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人狼物語 三日月国


188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】

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到着:XII『吊された男』 ユグ

【人】 XII『吊された男』 ユグ


[――少年は信じていた。]
 
(63) 2022/12/11(Sun) 5:38:22

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[その少年は、北東の果ての古い村に生を受けた。
 生まれながらにしてくっきりと、右の足首に痣を持っていた。
 古い村の民というのは、互いの仲間意識が強く、生活においても自然と協力しあう。
 そうした体制に慣れている彼らは、自身と仲間を守るため、少年を両親ごと、すっかり村の輪から追いやってしまった。
 少年は一歩歩けば忌み子だ、悪魔の子だ、神の過ちだと口々に言われ続けて育った。]
(64) 2022/12/11(Sun) 5:40:32

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[けれど、その少年は信じていた。
 洋館の仕組みさえ伝わっていないような村で、それでもひとり、いつか神様の使いが迎えに来てくれるのだとひたすらに信じていた。
 教会の教えに残ってもいないのに、証の子は神に愛されているのだと、だからいつか神様が見つけてくれるのだと言っていた。
 つらく苦しい身の上から逃げたい一心の思い込みがそうさせるのか、魂に刻まれた記憶がそう思わせるのか、少年にはわからない。
 どちらでも構わなかった。
 自身が神に愛されているのであれば。]
(65) 2022/12/11(Sun) 5:41:03

【人】 XII『吊された男』 ユグ


[
――少年は両親に捨てられた。
]
 
(66) 2022/12/11(Sun) 5:46:11

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[
少年が十を迎えてから少ししたある日、家を出た両親はそのまま戻らなかった。
 彼らはもう限界だった。
 村の人々に祝福され、出産の無事を願われ、これから人生の一番幸福な時を迎えるのだと胸膨らませていたというのに。
 その子供に証が刻まれていたが故に、仕事をしても金は満足にもらえず、口さがない言葉とともに石を投げられる。
 薄いスープで腹を誤魔化して、ぼろの毛布に身を包んで眠る。
 それを十年続けても、神の寵愛を信じて朗らかに笑い祈り信じ続ける息子が何より恐ろしかったのだ。
 子ももう十だ。自分の世話くらいは自分でできよう。村人も鬼じゃない。子供を見殺しにまではしないだろう。
 そう自分らの胸に言い聞かせ、両親は何処かへ逃げ出してしまった。
]
(67) 2022/12/11(Sun) 5:47:13

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[
少年はたったひとり家の中で立ち尽くした。
 それでも、神様が迎えにいらっしゃる日までは生き延びなくてはならない。
 幸いにして海が近かった。塩と水だけは豊富に手に入る環境だった。
 海水をすすり、木の根や実をかじり、時折誰だかが置いていった家の裏に落ちている腐りかけのパンを食べて生きつないだ。
 腹を壊し熱を出しても、涙は見せなかった。
 そこに不安も孤独もなかった。
 自身が神に愛されているのであれば。
]
(68) 2022/12/11(Sun) 5:47:51

【人】 XII『吊された男』 ユグ


[――少年はついにその日を迎えた。]
 
(69) 2022/12/11(Sun) 5:48:21

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[あれから季節が四度巡り、五度目。
 小虫のわいたあばら家に、ひとりの使者がやってきた。
 出迎える、どうにか生きつないだというだけの少年は、身体は痩せぎす、肉などほとんどこけてしまって、服はぼろぼろでひどく臭った。
 それでも洋館から来たという青年に、ああついに待ち望んでいた日が来たのだと、神様は僕を見ていてくださったのだと、心からの幸福を目に浮かべ笑った。
 ためらいなどない。何を憂う必要もない。
 自身が神に愛されているのであれば。]
(70) 2022/12/11(Sun) 5:48:38

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[少年の名はユグと言った。せめて加護ぞあれと、月桂樹から取られた名だった。
 だが呼ぶ人もいなくなって久しい。
 なにせ自身を人とも思わぬ村人たちには証持ち、悪魔の子とだけ呼ばれ、怯えながらも震えた声でその名を繰り返してくれた両親は、とうの昔に戻らなくなってしまっていたのだから。
 故に『吊された男』と証の名で呼ばれた際には、名を知られていなかったかと思い、ユグとお呼びくださいと名乗ったりもした。
 けれどはじめて証の名を知った少年は、喜んでもいた。
 
それこそが、自身が神に愛されている証なのだから!
]
(71) 2022/12/11(Sun) 5:49:08

【人】 XII『吊された男』 ユグ


[そして、その少年は今――]
 
(72) 2022/12/11(Sun) 5:49:38

【人】 XII『吊された男』 ユグ

……おや、まあ。

[>>26扉に貼られた張り紙の前で、立ち往生しているのだった**]
(73) 2022/12/11(Sun) 5:49:56
XII『吊された男』 ユグは、メモを貼った。
(a12) 2022/12/11(Sun) 6:04:17

XII『吊された男』 ユグは、メモを貼った。
(a13) 2022/12/11(Sun) 6:07:50

【人】 XII『吊された男』 ユグ

――『教皇』の部屋――

いいえ、少し早く来たのも僕の方ですし。
お茶の気遣いをさせてしまってすみません。
お土産まで。

[>>116物心ついて向こう、干からびたパンと痛みかけの魚や端野菜を煮込んだだけのもの、ひいては木の実や海水で生きていた少年は、食べ物という食べ物に疎かった。
 なにせ知らぬもの続き。どうやって食べるのかも知らなければ、柑橘にそのまま齧りついた渋く苦い思い出もある。
 洋館暮らしで少しずつ馴染んだが、珍しい食べ物となるとまだまだ未知。
 穏やかに礼を言ってはいるものの、興味がありありと視線に浮かんでいる。]
(167) 2022/12/11(Sun) 19:00:45

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[今でこそ慣れたけれど、桃の香る紅茶だって前は本当に珍しいと思っていた。
 不思議な味わいに驚いたのはいつがはじめだったか。
 甘い香りは、カルクドラの部屋に来たのだと思わせてくれる。
 少し口をつけて、果物の剥かれるのを見。
 それから本が置かれるのに、わぁと小さく声を上げた。]

二冊も、いいんですか?
ありがとうございます。読むの、楽しみだな。

[異国の人が神様について触れた本。とても魅力的に聞こえたし、すでに面白かったとお墨付き。
 頼んだ本よりも先にぱらぱらと目を通したら、図も入っていて読みやすそうだ。]
(168) 2022/12/11(Sun) 19:01:02

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[『教皇』カルクドラは、『吊るされた男』ユグにとって、非常に落ち着いていて信頼の置ける人物に見えている。
 今までに借り受けた本や経典などから、はじめの『教皇』が何をしたのかは知っていても、それは彼のすべてではないと思っている。]

ほんとう。おいしいですね。
アリスや先生にも、持っていってあげたいな。

[もうすぐ誕生日を迎える小さな仲間。穏やかな幸福を得ることが出来た寿ぎを、かならず彼女には伝えたいと思っているのに加えて。
 長く世話になっている『先生』――つまり『死神』にも果実を分け与えたいと、こともなげに言ってのけるのだ*]
(169) 2022/12/11(Sun) 19:01:15
XII『吊された男』 ユグは、メモを貼った。
(a28) 2022/12/11(Sun) 19:03:49

XII『吊された男』 ユグは、メモを貼った。
(a29) 2022/12/11(Sun) 19:07:44

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[境遇を今まで、何人に語ったことがあっただろう。
 話さなくとも、四年より長くこの洋館にいるなら、知っていることかもしれない。
 洋館の存在、証持ちの申告のことすら伝わっていない辺境の村で、ただ神に愛されていることをひたに信じ耐え抜いた、栄養不足で小さくて、生きているのが不思議なほどの、『骸骨のような』少年。
 無論読み書きもおぼつかないほどだったが、魂の響き合いもあってか『死神』の教えを見る間に吸収し、今や本を好むようにまでなったユグのこれまでを。]
(170) 2022/12/11(Sun) 19:44:36

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[そして、過去を知らずともこの洋館にいるのならいずれ味わう。
 吊るされた男の
狂気的なまでの
信心を。]
(171) 2022/12/11(Sun) 19:45:02

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[魂に紐付けられた不和のざわつきが、ユグにないわけではない。
 『悪魔』の一挙手一投足には、いつでも不安が胸の奥渦巻いている。
 彼が何をするのか、どう動くのか。
 今もこの祈祷室でなく、アリスのいるホール>>152にいたなら、幼い彼女を守りながら、どこか過剰に諌めようとしていただろう。
 まだ何もしていない、などという言葉にも、将来的な加害の可能性さえ感じ取って。]
(172) 2022/12/11(Sun) 19:46:05

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[奔放であること。自らの魂に逆らわないこと。
 それは『吊るされた男』にとって酷く悲しいものに映っていた。
 自身がその思いに耐え、諍いを飲み込みさえすれば、この楽園は僕たちにあたたかく微笑んでくれるのに。
 たったそれだけで、すべては変わるのに。
 どうして僕らはそうしないのか。出来ないのか。]
(173) 2022/12/11(Sun) 19:46:38

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[ああ。そんな思いに苛まれて。

 自らの非力を悔いてあの日の『吊るされた男』は命を絶った。
 
 残したのは、ただ穏やかな笑みだけだった]
(174) 2022/12/11(Sun) 19:47:14

【人】 XII『吊された男』 ユグ



『ごめんね、僕には何も変えられなかった』


 
(175) 2022/12/11(Sun) 19:48:01

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[だからユグは、『証持ち』の不和によく介入しようとする。
 神がかつて箱庭の子を愛したように。
 彼は証持ちたちを広く愛し。
 その不和に心を痛め。
 心通わせ合えば何事も憂うことはないのだと説き続ける。

 いつか22人が揃うその日を、幸福に満ち満ちて迎えられるように*]
(176) 2022/12/11(Sun) 19:52:31

【人】 XII『吊された男』 ユグ

――カルクドラは、アリスの誕生日には何をなさるご予定ですか?
はじめてですから、楽しんでもらいたいですよね。

……変な邪魔が入らないのが、一番なんですけれど。

[変な邪魔、の言葉に思うのは『悪魔』の顔だ。
 直接出会わなくとも、やはりこうして思ってしまう。加えて相手が『愚者』だから、余計に。]
(239) 2022/12/12(Mon) 1:19:07

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[洋館に来てすぐのことだ>>193

 夢にも見なかったような穏やかな暮らしの気配を瞳いっぱいに映していたはずが、彼の顔を見た瞬間に心の奥が昏く淀んだ。
 ぞくりと不安や怯えに似た感情が身体を蝕んだが、その理屈が理解できずに、振りかぶられる拳を避けも出来ず。
 あれは誰が止めてくれたのだったか、それ自体は遠い記憶。

 あの瞬間に思ったのは。]
(240) 2022/12/12(Mon) 1:19:33

【人】 XII『吊された男』 ユグ



[ああ、僕はこの人を救いたいのだと、そんな予感運命。]


 
(241) 2022/12/12(Mon) 1:20:31

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[その記憶があるからか、壊れた箱庭のはじまりの事件のせいか。
 ゼロとアリスのやり取りには気を配っていたし、此度の誕生会では構ってくれるなという彼の期待>>194にはまったく応える予定がない。

 それでも、極力自制しているのだろうというのは感じているので、そうしていてくれる限りには行動に目を光らせている程度で、特別何をしようというつもりもないのだが。
 皆が自制さえすればなべて事もなし、と語りながら注視してしまうこれが、魂の記憶というものなのだろう**]
(242) 2022/12/12(Mon) 1:21:16
XII『吊された男』 ユグは、メモを貼った。
(a42) 2022/12/12(Mon) 1:30:12

【人】 XII『吊された男』 ユグ

――四年前――

……?

[>>244"偉い"という言葉を、あまりにも長い間聞いていなくて。
 その意味をしばらく、忘れていた。

 けれど感じ取ったのは、心があたたかくなるような、そんな優しい気持ち。
 迎えが来たのだと、それに対する喜びと安堵なのだと、その日は思った。
 
今日までを生きたこと、相手もまた安堵しているとは知らず。
]
(290) 2022/12/12(Mon) 12:52:40

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[>>246人の手が伸びてくるのを、ほんの僅かに警戒した。
 ユグ少年にとって、それは暴力と蔑みしか齎さないものだったからだ。

 けれどそれも、一瞬。
 手が触れるより前に、魂が彼に心開いていた。
 あたたかい、体温のある手に。
 獣の子がするように、すり、と甘え。
 この人が神様でなければ何であろう、と少年は感じていた。]
(291) 2022/12/12(Mon) 12:52:59

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[>>247実際は、望む神ではないと言われてしまったのだけれど。
 こちらを『吊られた男』と呼び『死神』と名乗る彼が証持ちであることは自明で、であればそこに死の一文字があったとて、彼はユグ少年にとって神に連なるひとりに思えていた。
 魂の慕う感覚も、そのひとに"箱庭"に呼ばれたことも、少年の心を魅了していく。
 来てくれるかな>>248、の問いには。]

はい。もちろん。

[断るはずもなく、手を取った。
 配慮は無駄になってしまったかもしれないが、結果として互いの望む形に着地する。]
(292) 2022/12/12(Mon) 12:53:12

【人】 XII『吊された男』 ユグ

[>>250白いローブに包まれて、細い身体を支えられて。
 湯浴みに、歩行の補助にと、まるでまともな生活すらままならなかった孤児は、死神に迷惑をずいぶんかけた。
 ただしく栄養のある食事を生まれて初めて摂り、回復してからはここでの生き方を教わり、知識を授かり。

 夢のような生活だと思った。
 ここなら本当に、神様の望み通り、箱庭の子は幸福に過ごせるのだと思った。]
(293) 2022/12/12(Mon) 12:54:04