124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】
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[思い返すのは引きこもっていた時期。
独りで、母親にろくに見て貰えなくて。食事もパンとか母親の手が一切加えられていないものしか見なくて久しかった。
引き取られてから、村雨に手料理を貰った時ぼろぼろ泣いたのは今でも覚えている。
誰かの為に料理をして貰えるのは当たり前じゃない。
ぼくはそれを知っている。それだけ。
でもそれは、わざわざ言わないし表にも出さない。]
[さて、当の村雨と言えば小満の希望なんてなんのその。勿論
ばっちり
覚えている訳である。
彼の先代とも気が合ってよく下らない話をしたし
彼が連れてくるようなってからはよく絡んだ。
元から好きに動くやつだったから、最初にそっけなくされた時はそういう気分か? 程度にしかとらえなかった。
だけど明らかに逃げられてしまえば気づくわけで。
そう逃げられたら期待に応えない訳にいかないよなぁ? とにやりと笑って ]
「おーい、こっち来いっての。てめぇ、このこの」
[笑いながら捕まえては不機嫌な顔をされたものだった。その度頭を無理矢理にでもぐしゃぐしゃ、と癖のある髪のボリュームを増やしてやろうとしたものだった。]
[誰にだってある。子供の部分は否定するもんじゃない。
反抗も何も、可愛げのあるものだった。
自分に子どもがいたらこんな事もあったのだろうか
そう思えて
村雨は確かに
幸せ
だった。]
[いつしかそれも気が済んだのか
気付けば自然とだったと思う。
相手が落ち着けばもう大丈夫なのか? と笑ってやったものだった。
村雨にとってはそんな一つ一つは大事な思い出だ。
相手が忘れても自分は死ぬまで覚えてやるつもりである。
死に目が見たいなんて知れれば村雨が今度は嫌な顔をする番になる。
その時は今度は俺が逃げてやるよ。なんて忘れて欲しい過去をほじくり返すことになりかねない。
死ぬ姿なんて、誰が見せたいと思うか。雨水は仕方ないにしても。その時は出来るだけ静かに逝くつもりでいる。
別れはもう避けれなくても、元気な姿だけ覚えて欲しい我儘くらい叶ってほしいものだ。そう願う。]**
―処暑と赤トンボと―
ん。どういたしまして。
[振り返り、にこりと微笑み返した。
自分では処暑の内面を完全に癒やすことは出来なくとも、灯守りの役目を見せることで何かを掴み取ってくれたら……と考えていた。
心が籠もった言葉も、自然な微笑みも、初めてのもの。
それらを受け取った立秋は、多分この子は大丈夫かな、と思った。癒せない傷を抱えていたとしても。]
無理に引っ張ってきてごめんね。
帰ろうか。
[怯える子を外に出すという荒療治をした自覚はある。責任を持って処暑の領域まで送り届けた。安心出来る場所まで。]
気が向いたら、今度は新しい灯りを送る所を見においでよ。
[別れ際にそれだけ告げて、立秋は自分の領域へと帰った。
……それから、距離は縮まった気もしなくはなかったのだが、変わらず淡々としている処暑に「もうちょっとこう……仲良くなりたいような?!」と思うこともあったようだ。しかしそれがデフォだと気づいてからは気にしなくなった。
**]
ーー先代の記憶ーー
やぁー!!おなじがいーー!!
「えぇ……ギャン泣きするじゃん……」
[ある程度自我を持ち始めた頃、領域に慣らすという名目で、数時間ほど子守を押し付けられていた。
何でも、眞澄本人がここに来たがってグズるらしい。
事実かどうかは知らないが、ずっと足回りに引っ付いているので、ここにいたいわけじゃないと思うけど。
というか、ガラスじゃだめなのか、ガラスじゃ。
透明だし似たようなものじゃない。
何故そこまでして同じものを求めるのか。
ここまで熱烈に求められたことがないから、困惑しかない。少し遠い目になる。
あいつもこんな気持ちになったのかなぁ……。
あの時は笑ってごめんよ。]
いおにぃちゃんとおなじじゃなきゃ、やだーー!!
「そんなこと言われたってねぇ……」
[できないものはできないんだよ。と悟らせても泣き声が大きくなる一方。
こういう時、どうすればいいかわからない。
誰か、お客様の中に子育てマニュアルをお持ちの方はいらっしゃいませんか。
何とか言いくるめようとしてみるも、イヤイヤと首を振られるだけで。]
いおにぃちゃんきらい!!
[そんなことを言いながら走り去ってしまった。
泣きながら家の方に走り去る姿に、走るの早くなったなぁ……じゃない]
「ちょっとどこ行くのさ!?」
[相手は二足歩行歴3年ぐらいのちびすけ。
領域内だから人災的な危険はないだろうけど、動きが全体的に危なっかしすぎる!
慌てて追いかけたけど、思った以上に足が早くなっていたのか、姿が見えない。
……まあ、場所の割り出しは簡単だけどね。
通った後、扉が開きっぱなしだし。
開かれた扉を辿っていくと、着いた先は己の寝室。]
「…………。」
[ベッドの上には小さい布団まんじゅうができていた。
思わず笑っちゃったよね。]
「そんなに同じがいいの?」
[もぞもぞとまんじゅうが動く。]
「その内できるようになるよ?」
[心なしかまんじゅうが小さくなった。]
「今欲しいの?」
[もぞもぞ]
「…………仕方ないなぁ。」
[確か昔使ってたのはまだ残っていたはず。
同じのがいいと言うのなら、こっちが揃えれば良いじゃないかと。
確かこの辺に……と、灯守りになる前に使っていた物を探し出して、灯りを移し替える。
お揃いで誤魔化されてくれるといいけど。]
「ほら、これでお揃いだよ。」
[正立方体の硝子の容れ物の中に灯る黄緑色の灯りを、まんじゅうの前で揺らしてみる。
もぞもぞとまんじゅうが動いた。]
「硝子の容れ物だよ。」
……がらしゅ?
「そう、さっき見せたのと同じ。」
おなじ?
「形は違うけどね。」
…………。
[まんじゅうから抜け出してくると、にへっと笑って、渡した翼型の容れ物を両手で抱きしめて。
そのままベッドの上で寝始めた。]
「えぇ……寝ちゃうの。」
[すよすよと寝息を立てる妹にため息を付きながら、そっと布団をかけてやった。
一先ず泣き止んでよかった。]
[後日、眞澄は“氷の容れ物が欲しかった”のではなく、
“僕とお揃いが良かった”んじゃないかと、誰かに言われて気づいたんだったか。
その時の己の顔は、嬉しいようなこそばゆいような感情を、無理矢理誤魔化そうとしていた。
随分と振り回してくれるが、これはこれで楽しいか。
そう思い始めた
自覚した
のはこの頃か。
きっと小さすぎて眞澄は覚えていないだろう。
でも大雪な思い出だから。僕はずっと覚えてる。
*]
―― 回想・お祭りの日の話 ――
…………。
[あれ、小雪さまったら笑っておられます……?
色んなものを抱えてようやく戻ってきた時、最初に思ったことがこれでした。
数秒ぽかーんとしたところを見られてしまったかもしれません。
すごーく斜め後ろの方で従兄が声をかけてくれなければ危なかったかもしれません。何かが。
とにかく無事我に返ったわたしは、小雪さまに好みを訊ねた。
好きなものが色々あって悩むという気持ちは、ええ、とてもわかります。
だからこそ、「貴方の好きなものを頂戴?」と言われると、かえって悩んでしまったものだ。
思い切って全部! と言い切ってしまうか、とっておきのひとつを差し出すか]
[あの時のわたしが選んだのは後者だった。
あれでもなくこれでもなくチュロスsweetでもない……と、
候補に入らなかった分をぽいぽいと従兄の方に投げつけた末、
わたしは小雪さまにそれを差し出した]
これがいいです! りんご飴!
これを分けて……分けて? あっもう一つありました。
[小雪域でよく栽培されているその果実を、
うっすら赤く色付いたつやっつやの砂糖水でコーティングしたものを、
手をべたべたさせずにどうやって分けるかという話は、そもそもふたつセットで買ってたことで事なきを得た。
わたしは迷わず青いりんごを使った方を差し出した]
わたしはこっちの色の方が好きですので、小雪さまにあげます。
[どうして青りんごだったかというと。
そっちの方が、わたしの灯りの色に近かったからだ]
[どうして笑う小雪さまを見てぽかーんとしたのか、
そのことについて話さなければなりませんね。
こどもの頃からわたしは、お転婆なこと(たとえば脱走)をするたびに、
お父さまに「悪いことばかりしてると小雪さまが来て『凍結』をしてしまうぞ」という文句で叱られることがあり、
そのたびに震えあがっていました。
これのせいで小雪さまは冷たいお方だと勝手に思っていたのですが、
実際に会って言葉を交わしてみると、わたしだけの中で作り上げてきた印象がほどけていくのを感じました]
[もっと彼女のことを知りたいと思い、わたしは様々なことを訊ねました。
そのうちのひとつに、このような問いがありました]
小雪さまは、灯守りのお仕事が好きですか?
……むかしのことはあんまりよく知らないですけど。
先代さまが、勝手に号を明け渡して行方知れずになったのが代替わりの理由でしょう?
[ですから、好きでやっているわけじゃないのでは。
一度疑問が湧き上がると突き詰めたくなってしまうのがわたしの性でした。
……この性は今でも変わらないことですが]
[そう、わたしはむかしのことをあんまりよく知らない。
過去の資料を紐解き先代さまの統治の様子は知れたけれど、
代替わりまでの間に先代さまや当時の蛍が何を思ったのか、
それについてはさっぱりだ。
先代さまについていた蛍が、
どうするのが良いか考える先代さまに対して、
「眞澄には家族が傍にいることが必要だと思う」と説いたことも、
なんなら「降りかかる火の粉くらい私にも払わせてほしい」と言ったことも、もちろん、知らない。
かつての朔風払葉の能力はわたしよりももっと攻撃的だった模様。
]
[やがて質問ばかりするわたしを見かねてか、
従兄がわたしをむんずと引っ張ってどこかへ連れて行こうとした。
紳士的ではない、と抗議をするのは後にした。
お祭りの会場は広い。小雪さまも他に行くべき場所があるでしょうに、
むしろ引き留めたのはわたしの方だ]
お時間ちょうだいしてすみませんっ!
でも楽しかったです。それでは!
[引っ張られつつ慌ただしくも別れの挨拶をして、手を振った。
結局わたしは、小雪さまのことをどれほど知ることができたのだったか*]
[雨水になってぼくは、ぼくの居場所を手に出来た。
同じ灯守りの皆を見ていると、本当に色々な人がいる。
きっと、事情も色々。
それはぼくだって。
村雨のようになりたい。それはある。
でもなぞるだけじゃなくて、ぼくなりに道を探さないといけないという事くらいはわかる。
蛍のことも含めて……うん、今すぐ決めるのはしない。
焦らず決めようと思えたから。
お母さんの事も────
]
[ ぼくは能力が原因で引きこもって
でもその能力があるから見つけて貰えた
雪が雨に代わり、雪解けが始まる
雨水
はそんな季節。
ぼくが何でも
溶
かせるのなら
ぼくが雨水
であるのなら
雪のように冷たくなってしまった関係性だって
溶かしてしまえたらいいのに──── ]**
| ――小暑といた頃・霜降と―― なんだ、私はお世辞でこういうこと言う人に見えてるのか。 そんなに要領よく生きちゃいないよ。 [ >>107この口は、思ったことしか出てこない。 鶴の一声となったこともあるかもしれないが、無論災いのもとだったことも何度もあるやつだ。] そうだねぇ、今のとこ私が見てきた中でもそうそういないかな。 あんまり態度悪いと小雪あたりに怒られるかもだけど、私でもまだ本気では怒られてないし、まあ平気でしょ。 うんうん、小暑はほんとによくやれてると思うよ? 先代も小暑ならやれると思ったんだろうしね。 [彼の蛍は近くにいたろうか。 いなければ少し会場を見渡して。けれど無理に呼ぼうとは思わない。 先代の妹である彼女の存在を、先代小暑に照らし合わせて過去を思うだけ。] (33) 2022/01/25(Tue) 22:57:09 |
| [霜降が盛大に転んで着物を汚した話 >>108は記憶に新しい。 笑い話のように語るので、もうすっかり乗り越えたのだなと口元は弓なる。] ふふふ、みんな何かしら失敗するよね。 私は昔からほとんど会合の進行は蛍任せだし、あるとすれば何にもしなかった事自体じゃないかなって感じだけど。 そんなんでも何とかなるから、ほんと、構えすぎずにやるのが一番だよ。 灯りを送れずに溜め込んだりとか、送りすぎててんやわんやになったりだとか、そんなことさえあっても周りがどうにか支えてもくれるし。 24人もいるんだ、『灯守りさま』なんて思わずに気軽に頼ったらいいさ。 霜降も、他のみんなもね。同じ『灯守りさま』だし。 [そう言ってやわらかく笑う。 大口叩いておきながらできることなぞ限られているが、それでも頼られれば尽力しようとも。] (35) 2022/01/25(Tue) 22:57:32 |
| おや、紫明は小暑の人間だったのか。 そりゃまた寒いところに行ったもんだな。 [ >>3:108紫明と言えば、随分昔の裏表ある印象がまだ残っている。 けれど、そんな紫明だったからこそ、就任したてのまだ子供だった自分は、心を許しやすかった気がする。] (36) 2022/01/25(Tue) 22:59:46 |
[まっとうな灯守りに見えて、そのくせ我が強くて。
だからこそ、まっとうな灯守りでない自分は、
救われた
のだ。
ここにもしいたとしたって、絶対に言ってやらないけど*]
ーー回想:お祭りーー
[昔々の話。私が灯守りとなってそれなりの年月が経った頃。
街へ視察へ出ていた時に、女性の悲鳴が聞こえた。
現場へ向かうと、どうやらスリに合ったらしい。
幸い、犯人は捕まり、盗ったものは返却済みではあったが、犯人は反省するふりすら見せなかった。
それどころか、盗られる奴が悪いと吐かした。
その態度に、さすがの私も怒った。
普段は自分の灯りの器にしている氷を溶かさないようにしたり、食材の鮮度を保たせたり、大切なものを保管するために使っている能力を、初めて人へと使ったの。
男衆たちに頼み、適当な空き家の、何もない部屋に放り込ませた。
そこで一人、反省なさいな。
反省したら出してあげるわ。
時間の流れさえ干渉しない、何もない空間。
そこへ閉じ込め、周囲に食事も水も不要。近付くな。と命じると、そのまま領域へと帰った。
次の日ーー私達の時間では1日だけれど、スリの時間ではどのぐらいの時間かしらね。
扉を開けてみると、憔悴したスリが地に頭を付け、泣きながら許しを請うてきた。
そんな出来事があったわけだけど、それが子供への叱り文句になっていると知った時は遠い目をした。
あまり怖がらせるつもりはなかったのだけれど、どうやら見た目と立場が相まって、叱るときの“怖い存在”として使われるようになったらしい。
しかもまさか、親から子へと受け継がれてるとは。
……子を育てる親の助けになっていると考えると、まあいいのかしら?]
[ぽかんとしていることには気付いたけれど
、
そのことには指摘をせず、微笑んでおきましょう。
何故呆けられたのか。まさか叱り文句のせいだとは知らず
幸い、従兄の方が声をかけて我に返っていたので、こちらから何か言うことはなかったわ。
あれでもない、これでもないと従兄に投げつけていく様を見て、困らせてしまったかしらと思っていると、差し出されたのはりんご飴。]
好きな色を私に?
[2つあるから、差し出されたのは
小雪域でよく育てられている、爽やかな色の青りんごの飴。
お礼を述べて受け取ると、そのまま口の中へ。]
美味しい。
[好きだというその色を、迷いもせずに渡してくれた。
そのこともあってか、今まで食べたりんご飴の中で一番美味しい気がした。]
[彼女が質問をしてくるのならば、答えて言ったでしょう。
ただ、1つだけ。即座に答えることができなかった。]
…………。
[
素直な子供からの質問だからこそ、来るかもしれなかったのに。
あまりにも不意討ちすぎた。
何の答えも用意していないから、答えに窮してしまった。
今更ここに来て、兄の話が出てくるとは、思っていなかった。
]
代替わりの理由に関しては……そう、ね。
…………灯守りの仕事に関して、は、
[
それが仕事だと割り切っていた。
好きか嫌いかではなく、“やらなければならないこと”思っていたから。
この仕事が好きかと言われると、わからない。
]
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