―お隣さんとのあれこれ―
[先代処暑とは共に仕事をしたお隣さんだ。
先々代は良い跡継ぎを見つけたなと思う程度には人の良い青年だった。長い人生の中、彼と仕事をした時間はとても短い。そろそろ自分も……と引退を考え始めていた頃。
特筆するような思い出はないが、仲良くやっていけそうだと立秋は思っていた。隣りのよしみで「大切な人がいる」と雑談で聞いたこともあった。「君も隅におけないね!」と笑ってからかった。
そんな彼が殺された、という話は隣りということもありかなり早い段階で耳に入ったと思う。]
……バカなことしたもんだねえ、そいつ。
[残りの人生を棒に振ってまで復讐を選ぶなんて。灯守りにそこまで固執するなんて。立秋にはその蛍の心が理解出来ず、長い溜め息を一つ。]