情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
【神】 花で語るは ソニー「マフィアの情報狙いのニュースメディアは多くはない、けど。 いずれあることないこと書かれるだろうな。そうなる前に沈静化しないと」 祭りのニュースに紛れているうちが花。その後には市井に混乱も招く。 みかじめ料の徴収が滞れば自分たちの活動にははっきりとした支障を来す。 事件の原因を明るみにするのは前提としても、早いところ襟を正す必要がある。 ちら、と一昨日の時にも不安そうにしていた、未成年の方をみて。 「なるべくルチアやビアンカみたいな、協力者の人間には影響が及ばないように心がけるよ。 狙ってくる人間がどういうやつらであれ、力を削りに来るなら相応の人間が前に出る必要がある。 ……心配ない。タダでやられたりやしないさ」 もしも誰か、あるいはノッテが狙ってくるとしても、回りくどい手段を使うヒマはないはずだ。 狙われるのは扱われ方のあまり大きくないアソシエーテよりもソルジャー、それよりも。 どうあっても、非力な彼女たちには矛先は向かない。その筈だ。 今回の結果を受けて、そう信じてしまっている。 女達の顔を見て、安心させて。目上の彼の言葉を聞いて、同意して。 実際のところはからいがどれだけ形になるかはわからないでも、彼女らを守る努力はするつもりだ。 (G35) redhaguki 2022/08/17(Wed) 17:21:03 |
【秘】 花で語るは ソニー → 小夜啼鳥 ビアンカ「それが普通だと思うな。本質的にはみんな自分以外のために死にたいわけじゃない。 自分と関係ないもののために危険に晒されるのは嫌だ。 ……そうじゃない人もいるんだろうけれど」 今この状況のために義憤にかられている人だとか、復讐を誓う人々だとか。 自分以外の何かのために命を投げ出す人たちがいるために、こうやって争い合うことになるのだろう。 ハンドルを握っている男がどちら側にあるのか、なんてのは常通りの顔からはわからないかもしれない。 ゆっくりとカーブを曲がり、建物の間から遠くに海が見える。夕暮れの色に照らされた美しい海。 いつもだったらそれを楽しむ余裕があったかもしれないし、 その向こうにあるのだろう本土の岸辺を想像することもあるのかもしれない。 迂回するように街の周りを走る車は、もうじき折り返す頃に入る。 ふたり。その中に相手が、己を入れなかったのを聞いて、ちらと視線がかすかに動いた。 「……一人で外に出していいの? 自活出来ない年じゃあないだろうけど。 きっと、ビアンカがいなかったら、戻ってきちゃうよ。キミのことが心配で、さ。 笑って送り出してそれっきり、なんて。オレはずるいと思っちゃう」 貴方の表情が引き締まるのと反対に、男の唇が中央に集まるみたいに結ばれた。 引き受けかけた先の時とは違って、適切だろう判断が下されることを、渋るように。 より良くあるようにと送り出されることの寂しさを想像して、何度か瞼がまたたいた。 それがどんな気持ちになるものかを、しっているかのように。 (-291) redhaguki 2022/08/17(Wed) 18:07:58 |
【秘】 花で語るは ソニー → 銀の弾丸 リカルド試着室の中よりは、なんて言葉には少しだけ意味有りげな視線を送ったかもしれない。 けれども"騒がしい場所"に出たからには、やたらとそれを言葉にしたりはしなかった。 おそらくは人目のあるところで件を問い詰められても、知らん顔をするんだろう。 同じことを話題に出来るのは、同じくらいの状況でだけ。そういうことなんだろう。 「ええ、いいの? それじゃ、お酒のほうくらいはオレが出そうかな。 チェラスオーロを店外売りで出してるところがあったもんだからさ、お供はそれで。 祭りの間しかやらないって言ってたから、今しかそんな気軽に飲めないよ」 この国じゃ酒は食事につきもの、さして大げさな誘いでもない。 冷めやらない熱狂に満ちている街路を抜け、大通りへと戻れば昼と大きくは変わらない。 そのうちにめいめいの家へと帰るのだろうけれど、それでもまだそれを渋って集い合う。 その中へと連れ立って潜り込んで、行儀の良いわけではない食事を楽しむのだろう。 ジャンルもバラバラの演奏を聴きながら、さして広がりのない話題を口にする。 街の歴史だとか、さしてエピソードもない待ち合わせスポットの話だとか。 共通するのはそれぞれが混紡するように手をつけあぐねている島の話だということ。 演奏を聴き、酒を嗜むのをメインとしていたならそちらは浅くもなりはする。 やがて演奏者が入れ代わり立ち代わり、最後の奏者に拍手が送られたところで。 ふと思い出したことがあったように、ジャケットのポケットに手を入れる。 「ああ、そういえば。手出して」 (-298) redhaguki 2022/08/17(Wed) 19:48:16 |
【秘】 花で語るは ソニー → デッドヘッド ヴェネリオ暗めの照明の下はみな密やかに会話をしていて、何を話しているかはお互いに聴こえやしない。 それでもあくまで食事は楽しむものという姿勢は、ある程度の賑わいを店の中にひしめかせ。 ひとつひとつのテーブルの個性や目立ち具合なんてのは、他愛ないもののようにかき消すのだろう。 一応、口端にのぼる単語や示唆については直接的に過ぎないように気を使う。 「ずいぶん大変なことになってるっていうのは聞いてる、代替わりだけじゃなく。 早く解決したならいいけれど。それでお互い納得するものかな」 二発の凶弾はその原因を突き止めることを優先していて、いずれは明かされるかもしれないけれど。 それに続く模倣犯達まで、同じように納得の行く理由が明けるものなのだろうか。 互いに自分たちの塒でどんな話をしているかはわからないし、わかっていないものを説明したところで、 穏便に話し合いに進めるかどうかなんてのは、まだわかりっこない、有り得ないのかもしれない。 「……そんなふうに言わないでよ、先生。 オレは貴方まで便りがなくなってしまうのは、いやだ」 せっかくの食事の席を設けてもらったっていうのに、質の悪いジョークにしんみりとしてしまう。 笑えもしない、縁起でもない。ぐ、と喉が狭まったように食事がせき止められて、 なんとか押し流すように、グラスの中身を一気に干した。 きっと困らせることになるのだろうけれど、それでも口にせずにはいられないように。 一歩、一歩と踏み出した足がその下の薄氷に罅を入れているのがわからないわけじゃない。 けれども"次"なんてあるかわからない、生きていても、――死んでしまっても。 「……ねえ、今日は。子守唄うたってくれるんでしょう?」 (-308) redhaguki 2022/08/17(Wed) 20:42:06 |
【秘】 花で語るは ソニー → 小夜啼鳥 ビアンカそうだろう、と繰り返すのは先と同じ言葉になるから、相槌だけで過ごされる。 やたらに相手の境遇や過去を聞きたがるわけではなかったから、相手も話したりはしなかっただろう。 そしてきっと相手も、金を払っている間のリップサービス以上には興味を寄せなかっただろうから、 男が何処で生まれてどう育ったかなんてのは、聞かされていないはずだ。 それでも真っ向から、裏稼業の浪漫なんてものに浸りきっている人間は、 よほど血筋に硝煙の匂いの染み付いた人間だけでしかないのを、知っている。 互いはそうではないということも、わかっている。 相手の、強い表情を横目に見遣りはしただろう。 ぎょっとしたりもしなければ、二度見して確認したりもしない。 ただ、少しだけ黒目は下の方を見つめがちになって、改めて道路の先の方に視線を移して。 運転に支障のあることはしないし、動揺してみせたような様子もない。 「……今度から」 余計なお世話なのだろうし、きっと言ったところで相手の覚悟が揺らぐわけじゃない。 彼彼女らの間でどんなやりとりが交わされていたのかだって、わかりゃしない。 納得済みの話なのだったら、それこそ無駄な忠告でしか無いだけのものだ。 「ウソつく時は、話切り出す時から貫いておいたほうがいいよ」 どこが、何が、なんてのは敢えて口にせずとも伝わるのだろう。心当たりはあるだろう? ゆっくりと、海岸線を窓の中に切り出しながら車はゆるやかなカーブを曲がっていく。 街を見下ろすほどの勾配もなくじきに市街に差し込んでいけば、 そのうちに車に乗り込んだ場所にほど近い風景が見えてくる頃だろう。 話し合いは、もうそろそろおしまい。 (-312) redhaguki 2022/08/17(Wed) 20:52:30 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新