[滾る熱が行き場を求めて渦を巻く。
昨夜の女の音を耳にしてからというもの、『美』への渇望が、飢えが、収まらず、呼び起こされた獣性は体の内側で未だ強く強く押さえつけられているが、今すぐにでも爆発してしまいそうになっていた。
熱い指先が女の頬に触れ、滑らかな女の肌を撫でる。
それは紛れもなくあの指先。
耳を擽り、昨夜奏でた音を思い出させる。
忘れてはいまいか、忘れたのなら思い出させようと。
指先は首筋をなぞりながら喉元へと届く。
子猫をあやす様に喉元から顎先へと優しく撫で付ける。
何度も、往復しながら、女の情欲に火を灯していく。
何も違わないようでいて違う。
それは確かに実を伴い、決して幻想でもなんでもない。
そして、感触は同じでも、女に伝わる熱は昨夜よりもずっとずっと熱い。*]