175 【ペアソロRP】爽秋の候 【R18G】
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| ─王城の客間─ そ、そうか? そう言われると照れるな。 兄さんだってばっちり男前じゃないか。役者みたいだ。 [正装を纏う機会などほぼ無い田舎出身の冒険者。 明らかに衣装に“着せられている”側ではあるのだが、 すぐに馴染んでくれると信じよう。 髪が触れた感触がして、兄さんの方を見た >>0:13。 子供じゃあるまいし、と思ったのは嘘では無いが 嬉しくない訳が無い。 緊張していた口元も自然と緩んでいた。 俺にとって兄さんは、いつまでも手間のかかる弟で 面倒を見る対象だったから。 それは、多少なれど今もあると思う。 生まれてからずっと一緒だった、二人だけの兄弟。 俺は一番兄さんのことを知っている自信がある。] (0) 2022/09/18(Sun) 1:17:29 |
| あ、ありがとうセシリー……。 そう言って貰えると気が楽になる、って でも、もうそのことは忘れて欲しいんだけどな?? [ セシリーの緊張解し >>1:26は、十分過ぎる程に効果があった。 途端に語気が強まってしまう。 同時に、緊張に震えていた俺と違い、 セシリーの堂々とした立居振る舞いには 改めて彼女が王女だと実感し、尊敬の度合いが高まる。] (1) 2022/09/18(Sun) 1:19:02 |
| ─閑話:適材適所─ [この四人で旅をするようになり、今まで一年弱程度の期間しか経過していないが、危険な場所や、寿命が縮まる思いをする経験も何度も遭遇した。 中には昔からの伝統、若く美しい娘を生贄に差し出す村の問題に直面したこともあった >>28。 「私なら大丈夫」身代わり作戦を提案したのはヘンリ >>1:29。 確かに俺よりも強いと思うし、綺麗な方だとは思うし、任せるには最適の人材だった。 実際、セシリーが立候補したとしても、俺は大反対しただろう。] そうか、なら危険だが任せ……。 [ と言おうとした時、を遮ったのは兄さんだった。 >>1:30兄さんの言葉に、皆がはっと兄さんを、ヘンリを見て下を向いた。] ……確かに。危険だよ……な……。 兄さんの言う通りだ。ごめんヘンリ。 [ ヘンリと言えば、大丈夫よと普段と変わらぬ様子に見えたが、兄さんの反対に結局押し切られてしまっていた。] (2) 2022/09/18(Sun) 1:23:41 |
[ 同時に、兄さんの優しさを改めて思い知る。
兄さんは昔からずっと優しい。
あまり感情を出す方では無いから
誤解されることもあったかもしれないけど
実際は内に豊かな感情、とりわけ優しい心を持っている。
それは、生まれてからずっと一緒にいた俺が
一番よく知っている。]
| うん……… …ふぁっ?!?!?! [ 兄さんが無茶な頼みをしてくることは基本無いので 反射で頷いてしまったけど、頷いて一秒後 言葉の意味が脳に追いついて、変な声が漏れた。] なんで俺が!? いや、それなら ……うっ……。 [ 兄さんが、と言おうとしたけれど 狙撃役が必要だと言われた上、メンバーのバランス、 配置等を考えるとこうするしか無く。 ヘンリは「ならやっぱり私がやるわよ」と 言ってくれたけど、ここまで来て 「女装が嫌」な理由だけで引き下がれない。 俺は勇者だから。苦境や困難に立ち向かうのは基本。] (3) 2022/09/18(Sun) 1:32:57 |
| [ 結局、ふわふわロングウェーブのかつらを被り 素朴な街娘に扮し、なるべく声を出さないようにして 囮役は成功した──のだけれど。 今思い出しても恥ずかしい。 人助けの為とは言え、結果村長村民に神の如く崇拝され 多額の謝礼も貰えたとはいえ。 次から似たようなことがあれば「人形を作ろう」と 大真面目に提案もしたのだった。*] (4) 2022/09/18(Sun) 1:33:11 |
[ あの時、ヘンリの腕を疑っている訳でも無いのに
「危険に遭わせたく無い」と、兄さんの真剣な態度で
兄さんは、ヘンリに仲間、幼馴染、妹分以上の感情を
抱いているんじゃないか、と薄ら感付いた。
兄さんとヘンリが恋人同士になったら似合うだろう。
絵になる美男美女同士で、腕も立つ。
むしろ、是非結ばれて欲しいとまで思っていた。
その場合、俺にとってヘンリは
兄嫁だから義姉さんになるのか。
俺の方が誕生日が早いから、義妹になるのか。
ぼんやりと来るかもしれない未来を考えていたのだ。
兄さんにも、ヘンリにも、幸せになって欲しい。
きっと幸せになれるだろう、と信じていた。]
[ 俺は既に、ある人に心を奪われていた。
絵に描いたように美しく清らかで、淑やかな女性。
見た目は勿論、心も同等、もしくはそれ以上に美しい。
かといって芯は強く、王族としての強さも持ち合わせている。
俺のような田舎者が、彼女に釣り合うとは思っていない。
でも俺が勇者として魔王を倒し、世界を平和に導けたなら
彼女の横に並ぶ資格を得るだろう。
いつか来る、その時の為。
──否、その時を自ら掴む為に。
俺は今までより、もっともっと強くなる。*]
| じゃあ行ってくる。 晴れ舞台……楽しみに、してくれ。 転んだとしても、笑わないでくれよな。 [ >>0:39栄誉を受け取る時間が近付いてきた。 あまり緊張しない性質だが、流石に今回ばかりは度合いが違う。 国王直々に面するだけではない。 兄さんとヘンリには内緒にしているサプライズもあるから。 表情の変化で悟られないようにしないといけないんだ。
──……もうすぐ、夢が現実となる。**] (5) 2022/09/18(Sun) 1:45:48 |
[ ずっと前から決めていた。
今伝えると、私の、彼の心を乱してしまうから
全てが終わった後に。
私の想いを、伝える────と。]
[ でも、私は色恋沙汰の機敏なんて何も分からなかった。
エドゥが、アスが。それぞれ淡い想いを秘めていることも。
セシリーとは、恋バナをすることも少なくなかったけど
誰かを想っているらしい様子は、察することが出来た。
相手までは分からなかったけど。
何も知らない間が一番幸せとは言うけど。
その理論なら、私の幸せは明日以降訪れることになる。
その後どうなるかは、私達全員が誰も知らない。]
[ ────でも、もしかしたら。
聡く、仲間をよく見ている彼なら
なんとなく予想出来ていたのかもしれない。**]
| [ 宴もたけなわの頃、遂に国王より 直々に栄誉が贈られる時が来た。 目の前には国王、すぐ近くには 豪華絢爛なドレスを纏ったセシリー。 見慣れた僧服では無く、今の姿こそ本来の姿だと 改めて実感すると同時に、美しさに言葉を失う。
自分がこの場にいる現実と 先に在る未来を見据えて──。]
私ごときの身に、有り余る程の栄誉。 畏れ多いことながら、有難く頂戴致します。
[ 緊張はヘンリにも伝わっていただろう。 言葉も所々たどたどしくなっていたが 何とか言い終えた後、 国王の、セシリーの方を見て、こくりと頷いて] (15) 2022/09/19(Mon) 2:42:41 |
| ──そして。 この宴の場を拝借し、皆様にご報告がございます。 (16) 2022/09/19(Mon) 2:44:00 |
| (17) 2022/09/19(Mon) 2:44:55 |
| まだ出会って数年ですが、王女を愛する心は 誰にも、国民の皆さまにも負けない自信があります。 [ 徐々に頬が紅潮してきた。 眼前のセシリーも同じようになっているだろうか。 それでも、どのような表情でも 愛らしいことには違いないだろうが。 ──兄と仲間、二人の席を見る心の余裕は、無かった。* ] (18) 2022/09/19(Mon) 2:46:13 |
[弟は近くにいるのに遠い存在だった。
才能に恵まれてて
人を惹きつける不思議な力がある。
その上とんでもなく良いやつ。
俺と全然違うタイプの人間だ。
おしめを変えたこともあって
理解者ヅラで誰より長くそばにいる癖に
俺の方は弟のこと全然解っちゃなかった。]
[旅の中でアスベルは益々成長して
血の繋がった家族とはまた別に
大切な人ができたことは
雰囲気や会話の中で気づけたかも……?
でもそんな人がもし居るならその相手は
ヘンリエッタだろうと思い込んでた。
こんなに魅力的な子を
好きにならない訳がねぇだろう!!
……と、強火で視野が狭まってたんだ。
恋は盲目ってやつ。]
―――回想:飛鳥井村にて1―――
[ 小さな頃のことは、実をいうとあまり思い出したくない。 ]
[ わたしの故郷は、『飛鳥井村』という
この街から遠く、それこそ県を幾つも跨いだ先の、
とある山奥に嘗て存在した小さな村。
今はもうないその村に、わたしたち渡守の一族は
ひっそりと隠れるようにして暮らしていた。
厳密に言えば、渡守の一族のなかでも特に結界術と
戦う術に長けていた一部の者たちが、だけど。
『本家』と呼ばれる人たちがいることは
わたしも知っているけれど、彼等に会ったことは
これまで一度もない。
…たぶん、だけど。
これからも、彼らと会う機会はないんじゃないかな。
本家の人たちは、彼を…あの子のことを忌み嫌ってると
そう、先生から聞いているから。 ]
[ ―――あの村で、わたしたちの一族が何をしていたのか
まだ小さかったわたしには、よくわからなかった。
わたしの記憶の中の飛鳥井村の景色は、
それこそ他の人が思い浮かべるような、
穏やかな田園風景そのもの。
―――四方を、山に囲まれていた。
夏には深く緑を茂らせる山に囲まれていた。
―――田んぼや畑があった。
春には道端に蓮華の花、夏には向日葵や蒼い緑の田圃の景色。
秋は黄金色の野原のよう、冬は薄墨の空から降る牡丹雪。
―――家々は、古い家ばかりではなかったと思う。
紺や朱色の屋根をした古くて大きな母屋や、
庭に建てられた蔵の白い壁。
庭に植えられた樹々や草花の彩。
思い出そうと思えば、今も鮮やかに浮かぶその記憶は
―――今はもう、この世界の何処にも存在しない景色。 ]
[ 小さい頃、父や母や祖父母、周りの大人たちが
わたしを見る目は、決して善いモノではなかった。
わたしには兄が三人いたけれど、皆それぞれに優秀で
退魔の術に長けていた。
よく、父や母が周りの大人たちに、
「本家の連中に引けを取らない」「自慢の息子たち」と
話していたのを覚えてる。
…同時に、わたしのことは「絞りカス」だと話していた。
どれだけしごいてもまともに退魔の術を身につけられない、
優秀な兄たちの後に生まれてきた出涸らしで搾りカスだって。
…傷つかないわけじゃないけど、でも
術師としてのわたしが出来の悪い子だっていうのは
それはどうしようもない事実だったから。
―――仕方ないって、諦めていたんだ。あの頃は。 ]
[ せめて、それ以外のことはできるようになろうって
勉強も、運動もがんばった。…そのつもり。
でも、それでも兄さんたちには敵わなくて。
父母やあの村の大人たちにとっても、
同じように術師の家系に生まれた同年代の子供たちにとっても。
――どこまでいっても、どれだけがんばったとしても。
わたしは皆の中でどうしようもなく落ちこぼれだった。 ]
[ あれは、ちょうど夏の終わり。
日に日に涼しくなり、秋の色合いへと移り変わってきた頃。
…切欠は、なんてことのないちょっとした喧嘩だった。
わたしが鈍臭いと怒りだした兄の一人が、
近くにあった湯呑を手に
わたしの顔へ投げつけてきた。
幸い、中身は入っていなかったし、
直接湯呑が顔にあたることはなかったけれど。
ガチャン!と、近くにあった棚に当たって砕けて。
その破片が、額を掠めた。
最初に感じたのは、痛みより熱さだった。
それが急に冷えたと思った途端。
つぅ、と
赤色
が額から鼻先へと伝った。]
[ その赤を見た途端急に痛みを感じて、
泣き出しそうになったわたしに、
物音を聞いて駆け付けた母は言った。]
「何をやってるの!
本当にどうしようもない子ね、お前が間抜けなせいで
兄さんが怪我をしたらどうするのよ!」
「……ああもう!
お前を見てると本当にいらいらするわ。
さっさと片付けなさい。
怪我を増やしたり、床を汚したら承知しませんからね」
[ 違うと、そう言いかけたわたしの言葉をぴしゃりと弾いて
母は兄を連れてその場を離れてしまった。 ]
[ ―――悲しかった。
もう、腹を立てる気もしなかった。
湯呑を投げた兄に対しても、此方の言い分も聞かず
一方的に悪者扱いした母も。
ただただ悲しくて、どうしようもなく胸が苦しくて。
……そうして気がついたとき、
わたしは割れた湯呑を片付けることもせず、
額から流れる血を拭うことも忘れて、
泣きながら家を飛び出していた。 ]
[ すでに陽は西に深く傾いていた。
頭上に広がる空は半分以上、濃藍色の闇に染まっている。
反対側、西の向こうに陽の光が薄らと、
茜の残照を残して消えかかっているのが見える、
そんな時間帯。
そんな黄昏時の田舎道を、ただひたすらに駆けていた。
それなりに長く道を走っていたはずだけど、
不思議と村の誰ともすれ違うことはなかった。
どこへ向かおうか、
あてなんてどこにもありはしなかった。
ただ、あの家にいることに小さなわたしは耐えられなかった。
つい数時間前まで通っていた小学校の前を駆け抜けて、
なにかあったとき村の人たちが集まる集会所を通り過ぎて
そうして、気がつけばわたしは山のほうへと向かっていた。]
[ 初詣や夏祭りでいったことのある山の上の神社ではなく、
その裏側の、殆ど人も通らないはずの森の中へ。
どうしてそこへ向かおうと思ったのか、
今でもよくわからない。
いつだったか、
「森の中に小屋があったからそこを秘密基地にした」と
同級生の男子たちが話していたのを
なんとなく、思い出していたからかもしれない。
知ったところでどうということはないし、
何より、今となっては確かめようもないことではあるけれど]
[ やがて道の舗装も街灯も途切れて、
森の中に入ったときは、ほぼほぼ真っ暗だったはずなのに。
不思議と、怖いとか恐ろしいと
そういう気持ちにならなかったのは
季節外れの蛍がゆらりゆらりと周囲を舞って
あたりを照らしていたからかもしれない。
あるいは、息を整えようと立ち止まったところで
先程切った額の痛みが急に戻って来たからか。
痛みが戻ってくるのと同時に、
先程の悲しみもまた戻ってきて。
堪らず、その場に蹲ると大きな声を上げて泣いた。
誰もいないと思ったから、
いつもより大きな声で思い切り泣いた。 ]
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