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人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 ああ、さっき帰ってきたとこだ。……ただいま。

[おかえりなさい。などと呼ばれたのは少し懐かしくて少し遅れながら、ベッドの上で降ろし掛布団をかけた。
何か暖かい飲み物でももってこようか。と思っていたところで手を伸ばされて、首を傾ぐ]

 ん……?いや、そりゃまぁ。

[なんのことだと思ったら、改めていわれると照れる。それに自分が引っ張ってきた面もあったしと思うが、重ねて、ありがとう。といわれると照れた熱さを紛らわすために前髪をかき上げて]

 どういたしまして…

[巫女は力を使い果たしたら――。彼女はそれを知っているのだろうか。それを思うと苛立ちとともに自分勝手に想いをぶつけた自覚もあるのだ。]
(-239) S.K 2023/03/02(Thu) 23:38:57

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 なんならこれからもお願い。ぐらい厚かましく頼んでもいいんだぞ。
 これからも長い間一緒に過ごすんだからな。

[そして少なくとも自分はペルラのことを気に入っている。彼女が関係を破棄しないならこのまま続けようという想いもあったから、甘えていいぞ。というように伝えて]

 お、これって今流行りのやつだな。

[噂だけきいていた。だがだいたい自分が自由に動けるようになるときはもう売り切れているのだ。]

 これを届けにわざわざ抜け出してくるとか……いい子なんだか悪い子なんだか…

[起き上がるのはとめずに、袋の中のパンを受け取りつつ、呆れたようにいうが暖かい心地が胸に広がりながら]

 どうせなら一緒に食べようぜ。

 お茶ぐらいしかないが飲むか?

[そうしてパンを半分こにするように千切りお茶の用意をしていく。自分は椅子にテーブルをベッドに横づけするように置いて、ともに遅めの晩御飯をするのだ]
(-240) S.K 2023/03/02(Thu) 23:39:31

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 …ところで、帰りはどうするんだ?

 こっそり帰るのか…なら、朝早くから空の散歩でもいかがかな?

[そんな気取った誘いをするのであった*]
(-241) S.K 2023/03/02(Thu) 23:40:14

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空



 ……!

[これからも長い間、一緒に。
そうアスルが言った。確かに聞こえた。
ペシペシといきなり自分の頬を叩く自分に驚かせたかも。
よかった、夢じゃない!
ふにゃりと弛んだ笑みは年相応に見えたろうか。]

 うん! アスル、よろしくね。

[手を差し出したら握手してくれただろうか。]
(-242) soranoiro 2023/03/02(Thu) 23:59:16

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[良い子悪い子論争的には難しい顔をして悩んだ。]

 私ね、たくさん考えたの。

[真面目な切り出し方で。]

 つまり……この場合って、隠し通せれば、アスルに悪い子って思われるだけですむんじゃないかなって。

 アスルは私が悪い子だと、いや?

[嫌いになるだろうか。
なんて、首をかしげる顔はちょっと悪戯っ子のもの。
だってアスルの真似なのだ。
こうして年下の巫女見習いは順調に悪い知恵も覚えていく。

一緒に食べようというのには喜びかけたものの、それではアスルに食べてもらう分が減ってしまうと眉を下げて。
でもお腹の音の方が正直者だった。]
(-243) soranoiro 2023/03/03(Fri) 0:04:31

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[この街に来て、アスルと初めて一緒のご飯だった。
たったひとつのパンを分け合って、熱いお茶をふーふー冷ましながら飲んで、自分はお行儀悪くベッドの上のままで。

帰りの話には目をぱちぱち瞬かせた。
すっかり楽しくて帰り道を忘れかけていた。]

 ……。

[まだ帰りたくない、と。
言うのを我慢する強さはあったけれど。

アスルが空の散歩に誘ってくれたなら、ぱっと顔を上げる。
瞳をきらきらさせる表情は朝焼けのように明るかった。

今度は前回よりも上手く乗れるだろうか。
そうしたらさらに次は、もっと高くまで、遠くまで、アスルは連れて行ってくれるのかもしれなかった。**]
(-244) soranoiro 2023/03/03(Fri) 0:12:12

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 どした?ペルラ?

[頬を叩くペルラに、よくわからずに首を傾げる。
自分にとって、一緒に長く過ごすのは当然のことだと思っていたからで、彼女の悩みをわかっていなかったからだ。

だが次にはふにゃっとした年相応の笑みを見せてくれる。

今までがずっと年不相応だったのだから、彼女の中で何かが解決したならいいか。とあっさりと思うことにして、よろしくな。と握手に応じる。]
(-245) S.K 2023/03/03(Fri) 0:54:12

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[ひとまずお茶を沸かそうか。
あまり人を歓迎するような用意をしていない。お茶も市中で売られている普通のものだ。と、簡素すぎる歓迎になるがそこは仕方ない。などなどと考えているうちに、先程の自分のいった言葉の何が引っかかったのか、真面目な表情で考えていたペルラが口を開いていう。
考えた。と言う言葉に、ほう、なにを?と相槌を打って促して]

 なるほどな。そりゃあっさり解決する出来事だな。
 いいこも大好きだが、悪い子でいいこはもっと好きだぞ。

[そういうちょっとした抜け道は大好きだ。満面の勝気な笑みでペルラの考えを称えて、嫌い?という言葉には逆の言葉をあっさりとした口調で返して]

 じゃあ、こっちにいるうちはそうだな。人見知りの従妹とかそういうのになっておくか?

[もし見つかっても誤魔化せるような嘘の存在を作っておこうという。
まさかこれが巫女が悪い知恵を覚える切欠になるだなんて、シラナカッタナー(棒読み]
(-246) S.K 2023/03/03(Fri) 0:54:38

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[正直なお腹を抱えるペルラに噴き出し。
ほら、むしろ俺一人だと食べづらいだろ。といって、お茶を沸かしにいった。
コップを二つ、ペルラのにだけほんの少しだけ蜂蜜を垂らしていれて、思えば一緒に食事するのはこれが初めてだ。
とはいえ巫女を祈りの場に連れていくことを考えたら、これも珍しくなくなるのだろう。]

 甘味と酸味がいい具合で思ったより食べやすいな。

[実はもっと甘ったるいのを考えていた。なんて流行りのパンを食べながら一緒に口にしつつ、帰りの話はというと、やはり不満があるんだなぁとかそんな感想をもつ。
そりゃこの年頃だったら俺もっと好き勝手してたもんな。とかそういう類のものだ。

でもそんなペルラも本当に空を飛ぶことは気に入ってくれたらしい]

 ふふっ。ああそうだ。
 今度、事前にいっておけ、そしたら夜の散歩だって楽しめるぞ。

[流石に今からでは無理だが、夜間飛行の練習といえばできるだろう。と、先の楽しみをあげながら、ゆっくりとした時間を過ごすのであった**]
(-247) S.K 2023/03/03(Fri) 0:55:32

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 アスル、私、病気になったかもしれない。

 アスルのこと考えると、変なのよ。
 ……ここがぎゅうってするの。痛くて、苦しいの。

[自分の心臓の上。
胸元を押さえ、そう明かしたのは幾つの時だったか。]
(-253) soranoiro 2023/03/03(Fri) 1:10:27

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[ペルラは恋を知らない子供だった。
知ることのないまま、アスルだけを唯一として、巫女として以外は彼だけを追い続け、年を重ねていった。

これが恋と言われればそうなのだろうと思うけれど、恋という単語だけで説明できるとも思えなかった。

アスルを想う気持ちとしか言い様がなく。
彼と一緒に空を飛び、隣に座り、言葉を交わし、瞳と瞳で見つめ合い、手を繋いで、……ぎゅっと抱きしめて欲しかった。

巫女見習いになる前、結婚なら知っていたけれど。
巫女になれば逆にそれは禁じられることになる。
力に影響が出てはいけないと、子を授かることも同様に。

ただ、人を想ってはいけないとは言われないから。
そんなことは誰にも止められないから。

アスルが許してくれるなら、ペルラは、ただのペルラは、いつだって手を伸ばして、彼の世界の中でなら甘えられた。]
(-254) soranoiro 2023/03/03(Fri) 1:11:09

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[巫女見習いとしての日々は確実に過ぎていく。
肩までだった髪は腰に届き、アスルには離されるばかりとしても背も伸びて、見習い用の装束は何度か仕立て直された。
人前に出るときの仕草は洗練された女性のものになり。
常にうっすらと湛えた柔らかな笑みは、見習いになったばかりの頃が嘘のようだと言われ、口元に手を当てて苦笑した。

ただアスルとふたりの時はただのペルラで。
草むらにそのまま腰を下ろし、両脚を行儀悪く伸ばす。]

 私、やっと力を使いこなせるようになってきたわ。
 これならもういつでも大丈夫だろうって。

[アスルになら何でも話せた。
嬉しいことだって、悩んでいることだって。]

 でも、まだ時々制御が難しいの。
 力がありすぎるのも困りものなんだって。
 大地に向かわせないといけないのに、ぽーんって空に飛ばしてしまったら、私なんてすぐに力尽きてしまうものね。

[そんな冗談にならない冗談も。
今や言えるのはアスルにだけ。]
(-255) soranoiro 2023/03/03(Fri) 1:12:23

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[彼が窓から攫ってくれる日があれば。
自分が彼の家へと忍び込む日もあった。
だってちゃんと従妹という隠れ蓑があるんだもの!]

 それで良い案を思いついたんだけど、聞いてくれる?
 祈りの時に一気に力を捧げるのではなくてね、日々少しずつなにかに力を貯めておくの。
 本番ではそれを溶かしながらゆっくり浸透させていく……。

[真剣に、でも生き生きと。
アスルが飛ぶことについて語るときのように。]

 この耳飾り、きれいでしょう。
 遠い昔、人々が地上で生きていた頃、大地の周りは海という塩の水でできたものに囲まれていたんですって。
 湖よりももっともっと広いの。
 そこでね、貝の中からとれた宝石。……真珠。
 とても大切に保管されていたらしいけど、私と相性が良いみたいで……巫女になるときに譲り受けることになったの。

[ある日見せたのは、古めかしい金の葉の装飾に銀白色の柔らかな曲線を描く宝石――満月のような真珠のついた耳飾りだった。]
(-256) soranoiro 2023/03/03(Fri) 1:13:25

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 これはね、私のお守りみたいなもの。

[力をきちんと使いこなすための。]

 ここからが本番。アスル、見ていて?

[アスルの隣に座ったまま、両の手のひらを上に向ける。
そうして瞼を伏せると静かに祈りの言葉を紡いでいく。

金色の髪が淡く光り輝き、細まった紫の瞳が煌めく。
どこからか水もないのに滴が落ちるような音が響き、ふわりと清流のような香りがして――手のひらへと力が集まってゆく。
柔らかな光が金にも虹色にも変わり、最後に柔らかな銀白色へ、艶めきを帯びた小さな真珠の粒が、今、生まれた。]

 これが、私の、この島を守るための力。

 私、ちゃんと巫女としてやっていける……。
 アスル、私、大丈夫……よね。

[彼へと肩を寄せて、そっと目を細めた。]
(-257) soranoiro 2023/03/03(Fri) 1:14:25

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[その翌日だった。

現役だった巫女の力が突然尽き、そのまま彼女は姿を消した。

『巫女は祈りを捧げて力を使い果たすと消えてしまう』

逸話の通りに。
跡形もなく。
泣いて縋ることは許されなかった。

その日に巫女見習いは巫女になった。
ペルラが見習いになって3年、年は13になっていた。**]
(-258) soranoiro 2023/03/03(Fri) 1:16:50

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[病気になったかもしれない。
そういわれた時は柄にもなく焦ったが、内容を聞いていくうちに違う意味で焦ってしまった。
同郷の同年代のものなどそれを成就させて番となっていると、自分とは無縁とはいえ理由も意味も理解はしていた。

とはいえどう説明したものか。ここで大人らしく諭して誤魔化すのは簡単なんだろうけれども、ペルラにそういうことをしたくはないし、何より性に合わない。性に合わないので嘘だとばれるのも容易いだろう。

それに自分自身そういわれて、自覚をしてみて、驚くほど嫌じゃないことに気づく。

ペルラほど閉じた生きかたはしていなかったものの、こちらに引っ越してきてからというもの、周りには目上の人ばかりで、そういう対象ではなかったのもあったが]

 ……魅力的なやつってずるいよな。

[ため息をともに、じっと見つめる未だ成長途上の少女の姿。
真面目に務めを果たそうとする姿も、年相応に自分だけに見せてくれる柔らかくも悪戯気な様子も知っている。だからこそ少しだけ咎めるように見つめて、視線を和らげた]
(-259) S.K 2023/03/03(Fri) 1:29:49

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 …その気持ちが続く間はな、俺と一緒にいろ。ずっとな。

 そしたら悪いことにはならないからな。

[明かされた言葉に、いいな?といった。解決案ではないが、ただ、信じろ。というようにその時は伝えたのであった*]
(-260) S.K 2023/03/03(Fri) 1:30:28

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[次代の巫女の守り人として任命されていこう、日々が過ぎていく。
少年から青年への移り変わりとなっていたアスルは徐々に大人の仲間入りをするように成長していき、肉体的にも絞られた完成品のようになっていき、また髭も少し生えるようになっていく。

そんな二人の関係は大きくは変わらない。少なくとも表面上は亀裂でも入らない限り、良好な関係を築けていき深まっていく。という意味では変わらない。

さて、そんな本日は窓からさらった日であった。
自分の工場はおやすみで、また少し改良されて、より鮮明にカラーリングされていったグライダーに乗って、郊外のほうに降り立ったのだ。
今はグライダーを紐で固定して、日除け替わりにしながら草原に横たわりそよぐ風は心地よさに身を任せている。
もう少し風が強くなれば、また一緒に飛ぶこともできるだろう。そんな中、ペルラの話を聞いていた。]

 おお、ついにか。
 いっぱい頑張ってたもんな。愚痴を聞いてた甲斐があったもんだ。

[二人きりでいるときは、何でも話すペルラに自分もまた遠慮など…思えば最初からなかったかもしれない通常運転。]
(-262) S.K 2023/03/03(Fri) 2:57:57

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[そんな中で新たに生まれた悩みを、うんうんと相槌を打ちながら聞いていく。
悩みというのは尽きないものというのは技術と同じで、悩みも似通っていくものなんだなぁ。なんて少し不思議に思う。
後冗談にならない冗談もこっちにはよくあることなのだ。
着地できずにバラバラになるぞー。とかそういうやつである。

そして問題が見つかれば改良するのも変わらない。
寝転がっていた姿勢を横向きにかえて、良い案というのを聞くために身体を向け、伸ばした手は風に揺れるペルラの金髪へとそっと指にはわせながら話を聞く。]

 ああ、綺麗だ。

 海……なぁ。うーん。なんか今聞いても想像つかんな。

[こういう過去の文献は自分はさほど詳しくない。しっていても偏りが多い。そのためだいたいペルラのいうことを鵜呑みにする傾向を持ちつつも、、話の続きを聞く。
その真珠という譲り受けたものと相性がいいというのはわかったが、それがどう繋がるんだ?というように、その装飾のついた耳飾りを見せてもらう]
(-263) S.K 2023/03/03(Fri) 2:58:49

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

[御守りだというペルラ。
ただそれは精神的なものではなく確りとした理由のあるものだ。

俺がもつ、南側を向く鳥の嘴。という星座が掘られたコインと同じだ。
みていて。と言う言葉に頷いて、転がっていたのをやめて起き上がり胡坐をかいた。

金色の髪が昼間の日輪のように輝き、紫の瞳が昼と夜の境目のように艶めく。

しとしとと優しく落ちる雨のような音は森林の川の香りをともに運び、不可思議な。だがこの島から見える光景と香りが詰まった光景が彼女の手の中で一つに集うようだ。
ペルラは本当にこの島に選ばれた巫女なのだ。と誰が見てもわかることだろう。

煌めきが美しく移り変わり、月色の光を放つ真珠の粒が生まれる。]

 ああ…大丈夫だ。自分の力を理解して扱っているんだ。だから巫女としてやっていける―――――――――って、言ってほしいのか?

[自分に打ち明けてくれた言葉。だが彼女は次代の巫女に相応しいと、周りの人間は言っていることだろう。それと同じことをいうのが彼女のためになるのだろうか。]
(-264) S.K 2023/03/03(Fri) 2:59:24

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 ………簡単なことじゃないな。本当

[色んな、色んな意味を込めて口にしながら、身を寄せてくれるペルラをそっと支えるようにして、自分のほうを向かせる。
ペルラの肩にのった逃げることのできない重責の一部を受け止めるように抱きしめる。]

 ペルラの努力の結晶だってのはわかっているけどな。

[とんとんと背中を優しく叩いて]

 しっかりしなくていい、泣き言いっていい。そんぐらいの我儘は許されるさ。

 だから島のためなんて言い聞かせて自分をしょいこむより。もう少しやる気だせるもののためなんてどうだ?

 美味しいもの食べたいとか。もっと遊びたいとか。

 あとは、好きな人のため。とかな。

[ここでいう好きな人というのは、恋愛的な意味ではなく家族とかもっと身近な色々なものを含めてのこととして口にする。]
(-266) S.K 2023/03/03(Fri) 3:00:41

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 俺が働いている工場あるだろ。
 正直いうとな、あそこの人たち、俺の従妹はペルラだってことばれてるぞ。

 でもな、変わらないだろ、見て見ぬふりしてる。

 理由は一応わかるんだ。

[訥々とペルラの返事を聞くことなく口にしていく。]

 何かあっても人を安全な空へと導くため。そういうのが根っこにあるんだなぁって、最初の頃はわからなかったけど、そういう理念をもってるんだってな。

 表だっていうと、巫女の存在の否定になっちまうから誰も言わないけどな。

[でも、次代の巫女に聞かせた。他の一般人ならともかく、巫女となるものに、そしてペルラだからこそ言っていいと思った。]
(-267) S.K 2023/03/03(Fri) 3:02:46

【秘】 月島 雅空 → 天原 珠月

 それにそんな大層なことじゃなくていい。食堂のおばちゃんのおかげで助かってるやつだっているし、牧場や農業のおかげで飢えなくて住む。
 暮らしを成り立たせるための一つって意味では農業も牧畜も巫女も変わらない…なんて思ったってそんな間違いはないと思うぞ?

[それでも巫女が重要であることに変わりはないが、ペルラの重責が少しでも軽く思えるように、どうだ?って笑いかける。
もちろん、巫女にはもう一つ、逸話があるのだが]

 ちゃんと…傍にいるからな。

[髪を指で梳くように触れそのまま頬まで指を動かして指先で撫でる。
今できることといえば、自分が触れることでペルラが触れられている自分がいることと自覚を持ってもらうことだけだった**]
(-268) S.K 2023/03/03(Fri) 3:08:28

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

― 巫女となって ―

[巫女として役目を果たす日々は意外なほど平穏でもあった。

満月の夜、半月の夜、三日月の夜、新月の夜。
時には占いで力の不足を察知して。
島中に点在する、時に人の住まない僻地だったりもする祈りの場へ守り人とともに赴き、夜通し祈りを捧げる。
限られながらも広い大地に、山に、谷に、湖に、花咲く野原に、島の奥深くへと力を浸透させて浮力を活性化させるために。

最初は全力すぎて祈り終えた途端にバタンと倒れたり、岩の間からいきなり水を溢れさせたり、急に滴を降らせたり、悪影響を及ぼさずにすんだのが幸いなトラブルは巻き起こしたものの。
自分なりに必死で立ち向かい、アスルへ素直に助けを求めた。
たくさん失敗してへこんだ後だって、彼に空へと連れ出してもらえば心へやさしい風が吹き込んだ。]

 ねぇ、アスル! さっき、虹が出ていたでしょ?

[くすくすと笑い、悪戯に目を細める。]

 あれなら力の無駄遣いじゃないわね。

[彼の前では、よく、ペルラは悪い子で良い子だった。]
(-333) soranoiro 2023/03/03(Fri) 17:46:53

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[巫女になって変化したのは住む場所もだった。
中心部の街であればと条件はあったが希望を聞いて貰えたため、石造りの塔から、街の少し端にある小さな一軒家へ移った。
花屋を営むおばあさんが少し前まで暮らしていた家だった。
古くて必要最低限の部屋しかなく、キッチンもこじんまりしていたが、街中なのにちゃんと庭があって花が植えられている。
おばあさん亡き後も近所の人が世話をしていた花々。
早朝に身を清め、真珠を作り終えた後、ほんのり力を込めた水を如雨露で花にやる、そんな習慣が増えた。]

 今日はおまじないかしら?
 占って欲しい?

[役目で遠出していない期間は、修行や勉学の他に、占いやおまじないを頼まれて行うこともあった。
今日は小さな女の子から恋占いのお願い。
ふふっと微笑んで、グラスの水に花弁を浮かべる。

見習いの間より、街の人々と積極的に関わるようになった。
フードで顔を隠さずに道を歩き、花壇の花が素敵だと言葉を交わし、時に井戸端会議にもお邪魔し、工場街の食堂にだってこっそり行ったりもして、今は定番商品になった林檎と蜂蜜のパンをふたつ買っておばさんにウインクされている。

だって、アスルはパン半分じゃ足りないに違いないもの。
あんなに背が高くなって身体もしっかりして。]
(-334) soranoiro 2023/03/03(Fri) 17:49:12

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[街にはたくさんの人がいて支え合って暮らしている。
祈りのために出向くどんなに小さな村だってそう。
自分が生まれ育った場所のように手を取り助け合っている。

巫女になる前日。
アスルがくれた言葉たちを忘れたことはない。

これからも、ずっと、忘れたりはしない。

抱きしめてくれたあたたかさも、背中をとんとんと叩いてくれた手の強さも、髪をすいてくれた指先の優しさも。
頬に触れられたときは、心臓がとくりと鳴ったのも。]
(-335) soranoiro 2023/03/03(Fri) 17:49:43

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 アスルーいるー?

[今日は自分が忍び込む番。
バレバレと知りつつ律儀にフードは被って人見知りの従妹のフリをするのはほぼ悪戯心というもの。
アスルの仕事場の休憩時間はもう把握済みで、彼の姿を見つけたら目を輝かせ、パンの袋を掲げて見せた。
ふふん、もう自分だって稼いでいて買えるのだ。]

 今のアスルだったら、パン3つくらい食べてしまいそうね。

[彼が淹れてくれるお茶は今もほんのり甘いだろうか。
オイルのついた手袋を外す姿を見守って微笑む。
自分の分にだけ蜂蜜を入れてくれていると知ったのは何回か訪れた後のことで、くすぐったい心地がした。]

 ね、今度、夜の散歩に行きたいな。

[美味しいパンを食べて。楽しい空の旅で遊んで。

――あなたと、ともにいたいと願って。]
(-336) soranoiro 2023/03/03(Fri) 17:53:06

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空


 ……。

 …………アスル……ううん、なんでもない。

[あの気持ちは、あの胸の痛みは。
あれからずっと変わらない。

種類は増えた気がする。
苦しいのと、跳ねるのと、急に速くなるのと、時々アスルのそばに居すぎると酷くなるから困ってしまう。

『俺と一緒にいろ。ずっとな。』

それでも、言われたとおりにする。
どんなに苦しさが増したとしても、そうすると決めていた。*]
(-337) soranoiro 2023/03/03(Fri) 17:54:13

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

[気持ちを通じ合わせたのは互いが幾つの頃か。
年齢など、タイミングなど、些細なことだったかもしれない。

重ねる手の温度は変わらない。
抱きしめ合ったときの感触も、どう関係の変化があったって何がいきなり成長するものでもない。

けれど。温度も力強さも。
なにか違って感じるのは気持ちのせいなのだろう。

空を飛びたい、だけでなく。
抱きしめて欲しいと。
せがむ声に、もう子供ではない、甘い響きが含まれてしまう。


巫女が恋に溺れるのかと不安視する空気は知っていた。
長老たちの一部からは直接批判されたこともあった。
巫女としての能力に影響は出ない、出さないと、それだけは必死で訴えたし、自身を律する気持ちはあった。

でも、なくせはしなかった。
――ただひたすらに、彼を想わずにいられなかった。**]
(-338) soranoiro 2023/03/03(Fri) 17:54:43

【秘】 天原 珠月 → 月島 雅空

― 変化 ―

[自身に変化が表れ始めたのは20を越えてからだった。
もう過去に役目を終える巫女のいる年齢になっていた。

濃い金色の髪の毛先がほんのり色を淡くしている。
水盆に自分の顔を映せば、紫の瞳もまた少し淡く見えた。
ほんの少しの変化だった。
だが確実に、それは予兆としか思えなかった。

巫女を管理する長老たち以外、街の人々などには特に言うつもりはなかったが、アスルには先に気づかれるだろうか。
隠すという考えは……一瞬だけ、浮かんでしまった。

初めてのことだった。
言いたくない、なんて。

でも、時間は止まってはくれず、役目は訪れ、分かりやすくなる変化とともに、身体は疲れやすくなっていった。
自身の中の力が尽きていく。
砂時計の砂のように減っていき、ひっくり返しは出来ない。
覚悟はしていたことでも身体が冷たかった。]
(-343) soranoiro 2023/03/03(Fri) 20:21:52
 




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