『おれも』

「オレも！」
文字だけが送られたあと、すぐに通信が入る。録音されるか、直接聞いてもらえるかは分からないまま喋る。

「オレも参加するまで、分かんなかった！みんな普通に参加してて、普通にできることなんだ〜って」

「でも全然違ってて、びっくりしたよね」

「だからさ〜……なんか、オレはイヤなこと押し付けられたみたいには、思ってないよ。
やんなきゃいけないって決めたのはバーナードじゃないし、やんなきゃいけないのを手伝ってくれただけで……だから、ありがとう！」

「そうよ」

短い肯定。その間も、ムルイジは静かに笑っている。
何も思っていない、というわけではないのだけれど、それでもいつも通りに変わりはなく。

だが、貴方の目に浮かぶものに気付いた途端、表情が切り替わった。いつも通りに変わりはないが、慌てて。
そこにあるのは純粋な心配だ。

「あらやだ、今？震えとかが先に来るタイプなのねぇ。ちょっと待ってなさいね」

ポケットからシンプルなハンカチを取り出す。それを貴方の目元に当てようと。

「タオルじゃなくてごめんなさいね。ハンカチで足りるかはわからないけど、好きなだけ泣いていいからね」

あなたの変質に気付いてか一度すっと目が細められる。紡がれる言葉、指先や瞳……そういったあなたを構成するものから感じ取った熱に、細められた目元は笑みのそれへと変わった。
……指先をつ、と動かすしぐさだけでドアロックと照明を暗くしてから手袋を外す。サイドテーブルの上に手袋をそっと置いてからあなたの頬へと指を滑らせて。

「お誘いなのか売り込みなのかどっちだよ？……さておき雰囲気作りはこれでいいよな、あんま尽くされるようなプレイしたことないからお前の手腕に期待するか、ああそうだ」

瞳の輝きが何色か、この暗がりの中でもあなたは見えるだろうか。見えても見えなくても、瞳の奥で僅かに灯った熱くらいなら伺えるだろう。

「――抱かせてくれんの？俺本気にしちゃうけど」

あなたをいつでもベッドに引きずり込めるよう、腕を伸ばして。

/*違うか。
ガンガンイこうぜですわ。自己主張対抗CO！えっちっちですわ！！



マジでステルスぶん投げたい。ステルスぶん投げた上で墓下行ってサポートに回るのもできるわアタイ……になっておりますの……（占霊じゃないことにひっそり感謝しているポイント）　ヌンキPL様……ビッグラブ……ﾁｭｯ

あなたが通信を入れたのならすぐさま通話が繋がる。あなたの言葉をちゃんと聞きたかったので。
……ちょっとだけ通話向こうの声がぐずぐずかもしれない。

「……お前めっちゃくちゃかっこいいなあ……あっぶね、俺が純粋無垢な未成年女子だったら惚れてたわ」

ぐずぐずでもちょっとふざけることは止めない。

「こちらこそありがとう、ちょっと救われた。……また処刑があるって思うとマジで嫌だけど、マジでやりたくないけど、俺も頑張ってみるわ。お互いに頑張ろうな、カストル」

「そういうバーナードはめちゃくちゃかっこ悪くなってる〜……」
ふざけ返したが、ぐずぐずのうちぐずくらいが伝染ってきた。

「がんばれ〜、オレは……あんま頑張れないかもしれないけど……投票もまだ、だし……」

最初こそ目を輝かせていたキファだったが、開始後1分で目の光が消え、3分で表情が死んだ。
スタッフロールが流れる頃には
それでもバーナードからの差し入れはその都度受け取っていたから、まだ理性はあったらしい。

「……私には、早すぎたようです……」

やっとの思いで感想を絞り出す。自分から見たいと言い出した手前、と言い切ることはできなかったらしい。

「他の映画、が、あるのですか？」

ゆるゆると、バーナードに首を向ける。
声が震えている。本当に今度はまともな話だろうかと目で訴えている。

されるがままの貴方を愛おしそうに見つめて。
髪の感触を楽しむように、ゆっくりと撫でている。

「思い出せたのならそれで…終われたら、何よりなのですけれど。先の犠牲者だけというのは不公平なのでしょう。

………と、いうのが建前で。死にたくないし、そもそも痛いのも、苦しいのも、怖いのも嫌です。それを避ける為なら、他者を犠牲にしてでも逃げたいくらい。
ですから、終わりにして帰りたいです。犠牲が少ない、なら最高ではないですか」

「…何より、この後貴方が犠牲になるようなことがあれば。僕は…」

「そりゃあ勿論、俺と言う使用人がどこまでやれるか知ってもらう為の売り込み……、…………」

向けられた熱を真正面から受け止めて、ほうと息を吐き出す。それから言葉を紡ぎ直す。用意していたものを捨てて、心の奥にひっそり現れた本音を。

「…………いいや。誘っているんだよ。
俺は君のことが知りたい。だから──」

伸ばされた腕をに触れる。
二の腕から伝っていき、手袋を脱いで露わになった手へと滑らせ。
指を絡める。縋るように甘え、捕らえるようにいやらしく肌と肌をこすりあわせる。

「──俺を、抱いてくれる？」

/*

もうどうしますのこれ。エピローグ後共に晒し首ならぬ晒しおちんぽですわよ。二人で後追い死しましょうね。



あらゆる場所でめちゃくちゃ動き回りながらサポートするの有能オブ有能すぎて惚れちゃいますわ。もう惚れていましたわ。ホホホ。
もうこれステルス捨てるっすしたも同然ですわよね。わたくしそんな感じでこれから51%様にPL連絡飛ばしますわ。以上ヌンキPLこと歩坂うにでした。アデュー！

感情がぐちゃぐちゃだ。あなたのことも自分のことも苦しくて。
いつも通りのあなたから垣間見える心配の優しさに更に目頭が熱い。
目元への接触を拒むことなく、ハンカチが触れたあたりで涙がひとつ零れハンカチへと吸われていった。ぐす、と鼻が鳴り。

「……ゔ、ん……ッう、もうやりたくない、やるけど、できっけど、違うじゃん……！やだこのゲーム……本当クソ、クソゲーだし――……！」

ゲームへのディスりを忘れず挟みつつもべしょべしょに泣く。
せめて手の震えだけは止めようと両手を握りしめているけれど、嗚咽で肩が震えているのだからあまり変わらない。

「うるせー……知らねー……」

最後の幻想ではない。そちらがぐずくらいになっているのを聞いて少しだけ笑って。

「頑張れないなら周囲を頼れよ、なんて俺がいうのもアレだけどさ……皆優しいから大丈夫。投票だって誰かに委任したっていいんだし、な？
……無理すんなよ。お前、色々大変な役どころなんだしさ」

「あー、あぁー……」

ハンカチを通じて貴方の涙の熱がわかる。
よしよしと慰めるように片手を背に添えれば、その身体の震えもわかる。


「うん、……うん。そうよね……やりたくないわよね……そりゃそうよ……、」

相槌、同意。したところで、また処刑も襲撃も起こってしまうのだけれど。
止められやしないのだけど。

>>a168
『拝啓、シェルタン様！お前また愉快なことになってる気配あるんだけど生きてるー？』

あ！また最悪の連絡だ！いい性格の男の襲来パート２だ！

/*ハァイ、アタイよ。誰かに回収されてないならちょっかい出しに行こうかしらの気持ちでいるわ。他の方が回収しているのなら馬鹿の連絡後に通信切るから安心してちょうだいな！

「実はこれ、まともじゃなくて……いわゆるクソ映画とか呼ばれるZ級映画で……普通はなかなかこんな見えている虚無に突っ込んでいくやついないんだけど……シトゥラは無自覚Z級ハンターかもしれなくて……」

あ！まともじゃないってはっきり言った！
おずおずと伏線回収もといネタ明かしだ。完全に興味本位だけで多くの人間を犠牲にしてしまった。


「普通にまともで面白い名作映画とかもちゃんとアーカイブにあったから！俺確認したから！な！？」

キファの２時間前と違う顔と震える声に強く強く頷く。大丈夫。俺を信じろ。

「実はこれ、まともじゃなくて……いわゆるクソ映画とか呼ばれるZ級映画で……普通はなかなかこんな見えている虚無に突っ込んでいくやついないんだけど……シトゥラは無自覚Z級ハンターかもしれなくて……」

あ！まともじゃないってはっきり言った！
おずおずと伏線回収もといネタ明かしだ。完全に興味本位だけで多くの人間を犠牲にしてしまった。


「普通にまともで面白い名作映画とかもちゃんとアーカイブにあったから！俺確認したから！な！？」

キファの２時間前と違う顔と震える声に強く強く頷く。大丈夫。俺を信じろ。

あなたの本心。至って正常で、だからこそこの状況に恐怖も苦痛も覚えざるを得ないだろう心に触れ、幾度となく相槌を打ちながらも肯定の意を示して頷く。
話題が犠牲という話になればあなたを抱き寄せて一度触れるだけのキスしようとするだろう。

「……犠牲はお互い様だろ。俺もお前もあらゆる死と犠牲の矛先になり得る立ち位置にいるし、俺だってやだよお前が死ぬの。
ただ、お前に処刑で殺されるのなら……お前にとって一番楽なタイミングと殺し方を選んでほしい。蘇生してもらった後で精神鑑定をクリアさえすれば、また帰って来れるんだからさ」

元通りに、かは分からないが。

触れるだけのキスを、静かに受け入れる。それはとても幸せな筈なのに、貴方を失う事を思うと苦しくて、呼吸の仕方すら忘れそうになる。

「……貴方を苦しめて、殺すことになるなら。…僕は、せめて…、…ッ」

“同じ痛みを理解したい”なんて怖気づいて、言葉にすらできないのに。そんな覚悟を持てるほど、僕は出来た人間じゃないのだと、自分が一番理解している。
…だから。

「……貴方を、僕の居ないところでは、奪わせない」
「…奪わせたくない」

「――ああ、喜んで」

個の概念に薄いあなたからの明確な意思表示に瞳の奥の熱の一端が腹底へと落ちていく。ぞく、と沸き上がる感情はこれから始まる行為への期待から生じた肉欲だ。
絡めた指を逃がさぬよう力を込めそのまま己の方に引き寄せる。ベッドの上へとあなたを誘う素振りだ。

あなたがバーナードのキスを受け入れるのであれば、舌を絡め歯裏や上顎をなぞることになるだろう。受け入れないのであれば、唇が頬から首筋へと伝い舌があなたの首の輪郭を確かめるように這わされることだろう。

この男、存外あなたを労わった抱き方をする。初めて抱く両性具有にどう振る舞ったらいいか逡巡することはあれど、困惑や気後れを抱くことはほぼない。

/*
PL会話が最低過ぎますのよ！！！！

いやでもアタイ達晒しおちんぽですわ……晒しおちんぽってご自由にお使いください……ってコト！？

あらゆる場所でめちゃくちゃ動き回りはアナタに特大ブーメランですわ！アナタ、色々イベント起こしつつ秘話での交流もしつつ議論もやりつつで大暴れじゃありませんの！！本当に惚れちゃいますわ。惚れちゃってましたわ。挙式は海の見える教会でしましょうか。アタイもそんな感じでPL連絡飛ばしますわね！以上バーナードPLこともちぱいでした。シーユー！

『･･･何故わかるのでしょうか』

少し迷いました。なんせずぶ濡れ。
髪も服も水を吸って思いです。

『中庭 服 タオルを頂けるとお礼に何かさせていただくかもしれません』

迷った末に欲しいものを言ってきた！うわ！
でも本当に困っています。このまま処刑は。

/*
誰にも回収されていませんﾃﾍｯ
ちょっかい是非是非 よろしくお願い致します

「じゃあバーナードにたのむ……」
すっすっ。流れるように委任した。

「優しいのは知ってるけどさぁ〜〜……よ〜く考えたら、丸投げしちゃいけないのくらいわかるし……」

あなたがバーナードの背に手を添えるのなら、硬質な感触があなたに伝わることだろう。
コートの内側、編み込まれるように全身に纏った電子機器が背に緩やかな凹凸を作っている。
暫く嫌だの最悪だのクソゲーだのやめたいだのクソゲーだのと泣いていたのだが、落ち着いてきてからは若干赤くなった目であなたを見ている。

「……マジでやりたくないし気持ち悪いしって感じなんだけどさ。俺、ムルイジのことも苦しいよ。それってお前にとって『いつも通り』になるくらいのことがあったってことだろ？そうなったのにゲームに参加させられるの、一周回ってしんどくね？」

「……ああ、そうだよな」

色々なものを察して頷く。ほぼ確信として抱いていた思考なのだ、察する材料自体は十分に足りていた。
同時にあなたの言うそれがあなたにとっての精一杯であると思っているのだから、嬉しくなる。

感じるべきではない痛みなど理解しないに限るのだ。だから、あなたがそれを言い出さなかったことが嬉しい。

「お前の思うようにしてくれたら、俺はそれでいいよ。……あ、と、苦しめて殺すっていうけど、そもそもそこまで長く苦しむかはわからねえよ？っほら、苦しくない殺し方をしてくれるやつとかいるかもしれないじゃん。テレベルムとか……シトゥラみたいに、さ」

自分の安心のためかあなたを宥めるためか抱きしめようとする。はぐはぐ。

『なんでだろーな？なんでだと思う？ヒントは俺の装備している電子機器！』

全身に色んな電子機器を装備している男だ。きっとどこかのカメラとかを覗き見たのだろう。

『おう、すぐ行くわ。お前のサイズ分からないけど俺のサイズならまあ着れるだろ。部屋に行くまでくらいは問題ないと思う。……あーお前のびしょ濡れ姿楽しみー♡』

最悪のキャッキャをしながら中庭へ向かう。びしょ濡れ姿を見たいだけじゃないか？


/*わーいじゃあいただき！よろしくお願いいたします！

「おっけー任せろ。投票先はシェルタンであってるな」

再確認。委任されたのにうっかりサルガスに投票するなんてミスはあってはならないので。

「丸投げできない処刑って時間が嫌でも来るんだ、それ以外で負荷を軽くできるならいくらでもやりゃいい。……いやー俺占い師じゃなくてよかったーその辺の悩み諸々すっ飛ばせる♡」

あ！最悪の発言だ！なおわざと明るく言っている。

手に伝わる凹凸に気付きはするものの、今は重要ではない。ムルイジが電子機器を狂わせることもない。
泣いている間、好きなだけ泣かせ、ハンカチの湿った面を変えたり相槌を打ったりしていた。が、こちらを見る目に気付いて。

「……どう、なのかしらね」

静かな声。それは冷淡ではないが、荒立つものを隠すものでもない。

「前、聞いたわよねバーナード。アタシに、経験者かって。そうよ、アタシ結構ババアだからね、一度前に参加したことあるわ。
…………アタシ、その時も同じだったわよ。怖いし苦しいけど、やりたくないけど、……こうなの」

ふふ、と自嘲混じりに笑う。茶化すような誤魔化すような笑みでもある。

「やれちゃうのよ。いつも通り。直後にカウンセリング受けても、A判定貰えちゃうのよ。……アタシ、薄情なのかしらね。
……心配してくれてありがとう、でも、だから、いいのよアタシのことは」