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【置】 不知 ミナイ『キミの力を信じている。その視界を見てみたい』 「いいよセンセイ、だったらセンセイのことも頂戴? ボクは、センセイが欲しい。 優しくて、頭を撫でてくれるセンセイが大好きだ」 興味があったのは怖い話? それともボクの身体だったかな? なんでもいいや、なんでもいいよ。 それでセンセイが手に入るなら―― カラダ 「センセイ、ボクの眼は美味しかった?」 結局おなじものは、同じ世界は見れなかったね。 (L0) toumi_ 2022/07/14(Thu) 22:30:11 公開: 2022/07/14(Thu) 22:30:00 |
【秘】 陽炎 シロマ → 不知 ミナイ貴方の想像は少し違う。 どちらかと言えば、それは時代による認識の齟齬に近い。 白間コズヱにとっては、どんな生徒も彼女の守るべき生徒だ。 教師が生徒を選ぶなど、あってはならない。これは、ままごとではないのだから。 全員を同時に攫う力が、もしもあったのなら。彼女は躊躇なく使っていただろう。 「……明日香。条件付きの降伏をするなら、足りないものがあるよ」 折ったばかりの小さな枝を数本拾い、中から細い一本を摘む。 「その提案に乗ることで、私に──いや、私達に。 一体どんな利益があるのか、示しておくれ 。」じわり、輪郭が滲んで揺らぐ。 ぱきり、枝を折る。折る。折る。 「必然の出会い? ──ああ、全く都合が良すぎるね。得をするのは生者だけじゃないか……それは頼みですらない、甘えだ。 そして生徒でもない君の甘えを叶える程、私に余裕はない」 置いていきたくないと、何度言われて来たことだろう。 しかし喉元を過ぎれば、熱さを忘れてしまう。何故って、人だから。 「幾度もそんな言葉を聞いたよ。結果は これ さ」呆れたように、吐き捨てたように、少女の抑揚は悪態になっていく。これは教師としてではなく、ひとりの亡者としての想いだから。 ふう、と意図的に深呼吸をひとつ。 ▽ (-4) wazakideath 2022/07/15(Fri) 2:40:48 |
【秘】 陽炎 シロマ → 不知 ミナイ「……他の条件はあるかい? ちなみに、私から出せるような対価は恐らくない。 つまりこの交渉は、君にとってかなり不利だ。無一文から契約を取るような行いだからね」 死者との交渉はまず成り立たない。 死者は支払えるような対価を、基本的に持っていないからだ。 だからこそ、人々は彼らを祓って来た。 「しかしかなり難しいだろうから……。 もしも私が納得する、または心動かされる条件があれば。私から深雪を説得しても良い。 もう全員は諦めろと、諭してみせるさ」 (-5) wazakideath 2022/07/15(Fri) 2:41:57 |
【秘】 不知 ミナイ → 陽炎 シロマ出すことを許された口を使って言葉を紡ぐ。 「わかった、先程の言葉を言い直そう」 瞬いた先に見えるのは、はっきりとした黒い靄。 死者である証の色だった。 「君たちは合わせて完璧主義の寂しがりやだ」 ボクはない心を揺すぶることが目的ではないのだけど。 生きているように話すなんておこがましいな。 あゝ、これは死者への冒涜か。 「だから失敗、未完、未熟なままで終わろうとしている、 つまらない物語の最後を飾る語り部を ボクが揃えてやろう、そういったんだ」 「入学ごっこではないのなら、 見える場所に募集をしておくべきだった」 「おかげで逃げてしまった子がいるじゃないか」 生きているはずなのに確認できなくなった子がいる。 遺品から漂う死の香り、はっきりと辿れるようになってしまった。 こんな狂った視界、今まで知らず、みないふりをしていたんだな。 (-7) toumi_ 2022/07/15(Fri) 15:37:07 |
【秘】 不知 ミナイ → 陽炎 シロマ「だから、ボクは」 「――次に会うときは今宵の謎をすべて解き明かす 物語を終わらせてくれる名探偵を連れてこよう」 一つ息を吸って、できるだけゆっくりと話す。 皆で一緒に囲む夢の実現を、どこかの世界では夢見ていた。 「生者であるボクであれば然のみ困難ではない。 死者という条件付けられた存在と今回の会合で 勧誘するのは大変じゃあなかったかい? ボクのまた会おう、は。 キミたちが満足できる条件が揃っての事だ」 「――ボクだって」 「無一文に払う命はないんだよ」 「これは正当な取り引き、約束であり提案だ。 キミ達には得しかないと思うけれどな」 (-8) toumi_ 2022/07/15(Fri) 15:38:31 |
【秘】 陽炎 シロマ → 不知 ミナイ「完璧主義者は当たってるかな。100点は目指すべきなのだから。 寂しがりかと言われれば、私は違うね。深雪は多分そうだけれど」 唯一の存在だけではなく、全員≠求めた生徒を思い返す。 情で動く彼と違い、この少女は実益で動く。 その実益とは、 生者が考える死者の利益ではない。 「失敗で構わない。 未完のままが良い。 未熟だから、楽しいんじゃないか。 そしてね、これもきっと勘違いさせてしまったかもしれないんだが」 長い枝を持ち、ざく、ざく。 枝先で地面を軽く抉った。 ▽ (-13) wazakideath 2022/07/15(Fri) 17:15:33 |
【秘】 陽炎 シロマ → 不知 ミナイ「 謎は謎のままで良い。 私達の物語は続いた方が良いからね。君達からすれば、もう終わっているのだろうけど……私は私として発言させてもらおう」 教師として立つ白間コズヱに、寂しさなどある筈もない。 「私は栗栖に動機を明かすように頼んだけれど、それは決して謎を明かしてもらいたいわけじゃない」 公私混同をする教師など、教壇に相応しくないのだから。 「解き明かしてくれれば、 もしかしたら私を理解してくれるかもしれない と思ったからだ。だってそうだろう?それくらい、私について考えてくれたということだ」 「……だが、まあ、しかし。 そうなった所で、誘いには乗ってくれないだろうとは思っているんだ。 駄目で元々、というやつだね」 ざく。 地面の色が変わる。表面の薄い砂の層が終わり、湿った土が現れた。 「さて。こちらの返事をまとめよう」 切り替えるように、声色も明るくなる。 ▽ (-14) wazakideath 2022/07/15(Fri) 17:16:24 |
【秘】 陽炎 シロマ → 不知 ミナイざ、と新たな地面を枝で突く。 丁度、腕を引けば……貴方と少女の間に線が引ける位置だ。 「私達は、語り部を求めない。 ……むしろ要らないね。いたら力を合わせて、敵として排除しよう」 歴史って好きじゃないな。 私達は読み物じゃないのだけれど? 「私達は、終わりを求めない。 成仏なんてもっての他。望む夢は大きく、永遠だよ」 不可能と解っていても、それを目指すのが人間だろう? 「私達が満足できる条件。 ────それは、君達全員の死だ 」隻眼を見据えて、いつも通り微笑んで。 「それ以上、私達に損益しか無い提案をするのなら。君達の都合を押し付けるのなら」 この亡者だって、貴方達生者に自身の都合を押し付けている。それを知った上で、言っていた。 「この話は、おしまいだ」 帝国主義とは。 利益を他から奪い、国を豊かにする思想である。 (-15) wazakideath 2022/07/15(Fri) 17:17:46 |
【秘】 不知 ミナイ → 陽炎 シロマ「都合を押し付ける? 合わせてるのはこっちだよ。 世界のあり方から勘違いをしているのはそちらだ。 その理解の先に、対話と妥協なくして和解はない。 現代に自分勝手な独りよがりが認められる世界なんてない。 ここは、キミの国じゃない。自由をつかむ夢の世界じゃない。 ボクは手を差し伸べたんだ、 その皆殺しが 今すぐできないから 解決役を呼んでこようと言ったのさ」 悪態をつきそうになって抑えた。 彼らは何を損だといってるんだ? 死んでいる自覚がないのか。 支払うものも喪うものも手にはいるものすらないのに、馬鹿げてる。 「何様の……つもりで。 話を終える前に、茶番をした意味と、 一体何を期待していたのか教えておくれよ」 「力業で解決していない理由があるんだろう 全部気紛れだとでも? 無駄な時間を使って目的が達成できてないんだ。 死んだ後ですら否定され続けて、それが悲しくて、 満足できなくても楽しいなんて、愚かで面白くない話だ。 そこの価値は合わなくて残念だよ」 (-16) toumi_ 2022/07/15(Fri) 21:35:02 |
【秘】 陽炎 シロマ → 不知 ミナイ「何から何まで合わないね……。 現代の話なんて、知ったことじゃないんだ。 今すぐじゃなくても構わないから 、要らないと言っているんだよ。深雪さえ望むなら、これから何度だって迎えに行くつもりさ」 自ら来てくれたのなら、当然嬉しい。 だがそうでないなら、死後わかるまで授業をすればいい。 白間コズヱは、そう考える。 互いに分かり合えなかった対話は、これで何度目だろう。 嗚呼、矢張り。 生者と分かり合う為には、死へ招くしかない。 「不快にさせたならすまないね。 私は現代の、その民主主義的な考え方は……知ってるだけで、わからないものだから」 がり、がり。 地面に線が引かれていく。 しかし教えてくれと言われて、答えないわけにはいかなかった。 私は、先生だから! 線を描く手を止め、口を開く。 ▽ (-18) wazakideath 2022/07/16(Sat) 12:53:16 |
【秘】 陽炎 シロマ → 不知 ミナイ「まず、無理矢理全員を招かなかった理由。 これは簡単だ。私にそこまでの力が無い。 だから、自ら此方に来てもらいたかった。これが期待していたことだね。 そして最後に。 君達を騙して、生者のふりをしていたのは──その方が、此方に自ら来てくれるかと思ったからだ」 これ は、只それだけの為に動いた亡霊だ。身勝手で、自由で、自分の夢を叶える為に手段を選ばぬ愚かな厄である。 「現代じゃ、常に人は満足しているのかい。 ……違うだろう? 満足する為に、日々努力して過ごしている筈だ。勿論、それが叶わないこともある。 和解は双方がそれを望んでからが始まりであり。 片方が望んでいなければ、それこそ無駄な時間となるだろう。 「それはきっと、戦前と同じだよね」 (-19) wazakideath 2022/07/16(Sat) 12:53:54 |
【秘】 不知 ミナイ → 陽炎 シロマ「わからないからと 停滞と巻き戻しを続けるところはさすがとでも言おうか。 確かに話にならなくて残念だ」 「予想や推測はは正しいのに、な。」 人でもなく。先生ふりをしているだけの存在なんて。 一瞬の夢ならば許してやれとでも? 否、関わることが間違いだ。 どうすれば、わかるようになるのか。 わかる頃には多分疲れきっていて、それはしゃくだなぁとか。 ため息をつけば、なんとなく、手首をさすっていた。 「人は何もしなくても勝手に死ぬよ 君たちが、いようといまいと関係ない」 「人集めも、寿命まで待てばいいのに。 今後は生きることを邪魔されないことを願ってるよ。 いきたいときにいきたい場所にいく、 現代人は昔にはとれなかった、勿体ない選択がとれるようになっているんだから」 「君たちもいつまでも迷子になってないで。 次の機会には前を見せられることをお祈りするよ」 (-41) toumi_ 2022/07/18(Mon) 18:37:05 |
【秘】 陽炎 シロマ → 不知 ミナイ「……ああ、人は何もしなくとも死ぬ。だが、その頃にはとっくに変わってしまっているだろう。それが嫌なだけだよ。 鶏だって、一番美味しい時に絞める。 米だって、炊きたてが一番美味しい。 いつだって、今が一番美しいんだ」 人は変わらないと口にするけれど──そんなものは嘘だ。 今この瞬間の貴方は、今しか存在し得ない。 時代が変われば人も変わる。それこそ、世捨て人として暮らさない限り。 昭和ならともかく、この情報化社会で孤立して暮らすことなど不可能だろう。 変わらない物など、この世にあろうか。 今後について話題に上がれば、「さてね」と他人事のように切り出す。 「邪魔するか否かは生徒達次第だ。 せっかくだし……時代に倣って、私も行きたい場所に行けるようになろうかな。 上手くいくかはわからないが……」 生前は、いきたい時にいきたい場所にいけなかった。 生徒から学ぶことだってあるだろう。 白間コズヱの考える理想の教師は、生徒の意思を汲む大人だ。きっと現代人である彼等から、これから多くを学ぶ。 とはいえ。 停滞の中にある者同士で交わす言葉は、きっと偏っている。 それは既に、彼女が“生徒が望んだ”というだけで全員招こうとしていたことからも明らかだ。 「しかし、ね。生き物は日々変わっていく存在だ」 「──私達はいつでも歓迎するよ。 現実に疲れたら、いつでもおいで」 最後に、まるで実家から貴方を見送るような言葉を添えた。 (-42) wazakideath 2022/07/18(Mon) 21:59:41 |
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