81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】
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| >>78 ロク 「祖父は顔を見た事も、なくて。祖母は半年前に亡くなって ……お母さんもずっと前に出て行ったから」 だから、今はふたり暮らしだと肯定する。 村の人間……噂話に敏感な人々なら知っている話だ。隠す事でも、なかった。 「そう、でしょう? ……もし、心配させてたら。後で謝ればいいもの」 生きてさえいれば、どうにでもなる。 伸ばされた手に、怯えるように固まった。ぎゅ、と自分の身を抱きすくめる。 前髪を払えば、様子を伺うような目が貴方を見据えていただろう。 (88) sym 2021/07/04(Sun) 18:05:54 |
| >>90 >>91 ミロク 「……いいの?」 最初の言葉に目を伏せ、続いた言葉にぱっと顔を上げた。 さらさらと書かれていく文字に、ついそんな言葉が溢れた。 夢。将来。どこで、どんなことを。 口を開き、閉じ……やがて貴方に近づき、貴方だけに聞こえるようにそれを、話す。 (102) sym 2021/07/04(Sun) 20:41:39 |
| 「生きて、子供を、産むこと」 「父親にこの子を、殺されないこと」 手足の細さに比べると幾分膨らんで見える腹を、撫でた。 栄養失調の病状などではない、膨らみを。 「そのためのお金を半年以内に、集めること」 「優しい人がいるところで、空いたお腹を抱えないで、自分の好きなように生きられること」 「……私ができなかったことを、望みたい」 『フジノ』の未来では、ない。 けれど、それが『フジノ』の理由であり、目的だった。 (-250) sym 2021/07/04(Sun) 20:43:09 |
| >>91 >>102そっと離れて貴方の差し出した住所を、受け取った。 果たして話した事は取引を成立させるに値するものだっただろうか? 「……それで、いい。 全部お世話になるつもりは、ないから。 あとは私が、頑張って……頑張らないと、いけないこと、でしょう?」 大事そうに、紙を両手で包んだ。 「……ありがとう、ございます。 もし、外で会えたら……その時はまた、お礼をします」 そうして頭を下げ。 それ以上の話がなければ、この日の会話は終わっただろう。 (103) sym 2021/07/04(Sun) 20:49:11 |
| >>96 ロク 「……人は、怖く見えるものでしょう?」 先日も似たような事を言ったな、と思った。 ここに集まった人々はフジノを嗤わない。 変に憐れむような目で見ることもない。 その事実は少しだけ調子を狂わせ、フジノの知っていた世界をあっという間に壊そうとする。 「……人は怖いし、痛いのが嫌。それだけ。 ……それだけだよ」 片手で前髪をそっと戻す。 その後、なにか言葉を交わしたかもしれないが……そうしない内に、フジノは貴方に別れを告げてその場から立ち去っていっただろう。 (104) sym 2021/07/04(Sun) 20:58:22 |
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