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【秘】 悪夢の足音 バラニ → 夢の終わり シャルロッテ──目を逸らして落とす先の視界から、鈍い輝きが姿を消す。 それから、君は震える手で、それを自らに向けて── 白いドロワーズを裂き。 それから。 それから。 それから。 少年を壊す音に耳を塞いで。 滴る赤い液体に目を覆って。 悔やみ切れない。こんなのだめに決まっている。 恐怖と罪悪感に怯えたまま、立ち去っていく足音を見送る。 この部屋にはもう、泣き虫しかいない。 ──そんな終わりを認めることはできない。 夢の終わりは来ない、ただ在り方は変わるかもしれない。 けれども、今この部屋にはまだ、君と私がいるのだから。 ▼ (-195) 7_hertz 2022/05/08(Sun) 20:10:04 |
【秘】 少女の身体 バラニ → 夢の終わり シャルロッテ「──だ、だめだっ!!」 身を隠しているのも忘れて、咄嗟に身体が動いていた。 震える手で、自らにそれを向けようとするのを見た瞬間には。 制止するため、君の腕を精一杯に掴んだ力は随分と弱々しく。 立ち上がった少年の姿は。 昨日の少年よりもずっと小さく、一昨日の少年よりも小さい。 ──柔らかさを備えたその姿は紛れもなく、少女のものだった。 ▼ (-196) 7_hertz 2022/05/08(Sun) 20:10:58 |
バラニは、そんな未来は認められないから。 (a46) 7_hertz 2022/05/08(Sun) 20:11:34 |
【秘】 少年の勇気 バラニ → 夢の終わり シャルロッテ「……っ、言った、だろう……? 酷い目に遭わない、よう……君を、守りたいのだと……」 「そうするのが、たとえそれが……君自身だったとしても。 私はやっぱり……許せなかったんだ、君がそうなるのが」 こうして身体が動いてしまったことが、何よりの証明だった。 君が如何なる存在であろうと、バラニはそれを許せなかった。 「……嫌いになど、なってはいないよ……」 「だいすきだ、君のことが、今だって……」 はたしてこれは、何を由来とする好意なのだろうか。 わからないけれど、そんなことはどうでもよかった。 たった今、大切な事は君を愛おしいと思っていることだけだから。 君より小さくなってしまった身体で、精一杯に君を抱きしめて。 ▼ (-199) 7_hertz 2022/05/08(Sun) 20:13:05 |
【秘】 少年の勇気 バラニ → 夢の終わり シャルロッテ「……本当にすまない」 「君を、こんなになるまで追い詰めてしまって……」 声を震わせながら、精一杯に君を安心させるような優しい声。 「もう、大丈夫……大丈夫、だから……」 「だから、もう……そんなことはしなくても、いいんだ……」 もうそんなことはしなくても大丈夫だと、何度も繰り返した。 (-200) 7_hertz 2022/05/08(Sun) 20:13:30 |
【秘】 どこにもいない シャルロッテ → 少年の勇気 バラニこんなからだは必要ないと思った。 要らないところを切り落として、喉を潰して、そうすればもう少しぐらいは、みんなの望む姿でいられるかもしれないと思った。 だから。 大きな声に驚いて、刹那、身が竦む。 震える手に握られた鋏は、簡単に落ちてゆく。 ――かしゃん。 金属が床を叩く音。 真っ赤な夢の終わりは、やってこない。 ▼ (-213) beni 2022/05/08(Sun) 20:54:44 |
【秘】 どこにもいない シャルロッテ → 少年の勇気 バラニ「だって、」 赤い瞳から、ほろほろと涙が落ちてゆく。 「いらないんだもん」 「『女の子』の『シャルロッテ』じゃないと」 なんだかひどくちいさくなってしまったあなたのからだを。 なんだかひどくやわらかさを感じるあなたのからだを。 縋るように抱きしめて、潰れた声を絞り出して泣いた。 (-215) beni 2022/05/08(Sun) 20:55:10 |
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