI『正義』 マドカ

[両親の言葉は、世の中一般の親としてみれば、
 どこまでも善良で、親として正しい反応だ。

 けれど、僕の胸の内はざわめいた。

 だってこれは、『平等』じゃない。
 他の『証』を持つ子供たちが苦しんでいる傍らで、
 僕だけが、そうじゃない。

 不安が心を占めるのに、そう時間はかからなかった。

 それでも時間だけは、平穏に過ぎていく。
 僕の生まれた家は、これまた幸運
不幸
なことに、
 はっきり言って裕福な方で、生活上の心配は
 まるで存在しなかった。

 衣食住に困ることはなかったし、
 多分欲しいといえば大概のものは
 手に入っただろう。

 僕が両親に何かを強請ったのは、
 幼い時分だけだったけど。]
(600) だいち 2022/12/13(Tue) 20:11:23

【人】 XI『正義』 マドカ

[15の夜、目が覚めると、
 辺りは紅蓮に包まれていた。

 島ひとつを燃やし尽くした炎は、
 僕以外の全ての命を奪った。

 僕と違ってただの『人間』だった、
 幼い弟の命をも、容赦無く奪い去った。
 僕はきちんと教育を受けていたけれど、
 自身が『人間』より丈夫なことを知らなかったから、
 炎からさえ守れば、
 自身より低い位置に庇った子供は
 助かると思い込んでいた。

 彼は僕より少しの煙を吸い込んで、
 そのまま息を止めた。

 血の繋がりのない子供達も、
 親を含む親戚も、隣人も、
 ずっと僕にもよくしてくれた使用人の彼らも、
 小さな島だ、
 顔を知らぬものなど一人もいなかった。

 皆みんな、死んでしまった。]
(601) だいち 2022/12/13(Tue) 20:11:37