「サダルの件はお前が受けた取引だろ?
お前の取り分で構わないぞ。
占いの嬢ちゃんにお小遣いは貰ったばっかだ。」
お小遣いの年でもないこの男はチップを調子よく貰っている。
10数年見ていたのなら、もう十分すぎるほど稼いでいる事、
特段金遣いが荒い訳でもないのを知っているだろう。
普通に生きるならチップを貰う必要がないくらいに。
「カウスは今の所は白く見えるねェ。
あれで黒なら逆にスカウトしたいくらいだ。」
「あとニアという黒くてちっちゃい兎チャンがいただろ。
アイツの兄と俺ァ友人だったんだが……行方不明になった。
その件で世話を焼こうとしたら、どうも兄妹仲が不仲らしい。
好いてない兄の友人だからと毛嫌いはされなかったが……
内心どうだかわからねぇ。女心は難しいねぇ。」
意図して目を掛けてやれとは言わない。
ただ伝えると言う事はもし何かあれば、という意図だ。
「そうさねェ。
ブラキといや、羽根の件。ありゃなんだ?
誰かが隠蔽したのかと思ったが形跡がひとつもない。
ブラキが嘘を吐くタイプでもない。
『誰かに羽根があった』と思い込まされてる方が自然なくらいだ。」