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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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視点:


「内も外も関係ねえ」
「おっさんの仇は片っ端から潰してやる」

俯く視界に、磨かれた革靴のつま先が映る。
こうしたところからつい、相手を値踏みしてしまうのは仕事柄のこと。
けれど、降り落ちる声には覚えがあるから、そんなものは意味のないことだった。
視線を上げる。
金色の髪の隙間から。翠の目があなたを見る。
そのやわらかな笑みのようにはいかず――それでも少年は、すこしだけ口角を上げた。笑ったのだ。

「……迷子じゃない」
「祭りとか言ったっけ、……こういう感じに慣れないだけ」

「あんたこそまたおれみたいなのに構って、ほんと、物好きだな」


廃倉庫に、硬く無機質な音が響く。

メンテナンスの為に分解された拳銃が、
汚れを除去され、注油を受け、また組み立てられていく音。

元は実に正義感溢れる巡査の相棒だったもの。
それが今となっては無造作に人間を手に掛ける輩の元にある。
何とも哀れなものだ。

「───全ては都合の良い幻聴だ」

カシャン。
最後にマガジンがセットされて、それきり静かになった。

見上げる視線には目を細めて返す。それから隣に並んだ。立ち去る気はないらしい。

「そう? それならよかった」
「マンマとはぐれた仔猫ガッティーノのような顔をしているんだもの。余計なお世話だったかな?」

覗き込むように首を傾げてまたはにかむ。いつもの様子だった。この男はいつだって君に対して、子どもにするように接する。
実際子どもではあるのだけど、年相応より幼い対応に思える​────君がどう受けとっているかは定かではないが。

「うん。確かに賑やかだ。逆に裏通りは静かなものだよ、みんな出払ってしまって」
「君はどうしたの。散歩? お使い? 仕事かな。それとも遊びに?」
「遊びに来たならやっぱり一人はいただけないな。保護者が必要だろう? 付き合うよ、どこに行きたい?」

元よりおしゃべりなこの男は、君といる時一層饒舌になる。強引というか、お節介というのも正しいかもしれない。とにかく気にかけている、世話を焼きたい。そんな様子が伺えるはずだ。……やっぱり、当人である君がどう受けとっているかは分からないけれど。
アソシエーテの女に拾われただけの子どもである君は、組織の末端も末端だ。ファミリーの人間が多く集まる場に顔を出すことなんてないだろう。この男がほかの人間にどう接するかなんて、きっと知らない。

【人】 翠眼 ヴェルデ

>>22 マキアート
ふわふわの毛並み、つぶらな瞳。
少年はしばし、ぬいぐるみと見つめ合う……。
愛想はなくとも素直な性質であるらしい。

「そ、大事にしてんだなってちょっと聞いただけでもわかる」
「おれはそういうの、あんまり考えたことないな……。
見かけるのはイヌとかネコとか、トリ……ネズミもか」

あなたがやはり屋台を示すのを見て、とん、とん。屋台のそばへと歩を進める。
少年の言っているのは路地や広場で見かける野良のものたちだから、そこに並んでいるようなきれいなものではなかったが。
(35) 2022/08/13(Sat) 9:05:59
いつも通りの子供扱いだ。少年はひとつ息をつく。
けれどこちらも、背を向けるようなことはない。

「……いい、声がかかるのはありがたいことだし」

他にいくらでもいる中で自分がこう構われるのは、やはりよくわからないけれど。
あなたはそういう人物なのだろうと少年は思っている。
他にいくらでもいるのだから、自分が特別だとは到底思えない。

「今は散歩。仕事したってべつにいいけど」
「……どこ行きたいとか、何したいとか。
それもよくわからない」
「こういうの、……初めて見た、から」

流れる人波へ視線を向ける。
誰も彼も、何がそんなに楽しいのだろう。
少年は、祭りも知らないようだった。

君とは頭一つ程度慎重に差があるから、ただ立っていては表情が伺いにくい。普通に並ぶとつむじばかりが見えるのもあって、実際はそんなことないのだろうけど、少しいじけたように映る。

「そう。そうか」

ふむ、と指の腹が顎を撫ぜる。
通りの右から左へと視線を移す。人の流れやら年齢層、手に持った何がしかを眺めて。

「甘いものは好き?」
「少し歩いたところに美味しそうなジェラートの屋台が出ていてね。気になってたんだ」
「君と行ければ嬉しいんだけどな」

少年ここにはきっと欠落があって、けれど、最初からないものを『ない』と気付くことは難しい。
だから、年相応の楽しみをよく知らないままここまで来てしまった。
少年はついと視線を上げ、あなたを見た。
ああ、気を遣わせた。それはわかる。
それでも、どういう顔をすればいいのかわからない。
あなたが何か買い与えようとするときも、これは決まって同じ顔をする。
媚と身体を売るのなら、甘えればいいものを。

「……ん」
「あんまり食べないけど、嫌いじゃない」
「いいよ、行こう」

どうしたって、口が巧くないのだ。

【人】 翠眼 ヴェルデ

>>40 マキアート
そういう場所があるらしいとは知っている。
けれど行ったことはないから、素直に『ない』と肯定を返そうとして。
謝罪がついてきたから、少年は翠の目を瞬いた。

「べつに、お兄さんが謝ることないでしょ」
「お兄さんとおれとじゃ、見るからに全然違うんだしさ。
だから、なにか違ったってそれは、当然のことだよ」

その差を僻むのは見当違いだし、そんな熱量もない。
スニーカーはややくたびれているけれど、少なくとも今は、汚くはない。
少年は、それでよかった。
つやつやの毛並みの猫のぬいぐるみ。きれいな色の鳥のぬいぐるみ。ころんと丸くデフォルメされたねずみのぬいぐるみ。
ここに並ぶようなきれいなものでなくても。

「お兄さんはイヌが一番好きで、飼ってるイヌを大事にしてて、そういうのはすごく、いいことだろ、たぶん」
「おれは何がかわいいとかあんまりわかんないけど、それだって、全部ヒトシイって言い方してもらったら、そう悪くないように聞こえる」
「好みって言ったら、こういうふわふわのやつじゃなくて、ヘビとか好きな人もいるんだろうな」

ぴ、と指差すのは、にょろりと細長いぬいぐるみ。
他のぬいぐるみたちに負けず劣らずのつぶらな瞳に、赤い舌をちろりと出している。
デフォルメの強いかわいらしいつくりだ。
あなたの言う通り、なにかひとつを好きでいることも、そうでないことも、ただそれだけなら自由なのだ。
(62) 2022/08/14(Sun) 0:05:34

【人】 翠眼 ヴェルデ

【街中】

大通りを一本外れれば、祭りの喧騒も幾許か遠くなる。
街路に置かれたベンチに腰掛け、少年はゆっくりとページを捲る。
けれどその手にある本は、とてもその年恰好には見合わない絵本だ。
タイトルは『ピノッキオ』——木で作られた人形が、正しい行いや良心といったものを学び、最後には本当の人間の子供になるという童話。
(69) 2022/08/14(Sun) 13:23:17
少し足りない・・・・様子の君を見る度に、男は君を愛しく思う。未熟であることは成長途上であることとよく似ている。それはまた幼さと同義で、守ってやりたく思うのだ。
同時に少し哀しくもある。無邪気に無防備に育つことの出来なかった君の過去を思って、男は君の髪を柔らかく撫でるだろう。

「お腹もすく頃だしね。串焼きの屋台も出てたよ」
「僕、あんまり食べたことないんだよね。肉は好きかい」

先導するようにゆっくりと歩き出す。大股の歩みはそのまま、速度を落としてはぐれないように。

【人】 翠眼 ヴェルデ

>>70 ビアンカ【街中】

足音には顔を上げず、けれど、聞き慣れた声がすれば、くすんだ金色の髪がさらりと揺れる。
その名前を耳にすることは、珍しい。

「ロッカ」

翠の目が、すこし離れたところに立つあなたへ向けられる。

「ううん、……大通りの方、最近特にウルサイだろ。
ちょっと、疲れた」

少年が好むのは暗くて狭いところ。
眠るときもいつも、隅で小さくなって毛布に包まっている。
人の多いところはあまり好まない――というより、未だ慣れていない。
(77) 2022/08/14(Sun) 19:13:24

【人】 翠眼 ヴェルデ

>>73 マキアート

「ん」と短く首肯する。
少なくとも少年にとっては、気にしていないことで、気にしなくていいことだった。
だのに、はたりとひとつ瞬いたのは、あたたが「無理に同じにならなくてもいい」と言ったときのこと。
翠の目はちらとあなたを見、再度、並ぶぬいぐるみへ。

「ヘビも結構、つぶらな目なんだってね。
虫、虫もそうか、そりゃ好きなヒトもいるよな」

さすがに虫のぬいぐるみは並んでいなかったが。
どこの馬の骨とも知れぬ子供からあなたに提供できるものなど、物珍しさぐらいのもの。
それでも有意義と表してもらえたのなら、すこし、口角を上げて。

「賭け事の……審判をするヒト?
ヒトの相手をする仕事だから、話しやすいんだ」
「おれはヴェルデ。
目が翠だから、そういう風に呼ばれた」
(85) 2022/08/14(Sun) 19:57:08
「ああ――そっか、そういう時間か」

少年はあまり、食事に頓着しない。
というより、ほとんどの物事への執着が希薄だった。
毎日の食事がある、ということに、まだ慣れ切っていない。


「確かにあんたは物を食べ歩くようなヒトじゃないよな」
「今はだれも彼も何かしら持って歩いててさ、だからまあ、その方が自然なんじゃない」

その高価そうな外套に、スーツに、汚れがついては大変だ。
などと思うことこそ、価値観の差異なのかもしれないけれど。
時間帯もあるのだろう。道行く人々の多くは、あなたの言ったジェラートやら串焼きやら、ものを食べているのが目立つ。
流れる人混みの中を、身長差の分、どうしても狭くなる歩幅でついて歩いて。
串焼きの屋台を見つけると、くいと袖を引いた。

【人】 翠眼 ヴェルデ

>>80 ビアンカ【街中】

一歩、二歩……縮まる距離を、静かに眺めて。
問われると、「あ〜……」なんて、間の抜けた声をひとつ。
少年は食事にあまり頓着しない。
ほかにも、多くの物事への執着が希薄だった。

「……わすれてた」
「ロッカもあんまり、部屋にいないだろ。
忙しいって言ったって、ちゃんと休めよ」

疲れて見えるわけではないので、やっぱり、余計なお世話なのかもしれないけれど。
くる、くる。傘の回るのを、見るともなく見る。
(90) 2022/08/14(Sun) 20:28:20