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人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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[彼にはひとつ、長い間気になり続けていることがある。

 “美味しそうに見えるものは、本当に美味しいのか”

 もしそれが見た目だけの話で、味に差異が無いのなら、美味しそうなヒトを襲う可能性を極端に恐れる必要は無くなる。

 けれどもし、実際に美味しいのなら──
 知ったが最後、二度と戻れない道に足を踏み入れることになるだろう。

 確かめずにいることが幸福なのか、確かめてみたほうがいいのか。彼は前者と思い続けているが、果たして]**


 なんでって……、なんか腹立ったので。
 いや、柚樹になんかしそうだったから……?

[律儀に答える必要はないと思いながら、“それ“の言葉に返してしまう。

こうして偽物と並んでるところを見ると明らかに別物ではあるなとは思いつつ、それでもベースは同じだから不思議な感じはする。

近づいてみると、そういえば顔は叩いてしまったのだったと思い出して。
それは本人にもやったことがあるから、こんなことになるとは思ってなかったのはあるけど。

傍にはいたものの、近づいていく柚樹の邪魔はしなかった。

とどめを刺すとは聞いていたし、水に弱いらしいのは美術館の時に教えてもらってはいたが、どうするんだろうとは思って見ていた。]

[柚樹の理想がこれなのは、女性らしいとかそういうことなんだろうか。

確かに“理想の恋人“だと偽物は豪語していたと少し前のことを思い出しながら、柚樹と柚樹のようなものが会話するのを聞いていた。

オレの偽物はどんなだったんだろう、見た目は同じだったけども、とは、聞いてみたいような聞くのが怖いような。

でも柚樹はちゃんと偽物だとわかったのだと思うと安心する気持ちはあった。
勿論、欠片も疑ってはいなかったけど、オレがあんな状態だったのもあって、柚樹を不安定にさせていたのは確かだから。]


 …………、

[柚樹の攻撃は思った以上に容赦なくて、傍らで一連の流れを眺めながら、喧嘩になったら大変そうだなとは思ってしまった。

そんな取っ組み合いの喧嘩にはならないと思っているけども。

おそらく表面的には絵画のそれで、内側は林檎のような何かが素材であることを差し引いても、元の柚樹より非力であろう“それ“は抵抗らしい抵抗をすることなく、膝で頭を砕かれる。

広がった腐臭に似たにおいに、胃酸が込み上げそうになりながらも、とどめに足が振り下ろされるところまでを見届けて。]

 うん……、柚樹も容赦ないとは、思うよ……?

[オレと喧嘩になってもここまでしないのはありがたいのだけど、急所を思い切り蹴るのも遠慮はしたいかな。

床に広がっていたグロテスクな物体が消えて漸く、安堵の息を吐いて。]

 今度はちゃんと、とどめさせてよかったな。

[“今度は“の意味は、偽物のオレの話じゃなくて、美術館の時に現れた柚樹の偽物のことだけど。]

【人】 武藤景虎


 ん……、終わったと思う。

[“あの時“も思ったけど、やっぱりオレの惚れた女はいい女だなと思ったよ、なんて。

問いかけには安堵の笑みを返した。]

 起きてからずっと走り回ってたし、腹は減ったな……。
 ホットサンド?食いたい。

[安心したら急に空腹感を思い出したのもあって、朝食には既に遅い時間だったし食事の提案には一も二もなく頷いた。]

 何もされてないよ?
 オレの方が手を出してしまったくらいで……。

[あっ、変な意味じゃなく、とは付け足さなくてもわかると思うけど。

詳しくは飯食いながらというのには同意した。

なんか手伝うことある?とは聞きつつ、その前に手を洗ったり着替えたりしてくるとバタバタ荷物の方に移動して。]
(52) 2023/03/05(Sun) 17:51:32

【人】 武藤景虎

[洗面台の鏡の前、装飾品をひとつひとつ付けながら、左耳のヘリックスピアスの内側を覗き込んで、あ、と声を上げた。

柚樹から誕生日に貰った太陽みたいな石と刻印の入ったそれは、昨日とは違うものだ。

オレの記憶がおかしかったせいでこの辺の物も巻き戻っていたのだろうか。

左手を見下ろすと、いつの間にか戻っていた薬指の金色ベースの金属の輪の重みに目を細めた。

足早に台所の方へと戻れば、柚樹の元へ駆け寄って、まず先に耳元や左手を確認することにはなったかな。]*
(53) 2023/03/05(Sun) 17:53:05

  まあ。
  それなら、安心ですわね?


[椿は“狼”どうしの争いには関知したことがない。ゆえに、自分以外の“狼”がどういうものであるのかについては無知だった。都市部では熾烈な縄張り争いがあるとも聞くが、それを避けるために椿らは田舎ばかりを選んで住処を転々とさせていた。

 楓の言葉は、単純に「お前では勝てない」という意味に受け取った。確かに、小柄な女の力で楓ほどの大柄の男にまともに当たって勝てるとは思えない。殺すだけならいくらでも方法はありそうだが、彼を殺したいわけでは、決してない。

 本当に彼を喰べたいと思ってしまったなら、その時には我を忘れているのだからそんなことにはお構いなしだろう。返り討ちにあうならば、それでも構わない。]

  であれば——


[椿はシャツの裾を掴んでいた手を離し、楓の頬へと差し伸べた。しかし触れることを迷って、その手は萎れるように自身の胸元へと帰っていった。一瞬だけ悲壮な表情を浮かべかけたが、すぐにまた笑みを取り戻した。]


  その時は、我らが王に牙を向けた罪を、償いましょう。


[冗談めかしはしたが、半ば事実で、椿は本気でもあった。
 以前ともに過ごしたとき、彼はまさに王であった。
 気高き王と、力ある王とに率いられ、椿はその気高さに、あるいは力に、素直に憧れを抱いたものだった。彼らのように生きられていたならば。そんな嫉妬に近いような感情すらも秘めていた。]

【人】 片連理 “椿”

  ふふ。安心できそうですし、
  わたくし、少しお散歩に行ってきますわね。


[そう言って、椿は兎のように一歩後ろに跳ね、長い髪を揺らしながらくるりと回って、ぺたりぺたりと裸足の足音を残して駆けていった。]**
(54) 2023/03/05(Sun) 18:07:57
[動けなくなったら困るなあ。やなんて分かっていて言う。
苦笑する彼も分かっているのだろう。だから、今度するな。と軽く転がして、彼がスマートフォンの中身に気づけば、何も気づかぬふりをするだろう。

別に彼の不実を疑っている訳じゃない、彼が自分にメロメロなのはよく知っているし、そうやってモテる彼が恋人だというのも誇らしい。ただ、好きなものを好きと態度に出せるその素直さが自分にはない。今さら素直で無邪気な自分。など想像できないが、それでも少し思う処はある。
ちょっと待ってくださいと言われ
膝の上に頭を乗せたまま、彼が返信を打つのを眺めて]



 ……ん。面倒見いいやん?


[いい子やね。と髪の毛を撫でる手に目を細めた。
面倒見の良さも彼の美点だ。後輩は可愛がるものだ。思うところはあるにせよ、彼が可愛がっているのを見るのは微笑ましい。自分だって、こうなる前だって寿のことを可愛がっていたのだから。…可愛がられていた方がどんな気持ちを抱いていたかは詳しくは知らないが。あの頃の関係も悪くなかったと自分は思うのだ。それに、寿は特別だった。

彼が後輩の面倒を見る事は自然な事だし。
良い事だ。だから、まさか悪い虫がつかぬようにと行動しているなんて思いもよらぬ事だ。もしそれを知ったら、笑うだろうし、僕は自分で自分の身は守れるで。と言っただろうし、それなら自分の身を案じるべきだと、鼻を突いただろう。

もっとも、そうやって独占欲を見せてくれるのはきっと嬉しいことなのだろうけど。用事をすませた彼が、此方にと視線を戻せば、微笑みを向けてそのまま手を伸ばし頬を撫で。
おかえり。と迎えようか]



 そうやね。
 やー楽しみやわ。


[どんなお風呂やろか。
なんて、言い。彼に運んでもらっただろう。思ったよりも広い浴槽につかり彼を待つ。その間に少しばかりばしゃりと湯を波だたせる遊びも忘れずに。服を脱がずに抱いていた彼の裸体を見れば、少し目を細め。やぁ、いい男やな。ところころ笑いかけた。彼がこっそりと筋トレをしているとはしらないが、というか自分は彼のことで知らないことだらけなのだが。
それもこれも、自分との繋がりに直結することなのだとしたら、隠す姿をあえて暴くことはしない。暴かなくても良いと思う。やって、こうして彼は男前の、自分だけの寿達也を見せてくれるのだから。当たり前のように上に乗り上げれば、抱きしめてくれる。その腕の太さに甘えるように寄り添い]


 風情ええし、ほかほかするし気持ちええし
 って、なんやここでも写真撮りたいん?
 …綺麗にとってや?


[赤味の強い光の下。
両手でお湯を掬い、落とす。首筋には汗を流し、見上げる彼を見る目を彩る睫毛は湯気で濡れている。彼が見る事を好んでいるのは知っていたから唇に浮かべるのは艶めく笑みで。
囁く声には、少しばかり低く啼く声で頷き]


 ……やぁ
  そこ、今日は……
      まだ飲んでないで


[食べはしたけど。と甘く。
突かれた箇所ではくり息をして、指先は彼の顎をなぞった。細い指は輪郭を確かめて、下唇に触れる。彼の指が中にと入り込み、洗い始めるのなら此方は指で下唇をそっと捲り。歯列をなぞって]


 ……ぁ  んっ
    こっちでは飲んだけどな?


[甘い声で身を少しばかり震わせて。
舌を覗かせる唇を近づけ、背のびするような姿勢で彼にキスをした。そうして、そのまま猥ら花を開くように足を、動かせば指を奥に奥にと誘っていこうか*]

【人】 大学生 要 薫

- コテージ内 -


[寝室のベッドの上で目を覚ませば、スマホの時計を見たうえで後一時間。とまた眠ろうとした。やって、折角の休みやし、彼以外誰もおれへんやもん。時計なんて気にせずゆっくりまったりしたいやん。とばかりうとうと二度寝。**]
(55) 2023/03/05(Sun) 18:34:37
大学生 要 薫は、メモを貼った。
(a9) 2023/03/05(Sun) 18:36:13

[楓もまた“狼”たちの群れからは離れて暮らす身。狼たちが囁き交わす声を聞いたことは何度もあるが、その全てに答えずにいる。
 縄張り争いらしきものに巻き込まれかけたことはあるが、関わる意志が楓に無いことに気付けば、向こうも深追いはしないものだった。
 当然、狼としての名もない──いや、今は“楓”がそれに相当するのだろうか? 遊戯の中で使った名なのだが。

 ゆえに楓の狼としての戦闘経験はそのまま、食事を兼ねて人間を襲った経験に直結する。その過程で自分の能力も知るに至ったのだ。種の名前を知ったのは奇しくも遊戯でだったが。
 そして、不意打ちで即死なんてことさえなければどんな相手も恐れるに足らない……と、楓は思っていた。銃使い以外なら、の話だが]

【人】 一匹狼 “楓”

 
  ん、ああ……気をつけてな。


[小動物のような動きを見せて駆けていく彼女を、楓は身動きせずに見送る。>>54

 自分も少し外に出てみようかと考えつつ、今は一旦、そのまま寝室に留まった。
 外が明るいあまりに、室内は薄暗く思える。
 その暗さに安らぎを覚えるのだった]*
(56) 2023/03/05(Sun) 18:47:13
[足音が聞こえなくなった後、彼女の手が触れかけた頬に自分の手を伸ばし、静かに触れる。
 そうして彼女の言葉を思い返した]


  ……王。


[それが自分のこととは、楓はすぐには結びつけられなかった。
 彼は事実上“群れ”を率いる立場ではあったし、彼女がまるで従者のように思えたことも何度かあったが、それでも彼の心の中では対等なつもりだったから。

 文脈から言えば自分のことらしいと思ってはみても、敬意を抱かれて嬉しいというよりは……

 彼女との間を隔てる壁が高いように感じて、寂しい。
 そういう感覚のほうが近かった]**

【人】 天原 珠月

[湖の畔から、こちらを見つめる姿。>>26
街灯からは逆光になっていたが不思議なほど鮮明に目に映る。

星の光を映すような銀白色の髪。
レンズ越しでも何故か分かる、瞳の青。

ああ、と息が零れそうになった。
胸の内がいっぱいになり、溢れそうに苦しい。

――、と、心が名前を呼ぶ。

予感はしていたのかもしれない。
自分とそっくりな少女が現れたときから。
その少女と強い縁で結ばれている相手なら、並んだ番はと思えば、目の前の彼の姿は泣きたいほど理解できた。
しかしそれも此方からの勝手な見方だとも分かっていた。

昔ならいざ知らず、驚きも動揺も今は覆い隠せるし、長年の巫女として身につけてきた表情と仕草も使いこなせる。
優雅ともいえる挨拶はそうして出てきたものだった。]
(57) 2023/03/05(Sun) 19:59:40

【人】 天原 珠月



 私の名前は、ペルラ。


[端的にまずは下の名前だけを伝えて。
まるで相手を慈しむように、柔らかな笑みを浮かべた。]
(58) 2023/03/05(Sun) 20:00:09

【人】 天原 珠月

[きっと彼は事態が分からず、少女のことを心配している。
少しでも落ち着いてもらうのが先決だった。
自分でもよく分からないことだらけではあるが、ここは心を強く持ってしっかり者らしくせねばならない。

堂々とした豪胆さなどは『彼』の方が上手だったのだけれど。
ふっと思い浮かべた姿に内心で緩く首を振る。]

 多分、その私にそっくりな女の子に会っているわ。
 ついさっきね。私のいた場所に迷い込んできたの。

[引きずり込まれてきた、が正しい気もするが。]

 関係は確実にある……から、ゆっくり説明させてくれる?

[ほんのり困ったように首を傾げたのは、湖から上がって、彼と同じ場所にとりあえず行きたかったから。
ここがどんな世界のどんな場所か分からないが、周りに関係のない巻き込みかねない人がいなさそうなのは幸いだった。]
(59) 2023/03/05(Sun) 20:03:12

【人】 天原 珠月


 まず、何から説明しましょうか。
 そうね……私はこの世界とは別の世界の人間なの。

 お伽噺みたいだけれど、ね。

[此処の世界のことは何も知らないけれど、と前置きした上で。

自らの世界では、遠い昔に大地や海というものは滅び、点在する空に浮かぶ島に人々は暮らしていること。
人々の一部には不思議な力を生まれつき持つ者がいて、自分はそれであり、島では『巫女』の役目を担っていたこと。
巫女とは島そのものが浮遊するための力を補助する者であり――自分はつい先日力を使い切り、役目を終えたこと。

正直3行で説明する方が難しい情報量ではある。
どうにか頑張ってはみたが、彼の反応はどうだったろう。
質問があればその都度、言葉を尽くすつもりだけれど。]
(60) 2023/03/05(Sun) 20:04:22

【人】 天原 珠月

[しかし一番彼が気になるのはここだろう、と。
一際真剣な表情に変わると、まっすぐに彼の瞳を見つめた。]

 あなたの探している女の子は、役目を終えた私がいた、狭間の世界のようなところに突然やってきたの。
 正直、理由は分からない。
 私は急いで元の世界に帰してあげようとしたのだけれど……ごめんなさい、まだ力が戻っていなくて、無理だった。

[自分の力さえあればどうにかなったはず、と。
静かに語る声には、強がりではない、誇張でもない、長年連れ添った、長年修行により磨いてきた、自分の一部である能力に対する確固たる自信が表われていることだろう。]

 あのままだと、全く知らない世界に飛ばされる可能性があったから、私の独断で……私が元いた世界に行ってもらったわ。
 その時に唯一、行く道の分かる世界がそこだった。

[ゆっくりと落ち着いた声音を心がける。
どんな反応をされようと、視線は逸らさずにいよう。]
(61) 2023/03/05(Sun) 20:05:18

【人】 天原 珠月


 私のいた世界には……、

[片方の耳に艶めく真珠の耳飾り。
もう片方を持つのは――誰よりも大切なひと。

役目を終えた自分が置いてきてしまった、愛するひと。]

 誰よりも、一番、信頼している人がいて。
 女の子には彼の元へ行くようにと背を押したから。

 だから身の危険はないわ。大丈夫。
 彼なら絶対に……彼女を守ってくれる。

[はっきりと言い切った。

それでも完全に安心できるものではないだろう。
しかし正直に話すと、これしか言葉にならないのだ。*]
(62) 2023/03/05(Sun) 20:06:24

【人】 片連理 “椿”

[裸足のまま、ウッドデッキから外に出た。
 外は相変わらず気持ちの良い天気だ。
 どこへ行こうか考えて、湖とは反対の方を選ぶ。

 歩けども歩けども、他のロッジには辿りつかない。
 途中に似たような建物が他にもあるのは見ていたし、夜には明かりも見えていた。しかしそれも、そういうものだと受け入れられている。]
(63) 2023/03/05(Sun) 20:20:35

[武藤は(武藤も?)、まあまあ自分に容赦ないなとは思ったよ。

私に"なんかしそうだった"はともかく(その理由が大きかったのだろうなとは思いつつ)、会話の一つもしないままに、"なんか腹立ったので" で出会い頭に自分と同じ顔をもつものを全力で殴り抜ける人はそう多くはないと思う。

私も、人のことは言えないくらいには容赦ないことをした自覚はそれなりにはあるけれど。

全力で踏み抜くように"偽の私"の後頭部を踏み抜いた時、嫌悪感よりもむしろぞくりとした快感を覚えたことは、とりあえず忘れておこうと思った。]

 …………ん、とりあえず"仕返し"、できたかな。

[武藤の言う"とどめ" の意味を正確には把握しないまま。

でも武藤が私しか知り得ないはずの、美術館でのやりとり全てを知っていたとしても、私は特段驚くことも怒ることもしなかったんじゃないかな。]
 

【人】 黒崎柚樹


 じゃあ、作る。

 武藤はコンビーフとツナだったらどっちが好き?

[ホットサンドの提案はあっさり受け入れて貰えた >>52 ので、具材の2択を出してみたら、ツナだと言われ、頷いた。]

 それなら"つなたまちー"で。

[つなはツナ、ちーはチーズ。たまは……卵だったり玉ねぎだったり、時々だったりするけれど、黒崎家定番の組み合わせ。

色々話したいことがあった気はするものの、とりあえず空腹を満たしてからねと、私は早々動き出していた。さすがに上下運動部のジャージはどうかと思ったから着替えはしたけれど。]
 
(64) 2023/03/05(Sun) 20:27:27
[なるほど、この人はひとりっ子と。
そんな情報から得ることになったのは、幼馴染そっくりさんが意外なほど律儀に呟きにも答えてくれるからだった。
最初の印象は幼馴染に似ている!ばかりがあるせいで良いも悪いもなかったが、悪い人ではなさそうな気がする。
……いや、まだ判断が早いか。

自分はそれなりに警戒心はあるほうだと思う。
高校までは長い黒髪が人形のようだったのか変な絡まれ方をされたり、髪を染めてからは軽くて遊んでいると勘違いされたり、面倒ごとに巻き込まれかけることがそれなりにあったからだ。
その全てが未遂であり、あまり嫌な思いもせずにすんだのは、気付いたらそばにいて話を聞いてくれる――幼馴染がいたから。

だから、自覚するようになり、今も気を張っている。
最近はそうでなくとも、いつまでも幼馴染を心配させてはいられないと意識しているところだったのだ。]

 ……。

[だが目の前の男性に失礼な態度をしたいわけでもない。
最低限の礼儀はかかさないつもりだが――毛を逆立てている野良猫みたいな有様ではあるかもしれなかった。]

【人】 黒崎柚樹


[台所の棚にあった直火式のホットサンド型を取り出して、冷蔵庫内のマーガリンを出していたところで、どこか慌てふためいた武藤に、手を取られ、耳に触れられ。

言われて初めて、自分の左手指に銀色の輝きが、両の耳朶にも同系色の銀の光が戻っていたことに気がついた。]

 …………あ……、

[武藤も戻ったの?と左手で左手を掴めば、私とは色の異なる金色の、でも同じデザインの光る輪が指先に触れてきて。

お互い、相手に金色が似合うから、銀色が似合うからと相手に合わせたいと選んだ指輪。
金と銀が絶妙に入り混じるデザインが、私たちらしいと選んだ品だった。

将来の約束を誓ったものとかではないけれど、互いの名前が刻まれている、大事な指輪。]

 ……そ、か…………。

[耳に触れれば、無い方がもはや不自然に感じられていた銀の輪がついていて。]
 
(65) 2023/03/05(Sun) 20:30:16