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人狼物語 三日月国


81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】

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視点:


ニエカワ! 今日がお前の命日だ!

【人】 焦爛 フジノ

今日も、静かに座っていた。
動き回らず、ただ静かに。
そうしないとお腹が、空いてしまいそうだったから。

雨戸の向こうから聞こえる音は、まだまだ止みそうにない。
(1) 2021/07/04(Sun) 22:38:34
フジノは、目覚めると同時に干されたタオルを見た。不法侵入されてる…………
(a1) 2021/07/05(Mon) 12:32:14

心拍数を示す線が動かなくなった。
計測を止め、手術台の上部にある照明を点ける。
ブリキのバケツを幾つか持って来ると、台の下に置く。

「……まずは手足から外していきましょうか。
 関節にメスを入れると、すんなり切れます。
 包丁や普通の刃物では上手く切れないので、
 必ずメスを使ってください」

鈍く光る銀色が、まだ温もりの残る肌に触れる。
──が、ふと気付いたのか、

「…………」

白い三角巾を遺体の顔にかけた。

人間だったものを小さくしていく姿は、やはり手馴れている。
切り口を下にしてバケツに入れていく。
血が吹き出るというよりは、滲み出るといった表現が近いだろうか。
死んだ生き物は激しく出血しない。

薄暗い手術室の中で、照らされる照明が嫌に眩しい。
メイジは泣き腫らした目を細めた。

かつて"友達"と呼んだ──本当にそう思っていた。
それを目の前にして、息を呑む。
もう、動くことはない、声を聞くこともできない。

「……これ、本当に死んでるんだ………」


布がかけられた顔を一瞥して、ぽつりと零れる言葉。
そう思うと、夏だというのに悪寒がした。

死体を見ると恐怖を感じる。
自分の死を連想させるから──

やっぱり、自分は死にたくないんだ。

説明を聞きながら、刃物が肌に食い込むのを顔を顰めて見た。
思わず目を逸らしそうになったのを堪える。
ちゃんと見ていなければ、覚えられない。

「……っ……」

血の臭いが鼻孔を刺激する。
一度口元を押さえたが、震える手を押し殺してメスを握る。

「……オレだって……やってやる……」

「(嫌だ、やりたくない、嫌だ……)」

そうして、ふいに触れた手は、まだあたたかくて苦しくなる。
照明に反射し、きらめく刃物を意を消して見つめ
そして、肌に当てる──見様見真似だった。

「……、……ごめん」


メイジは思い出す。刃物が人に食い込む時の感触を。
メイジは、覚える。人を切る時の感触を。

「ねえ、これって、どの部分を食べるの……」

バラバラになっていくのを見つめながら尋ねる。
以前やった時は、もう食肉としか見えなかったし
どの部分かも聞く余裕もなかった。

「概ね食べられます。
 しかし内臓は傷みやすいので今回は避けます。
 ……申し訳ないですけれど」
 
手足を切り終えれば、後は胴体を残すのみとなる。
胸にメスを入れようとして、ぴたりと手を止める。
特に吐く人間が多い段階であることを、思い出したからだった。

「ここから先は他の動物と似てますね。
 骨を折るようにして広げて、臓器を取り出して、」

どうせ吐いた所で、胃は空だろう。
……むしろ、そうしてほしかった。
そしてここから逃げ出してほしいと、未だに思っている。
胸の皮膚を切ると、血だらけの手で包丁に持ち替えた。

包丁で狙いを定め、肋骨を折るように切っていく。
……たとえ貴方が吐いたとしても、泣いたとしても、
手を休めることはないだろう。

「……っ、」

両開き戸を開けるように、力を込めて肋骨を開いた。
内臓を取り出し、バケツに落としていく。
暫くすれば、以前貴方が見たような──食肉の姿になる。

「…………………」

肉が引き裂かれ、骨が砕かれる音。怖い。
取り出される真っ赤な内臓。気持ち悪い。
そこにあるのはもうただの肉塊。変わり果てた姿。

罪悪感よりもなによりも、本能的な恐怖が襲う。
頭から血の気が引いていく。足元がふらついた。

「………………うっ……」

最後まで黙って見ていたが
悲鳴を上げるみたいに、がしゃんと金属音がした。
メイジがぶつかって、器具か何かを落とした音だ。

「………うぐ……ぇ………げほっ、げほ………」

ついに胃から込み上げてくるのを押さえきれず、吐いた。
出てくるのはほとんど胃液だけだった。

金属音に一瞬手を止めるが──、直ぐに再開する。
作業が残っていれば、無理にでも手伝おうとするだろう。
そう考えて後の作業を急いだ。

「……慣れちゃだめですからね、こんなものに」

皮を剥ぐ。骨を外す。脂を削ぐ。

「今の気持ちを忘れないでください。
 でもこの景色は忘れるように、努めてください」

白衣は袖口を中心に、真っ赤に染まっている。
なるべく何も考えないように、無心で手を動かした。

粗方終えてしまうと、大きなブリキのバケツを取り出した。
蓋を開けて、骨や内臓を中に入れていく。

「…………ごめんなさい、」


生首の耳元で、小さく呟いた。
それを白いシーツでそっと包み、
名残惜しそうに、バケツの中へゆっくりと置く。
蓋をしてしまえば、贄川涼という子供だと判断できる物はもう見えなくなってしまった。

……残す作業は、
隠蔽
掃除ぐらいだろう。

【人】 焦爛 フジノ

>>4 ミロク
「……げーむ?」

貴方を見上げ、包みを受け取る。
そして囁きを聞き……こくりと、頷いた。

「……わかりました。
 じゃあ、隠してくる。
 ……ここで待ってても、別の事してても、いいから」

少し時間がかかる、という事らしい。
包みを抱え、フジノは暫し姿を消した。

―――そして、フジノは貴方の所へ戻ってきた。
髪は濡れ、乱雑に拭いた跡を残している。
服は先ほどと変わらないが、肌が湿っていたのか少しだけ張り付いていた。

「……お待たせ。
なんの、話をするの?」

張り付いた髪をひと房、耳にかけて。
フジノは貴方を見た。
(13) 2021/07/05(Mon) 23:50:23
フジノは、扉を二度開けた。風の吹き込む音が、二度した。
(a3) 2021/07/05(Mon) 23:52:53

「……っ……
くそ……


メイジは何かを振り払うように、一度大きく息を吐く。
青白い顔をぶんぶんと振って、立ち上がると
自分で落とした器具や、床を片付け始めた。

こんな悪夢のような光景、忘れられそうもないと思った。

「セナさんは……馴れちゃったの……?」

生首がシーツで包まれていくのを、
名残惜しそうなその横顔を、ただ無表情で見つめる。

前の誰かも、こうして隠されているのだろうか。

「馴れたというよりは、馴らしたというか。
 その為に医者を目指しました」

それはあの客人に問われたものの、答えられなかった“理由”だ。
簡素な戸棚、その一番下を開ける。
同じような作りのバケツが、もうひとつあった。

「僕は忘れられなかったので、
 この光景を日常にしようと思ったんです。
 そうすれば、悪夢ではなくなるでしょうから」

眠る赤子を起こしてしまわないように。
そんな手付きで、優しく、隣に新たなバケツを置いた。
ゆっくりと戸を閉めれば、手術台の血や脂を丁寧に拭き取っていく。

「……今日の所はこれくらいにしましょう。
 ここから先は先日もやりましたから、
 見なくてもわかるでしょうし。切って糸を通すだけです」

【人】 焦爛 フジノ

>>12 メイジ
「なに?……え、と。大丈夫?」

どこか疲れきっている貴方を見て、少し眉を寄せた。
空腹のせいだろうか?
……自分に分けたから、足りてないのだろうか?
ぎゅっと手を握り締めた。

「……そう、だね。ご飯、見つかったのかな」

調理場を見る。
……この匂いに釣られて、姿が見えない人々も来てくれればいいのだけど。

「……行って、みようかな。
メイジも、行く?」

見上げて、そう尋ねた。
(14) 2021/07/06(Tue) 0:29:32
「うん、わかった」

淡々と頷く。──メイジは、逃げ出したかった。
逃げ出したかったけれど、足は動かなかった。

──死んでしまったほうが楽なのではないか。

ニエカワが死ぬのを見て、過った。
彼は嘘つきの自分を恨んでるだろうか。

けれど本能は──赤く脈打つ鼓動は生きたいと叫んでいる。
辛いことばかりだというのに
まだ生きたいと思う自分がわからなかった。

「……、……ありがとう、セナさん」

あなたが医者になった理由を聞いた。
何かを言いかけた口をつぐんだ。
メイジはふいに、少し眉を下げて笑う。

「忘れられなくて医者になったのに
 こんなことになったのに……
 オレたちのこと、助けてくれようとしてくれて」

メイジは、ひそかに拳を握る。

「こんな状況で言うのはおかしいかもしれない。
 でも……オレさ、嬉しかったよ。優しくしてくれて」


「優しい親父がいたら、こんな感じだったのかな」

「……、……感謝されるような事ではないですよ。
 何て物を食わせたんだ、と怒る人もいるでしょう」

吊るされていた干し肉を下ろし、糸を外していく。
先日作った彼女の肉が、白い皿に盛られていった。
そして新たな肉を薄く切り、糸を通し、塩と胡椒を塗し、吊るしていく。

「優しい大人はこんな事を──……いや、」

自分に生きる術を教えた父は、優しかった。
優しい大人だと、今でも思っている。

「……うん。ありがとう、ございます」

貴方がそんなつもりで言ったのではないとわかっているが、
それでも、自身の父親を認められたような気がした。

「メイジくん。きみはきっと、優しい父親になれます」

「宿直室に、手紙を置いておきます。
 ……封は開けちゃだめですよ。
 それをここから出たとき、外の大人に渡してください」

手術台の照明を消した。
赤黒い肉が乗る皿を持ち、扉へ向かう。

「……いいよ。周りにどんな目で見られても
 オレは絶対、セナさんが優しいって言い続けるから」

あなたが死んでもメイジに賛同し続けると言ってくれたように。

人を殺し、今日も肉を切り刻んだ、全て自分の為にやった。
責められるのも、恨まれるのも、蔑まれるのも慣れてる。

「あはは……オレが父親か。なれたらいいね」

そんな、来るかもわからない遠い未来の話に
すこしだけ思いを馳せた。まだなにも見えない。

「手紙? ……うん、わかった」

なんの手紙だろう。少しひっかかるが
言及することはせず、素直に頷いた。

あなたの背を見送る。

【人】 焦爛 フジノ

>>17 メイジ
「……そう。あの、ね。
私に、できる事があったら、言って、ね」

貰いっぱなしになりたくないから、と口にして。
連れ立って調理室へ向かっただろう。

……調理室へたどり着いた時、肉はまだ焼いている最中だっただろうか?
何の肉かもわからぬ塊を。
漂う肉の香りを。
フジノは入口付近で止まり、見つめていただろう。
(20) 2021/07/06(Tue) 20:55:16
メイジは、誰もいなくなった手術室で
大きなため息を吐き、どさりと椅子に座り込んだ。
吐いたせいで体力を消耗したのか、立っているのも怠かった。

ふと、懐から取り出したのは、お茶の缶のようなモノ。

"どんな痛み"でも"一時的"に取ってくれる薬。

「…………オレは、まだ大丈夫」

メイジはすぐにそれをしまった。

【人】 焦爛 フジノ

>>22 >>23 ミロク
どこか戸惑うような雰囲気を出しながら、大人しく拭かれていく。
抵抗なんてしない方がいいと、随分昔に学んだから。
けれど。
こんなに優しい手つきで触れられる事なんて、ほとんどなかった。

「この村、で?
……面白い事なんて、何も、ないよ。
畑や家の仕事を手伝って、学校で勉強をしてただけ」

誰かと遊ぶこともなく。
家と学校を往復して、外の仕事が終われば中の仕事をこなす。
それがフジノの今までの、そして恐らく今後も続くはずの日常だった。

世間話と呼ぶには多少、踏み込んだ会話。
貴方の語る話を、フジノは静かに聞いた。
(31) 2021/07/07(Wed) 1:06:39

【人】 焦爛 フジノ

>>23 >>31 ミロク
「……教師。
ミロクさんは、いろんな事、知ってるし。
優しいから……きっといい先生に、なれただろうな」

本心だ。貴方が自分達を見つめる優しい目を、覚えている。
そして貴方の語りの後、フジノもぽつぽつと語る。

顔も知らない祖父は南へ出兵して、終ぞ帰ってこなかった。
半年前に祖母が亡くなるまで欠かさず線香が立てられていた仏壇には、今も空っぽの桐の箱が置かれている。

母の顔も知らない。否、覚えていない。物心ついた頃には祖母と父しかいなかった。
母はフジノが大やけどをした後――祖母曰く、目を離していた間に囲炉裏に落ちたらしい――姿を消したという。
残されたフジノに、この見た目では嫁に行くのは大変だろうと、亡くなるまで祖母は案じ嘆いていた。
村の人々は歪な跡を晒すフジノを遠巻きに眺め、大人達の反応を見て子供達もそれを真似た。
色眼鏡無く接してのは、アユミを始めとする余裕のある大人。
……そしてここに偶然にも集まった、少し変わった人々ぐらいだ。


そんな風に育ったものだから、ミロクのような『夢』や『目標』はなかったのだと、ぽつりと零した。
応えようと思う周囲の期待も、助けたいと思う誰かもいなかった。
貴方に話した『取引』の内容が。フジノが初めて抱えた意志だった。
(32) 2021/07/07(Wed) 1:08:36

【人】 焦爛 フジノ

>>24 >>26 【肉】
……猿?


絵本ぐらいでしか見た事のない生き物の名に、つい疑問符の混じった呟きが漏れる。
……それでも、医者であるセナハラが用意したものだ。
メイジに促されるままに部屋へ入り、取り分けられた肉を、見つめる。

食わなければならない。
これが何の肉であったとして、腹を満たしてくれる事は確かだ。
なら、食べなければならない。
フジノはそうしなければならない。

いただきますと、小さな声で告げて。
小さく切り分けられた肉を、口の中へ入れる。

味の感想は特に告げず、水で流し込んだ。

部屋に充満するこの匂いは、祖母を火葬した時に嗅いだ匂いに似ているなと、ぼんやり思った。
(33) 2021/07/07(Wed) 1:21:56

【人】 焦爛 フジノ

>>37 ミロク
「そう、なんだ。
……いいな。ここじゃ、人と変わってるととても、目立つから……」

首元の歪な跡を触る。夏でも首巻きをつけてて大丈夫だろうかと、考えた。お洒落でなにかを巻くという発想がないのだ。

「……そうかな」

子供だって大人に負けず劣らず、残酷だ。
無邪気故の行動もあれば、大人を欺く事が上手な子もいる。
……けれど、それをわざわざ伝える必要もないだろう。
貴方は大人達との交流ですっかり疲弊してしまったようにも見えた。

「い、いいよそんな事。そんな物好きな人いないって、わかってる、し……そう言ってもらえるほど優しくも、ない、から」

腹を擦り、ぼそぼそと恥じらうようにそう答えて。
やり取りを終えれば、去っていく貴方へ別れを告げただろう。
『また、明日』。会えると信じていた。
(39) 2021/07/07(Wed) 20:25:20
フジノは、調理室で"肉"を食べ、飲み下した。味なんてどうでもよかった。腹をみたせるのなら、それで。
(a16) 2021/07/07(Wed) 20:33:37