21:30:46

人狼物語 三日月国


169 舞姫ゲンチアナの花咲み

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


到着: サルコシパラ

【人】 サルコシパラ




   「命の終わりは美しいものだ。」



      そう信じてやまない男が今日も生を屠る。



(4) 西 2022/08/08(Mon) 2:02:21

【人】 サルコシパラ



男の周りは
で満ちていた。


(5) 西 2022/08/08(Mon) 2:07:33

【人】 サルコシパラ




   自分を産み落とすと同時に事切れる母
   妻に取り残された事実に絶望し首を吊る父

   空腹に泣く人を救うために喰われる家畜
   疫病によって命を落とす幼子達

   踏みつけられた花々のように
   男の周りではいつも誰かが枯れている。




(6) 西 2022/08/08(Mon) 2:10:38

【人】 サルコシパラ



   しかし男だけが死から逃れ
   死に取り込まれる人々を見せつけられる。

   それでいて、その散り際は美しくも儚く、惨く。
   男はいつも怯え、惹かれ、無情を憂いた。


(7) 西 2022/08/08(Mon) 2:12:12

【人】 サルコシパラ



    男の名はサルコシパラ。


      命の輝きに魅入られ、花を愛した
      孤独で哀れな、たった一人の人間である。



(8) 西 2022/08/08(Mon) 2:15:30

【人】 サルコシパラ



 ───朝の一幕:自宅───


     「今日もお前は可愛いね。」



   自宅の花瓶に活けられたバラを撫でると
   サルコシパラは口角を高く吊り上げる。

    W人との関係を持とうともせず、
     一心不乱に花を溺愛する青年。W


       W花と結ばれる為に生まれた男。W


   すっかり街では奇人の扱いを受け
   奇異の目で見られることも何処吹く風。
   サルコシパラの一日とは、大体そういうものだ。


(9) 西 2022/08/08(Mon) 2:18:47

【人】 サルコシパラ



   ただ以前と違うことを
   ひとつだけ挙げるとするならば。


     「おはようございます。
      今日も綺麗ですね。」


   数年前から同居を始めた者がいるということ。
   血縁も何もない。
仮面の中を見せることも滅多に無い。

   それでも身寄りのいないサルコシパラにとって
   それはたった一人の家族のようなものだった。

   
(10) 西 2022/08/08(Mon) 2:21:38

【人】 サルコシパラ



   サルコシパラに同居人が増えたと
   驚きを隠せない街の人間に
   サルコシパラは笑いながら言う。


   「そんな滅多な関係じゃないですよ。
    毎日口説いて、毎日振られてますから。」


   そう、サルコシパラと同居人…
   ウユニ
との関係とはそういうものだ。**



(11) 西 2022/08/08(Mon) 2:24:13

【人】 サルコシパラ



     「そんなことはありませんよ。
      この子達も貴女を家族と認めている。」


   花々にとって彼女は敵ではない。>>25
   その事はサルコシパラが誰よりも知っている。

   知ってか知らずか
   認めていないのは彼女だけのようだ。


(31) 西 2022/08/08(Mon) 22:38:39

【人】 サルコシパラ



   認めたくないのか
   認めるわけにはいかないのか>>26

   その御心は
   ただの人間風情には推し量れない。



(32) 西 2022/08/08(Mon) 22:39:22

【人】 サルコシパラ



   何をもって普通と呼ぶか
   なにをして奇とするか

   ただ一つ確かなことは
   普通などという不安定で曖昧な戯言には
   なんの価値もないということだ。**



(33) 西 2022/08/08(Mon) 22:39:50

【人】 サルコシパラ



   あの日は珍しく、世界が
に満ちていた。>>27


(34) 西 2022/08/08(Mon) 22:41:02

【人】 サルコシパラ



   花に魅入られた者の苦悩>>23
   虐げられた過去>>18>>19>>20


   緑丘に芽吹く一輪の竜胆の傷痕など
   何一つ知らない人間が持つ感情は


            美しい。>>28



   ごくごく自然で普遍的なもの。


(35) 西 2022/08/08(Mon) 22:42:18

【人】 サルコシパラ



   それは
花弁
の導きか
   それとも彼女が導かれたのか。>>29

   何か一つが噛み合わなければ
   出会うことは無く、結ばれなかった縁

   サルコシパラは嗤う。
   生まれて初めて、運命という言葉を信じたのだから。


(36) 西 2022/08/08(Mon) 22:42:54

【人】 サルコシパラ




  (よもやこの私が運命?
   滑稽だろう?それでいて光栄だ。


         私は貴女に選ばれたのだろうか。
         貴女が私の事を選んだのだろうか。)



(37) 西 2022/08/08(Mon) 22:43:30

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   (私は知りたかったんだ。

        貴女に出会った因果の行く末を。)



(-1) 西 2022/08/08(Mon) 22:44:37

【人】 サルコシパラ



     「ごきげんよう。
      この広い場所に一輪の
竜胆

      少しばかり寂しいものですね。」


(38) 西 2022/08/08(Mon) 22:46:45

【人】 サルコシパラ



   お困りのようなその背中に
   サルコシパラは声を掛ける。>>30


         それが二人の、始まりの日。*



(39) 西 2022/08/08(Mon) 22:48:03

【人】 サルコシパラ



   サルコシパラがウユニと同居を始めてから
   最低でも1年は経つ。

   しかしサルコシパラが知るウユニなど
   氷山の一角、せいぜい数パーセントの欠片だ。

   それが証拠に、その言葉が紡がれたきっかけ
   過去のしこりをサルコシパラは察することが
   出来ずに、見込みのない憶測を浮かべては
   ひたすらに首を傾けるばかり。



(50) 西 2022/08/09(Tue) 1:06:54

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   しかしながら


     「どうでしょう。
      生憎、私は普通の家族というものを
      知らずに育ちました。

      だから何が家族として正しい形なのか
      私にはわかりかねる。」


   そう前置きして。


(-8) 西 2022/08/09(Tue) 1:07:26

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「少なくとも私が貴女を家族と思うのに
    これといった理屈はありません。

    ただ貴女を家族と想いたいと
    私の意志がそう言って聞かない。

    言うなれば、直感というやつです。」


(-9) 西 2022/08/09(Tue) 1:08:23

【人】 サルコシパラ



   人間に伝えられたことはひとつ
   紛れもない己の強い意志のみ。

   部屋を彩る崇高な花々は
   静かに、寂しげに。
   
   その選択の未来を、見据えていた。>>41>>42**


(51) 西 2022/08/09(Tue) 1:09:31

【人】 サルコシパラ



   そう、全ては直感だった。

   運命を感じたことも。
   この場所で出会った彼女と
   ここで今生の別れにしてはならないと
   そう思わずにはいられないことも。

   そこには合理性も理性も何もなく
   ただ情動に赴くままの選択。

   己の直感に従った結果だ。


(52) 西 2022/08/09(Tue) 1:12:23

【人】 サルコシパラ



   どちらがきっかけであったのか。
   それはもう、些細なことなのかもしれない。




(53) 西 2022/08/09(Tue) 1:13:06

【人】 サルコシパラ



   「えぇ、確かにそうかもしれません。>>46

    しかし『
寂しい愛情
』などという花言葉を
    充てがうような人もいるくらいですから。

    寂しさを受け入れられない
    そんな竜胆がいてもいいと思うんです。」


(54) 西 2022/08/09(Tue) 1:15:22

【人】 サルコシパラ



   どれだけ精神を研ぎ澄ませようとも
   決して慣れることなど無い孤独の感情を
   サルコシパラは誰よりも知っているつもりだった。

   そして孤独の痛みを紛らわす方法は
   自ら孤独を選び、他者を排除すること。

   喧騒の街から逃げるようにここに来ること。

   他者に踏み込むことをやめ、佇むこと。>>47



(55) 西 2022/08/09(Tue) 1:38:50

【人】 サルコシパラ



   サルコシパラが彼女を放っておけなかったのは
   ぽつりと湧いて現れた同族意識のせいだったのか。


   「安心してください。
    貴女が住む場所を持たずに
    路頭に迷っていることくらいしか
    聞いてはいませんから。」


   意地の悪い答えを返すと
   サルコシパラは被っていた仮面をずらして
   街の人々には魅せない己の心境を零す。


(56) 西 2022/08/09(Tue) 1:39:50

【人】 サルコシパラ



     「独りになりたくなくて
      独りになろうとここに来ました。

      この丘の上が、好きなんですよ。」


(57) 西 2022/08/09(Tue) 1:41:53

【人】 サルコシパラ



   孤独にはなりたくないのに
   いつか自分から人を遠ざけ孤独を選ぶ。

   矛盾に満ちた己の行動を
   孤独を埋める形でひとつの線に繋げてくれた
   彼女はむしろサルコシパラにとっては感謝の相手。

   それが、ウユニのか細い不安への答え。*

(58) 西 2022/08/09(Tue) 1:42:25

【人】 サルコシパラ



   あの言葉は未だ忘却に至ることがない。>>67
   独りじゃなくなると悪魔のような提案をする彼女の姿に
   僅かばかりの優しい棘を感じたことも。

   つまるところ利害関係でしかないし
   それ以上に至らないための線引き。

   彼女の言葉をサルコシパラはそう解釈していた。


(68) 西 2022/08/10(Wed) 21:46:48

【人】 サルコシパラ



   珍しい病気だというのに
   寄り添うどころか疎んだという彼女の肉親に
   サルコシパラは内心ささくれ立った。>>59

   その奇病がどんなものであったとしても
   サルコシパラの思う家族の在り方の中では
   誰よりもウユニの味方であるべきなのだから。


   その小さな苛立ちは同情へと変わり
   いつかは彼女を慮る心へと変革を遂げ
   ついには彼女がどれだけ住まうとも構わないと
   明確な意志へと育まれていった。



(69) 西 2022/08/10(Wed) 21:47:54

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   彼女が独りに戻る姿
   想像するだけで胃液が込み上げてくる。

   孤独の味をよく知っている身体の細胞全てが
   「彼女を独りにするな」と警笛を鳴らしていた。


   それは結局サルコシパラの独善で
   自分のような思いをこれ以上したくないと
   身勝手な世話焼きに過ぎない。

   当の本人も、重々承知した上で
   ウユニを長く傍へと置くことを許している。>>59



(-18) 西 2022/08/10(Wed) 21:48:25

【人】 サルコシパラ



   だからあの時、静かに笑うウユニに…>>67


(70) 西 2022/08/10(Wed) 21:49:13

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「ここで出会ったのも何かの縁だ。
        その話、乗りましょう。」


(-19) 西 2022/08/10(Wed) 21:49:48

【人】 サルコシパラ



   被っていた仮面をずらして
   サルコシパラは彼女に微笑んだのだった。**


(71) 西 2022/08/10(Wed) 21:50:12

【人】 サルコシパラ



   しかしサルコシパラには迷いもある。
   手折られるのを待つ竜胆が彼女なのか
   それとも自分なのだろうか。>>63

   あの日から数年が経った今でも
   その答えを導き出すことが出来ないでいた。


(72) 西 2022/08/10(Wed) 21:50:55

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   サルコシパラには分かっていた。

   そうなってしまう原因は
   彼女のことをあまりに知らなすぎるからだと。

   彼女の過去も、心も>>64。何も知らないまま
   自分達は此処まで来てしまったのだと。


(-20) 西 2022/08/10(Wed) 21:51:35

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   ウユニを受け入れるためには
   彼女のことを知る覚悟がいる。

   肉親との決別をもたらした病のことも
   その症状や、病の行く末も
   今の自分はあまりに知らなすぎる。


(-21) 西 2022/08/10(Wed) 21:52:05

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   その憂いに応えるかのように
   ウユニの声に決意が帯びていく。

   味方であって欲しいと。
   あの日彼女の肉親に感じた小さな憤りを
   まるで同じことを願うかのように。


   一度彼女から目を離し、背を向け
   花々の様子を伺っていたサルコシパラが
   もう一度導かれるように振り向くと

   
(-22) 西 2022/08/10(Wed) 21:54:26

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   衣服の擦れる音
   純白の肌に囲まれて


         ─── 一輪の花が咲いた。



(-23) 西 2022/08/10(Wed) 21:56:53

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   サルコシパラは驚きを隠せずに
   思わず息を飲んでしまう。


      「それが……あなたの……?」


   あと数年しか生きられない身体だとか
   癌に侵されているだとか

   思いつく限りの最悪な想定の外側で
   彼女の秘密が明かされていく。


(-25) 西 2022/08/10(Wed) 21:58:20

【独】 サルコシパラ



         なんて美しいのだろう。
         そう言いかけた言葉を飲み込み。


(-24) 西 2022/08/10(Wed) 21:58:43

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   命の終わりは美しい。
   その一瞬の輝きに全てが詰まっている。

         今掴み取ってしまった未来も同じ
         この一瞬が、全てなのだ。*



(-26) 西 2022/08/10(Wed) 22:01:28

【人】 サルコシパラ



   病気は感染るもの。>>74
   我が身可愛さに身内をも切り捨てる。

   それはトカゲの尻尾を切るのと
   同じだとでもいうのか。

   繋がり、応える手はそんな残酷な過去への
   反抗だったのかもしれない。>>76



(83) 西 2022/08/11(Thu) 8:08:46

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「花咲病…………」


   知らないと言わんばかりに
   サルコシパラは彼女の告げた病を復唱する。

   聞けば治療法は今も探している途中で
   この先どうなるかも分からないようだった。

   彼女が恐れているのであろう拒絶よりも
   サルコシパラが思ってしまうのは強い不安。
   病気などという不透明なもののせいで
   家族
を失うかもしれないのだから。


(-35) 西 2022/08/11(Thu) 8:10:00

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「思いませんよ。

      私は普通ではありませんので。」


(-36) 西 2022/08/11(Thu) 8:10:42

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   サルコシパラは不安を胸に抱えながらも
   怯えたようなウユニに向かって
   正直に自身の思いを告げてみせる。

   W普通Wの反応をよく知っているウユニは
   W普通Wの答えを強く恐れている。

   サルコシパラにはそんな様に思えてならず
   強い否定の気持ちが募っていく。

   サルコシパラは気づけば
   ウユニの手を取り、強く握りしめていた。


(-37) 西 2022/08/11(Thu) 8:11:10

【秘】 サルコシパラ → ウユニ




   彼女が勇気を持って飛び越えた一線。
   その一線はサルコシパラの強い感情を
   理性の檻から解き放つことにもなる。

   ウユニが自身と家族でありたいと
   そう思ってくれてるのだと考えれば
   これ以上の幸福などありはしない。

   サルコシパラにとってそれは願いであり
   望んだ未来の形そのもの。



(-38) 西 2022/08/11(Thu) 8:11:41

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「ウユニさん。

      どうか、此処にいてください。
      私にはあなたが必要なんです。」


(-39) 西 2022/08/11(Thu) 8:13:00

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   途切れた言葉のその先をなぞるように
   サルコシパラは真っ直ぐにウユニの瞳を覗く。

   いてもいい、のではなく
   いてほしい、のだと。

   その言葉の違いはウユニにしか伝わらない。
   ウユニの想いの全てを知らないままの人間は
   身勝手に、貪欲に、彼女を受け入れる。

   それがサルコシパラの答えなのだ。


(-40) 西 2022/08/11(Thu) 8:13:44

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   結局はわがままと一緒だ。

   彼女がこちら側に歩み寄ってくれたから
   サルコシパラも一線を超えることに
   もう耐えられなくなってしまったのだから。**



(-41) 西 2022/08/11(Thu) 8:14:12

【人】 サルコシパラ



   それはウユニがサルコシパラの家に
   住むようになってからしばらくのこと。>>78

   生計を立てるという人間の義務を
   二人が免除されるなんてことはない。>>79

   その代わりということだったのだろうか。
   ウユニは家事を全てこなすようになった。
   サルコシパラが済ませようと腰を上げても
   ウユニが既に済ませてしまっている。

   その度にサルコシパラは妙な罪悪感に
   見舞われることになった。


(84) 西 2022/08/11(Thu) 8:14:52

【人】 サルコシパラ



   またしばらくすれば
   今度はウユニは自ら生計を立てる術を
   身に付け、その手腕を発揮する。

   裁縫が得意という言葉に嘘偽りなく。
   確かにその力は本物だった。

   なんと頼もしいことだろう。
   そんな感心を抱くサルコシパラには
   彼女の稼ぎを貰おうなどという発想などなく。



(85) 西 2022/08/11(Thu) 8:15:44

【人】 サルコシパラ



   ウユニがサルコシパラに稼ぎを
   渡そうなどという時には仮面越しにも
   伝わるほどの拒否感を滲ませて。


      「それはあなたのものです。
       もし私に渡そうなどというのなら
       私は今すぐあなたの為に服を買います。」


   なんて言って冗談交じりに
   淑女が着るようなドレスのカタログを
   見せたりもしたことだろう。


(86) 西 2022/08/11(Thu) 8:16:23

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   たった数年とはいえ
   共に過ごせば少しは性格も分かる。

   ウユニが義理堅いことを知った
   サルコシパラはウユニがお金を使わずに
   貯めているのではという考えに至れば。


      「貴女に似合いそうなドレスですね。」


   そう言ってニッコリと圧をかけながら
   ウエディングドレスの写真でも見せることも
   あったかもしれない。


(-42) 西 2022/08/11(Thu) 8:17:24

【人】 サルコシパラ



   そんな経緯を経て
   この共同生活も板についてきた頃。

   服がほつれていることに気づかないまま
   過ごしていたサルコシパラに
   ウユニから申し出があり。>>80


     「あ…すみません
      ではせっかくなのでお願いします。」


   お言葉に甘えてと照れくさそうに
   頭を搔くなんてこともあった。

   それはサルコシパラにとって
   ウユニは信頼に値する人であるという証明で
   家族としての絆を育んでいる何よりの証拠。


(87) 西 2022/08/11(Thu) 8:18:21

【人】 サルコシパラ



   そんな時期にもなれば
   貰い物を遠慮する気持ちよりも
   歓喜の感情が先回りしていくもので。

   差し出されたひざ掛けを>>81


     「ありがとうございます。
      せっかくあなたがくれたんですから
      もちろん、大切に使いますよ。」


   そう言って受け取りもしただろう。>>82
   充分売り物になりそうな仕上がりの
   竜胆が彩るひざ掛けの意味は
   口にするのも野暮というものだ。



(88) 西 2022/08/11(Thu) 8:18:56

【人】 サルコシパラ



   幸せな日々というものを
   サルコシパラは日々感じるようになった。

   ウユニの存在はそれだけ大きく。
   次第にサルコシパラに強い感情も芽生えて。

   それでもこの関係をより深めなかったのは
   彼女が病に侵されているという事実が
   頭の中にあったからだ。



(89) 西 2022/08/11(Thu) 8:19:25

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   彼女が病に侵されていても
   自身の気持ちが変わることは無い。

   しかしその身体が虚弱だったとしたら
   やはりどこか気は遣ってしまうもの。

   けれど病のことを打ち明けられれば
   今度はサルコシパラの強い感情が
   彼女と一線を越えようと暴れ出す。



(-43) 西 2022/08/11(Thu) 8:20:53

【人】 サルコシパラ


   この未来を辿ったきっかけは

         彼女の勇気と──────。**


(90) 西 2022/08/11(Thu) 8:21:44

【人】 サルコシパラ


   ウユニから病気のことを告げられた日の夜
   サルコシパラは珍しく夜更けになっても
   眠りにつかないまま自室にいた。


   部屋が複数あるサルコシパラの自宅では
   リビングの他にサルコシパラの部屋と
   ウユニの為の部屋、そして空き部屋があり
   夜は特段の用事がなければ
   互いの部屋に入ることも滅多に無い。



   脳裏によぎるのはもちろん
   ウユニの抱えている病のこと。

   彼女の家族でありたいと願う者として
   病のことを知るのは責務だと
   サルコシパラはそう考えていた。


(91) 西 2022/08/11(Thu) 8:39:15

【人】 サルコシパラ



   しかし本を読み漁っても
   有力な話は何も出てこずに

   深夜、サルコシパラは独りで
   落胆し、肩を竦めていたのだった。


(92) 西 2022/08/11(Thu) 8:39:28

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   それから普段なら眠りにつく所を
   サルコシパラは立ち上がり部屋を後にする。

   そうして向かったのはウユニの
   彼女が眠っているであろう部屋だった。



(-44) 西 2022/08/11(Thu) 8:39:50

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   彼女を起こさないように静かに扉を開ける。
   普段被っている仮面を今だけは付けもせずに

   彼女が寝静まるであろう時間を狙って
   サルコシパラは彼女の部屋に入ると。

   暗がりの中、ベッドに座り
   ウユニの姿を視界に捉えて
   その頭を優しく撫でてみせる。

   もしかしたら目覚めているかもしれない。
   でも願わくばもう少しだけ目覚めないで欲しい。


            そんな想いを抱えて。



(-45) 西 2022/08/11(Thu) 8:41:05

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   募っていく想い。
   たとえ変人であろうとも
   病に侵されていようとも

   同じ屋根の下に男女が二人
   何も起きないはずもなく。

   サルコシパラは
   髪を梳くように優しく撫でると。



(-46) 西 2022/08/11(Thu) 8:41:59

【秘】 サルコシパラ → ウユニ




   「ウユニさん。

      ……もし起きているのなら
      もう少しだけ…眠ったフリをしてください。」



(-47) 西 2022/08/11(Thu) 8:42:30

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   眠っているか起きているか分からない
   ウユニに懇願するように囁くと。


            彼女の額に口付けを捧げた。*

   
(-48) 西 2022/08/11(Thu) 8:43:13

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   簡単に開く扉は信頼の証。

   ともなれば、これはウユニに対する裏切りか
   それを考える余裕などサルコシパラにはなく。

   彼女の夢の中に手を伸ばすだけ。



(-66) 西 2022/08/11(Thu) 21:25:55

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   微睡みの中、微笑む姿に
   言葉にできない喜びが込みあげる。

   その微笑みの向こう側にいるのが
   自分だとは限らないのに
   自分であって欲しいという願望が
   解釈を強引にねじ曲げ、思い込ませて。



(-67) 西 2022/08/11(Thu) 21:26:43

【秘】 サルコシパラ → ウユニ




   もしも部屋が暗くなければ
   もしも彼女が目覚めていたら

      もしもその手記を見つけていたら>>L0


   こんな過ちは犯さなかったかもしれないのに。




(-68) 西 2022/08/11(Thu) 21:27:33

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   口付けを捧げた後
   サルコシパラはその唇を滑らせて
   首筋へと居場所を変える。

   眠っていて無抵抗だというのに
   ウユニの隣に添うように横になると
   そっとウユニの華奢な身体を抱きしめて。


      「ずっと…僕の物でいてくれたらいいのに。」



   叶わぬ願いを口にするかのように呟くと
   彼女の顔を自分の胸へと埋めさせて

   黒い薄着の中に手を忍ばせると
   白い薔薇のような肌に触れ、背中を撫ぜる。


(-69) 西 2022/08/11(Thu) 21:28:57

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   一度人の恋しさを覚えた男に
   もう一度孤独を選ぶ勇気などない。

   竜胆の香りを知ってしまった者は
   もう二度と、独りには戻れない。



(-70) 西 2022/08/11(Thu) 21:29:48

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「ウユニさん。

        私は……貴女を………。」



(-71) 西 2022/08/11(Thu) 21:33:21

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   切なげな告白とともに
   サルコシパラはウユニの事を求める。

   家族として、一人の男として
   直感の赴くままに。*


(-72) 西 2022/08/11(Thu) 21:33:50

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   目覚めないで欲しいと願う傍らで
   もしウユニの目が覚めたとしても
   最後まで気づかないなんてことは無い。

   サルコシパラも一端の成人なのだから
   寝たフリなどという古典的な技に
   ひっかかるわけでもない。

   それでもサルコシパラは
   知らないフリをする。

   それは自分の願望に応えてくれた
   ウユニへの義理人情でもあって
   ウユニが自分の意志で受け入れてくれたと
   その事実が何よりも幸福だったのだから。



(-87) 西 2022/08/12(Fri) 21:02:02

【秘】 サルコシパラ → ウユニ




   小さな声で名前を呼ぶ彼女が
   こちらの身体を抱きしめ、応える。
   サルコシパラの手は服の中へと入り込み
   金具に指をかけてウユニの衣服を
   緩めると、そのまま瞳を覗いて。

   言葉を交わすことはなく
   意志を伝えるようにその誓いの口付けを送ると。

   もう決して止まることの無い
   感情の濁流の中に咲く一輪の花を


                 手折った。



(-88) 西 2022/08/12(Fri) 21:02:48

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



     「ウユニさん。」



   窓から差し込む光が照らすその姿は
   言葉が出なくなると美しく。

   隠すようにを身を包んでいた衣服を
   捲っていけば、彼女の<cc d0f47>花</cc>が見えて。

   その花に静かに口付けを落とすと。
   サルコシパラは小さく笑ってみせる。


(-89) 西 2022/08/12(Fri) 21:03:29

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「あなたは…綺麗だ。あの時からずっと…。」


(-90) 西 2022/08/12(Fri) 21:04:49

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   見惚れたように呟くと
   露わになったウユニの肌に
   真っ赤な花を咲かせて。

   それから唾液を流し込むように
   唇を奪い、舌先で撫でると

         彼女の足の付け根に手をかけていく。*


(-91) 西 2022/08/12(Fri) 21:05:24

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   彼女を美しいと形容するのは自分だけ。

   サルコシパラにとっては至極光栄な話で
   自分以外この美しさを知らなければいいと
   そんな独占欲さえ顔を覗かせる。

   孤独も、喪失感も、憤りも、
   今この瞬間だけは全てから目を逸らせる気がして
   それが彼女の厚意としれば、遠慮なく甘えた。


   感情の昂りが目眩さえ呼び起こして
   手折った竜胆を生ける自身の身体が
   高潮に震えているのが実感できた。

(-108) 西 2022/08/13(Sat) 21:07:58

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   互いを隔たる壁はもうない。

   夢見心地の花園に身を投げて
   耽美な時間を噛み締めると
   ウユニが素顔のことに触れたから。


     「私だけ隠し事をしていたら
      格好つかないでしょう?」


   そう笑ってみせた。
   心の隔たりを取り払おうとするのだから
   自分が壁を作るような真似はしたくない。

   そこに語られない真実があることには
   気づくことも出来ないまま。



(-109) 西 2022/08/13(Sat) 21:08:30

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   身体が重なり、愛情に満ちた時
   サルコシパラは少しばかり気が抜けて。

   甘えるようにウユニの首元に顔を埋め
   繋がりを持てた悦びの余韻に浸っていると
   ウユニが懇願するようにこちらに声をかけて
   サルコシパラは頷き、その続きを促す。

   すると彼女が口にしたのは
   あまりに可愛らしい願いごとで。

   サルコシパラは思わずくすりと微笑み。


(-110) 西 2022/08/13(Sat) 21:09:19

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



   「その時は、二人で指輪も

         買いに行きましょう。」


(-111) 西 2022/08/13(Sat) 21:09:40

【秘】 サルコシパラ → ウユニ



その夜が、二人の運命を別つ日となる。**

(-112) 西 2022/08/13(Sat) 21:10:32
 




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