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【赤】 従業員 ルミ[ 噎せたように笑う姿が理解出来なくて、身体を引いた。 どうしてこの状況で今彼は笑えるのか。 なにも覚えていないくせに、 どうして二人のおまじないだけ鮮明に見せてくるのか。 ここで都合よく受け止めて幸せになれるような、 お気楽で軽くいられる性格はしていない。 ] ……なに、お兄さん、意味わかんないよ 今痛いのは、そっちの方でしょ……? 上手く腕も動かせないのに、 [ 自分の頬を殴ってしまっていたのを思い出して 恐る恐る、頬の怪我を確かめようと指を伸ばす。 触れられるのは、彼にとっては怖いことだろうか。 躊躇うように指先が空を彷徨って、 ] (*84) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 0:43:59 |
【赤】 従業員 ルミ[ 迷子のような、悪さをした子どものような。 顔立ちばかりが大人に近付いた女のかんばせは、 どんな言葉も似合わないマーブルカラーだ。 背後から急激に匂い立つ過去に戸惑って、 責め立てるのではない彼の反応に怯えている。 ] ………………せっかく今日の為に お金も貯めて、お兄さんのことたくさん調べて チャンスをモノにしようと思ったのにな。 いいよ。もう。 ────なんにもしないし、抵抗しない。 警察でも何でも、連絡して良いよ。 [ やめてよ。 今更どうしてこっちを見ようとしてるの。 頭のおかしい犯罪者で、ストーカーなんだから、 昔と同じ仕草で、言葉で、やさしくしないで。 ] (*86) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 0:50:40 |
【赤】 従業員 ルミ……わたしの十数年なんか 嘘でも食べちゃだめでしょ、お兄さん 痛くなっちゃうよ……ほんとにさ。 [ 呟き落とすように咎めて、目を伏せる。 相変わらず跨ったままの体勢だと 彼の顔が嫌でも良く見えた。 ] ………… ほっぺた、怪我は? [ 自分が気にしていいことではないかもしれない。 けれど、自分の仕込んだ薬の影響ともなれば 資格がないなんて理由で放置もしたくはなくて。 両腕を下ろしたまま、小さく尋ねる。 敵意がないと示す唯一の手段だった。** ] (*87) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 0:56:57 |
【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ[周囲の人間関係は緩衝材で 楽しい思い出は薬となって苦い思い出を癒す。 そうして少年は大人になった。 それを当たり前として。] (-28) Ellie 2024/05/09(Thu) 20:30:47 |
【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ[緩衝材となる人間関係を築くことが出来ず 楽しい思い出が少年との日々だけの少女には 薬が逆に毒となり身体や心を蝕んだ。 それ以外の世界を知る勇気を得るには 少女の楽しい思い出は足りなかった。] (-29) Ellie 2024/05/09(Thu) 20:31:20 |
【赤】 会社員 雷恩だまし上手なら、だまされるこた、 ねーんじゃね……? [人を騙そうとしたことはあったか。 幼い頃の悪戯でしたことはあったかもしれないが 覚えていない。 思い返せば悪意を持つ経験には乏しい人生だったかもしれない。] うそつきー。 ないてた、だろ。 [見えていた訳ではない。 涙に触れた訳でも。 だが確信を持って断じた。] (*88) Ellie 2024/05/09(Thu) 20:31:45 |
【赤】 会社員 雷恩[手が触れたのは髪の毛ではなく、 頭はやはり撫でさせてはくれないかと思う。 偶然触れた布地の下の皮膚隆起。 痛みはもう生じない場所の「痛かった記憶」を飲み込んで。] (*89) Ellie 2024/05/09(Thu) 20:32:25 |
【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ 俺はいーんだって。 痛かったらうんこすれb…… って、うんこって言っちゃだめなんだっけ。 [小学生男子の下品さをおしゃまな女の子の潔癖さが叱る。 悪びれもせず笑って、 何度も痛みを咀嚼した。 目に見える傷はその後で家の絆創膏を貼ったし 咳をしていたら喉を撫でて (その後風邪がうつって叱られた) しょんぼりしている時には頭や強張った頬に触れた。] (-30) Ellie 2024/05/09(Thu) 20:32:49 |
【秘】 会社員 雷恩 → 従業員 ルミ 飛んでった痛いのがルミに戻んのはヤだし 誰かが痛いのはルミがヤだろ。 俺が痛くなるかもって心配するんだから。 だから俺が全部うn……トイレに流すんだよ! [大きくなったらルミが食べてくれると言っていたっけ。 傷つけとばかり薬を盛って強姦している彼女は それを覚えているだろうか?] (-31) Ellie 2024/05/09(Thu) 20:33:29 |
【赤】 会社員 雷恩……おー、いてー、わ。 でも、いたくしたかったン、だろ? 「ざまぁみろ」じゃ、ねーの? [視界にルミの表情が映る。 弱った自分を見て溜飲が下がったと思っているようには見えない。] な。 たとえば、あのまま俺がルミのナカに出して、 その後は、どうするつもりだったか、教えてよ。 [自暴自棄な言葉には答えず、視線だけルミに合わせて。] (*90) Ellie 2024/05/09(Thu) 20:33:53 |
【赤】 会社員 雷恩けがは、どうだろな。 まだちょっと痺れた感じある、しなぁ……。 俺が痛いの心配する顔、ルミのままじゃん。 全然違うストーカーになったんかと思った。 ……なりたかった? [先程よりは動かせるようになった手で、降ろされた腕を掴む。 大きくなった彼女は自分の痛みに対してどうするのか。 当初の目的は、痛みを与えることだったようだが。 今もそれを望む女なのだろうか。 それとも、彼女がずっと持っていてくれた思い出の通り、 自分の痛みを食べてあげると言った優しい女の子は まだそこにいるのか。*] (*91) Ellie 2024/05/09(Thu) 20:35:31 |
【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩[ 誰から好意を向けられても満たされなかった。 対価を払い続ける愛もあったし、 中には本当に自分に恋をした客もいたと知っている。 愛してくれるなら誰でも良かったわけじゃない。 なのに着飾って、好みの女を演出して、 埋まらない隙間を見ないで済むように 多くの好意を欲しがった。 偽物のひかりが目を焼くたび、思う。 ──愛を得るたびに擦り減っていることを。 ] (-32) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 21:27:59 |
【赤】 従業員 ルミ[ 幼い頃は子供騙しにもならないことばかりだった。 隠れきれず、丸わかりの状態でかくれんぼをしたり お花の指輪は、すぐ編めるくらい簡単だと偽ったり。 傷付けるための嘘には乏しかったはずだ。 ────気付けばすっかり嘘つきに育ってしまったが。 ] だから、……ッ、 [ 泣いてないと否定しようとして、言葉を呑む。 彼の声音に宿った確信を感じ、 言葉の投げ合いをするよりも引くことを選んだのだ。 多く語るほど、過去の傷が痛むから。 ] (*92) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 21:28:04 |
【赤】 従業員 ルミ──────そ、れは [ すぐさま反論を紡げずに、掌を握り締める。 そうだ、自分は彼を傷付けたかった。 夢の中で一方的に会い続けることより 傷の先で思い出して貰うために。 この際、目的が完遂出来ないなら 頬の痛みでもなんでも良いはずではないのか。 ] ……ッは、 忘れてたのに……忘れてるのに わたしのままなんて、よく言えるね、お兄さん [ 視線が交わる。過去と今が交差する。 ] (*93) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 21:28:19 |
【赤】 従業員 ルミ[ ぜえ、と肩で大きく息を吸った。 掴まれた腕を振り解こうと、──振り上げようと 動かしかけて、力を抜いて、また勢いに任せようとして ──繰り返すたびに喉を掻き毟って死にたくなる。 ここで首でも絞めてやれば。 彼には一生忘れられない記憶として残るだろうか。 ここで頬でも殴ってやれたなら。 みっともなく縋り続けていた過去を全部捨ててでも、 目的を成せる存在だったら。 ] ──────……、わから なぃ、 [ まるで破れたページを継ぎはぐように。 細切れで、強張った話し方だった。 妙に冷静な頭が、彼の問いかけの答えを探している ] (*94) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 21:28:26 |
【赤】 従業員 ルミわたしには、これしか出来なかっただけ ……こうするしかないって、おもった、だけ お兄さんのこと探して、調べて 昔の断片を見つけて………… お兄さんはわたしがいなくたって楽しそうで わたしは、昔のお兄さんしか、いなくて。 思い知れば、傷付ける覚悟が出来るって思った、の ──────……そうすればもう、 [ あの公園に行かなくて済んだんだよ。 楽しかった過去を、本当は美しいだけの思い出を、 綺麗なまま封じ込めて死ねたんだ。 ] (*95) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 21:28:41 |
【赤】 従業員 ルミ実るわけないこの馬鹿みたいな恋を 叶えたがってる自分を殺せると思ったから……… [ 執着なのか偏執なのか刷り込みなのか。 誰に何を説かれたって響かない。 わたしにとってはこれが、わたしの恋。 これが恋ではないなら愛なのだろう。 愛ではないなら、 そう思う人の方がおかしくって、恋を知らない。 ] (*96) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 21:29:35 |
【赤】 従業員 ルミ…………べつに、あのまま続けてたとして お兄さんを子どもで縛ろうなんて気はなかったよ。 アフターピル……避妊薬持ってるから、それ飲んで。 明日から実家、帰るんでしょ。 さっきスマホのパスワードは盗み見ておいたから 実家にお兄さんのフリして、帰らないって連絡して。 長期休暇の間だけ、この家にいてもらう気だったの ──それで……何をしても、どうなっても、 わたしを忘れられないくらい傷付けてやろうとしただけ [ 犯罪だよね。そんなのも覚悟の上だよ。 言って、わたしは飾られたブランドバッグを見た。 もう連絡も絶えた昔の客からのプレゼント。 売れば高い値段がつくような代物。 可視化されたわたしの価値。 ] (*97) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 21:30:10 |
【赤】 従業員 ルミ[ お兄さんの痛いのを食べてあげるね、と笑った子どもは 今や呑み込めないほどの傷を付けたがる化物だ。 ] そしたら、逮捕とかされるのかなって。 慰謝料とかの準備もしたし。 もしあれを見てお兄さんが利用価値を持ってくれたら、 それでもいいなって思ってた。 そういうのも含めて、いっぱい働いて ……頑張ったんだけど。 [ 現実は、想像のように上手くはいってくれないか。 自分で自分を殴った彼を見ただけで 怪我を心配してしまう甘さも弱さも抜けていない。 ────昔なら、 ] (*98) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 21:30:30 |
【秘】 従業員 ルミ → 会社員 雷恩だって、いたいって泣いちゃうより たのしいってわらうほうが、しあわせだもんね! わたしもみんなも、お兄さんも! (-33) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 21:30:55 |
【赤】 従業員 ルミ[ 息を吐く。 なりたかったものは、愚かにも見た夢は。 なれなかったものならよく知ってる。 昔の記憶に置き去りのままの幼いわたし。 痛みも食べてあげると息まいた世間知らず。 ] ……薬が抜ける間の時間稼ぎにはなったんじゃない? ほら、もう良いでしょ だまされてあげるから ……さっさと離してよ、お兄さん [ 今ならまだ、間に合うよ。 妙な同情心でも湧いちゃった? やっぱり嫌になったでしょう? それでも今なら許してあげるから。* ] (*99) 鬼葉 2024/05/09(Thu) 21:37:09 |
【赤】 会社員 雷恩忘れてて、思い出した分、じゅんすぃな思い出のままだ。 [思い出は美化されると言う。 自分に都合が良いように脳が改変する。 煮詰めなかった分、新鮮な状態で昔のルミの表情を 思い出せるのだと言う屁理屈。] (*100) Ellie 2024/05/09(Thu) 22:17:08 |
【赤】 会社員 雷恩[裏を返せば、何度も思い出したルミの中の自分は もしかすると随分美化されているのかもしれないが、 そこの記憶の擦り合わせをする意味はないだろう。 ブランドバッグやマンションの部屋の資金源―― 物理的に「助けた」人々よりも、 彼女を抱いて温もりを与えた人々よりも 強い印象を与えたひとりを選んだのが ルミなのだから。] (*101) Ellie 2024/05/09(Thu) 22:17:44 |
【赤】 会社員 雷恩俺を傷つければ、恋を辞めれるって思ったのか……。 ふーん……。 イッてはないけど、 ハメてみて、 終われそう? [段々と上手く口を動かせるようになってきた。 薬の効果が薄れて行っているのはルミにも伝わっているだろう。] それとも、予定通り、長休の間監禁して、 俺が逃げないように薬使ったり、 ……トイレはおむつか? 辱めたら幻滅できると思った? (*102) Ellie 2024/05/09(Thu) 22:18:24 |
【赤】 会社員 雷恩アフターピルってキツいって聞くけど、 ……まー、考えてたなら、よかった。 逮捕とか慰謝料とか、そっか。 生きてるつもりだったなら、うん。 ……その為にがんばってたモチベ失くすなら、 死ぬつもりだったのかなと思ってた。 [一方的に嬲られて――いなくなられたら、 きっと自分はもう誰とも恋が出来ないくらい狂ってしまっただろう。 ルミが自分をそういう人間だと分析できていれば それが一番効果的であるとわかった筈だ。 それでも、恋を葬ってなお、生きようと思ってくれていたことに 心底安堵する。] (*103) Ellie 2024/05/09(Thu) 22:19:06 |