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人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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 ── 迷い込んだ直後、あるいは紙一重にて ──


[ 瞼越しに瞳を突き刺され、強く眉根を寄せてから目を覚ます。
 喧騒とは呼べない風音と奇妙なまでに心地の好い気候。少しも見覚えのない景色の中央で、男は思わず瞬いた。 ]


  ……んん?
  あれ、ここは……、


[ 眼前には鄙びた住居があり、足の下には剥き身の地面があった。空が妙に広く思えるの織られるように奔る電線が存在しないからだろう。良く言えば長閑な気に満ちた周囲の状況に見覚えなどあるはずもなく、もう一度目をぱちり。

 ……彼が布団に収まってから、きちんと入眠したはずだが。その隙に運ばれたなんてことがなければ状況が不自然だ。己に恨みを持つものの犯行は否めないが、それにしては手段がまどるっこしい。

  自分が敵など捕まえたなら、
  屹度銃でも向けて腕くらいは撃ち抜くだろう。

 だが立ち尽くす体に欠損は無いし、燦燦と惨憺たる日差しを浴びて尚不快な熱など覚えない。……手の甲を抓る。残念ながら現実と納得できるだけの痛みはあった。]
 


[ そうこうしているうちに漸く足元の存在に気が付いて。 ]


  ……シグマ?
  あれ、どうしたのその……


[ 膝を折って目を合わせればその昏さには見覚えがあった。というかその姿や出で立ちもだ。]


  お、おう。変な覚えかたされてんのはともかく……
  久し振りだね。元気そうで何よりだぜ。
  けどお前どうして。


[ 見覚えがあると言えど普段通りでない彼の姿。明らかに異常事態だ……とは言い切れないのが
ランダ村出身の
妙な飯を食べ合った弊害だろう。
 軽く屈んで眼を合わせれば、あの時と同じ警戒心が滲んでいる。
 そういえばあの時、己はこの棘をどかしてやることは出来なかったな。子供の扱いには慣れているつもりでいたがほんの少し気がかりだったのは覚えていた。]
 


[ あの時のリベンジができるだろうか、などと考えていればその警戒色はさっさと鳴りを潜めた。後に残った不明瞭なかたち……を見て取り、きょとんと目を丸くする。 ]


  冗談って。……あくしゅみい。
  相変わらず訳がわかんないねお前は。


[ 今更か。取ってつけたように肩を竦めて目を伏せた。

 現実に似た空気感と、現実にはない居心地の良さ。夢だと言われればなるほどそうなのかと思えてくる。それくらい現状への探求心は希薄であった。ついさっきまで眠たかったのだから致し方ない。

 ……小さいと可愛げがあるのにどうしてああなってしまうのだろうか。嘆きともとれぬ複雑な心境でもう一つ、溜息。 ]
 


[ 彼について知りたいこと等、多くは思いつかなかった。
 一番気になるのは───生まれた時に与えられたたった一つの名前。
 生まれた証とも言いたい一言を呼ぶためだけに己は焚きつけているのだから。


 衝動的に口にしようとしたが、声は喉元で止められる。 ]


  ……けど、


[ 一応住屋や居場所は見つけたと言っていたしな。
 未探求の手がかりがある以上、本人より先に真実を得るのは少しだけ躊躇があった。ロマンチストの気は希薄……な方だろうが、特別な一口目は当人に与えられるべきのような気もして。

 小さく唸って首を傾げる。
 閉じた瞼を持ち上げてみれば、ふと幾つもの球体が目に入る。 ]
 



  ……? なにそれ。
  一体何をしてんの?


[ 途端に幻想的に見えてきた景色をきょとんと眺めた。風船のように漂った一つはすわっと手を通り抜けるが、足元に横たわるそれは爪先で転がそうともびくともしない。
 そうして「触れよう」とした途端、どちらにも奇妙なポップアップが浮かぶようだ。

  試しに、(3)1d4らしきものを、]
 


[ ───。 ]
 

[目当ての楽譜は、音楽祭で知り合った友人が書いたもの。
出来立ての楽譜は店頭に並んでいなかった。
在庫があると言われたときはお願いしますと目を輝かせ、
嬉しそうにリフルに近寄った。]


 きれいな曲を書く人なの
 弾けるようになったら聞いてね


[彼の笑顔に鏡みたいに笑顔を返した。
中庭の住人の彼がまだ居るのが当たり前な提案をして、
はっと口をつぐんだ]

[《私、結婚しちゃうかもしれない》
王子の話をしたのはメグだったはずなのに、
彼に出て行けと告げたのはシャーリエだった。

リフルの声が凍って、メグの心臓を刺した。
デートって、楽しくないのかな。
嬉しいのって最初だけなのかな。
もう戻れないのかな。
仮面の後ろで私が泣いている。

話もできない私《メグ》の代わりに
私《次期当主》の仮面を被った。
お屋敷の私《お嬢さま》でもない、とびきりよそいきの私]


 ありがとう
 お代はこちらから。

[ピアノ譜には釣り合わない銀貨を一枚置いて、
釣りも受け取らずにきびすを返す。
リフルの隣で手を握っていた私は殺した。
彼を従えて歩く私になって、行きますよと前を歩いた。

これじゃあ手は繋げないんだな]

―― 公園 ――
[日が高いからか、子供や犬連れの東洋人が
公園を楽しんでいる中で、
人気のない並木道のベンチにリフルを座らせた。
人もいないのに隣に座ってもデートの続きには戻れない。
ため息を吐くのはお嬢さまの私。
――彼女も次期当主の後ろに押し込めた]


 訳がわかんねぇ、ですか……。

 貴方に構う答えが必要でしょうか。
 ならお答えします。

 ……貴方は屋敷の中でも特別です。
 この国には貴方の左手を直せる技師はいません。
 王国に技師の養成を願い出ましたが、
 この先10年は王国から先生に
 おいでいただく事になるでしょう。

 王国と良好な関係ができなければ、
 貴方の左手を看る人は居なくなるのです。
 ……貴方はこの国を去ることになるのでしょうね。


 もう一つ、貴方は特別なんです。
 私の他に中庭に入るのが貴方くらいなのは
 気づいていましたか。
 貴方に中庭を許していたことは。

 『私』は姉と中庭で話すのが好きでした。
 特別な庭に招くくらいには、
 貴方がお気に入りだったんですよ?

 このまま王子を迎えたとしたら。
 ……きっとリフルに話し掛けちゃうし、
 それじゃ王子に申し訳が立たないから……。


[泣いていた私が戻ってきて、
目の前にいる人の顔がぼやけた。]


 ……どうしたら、リフルといられる?
 友達ならいいの? お国を諦めたらいいの?

 ……デートも忘れなきゃいけないかな……


[リフルの顔が波打って見えない。
抱えた薄い不面目に雨粒が落ちた。
空には薄い雲しかなく、雨はひと粒しか落ちない。]


 ……帰りましょうか


[今日はどうにも焦ってしまう。
いつもの私と違う考え方をしてしまう。

でも、いつもの私《メグ》では国を守れないんだ。
板挟みに押し込まれた私は、心の内で雨に打たれていた*]


  ……、これは、

[ 屈んだ体制のまま我にかえり、暫し呆然と動きを止めた。

 異国の響きを口にするかんばせはどこか見覚えのあるような雰囲気を湛えていた。この国の建築構造に見えた部屋の中、歩み寄る子供もまた。
 チラリとこの世界の彼を盗み見る。間違いなく昔の彼の姿だろう。ともすれば彼女こそが彼の愛した母親で。 ]


  ……なるほどなあ。


[ 問いかけども返事はなく、顔を見ることもしない肉親に寄り添い、生存の意思が伺えることだけを喜びとしながら、日々衰えていく姿を眺める日々。

 キツイなア、と苦笑めいた表情になった。 ]


 ……これは、あいつが忘れてる思い出?

[ 沈黙した球体を意味もなく撫でながら顔を上げた。]*
 

―― 記憶 ――
[慣れないヒールを折って、庭で休憩していたら
窓の外を通ったリフルに手を振った。]

 リフルって旅人さんよね。
 変なこと聞くけど、シャーリエって人見たことなかった?
 ……私のお姉さまなの。


[驚かれたか、訝しまれたか、私が耐えきれなくなったか。
眉尻を下げて変だよねって言い繕った]

 本当はお姉さまが家を継ぐはずだったんだけど
 いなくなっちゃって。
 ……さらわれた、らしくて。

 私はお姉さまの替え玉だから、
 こういうの剥いてないの

[ヒールの折れた赤い靴をぽいって芝生に放り投げた。
シャーリエの仮面に慣れることはなく、
日々の用事をお姉さまの代わりにこなしているだけ。
できるようになってきたけど向いているとは思えない。]


 家族は私のこと、メグって呼ぶの。
 でも本名はシャーリエなの。
 ……やっぱり変だよね

[えへって困ってない顔を作ったけど、
無事な片方のヒールも投げてしまってから、ようやく笑った]

[この先の記憶は曖昧だ。
きっと貴方を気にとめた理由なのに、
その後の中庭の記憶で薄れてしまった。]

 ねえ。

 あなたの手は大丈夫?
 生まれたときからつけてたわけじゃないよね、
 痛くなったりしない?

 この国でその腕、聞いたことないもの、
 腕が痛くて倒れたりしない?

 お姉さまはこの庭でさらわれたから、
 ここで倒れちゃやだよ

 痛かったら守るから、どうにかするから。
 言ってね

[もやもやの気分の向こうで毛玉がくるんと回った。
これは夢じゃないけど、私にとっては薄い記憶。
貴方と笑ったお茶会の方が大切で、
思い出すことも少なく薄れていく夢みたいな記憶]


 貴方が男の人じゃなかったのなら
 友達のままいられたのでしょうか……?

[公園のベンチ で呟いたのは、私《次期当主》。
泣き声の私《メグ》の代わりに口を貸しただけなのに、
ひどく胸が痛い。

目を閉じて私を殺して、
息を整えるために風の音を聞いていた**]

 
[そっと挟み込んだ内側で
 潤んだ瞳が揺れ、
 静謐さを保ったまま唇が動く。

 ほんのりと色づいていく
 艶めかしい変化は
 美蝶の羽化を見ているようで。

 息をするのも忘れて魅入っていると
 口元がふわりと緩み
 堪らない微笑が咲いた。



   …………



[この世のものと思えぬ可憐さに
 撃ち抜かれて
 あれほど饒舌だった舌が、言葉を失う。]
 

 
[同時に、一気に溢れかえったのは
 叶うことのない欲だ。


          
チャペル

   (この、大きな標本箱ごと
    持ち帰って
    ずっと手元に置いておきたい…)



 一瞬でも見逃したくない。
 ずっとこの奇跡を見ていたい。]
 

 
[だが、そんなこと
 人間相手に許されないことくらい
 いくら虫狂いの、常識の薄い男でも知っている。


 先程、彼も言っていたではないか。

 ”離して” ”帰して” と。


 きっと拘束を解いたが最後
 羽ばたいて
 手の届かぬところへ
 飛び去ってしまうのだろう。


 24時間びくともしないというアナウンスの
 真偽は定かではないが
 警備の手が回るまでの間だけでも

 せめて────…]
 

 
[限りある時間。
 もっと、余すところなく愛でようと
 頬から手を浮かそうとすると

 柔らかな肌が わずかに泪で張り付いて
 ”行かないで…”と
 引き止めてくれているように感じた。


 本当にそうなら
 どれだけ良いだろう。


 心裡だけに留めておきたいのに
 慣れぬ切なさは
 いとおしさと共に視線に滲む。]
 

 
[さっきは有無を言わせず
 無遠慮に剥いた服。
 ベルトに手を掛けながら
 落とす声には、懇願の響きが宿る。]



   ………… 全部 見せて

   貴方の綺麗なところ、全部 俺に



[明日になれば
 もう望めぬ相手なら
 また無理やり肌蹴けさせても構わぬ筈だし、
 嫌だと拒まれても
 きっと手は止められないと思うのに
 
 やはり
 諦め切れていないのか
 この柔らかな表情を崩したくないのか

 羽化を強引に手伝いながら、希う。]*
 

 
[温かい掌が離れて行くのは
 一瞬だって寂しいけれど
 他の場所にも触れられたいから――、
 我慢できない辛さじゃない。]


   ……?


[彼の方は……、どうしてだろう。
 向けられる眼差しが曇った気がした。

 僕は何か粗相をしてしまったのだろうか。
 伝播したように胸を締め付けられながら
 下にずれて行く彼を視線で追う。]
 

 
[針が刺さったままの胸と胸の先
 彼の手はベルトに掛かった。

 それから、切実な響きを伴って
 彼の望みが鼓膜を打つ。

 一気に渇いた口を、躊躇いがちに動かした。]



   ……うん。……見て、欲しい……



[決して、嫌ではない。
 僕も望んでいることだ。

 だけどどうしたって、顔が強張る。
 不安がちに瞳が揺れる。

 自社製品のモデルを自ら務めて
 肌を晒すことはあるが
 性器は流石に母と業者にしか見せたことがない。]
 

 
[特に母だ。
 そこを見るときだけ残念そうな……、
 或いはほっとしたような顔をしていたから
 男としての自信を持てずに来た。]
 

 
[緊張する。
 続きを早く見たくて仕方がないし
 今すぐ息の根を止めて欲しくもある。]



   (彼の元に届いた蝶たちも
    いまの僕と同じように
    酷く緊張したんだろうな……)



[虫たちが感情を持つかは解らないが
 もし在るならきっとそうだ。

 彼のお眼鏡に叶わぬのは
 価値が無いに等しいこと。

     生かすも殺すも貴方次第。]
 

 
[そんな依存しきった存在だからこそ
 不安の隠せぬ眼差しで見つめる。

 下が脱がされるなら
 黒のレース製の下着が露わになる。
 大事な部分だけ黒い裏地に隠され
 脚の部分は透けている薔薇柄のそれは
 黒の手袋とお揃いで

 両サイドから三本上に伸びる黒ガーターが
 ズボンに留められていたシャツを
 スス、と左右に開き

 無駄毛が一本とない肌を
 彼の前に晒す行為を、手伝うだろう。

 下着の下も、不要な茂みは処理済みで
 使用感の少ない半身は本人と同じく萎縮し
 今は大人しく中心に収まっていた。*]
 

[妙なご飯で変化した時、真っ先に目に入ったのは、
燥ぐ元気なお兄さん。
あの短い邂逅では、
第一印象がそのまま固まってしまうのは致し方ない事だ。]


…すみません、
こうして人が来る事など有り得ないので対応に迷い、
貴方が不可思議な出来事によって出会ったこの姿の時に
合わせてしまいました。
俺は現在の時間までの出来事を知識として知っているので、
あの時とは別のものとなります。

[悪趣味と言われれば少年は頭を下げて謝罪をする。
普段より淀みなく淡々と説明をして、
溜息に僅か口元だけを上げたが、
球体に向けて俯けば目立つものではなかったか。]