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【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ交わる指を見つめ、小さく吐息を零す。 それに含まれた感情の名前はまだ見つからない。 ……それでも、今はそれでいいのだろう。 離れていく指のその全てを見届けて。 乱される髪に温かな感情を抱く。 「──…この命、家族のために。 裏切ることは、ありません」 いつものように真っ直ぐに見つめるのは。 感情が薄いなりの表現だ。 心からそう思っていることを、伝えるための。 拾われたあの日から、道連れになる覚悟は出来ている。 例えあの日にただ頷くだけの子供だったとしても。 心のどこかで、そう考えていたはずだから。 ▽ (-448) sinorit 2022/08/23(Tue) 20:10:14 |
【秘】 Niente ラウラ → デッド・ベッド ヴェネリオ貴方の言葉は、夢物語だ。ない未来が描かれている。 それでも、どこかそれを現であればと願うのだ。 叶わないと知っていて。 それでも約束や願いを止められない。 だから。……だから。 ゆったりと頷いて、その夢物語を想像しよう。 信じるには難しく それでいて、優しい夢を──…。 「……趣味、は………分かりません。ですから、ヴェネリオ様と。 …………一緒に、探したいです ね」 貴方の趣味を知っても目を瞬かせるだけ。 それから、どんなものを見ているのか問いかけてみたり。 お菓子は頼まれれば作ろう。 上手く出来たら皆で分けて、そんな様子を眺めて。 叱る声に笑って、"たのしい"その日々を 過ごしていこう。 その夢に切なさを抱き、温かさを得ながら。 交じりあった熱を握りしめ また小さく吐息を零した。 (-449) sinorit 2022/08/23(Tue) 20:10:53 |
【秘】 名もなき医者 リカルド → Niente ラウラ取り戻した感情は、まだほんの小さなものだったかもしれない。 まだまだ迷い子のように彷徨ってしまうのかもしれない。 それでもきっと、死んでしまっているとしても遅すぎることはないはずだ。 考える頭、心があれば、いつだって取り戻して良いもののはずだ。 それくらいの悔いがあるほうが丁度いい。 空の上から見下ろして、雨となる涙を流せるくらいのほうが、きっといい。 回された腕が、泣いているように感じて、 ぎゅ、と抱き寄せた手に、少しだけ力を込めた。 止まない雨はないのだから、いつだって泣いていい。 「あぁ、寂しい、な」 そう思うから、こうして熱を与え合うことができるのだ。 (-458) eve_1224 2022/08/23(Tue) 20:44:10 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロ近づく足音に振り返る──訳もなく。 そこにあるのはただの器だ。動くはずもない。 貴方の声を死体は聞かない。 貴方の言葉を死体は聞けない。 名を呼ぶ声に──声を、言葉を……返せない。 触れる手も、何もかも 知ることなど出来ない。 それが死ぬということだ。ここには、何もない。 ▽ (-459) sinorit 2022/08/23(Tue) 20:47:31 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロ持ち歩いていたものは些細なものだ。 けれどここにあるのは、たったひとつ。 ならば他はどこに消えたのか。…死者は語らない。 ただ、そのたったひとつが守るべきものだった。 そのたったひとつを 届けたかった。 ……なんて、それさえも理解は出来ないだろう。 フレームは、簡単に外れた。 そこにあるのは2枚のメモだ。 ならばそれを隠したものは誰か。 貴方はきっと知っている。名前も、あるし。 その文字を、見たこともあるはずだから。 小さめで、主張の少ない文字。 それぞれに書かれた内容は……違うもの。 勿論宛先も。……1枚は、届かないものかもしれない。 ▽ (-461) sinorit 2022/08/23(Tue) 20:48:20 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロ1つ目のメモは、貴方に向けて。 急いだようには見られない文字がそこに並んでいる。 そして、それをじっくりと書く時間はあまり無かったようにも。 ならばいつ書いたのか。……それも、語られることは無い。 ──────────────────────── マウロ様 ラウラをお傍に置いてくださり ありがとうございました ラウラはマウロ様の不器用な優しさが好きでした ずっと お慕いしております 貴方に栄光と勝利が訪れますように ──────────────────────── …………。 ……。 ▽ (-462) sinorit 2022/08/23(Tue) 20:48:48 |
【秘】 Niente ラウラ → 無風 マウロもう1枚も、宛名が記されている。 少しだけ 端がくしゃりと歪んで、折れていた。 ──────────────────────── ツィオ様 ラウラは ツィオ様が好きです あの日 貴方に触れたことに後悔はありません 幸せに なりたかった ──────────────────────── ………………。 …………。 貴方がこの2枚をどうするか。 それは自由だ。 破いても、隠しても。燃やしても。 何だっていい。 咎めるものは誰も──いないのだから。 (-463) sinorit 2022/08/23(Tue) 20:49:22 |
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