月影君、月影君つーきかげくんっ


［てててと小走りで駆け寄るの。
　隣に立ったらにっこり笑顔を向けるの。］


　この前はありがとう。

　今度は私が助ける番よっ！
　見ててね


［意識を集中する。

　

　




［木の上にあった帽子にピンポイントで風を起こす。
　ふわり、と浮遊したそれは木から飛んで
　そのままふわりと落下したの。

　それをキャッチ出来たのは私よ。 ］**



　　　
　
　

　　そんなことないんじゃないかって
　　勘違いをしてしまったんだ。
　　
　

［　逸らした視線の先に移動してくるのを見て
　　少しびっくりして、困ったように笑う。

　　

［　いいお兄さんだね、とか相づちを打ちながら
　　家までたどり着いたら
　　お兄さんにはお礼を言ってもらえた。
　　見つかってよかったです、っていい子みたいな
　　返事をしながら、内心嬉しかった。
　　役に立てたんだって舞い上がってた。
　　
　　じゃあ、僕も帰らなきゃって
　　そのあとは走って家まで帰ったんだけど。
　　遅すぎる、って怒られたのは僕も同じ。
　　そういう事は自分たちだけで解決しようとしない事
　　って釘を刺されてしまったんだ。


　　

　***

［　同じ学校にいるって
　　最初は思っていなかったんだ。
　　だから。君の声が聞こえたときはびっくりした。　］


　　　え、ひいろ……ちゃん？

　　　助ける、って、どういう……

　　

［　木に登るつもりなら止めようかなって
　　ちらりと思ってたことはすぐに消えた。
　　そういう様子じゃなかったから。
　　何か集中している様子の彼女を見ていたら
　　帽子を狙いすましたように風が吹いた。

　　

　　落ちてくる帽子を見事にキャッチした
　　彼女を見ていると、答え合わせみたいに
　　今の現象が何だったのか教えてくれた。　］
　　

［　打ち明けた言葉への反応がどうであれ
　　お礼を言い忘れてたことに気づくと。　］


　　　

　　　みたいだね。


［　君から帽子を受け取ると、笑顔でお礼を言ったんだ。
　　この日、僕にとってのは、君になった。　］**
　　

　

　この時の私は子供だから
　疑いもせずそう信じていたのよ。


　

　
［好奇心の行動はビックリされて>>63
　困った顔にダメだったかな、と首を傾げるの。


　

　
［家族を褒められればそうでしょうって笑ったの。>>64
　お兄ちゃんは何度も頭を下げていたわ。
　帰る時には二人で気を付けてねってバイバイして
　その背が見えなくなるまで見送ったの。


　

　***

［名前を呼ばれればぱぁっと、気分が明るくなるの。
　覚えていてくれたんだって。］>>65


　そう、緋彩。
　言いにくかったらヒーロがお勧めよ


［それはお兄ちゃんがつけてくれた呼び方。
　ヒーローみたいな響きで気に入っているの。］
　

　
　
　へぁっ！？
　え、えと……うん。

　へへ、そ、そうかしら。へへ……


［私が出来たのは本当にささやかな事。
　でも私がなりたい存在に例えて貰えれば>>67
　やっぱりすごく嬉しいのよ。

　そうして帽子をはい、と差し出したわ。］