情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [メモ 匿名メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
【秘】 花で語るは ソニー → 小夜啼鳥 ビアンカ「それが普通だと思うな。本質的にはみんな自分以外のために死にたいわけじゃない。 自分と関係ないもののために危険に晒されるのは嫌だ。 ……そうじゃない人もいるんだろうけれど」 今この状況のために義憤にかられている人だとか、復讐を誓う人々だとか。 自分以外の何かのために命を投げ出す人たちがいるために、こうやって争い合うことになるのだろう。 ハンドルを握っている男がどちら側にあるのか、なんてのは常通りの顔からはわからないかもしれない。 ゆっくりとカーブを曲がり、建物の間から遠くに海が見える。夕暮れの色に照らされた美しい海。 いつもだったらそれを楽しむ余裕があったかもしれないし、 その向こうにあるのだろう本土の岸辺を想像することもあるのかもしれない。 迂回するように街の周りを走る車は、もうじき折り返す頃に入る。 ふたり。その中に相手が、己を入れなかったのを聞いて、ちらと視線がかすかに動いた。 「……一人で外に出していいの? 自活出来ない年じゃあないだろうけど。 きっと、ビアンカがいなかったら、戻ってきちゃうよ。キミのことが心配で、さ。 笑って送り出してそれっきり、なんて。オレはずるいと思っちゃう」 貴方の表情が引き締まるのと反対に、男の唇が中央に集まるみたいに結ばれた。 引き受けかけた先の時とは違って、適切だろう判断が下されることを、渋るように。 より良くあるようにと送り出されることの寂しさを想像して、何度か瞼がまたたいた。 それがどんな気持ちになるものかを、しっているかのように。 (-291) redhaguki 2022/08/17(Wed) 18:07:58 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 花で語るは ソニー「勝手にすればいい。死にたがりなんて。 面子も仇討ちも、…血の掟もなにもかも、 くそくらえだ。 私は、そうじゃない」 呪詛のように吐露をする。 さんざんに噛んで味のしなくなったガムのように、 そんな拘りはもう彼女の人生には必要ないのだ。 ただでさえ、苦々しい鉄と泥の味ばかりが口の中に残って、今でも忘れられないのに。 ごう、と窓が風を裂く音。 青、金、緑、紫、オレンジ。 揺れる海は、うねる髪のようにさまざまに姿を変える。 すぐに太陽が沈み、その色のいくつかは失われてしまうけれど。 ――太陽は、また明日も登る。 けれど、同じ波が見られるとは限らない。 「知らない。 エリカの方は若いつっても十八。どうとでもするでしょう。 ヴェルデは──……」 それは、優しさなんかじゃなかった。 相手のことを考えない、押しつけがましい、一方的なものが、 優しさや思いやりなんかであるはずはなかった。 彼女は、 ▼ (-293) gt 2022/08/17(Wed) 18:25:18 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 花で語るは ソニー▼ 「私が拾ったガキに、私を不快にさせる権利なんてないの。 笑って送りだすつもりもない。 ケツを蹴り上げて追い出すから、安心して。 二度とこんなところくるんじゃないって。 この2年、ずっとずっと、面倒くさくてたまらなかった。 万が一死なれでもしたら本当に、最後まで面倒じゃない。 そこまで私の人生を左右する権利なんて、あのガキにはない。 絶対に、ない」 女でもなく、娼婦でもなく。 母親のような――それも、子育てなんて全くうまくない、最低で最悪な――顔で、悪態をついた。 本当のことなんて何一つ言わない女は、 自分自身にその顔を見せつけるかのように、 窓をじい、と見つめていた。 (-294) gt 2022/08/17(Wed) 18:27:45 |
【秘】 翠眼 ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカ「旅行はべつに、したっていいけど」 少年の手が、あなたの細腕を遠慮がちに掴む。 振りほどくのは簡単だ。 少年があなたにこんなことをするのは、今まで一度だってなかっただろう。 「——二人でならな」 「危ないってんなら、あんたも同じじゃないのか」 「様子がヘンなのってさ、最近何かしてるのと関係ある?」 それから、こんな風にあなたの行動の真意を尋ねることも。 翠の瞳はじっと、あなたを見ている。 (-295) beni 2022/08/17(Wed) 18:36:19 |
【秘】 ”昼行灯” テンゴ → 小夜啼鳥 ビアンカ「悪いが、特定の人間に絞り込めていない状況だからな。俺からはその質問には答えられんよ。強いて言うなら…お前さんに理由無く近づく輩は全て警戒しておいて良い。」 「例え身内であってもな。」 誰が犯人なのかは分からない。 だから、身内だからと気を許すなと伝える。 「…お前さんは失うなよ。大切なものをな。」 (-296) ぴんじぃ 2022/08/17(Wed) 18:41:27 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 翠眼 ヴェルデ「…………」 「私は」 捕んでみれば、その腕はなんとも細く、頼りない。 あなたは男だ。 数年もたてば──いや、今でさえ、彼女を組み伏せることすらできるかもしれない。 彼女は非力だ。 弱く、愚かで、そしてなんの能もなく、 この街を離れる勇気すらもなかった。 「私はいい。 体を売る以外、もう何もできない。 十年もすれば売れなくなって、あなたのかわりにゴミ捨て場に転がる。 けど、あんたは違う。 ……違うよ。 本なんて、私は読みやしなかったもの」 こちらを見つめる目を、見下ろす女の瞳は潤んでいた。 そこに浮かぶ感情を、なんと表現するべきだろう。 ――悲しそうで。 ――嬉しそうで。 笑うように、おんなは泣いていた。 涙なんて、決してみせはしないけど。 ↓[1/2] (-300) gt 2022/08/17(Wed) 20:06:02 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 翠眼 ヴェルデ↓ 「 私 、旅行は 嫌いなの」「私は大丈夫。守ってくれる男なら、いるし」 「――仕事してるだけ」 あなたの問いに、答えることはできない。 答えにもならない答えを押し付けて、歩き出そうとする。 「いいから黙って、街を離れなさい。 一回爆発しないと、こういうのは収まらない。 へたくそなセックスと同じ。男ばかり、馬鹿みたいに騒いで、あちこち犯して、そうして終わったら素敵な思い出みたいに語るの。ああ、くたばれって感じ」 溜息。血を吐くような。 「死にたくはないでしょう?」 死にたくなんてないのだ。 [2/2] (-301) gt 2022/08/17(Wed) 20:07:30 |
ビアンカは、ここは大嫌いだった。 (a38) gt 2022/08/17(Wed) 20:08:51 |
ビアンカは、けれど、ここに居続ける。 (a39) gt 2022/08/17(Wed) 20:09:10 |
ビアンカは、旅行になんていかない。 (a40) gt 2022/08/17(Wed) 20:09:23 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → ”昼行灯” テンゴ「そ。 まあ、女ですからね。 いつだって身の危険は感じてる」 冗談めかして笑いながら、自らを抱くように腕を組む。 寒くもないはずなのに、強く圧された指先が白んでいた。 「大切なもの?」 あなたの忠告を、レコーダーのように繰り返す。 ――そのレコーダーはノイズ混じりでがりがりと歪んでいて、きっとずいぶん昔に壊れてからそのまま、置かれているのだろう。 別に、珍しいことじゃない。 「処女なら、随分昔に無くしたわ」 他にはなんにも持ってない、と嘯いて。 握り締めた掌を、今度はひらひら、無責任に振ることはなかった。 「………あんまり営業妨害するのは気が引けるな。 ねえ、おすすめはある? これ、どこのお菓子? チャイナ?」 (-304) gt 2022/08/17(Wed) 20:16:19 |
【秘】 翠眼 ヴェルデ → 小夜啼鳥 ビアンカけれど、その頼りない腕が少年を拾った。 守りたいとか、どうにかしたいとか、そういうことじゃない。 そういうことができる者はきっと、他にいくらでもいるのだろう。 それでも。 あなたがしてくれたことを返したいと思うぐらいにはなったのだ。 「じゃあ、その十年で」 「おれがもっと他のことをできるようになって、あんたを拾えばいい」 少年は、ばかだ。 学はないし、碌にものも知らない。 ばかなこどもだ。 それがどれほど大変なことか知らない。 あなたの手を引く。 話はまだ終わっていないから。 「死にたくないのはあんただろ」 (-307) beni 2022/08/17(Wed) 20:31:21 |
【秘】 小夜啼鳥 ビアンカ → 翠眼 ヴェルデ「ばか」 ふ、と笑う。 「教えなかったっけ」 「男は、女を置いていくもんだよ」 手を引かれて、ゆっくりと振り返る。 肩越しの顔が、あざけるように歪んだ。 「その時私は三十四。 十年体を売れば、もう売るものなんて残ってない。 積み上げた借金は、きっともう返せない額に膨れ上がって、 私の女としての部分を全部ツケと利息でぐしゃぐしゃにする。 あんたも十年たてば、きっと大切なものがたくさん手に入る。 素敵なものがたくさん。 そんなとき、ごみを拾いに戻る必要なんてないんだよ」 はあ、と。 溜息に、どこか甘い香りが混じる。 ――酒の匂いだ。 「死にたくなんてないよ。 けど、生きていてもそんなに、よくはない」 (-309) gt 2022/08/17(Wed) 20:42:55 |
【秘】 花で語るは ソニー → 小夜啼鳥 ビアンカそうだろう、と繰り返すのは先と同じ言葉になるから、相槌だけで過ごされる。 やたらに相手の境遇や過去を聞きたがるわけではなかったから、相手も話したりはしなかっただろう。 そしてきっと相手も、金を払っている間のリップサービス以上には興味を寄せなかっただろうから、 男が何処で生まれてどう育ったかなんてのは、聞かされていないはずだ。 それでも真っ向から、裏稼業の浪漫なんてものに浸りきっている人間は、 よほど血筋に硝煙の匂いの染み付いた人間だけでしかないのを、知っている。 互いはそうではないということも、わかっている。 相手の、強い表情を横目に見遣りはしただろう。 ぎょっとしたりもしなければ、二度見して確認したりもしない。 ただ、少しだけ黒目は下の方を見つめがちになって、改めて道路の先の方に視線を移して。 運転に支障のあることはしないし、動揺してみせたような様子もない。 「……今度から」 余計なお世話なのだろうし、きっと言ったところで相手の覚悟が揺らぐわけじゃない。 彼彼女らの間でどんなやりとりが交わされていたのかだって、わかりゃしない。 納得済みの話なのだったら、それこそ無駄な忠告でしか無いだけのものだ。 「ウソつく時は、話切り出す時から貫いておいたほうがいいよ」 どこが、何が、なんてのは敢えて口にせずとも伝わるのだろう。心当たりはあるだろう? ゆっくりと、海岸線を窓の中に切り出しながら車はゆるやかなカーブを曲がっていく。 街を見下ろすほどの勾配もなくじきに市街に差し込んでいけば、 そのうちに車に乗り込んだ場所にほど近い風景が見えてくる頃だろう。 話し合いは、もうそろそろおしまい。 (-312) redhaguki 2022/08/17(Wed) 20:52:30 |
[1] [2] [3] [メモ 匿名メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新