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【人】 雨宮 瀬里世界に色がついた不思議な感覚だった。 といっても、劇的に何かが変わったわけではない ただ、私はこのマニキュアを当然思い出せるし 貴方と過ごした日々を当然のように思い出せる。 clarityだって当然知ってるし、灯歌のことも憶えてる 思い出そうとして思い出せなかったいろいろが 思い出そうとして思い出せるように、なっただけ 恋矢は抜かれたはずなのに、 貴方への恋心は、忘れたあの日と変わらないまま 「 ……… ただ、いま?? 」 状況が呑み込めずに、私は貴方の両の目を見る そう、違っているのはたったのふたつ。 私の指に赤い色が灯っていることと 貴方があの日から、眼帯をしていなかったこと。 (0) ししゃもん 2022/05/31(Tue) 11:15:32 |
【人】 雨宮 瀬里「 ……蓮司、憶えてた、の? え?いつから……??? 」 記憶が戻ったなんて知らないから。 おかえりという言葉に違和感しかなくて 怪訝そうに貴方のことを見つめてみる だけどそこには大好きな貴方の顔があって 怪訝そうに見つめたはずの私の顔も 数秒もたずに緩んでいくんだろう そう、多分 私たちは上手くいった≠だ。 * (2) ししゃもん 2022/05/31(Tue) 11:16:18 |
【人】 雨宮 瀬里「 次の日!? 」 怪訝そうな顔は緩む前に一度驚いた顔を見せる きっとそれはよく知る私の表情のひとつ。 なんだ言ってくれたらよかったのに、とか なんで私のほうが遅かったんだろう、とか ぶつぶつ文句を言うのは、もうちょっと先のこと。 だって、それよりも先に、 私たちには幸せな時間が、訪れたから。 (5) ししゃもん 2022/05/31(Tue) 14:34:32 |
【人】 雨宮 瀬里「 ……! うん。 私も、蓮司と一緒に暮らしたい。 これから先、…ずっと、ずっと。 」 貴方の顔が間近にあって、 私はいつもの幸せな笑顔を見せる。 腕を伸ばして貴方に抱きつこうとして 一瞬塗りたての小指と薬指を気にしたけれど そんなことよりも、貴方に触れるほうが大切だった。 だから小指のネイルはほんの少し剥がれた (6) ししゃもん 2022/05/31(Tue) 14:35:34 |
【人】 雨宮 瀬里「 蓮司、大好き 」 たとえ恋をうしなったとしても、 またお互いに、 恋 をする。私が貴方に恋をするのは、運命?必然? そんな畏まった言葉で表さなくたっていい (7) ししゃもん 2022/05/31(Tue) 14:35:55 |
【恋】 雨宮 瀬里捕まえられた指先と、その言葉に、 首を傾げて「綺麗に?」なんて聞いたのも束の間 すぐに意味を理解して破顔する。 「 嬉しい。楽しみ 」 紅く色づいた爪の先のように、頬染めて。 貴方はいつだって私を綺麗にしてくれる。 貴方がいるから、私はきっと綺麗になれるんだ。 (?2) ししゃもん 2022/05/31(Tue) 21:07:46 |
【恋】 雨宮 瀬里 ……だけどね。 どんな綺麗な宝石よりも。指輪よりも。 今頬寄せてくれている貴方の温かさだけで、 こんなにも幸せなんだって。 心の中で、私が思うこと。 愛しい貴方の額に唇を寄せて、 私も貴方と一緒に幸せを噛みしめた。 (?3) ししゃもん 2022/05/31(Tue) 21:08:13 |
【人】 雨宮 瀬里 ……ところで。 綺麗な薬指と、剥げた小指のネイルはどうしたかって? きっと、翌朝出かける前にリムーバーで取り除いたの。 「 紅い爪に似合う指輪を選んでも意味がないもの 」 ずっと大切にする宝物だから いつもの私に似合うものがいい。 (10) ししゃもん 2022/05/31(Tue) 21:08:43 |
【人】 雨宮 瀬里私にとっては二度目の初恋。 私と蓮司の、二度目の初週末デートの日。 貴方を好きだと再認識した 大好きな友の歌声や、背中を押してくれる音が無くても 私は自然に貴方を好きになっていた。 記憶を取り戻す前も、取り戻した後も 貴方を好きなことに変わりはないけれど、 ……ほんの少し、浮かれていたのは これから先の未来を、誓ったあとだから? それとも、大好きな貴方のすべてを思い出した後だから? (11) ししゃもん 2022/05/31(Tue) 21:09:04 |
【人】 雨宮 瀬里「 そういえば、目。 本当に平気になったんだね 」 指輪選びが滞りなく終われば 私が住んでいる街よりか、随分華やかな街の一角で 私はそんなことを蓮司に尋ねる。 眼帯をしていない蓮司だけが 記憶を取り戻した今も、何か不思議な感じのままで。 天使の羽根はどうなったんだろう。 どうして目が治ったんだろう。 ……これはね、ちょっとした興味本位。 そんな興味本位もしっかり口に出して、 私は貴方の目を覗き込んでいた。 * (12) ししゃもん 2022/05/31(Tue) 21:09:19 |
【人】 雨宮 瀬里天使の羽根は、まだそこに存在していた。 紅い瞳の奥に浮かぶ、白い羽。 どうやら蓮司の力が強くなったせいで、 恋熱病とやらにかかってしまったらしい。 恋熱病… 私ももしかしたら罹ったことがあるのだろうか きっとあったとしてもただの風邪、で 済ませてしまっていたんだろう。 (15) ししゃもん 2022/06/01(Wed) 10:58:27 |
【人】 雨宮 瀬里「 会社を? 」 そんな蓮司から飛び出したのは 私にとっては意外な言葉だった。 恋天使には縁を結ぶ手助けをしている人も多いと聞く 縁結びの神社の巫女だったり、結婚相談所だったり 占い師だったり、白羽トラベルのような業界だったり。 当然恋が叶うカクテルを出すバーテンダーも然り。 自分の力を持て余している私にとっては 恋の手助けをするという夢を持った蓮司が、 素直に輝いてさえ見えた。 (16) ししゃもん 2022/06/01(Wed) 10:59:23 |
【人】 雨宮 瀬里「 素敵ね。いいと思うの。 恋天使にしかできないことを うまく生かして仕事にできたら最高ね 」 ビジネスをどう成り立たせるかは きっとこれからなのかもしれないけれど。 それでも恥ずかしそうに話してくれた蓮司に 私はにこりと微笑んだの。 「 私も、何か蓮司を支えられたらいいけど… 半人前の陶芸家の出番は…ないかな? 何か私にできること、してもらいたいこと、 あったら、何でも言ってね 」 そんなふうに、笑って。 (17) ししゃもん 2022/06/01(Wed) 10:59:37 |
【人】 雨宮 瀬里きっと蓮司のビジネスにかかわることでは 役に立てないと思うけど。 私ではあの人の役に立てないから ── 恋をする前、かつての私はそう言った だけど本当は何か、貴方の役に立ちたい 話を聞いてあげることくらいは、 きっと、私でもできるから。 ううん、きっと、 私にしかできないことが今はあるから。 だから。何でも言ってね、って。 * (18) ししゃもん 2022/06/01(Wed) 11:00:22 |
【人】 雨宮 瀬里ただそばに居てほしい。 そんな言葉に、私は「えー、それだけ?」なんて 口を尖らせてみせるけれど、 だけど、本当はその言葉が一番うれしかった ありのままの私でいい。 私が選んだ、私でいい。 ありのままの私でも、貴方が喜んでくれるなら。 「 そうね、じゃあ素敵なカフェでも行きましょうか ねえ、王子さま? 」 従者のように見えるのかも、なんて 貴方はまた考えるのかもしれないけれど 私にとっては、唯一無二の、王子さまだから。 (21) ししゃもん 2022/06/01(Wed) 18:22:38 |
【人】 雨宮 瀬里* * * それからふたりで一緒に暮らし始めるまで、 あまり時間はかからなかったのかもしれない。 私は都会までは出られなかったから 貴方の仕事の都合がつけば、 家はほんのすこしだけ陶房寄りの場所を選んだ。 週末デートはなくなったけど、そのかわり、 朝起きれば貴方の顔が傍にあって、 眠るときも貴方とずっと一緒だった 家の中には貴方のものと私のものが半分ずつ。 お揃いの歯ブラシ、お揃いのマグカップ。 なにげない当たり前が増えていく日常が、 こんなにも、幸せに思えるなんて。 (22) ししゃもん 2022/06/01(Wed) 18:22:56 |
【恋】 雨宮 瀬里「 私ね、今とっても幸せ。 」 飽きることなく、そんな言葉を、 いつだって貴方に伝えるの。 貴方がいつ私を忘れてしまっても、 また、この幸せが、すぐ取り戻せるように。 (?5) ししゃもん 2022/06/01(Wed) 18:24:33 |
【秘】 雨宮 瀬里 → 宮々 蓮司 ところで。 新居に持ち込まれた見覚えのあるアオザイとスク水 そういえば一度も袖を通してなかったんだけど。 アオザイはね。 もしかしたらそれをきっかけに、 新婚旅行は本格的なアオザイが楽しめる国も 楽しいかもしれないね、って話をしたかも。 それはともかくスク水…まだ、持ってたんだ?? こっちは、そんな顔をして貴方を見てしまったかもしれない 「 ……着てほしいの? 」 なんて尋ねて、 さて、私がそれを着ることがあったのかは。貴方次第。 * (-2) ししゃもん 2022/06/01(Wed) 18:25:10 |
【秘】 宮々 蓮司 → 雨宮 瀬里ところで。 アオザイはまだいいとして、なぜそのスク水があるのか。 引っ越した際に処分したはずなのだが。 というか、 着てほしいの?というのはどういうことか。 つい何を言ってるんだ≠チて顔で見てしまったが。 「 ……着てくれるのか? 」 なんて返して、 さて、瀬里はそれを着てくれたのだろうか。 というか、スク水?コスプレなのか?* (-3) JohnDoe 2022/06/01(Wed) 19:51:58 |
【秘】 雨宮 瀬里 → 宮々 蓮司なくしても、忘れても、二度と手放さないのは 恋じゃなくてスク水だったのでは(もしかして) 着てほしいの?って聞いたのは、 だってえっ、そういうつもりじゃなかったら なんで未だに持ってるの?蓮司が着るの??? というのを思いきり顔に出してから 「 ………一度くらいなら? 」 やたら透けてる大人のスク水だっけ。 そういうのに蓮司が目覚めちゃったら……私はどうしよう。 * (-4) ししゃもん 2022/06/01(Wed) 20:13:09 |
【人】 雨宮 瀬里恋の叶うBARを貸し切りにして、 あの時の恋天使仲間をみんな呼んで同窓会をしたいな。 BARがふたつある?集まりやすいほうでいいけれど バーテンダーがふたりいるから、 いろんな味のお酒が楽しめそうじゃない? お願いしたら歌姫には歌ってもらえるかな。 ほら、私たちなんかよりも早く結婚したふたりもいるから みんなを祝福するような恋の歌を。 美味しいお野菜は農家の彼に任せよう。 その時には私、自分で作った大皿、持っていくね。 トマトととうもろこし、それからきゅうりも忘れずに。 あとは手先が器用なふたりには 私からこっそりお願いをするの。 ひとつは手作りのリングケース もしできるならあの子に作ってもらいたいなって そしてもうひとつは、お揃いのアクセサリー これは婚約指輪のお返しに。 私と貴方でお揃いの何かを作るなら やっぱりあの子にお願いしたいな、って。 私の夢が、どこまで叶ったのかは………どうかな。 (25) ししゃもん 2022/06/02(Thu) 9:14:59 |
【人】 宮々 瀬里天使が降りてきたかのような美しいステンドグラス いつもは観光客でにぎわうその場所も その日は数時間だけ私と貴方の貸し切り。 厳かな雰囲気の中、 ウェディングドレスに身を包んだ私と タキシードに身を包んだ貴方は あの日と同じ、大聖堂の入り口に立っている あの日と違うのは、 あの日は黒、今日は白。 私を包む色くらいだったかも。 (27) ししゃもん 2022/06/02(Thu) 9:17:03 |
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