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【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志「そうか。面白い話ではないが、……つまらない話でもないよ」 立ち上がり、ベッド脇のビデオカメラへと近寄る。 背を向けたまま、言葉を投げた。 「叶うといいな」 社交辞令、常套句。どう取っても構わない。 振り向くと、三脚から外したそれを差し出す。 「上からの伝言だ。これに撮影してこい、と」 さほど重くも大きくもない、撮影機器。少年が受け取ったなら、床の上着を拾い、それから頭にぽんと手を置いて。 おつかれ。そう言い残して、部屋の奥、隣室へ繋がる扉の向こうへと姿を消すことだろう。 (-2) 榛 2021/09/27(Mon) 21:37:23 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志――――男が手ずから渡したビデオカメラ。 その内蔵メモリ、メモリーカード。 どちらにも、動画の一つも保存されてはいなかった。 (-4) 榛 2021/09/27(Mon) 21:52:52 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 0043 榊 潤 部屋に入れば、畳の上、布団が一式敷かれている。 はだけられた掛布団から、つい先ほどまでそこで寝ていたのであろうことは見て取れる。 自室というのに立ちっぱなしで、一方的なその言葉を聞いて。 一つ、長い溜息を吐く。 「してほしいことも、何も。 俺は、お前に何ができるのかも知らないよ。潤」 (-5) 榛 2021/09/27(Mon) 22:05:31 |
黒塚 彰人は、部屋の内側から、叩かれた扉を開けた。 (a4) 榛 2021/09/27(Mon) 22:47:52 |
【人】 8435 黒塚 彰人 (2) 榛 2021/09/27(Mon) 22:48:37 |
【秘】 4432 貴戸 高志 → 8435 黒塚 彰人貴方が普川に頼まれて腹を殴り、他の者たちが集まり、それぞれ思惑を抱えてその場を後にしてからの話。 食堂で夕飯を済ませた少年は貴方の部屋を訪れた。 「黒塚。いるか?」 大きくも小さくもなく、極めてシンプルなノックを数回。貴方の部屋にぴしりと背筋を伸ばして佇んでいた。 (-9) もちぱい 2021/09/27(Mon) 22:52:35 |
【独】 8435 黒塚 彰人/*情けないぜ 助けてくれ 情けないぜ 助けてくれ もう駄目かもしれない ミ・アミーゴ 二人は情けない 助けてくれ (-10) 榛 2021/09/27(Mon) 22:53:28 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志 はい、と扉越しの声があって、すぐに廊下と室内を隔てるそれは開かれた。 「います。……ああ、高志」 開けた先に佇む姿を見て、硬い語調を崩す。 どうした、と続ける様子は、傍目には日頃のものと変わりがない。 (-26) 榛 2021/09/28(Tue) 1:15:58 |
【秘】 4432 貴戸 高志 → 8435 黒塚 彰人貴方を見やる少年もまた同じようにいつも通りだ。 堂々とした佇まいを保ちながら唇を開く。 「唐突にすまないな。いくつか用件があって来た。 まず一つは迷彩が使っている布団を貸してほしい。俺と暁の部屋に泊まりにくることになったんだ。 お前の手を煩わせる訳にはいかないから、もし可能なら部屋にお邪魔したい。どうだろうか」 (-31) もちぱい 2021/09/28(Tue) 1:54:25 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志「そうか。……どうぞ」 内履きを脱いで、畳へ上がる。 壁際に寄せられた布団一式のうち、小さな方が少年の使用していたものだ。そう示した。 「で? あといくら用件がある」 (-55) 榛 2021/09/28(Tue) 11:32:28 |
【人】 8435 黒塚 彰人 (11) 榛 2021/09/28(Tue) 15:05:30 |
【秘】 4432 貴戸 高志 → 8435 黒塚 彰人お邪魔します、と一声かけてから上履きを脱ぐ。ぴしりと揃えてから部屋へと足を踏み入れる。 壁際に寄せられた布団一式の状態を確認しつつ、続いて投げられた言葉を受け取ってさらりと返した。 「二つだろうか。どちらも簡単な質問だ。 まず一つ。お前と肌を重ねた時。事に及んだ部屋にはビデオカメラがあり、俺はそれを渡されたが……お前との性交渉の映像は録画されていなかった。 あれはいったいどういうことだ?他にも隠しカメラがあるとは思うが……何故そんな真似をした」 (-67) もちぱい 2021/09/28(Tue) 15:57:03 |
【秘】 0043 榊 潤 → 8435 黒塚 彰人「もう少しわかりやすく言うべきだったな」 「本当に、いなくなるんだ」 「その時、――人間はどこまでできると思う?」 「――――どこまでのことを人に為せると思う」 「お前が必要としなければ、それまでだな。 ただ終わる人間を前に、何かを必要とする人間がいるのならば。 この言葉だろうが、身体だろうが尽くしに行ってやろうかと思った」 「それだけのことだ」 彼の言葉から死の香りはしない。 瞳から生気が失われているわけではない、諦観に見える、どこかその先を見た、視線。 「できること、……大抵のことだろうか。 人に好かれるのは苦手だな」 (-69) toumi_ 2021/09/28(Tue) 16:39:15 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志「ああ……録画ボタンを押し忘れた」 それだけだよ。その言葉の真偽を確かめる術は無いはずだ。 ささくれた畳の上、立ち話の先を促す。 「もう一つは?」 (-77) 榛 2021/09/28(Tue) 19:28:24 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 0043 榊 潤「そうか。……俺も、得意ではないな」 後ろの言葉は、壁際に寄せられた、畳まれたままの布団へちらりと視線を遣って。 ゆるりと手を伸ばす。瞳を覆う眼帯へ触れることはできるだろうか。叶ったのなら、指先で軽く撫ぜるように触れたのだろう。 「死ぬのか。……死んだら、そこで終わりか」 恐らくは、おかしな問いなのだろう。 人間は、死の先を見ない。それが当たり前のことだろうから。 (-80) 榛 2021/09/28(Tue) 20:00:21 |
【秘】 0043 榊 潤 → 8435 黒塚 彰人「死は、死だろう。そこでおしまいだ、全てが終わる」 「続いたものは、また別の話だ、別の人間の物語」 「俺も、死にはしない、きっと。終わるだけだ」 「だが他人が言う死と、かわりはないだろうか」 まだ、誰にも話してない。話したらなにか変わるのか。 憂いているわけではないが、その相手に残すべきものであるかがわからない。ここまで記録をされ続けられているという事実がすべてを麻痺させていた。 「……続きが、ないそうだ」 「俺は、進めない。不死でもない、不老とも少し違う」 「ここ一年を永遠に消され続けて繰り返している」 触れられた瞳は動かない、これは、ずっと前についた傷だ。 治ることもない、だが――もう二度とこの傷以上に、怪我を負うことはないのだろう。たとえ、腕がもげても、何をされても戻ってしまう。先の未来、ずっと。 一年が経てば元(17)に戻る、進めない身体に"されている"。 「だから、今ならなんだってできると思って。尋ねている。 お前たちのために、なれると思ったんだが……不要か? この場で異能もろくに扱えない人間では」 (-83) toumi_ 2021/09/28(Tue) 20:11:08 |
【秘】 4432 貴戸 高志 → 8435 黒塚 彰人「……。そうか」 目の前の男はそんなうっかりさんだっただろうか。 録画ボタンを押し忘れたと聞いて眉を顰めるも、確かめようがない。ただそれだけ呟いてその話題はそれきりとなった。 「もう一つは少し前の話だ。普川先輩を殴ったことについて。 俺はお前が普川先輩を殴ったことについて言いたいことはない。頼まれただけらしいからな。 俺が言いたいのはタイミングと場所だ。暴力は基本的に周りから良い顔をされる行為ではない。公の場で行って、それが他人に見られでもしたら。話が大事になるぞ。今回のように」 そこまで淀みなく話し、一拍おいてから。 「……お前にとっては、気にするようなことではないか?」 (-105) もちぱい 2021/09/29(Wed) 9:21:16 |
【秘】 3839 南波 靖史 → 8435 黒塚 彰人「違うよ。『彰人くんに』飲ませて欲しかったの。あのさぁ、俺経験ないから、飲ませないと痛がるよ。そして俺は痛いの好きじゃない。 だから飲みたかったけど自分で飲みたくないの。……雰囲気、ほしいじゃない?」 べ、と舌を見せる。半ば溶けかかっている薬をまだ器用に保っていたらしい。そうしてつらつら言葉を述べる。……どれを選んでも、貴方に責任が振りかかるような物言いをする。 『なんで素直に飲まなかったのか』 簡単だ。最後に言った。『雰囲気がほしい』。つまりキスして飲ませてほしかった。 薬は飲みたい。でもあなた側の事情でできないなら仕方がない。無理やり飲ませてもくれないのか、飲ませないで痛がらせるのか。 貴方が『ただしい、いい子』として、どの判断を取るのかをただ見据えるように、ああでも早くしないと、君の方は薬が回るんじゃないかな? ──だって、俺今、答えが待ちきれなくて、少しずつ君の感度、上げていってるからさ。 飲み慣れているなら、薬の回る速さにおかしいと思うかもしれない。ただ、目の前の男は貴方の動きを穴の開くほど見つめているだけだ。 「──彰人くんのいい子、教えてよ」 (-124) poru 2021/09/29(Wed) 17:24:31 |
【人】 8435 黒塚 彰人>>12 普川 「…………。……あなたと俺が」 黒い頭を見下ろし、沈黙が過ぎり、息をついて。述べる。 言いたくない理由はいくらもあって、言いたい理由は一つたりとて無かったけれども。 「違うものであると、確かめただけです」 (34) 榛 2021/09/30(Thu) 22:28:35 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 0043 榊 潤「そうか」 カリ、と眼帯を爪で引っ掻いた。特に何を意図した訳でもない、手慰みのような動作。 長く息を吐いて、もう一度。そうか、と呟きを落とした。 「俺には、無いな。不要だ」 ……生憎。他人の命を賭して望むほどのことなど、一つも持ち合わせてはいなかった。 それから、「お前こそ望みはないのか」と問いかけた。ロバの耳だ、と嘯いて。 (-172) 榛 2021/09/30(Thu) 22:49:36 |
【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志「……いや、」 懐かしさすら覚える言葉の羅列だった。 “保護”されてすぐの頃に、そういうことを言う人間もいた。 ……うまくやれるようになって、久しく聞かないものだらけだった。 こいつも、あれらと同じで。 理解者の顔をするのが上手いんだなと思った。 「そうだな。『暴力は、よくない』。気をつけよう」 わざわざ人目につかないところでやってはいよいよ、いじめに類するものの形を為す気がしたけども。 あるかも分からない次に、そこまで思考を割く気が起きなかった。 (-173) 榛 2021/09/30(Thu) 23:05:52 |
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