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【人】 魔女 イクリール>>22 ミズガネ 「アマノさん、いい人だったのね」 殺してといわれて殺す人のほうがめずらしいでしょうが、彼に優しくしてくれた人なら、きっと素敵な人だったのでしょう。 「……そうだったの……」 理解を超えた状況に想像をし切れていない部分はあれど、大体の流れは理解できました。 そんな状況では、貴方が自分を責めるのもしかたないでしょう。 本当に呪いで死んだのか、また別の理由なのかは解剖学にも精通していない魔女が知るすべはありません。 けれど、自分が、彼のためにしてあげられることははっきりしました。 「ミズガネくん、安心して。 私が何とかしてみるから……」 (23) 2022/01/22(Sat) 17:44:03 |
【人】 酔吟 ミズガネ>>23 イクリール 「……そうだよ。だから、俺より、もっと、……?」 彼の職を知っていると、完全にいい人か、それは主観になるのかもしれない。それでも男は、情に厚い彼をいい人と即答する。主観なら、男の答えはそれしかないから。 「……なんとかって、どういうことだ? 死体も、目の前で消えちまったのに……」 けれど、次に聞こえた貴方の言葉に訝しむ。励ましや慰めの言葉ではなく『何とかしてみる』とは、死者に対して何かできる手段があるとミズガネにはてんで想像ができない。 尤も、厳密にはここの人間は神隠しに近い状態にはなってもイコール死ではないのだが、そんな仕組みを男は知らないから一層だ。 (24) 2022/01/22(Sat) 18:04:07 |
【人】 酔吟 ミズガネ>>25 イクリール ふわりとかけられたストールを軽く握る。血で汚すわけにもいかないから、クシャクシャにしてしまったハンカチで薬を改めて塗るついでに血を拭う。 「……何とかって、いや、良い子にって……」 その間にも、時間が経ったせいで楽器は元のまま、完全に戻ってしまって。慰められたりするだけならまだ収まらなくて暴れていたかもしれないが、『何とかする』と言われれば、冷静さが僅かに戻る。 「……くそ、 ……誰かに世話になってばっかじゃねーか……」 情けない、不甲斐ないの気持ちが溢れかえるも、何もできる事もなく。言われた通り、良い子に……はさておき、すくなくとも悪い事はしないように、楽器を捨て置きたいのを堪えて、引き摺るようにどこかに去っていった。 (26) 2022/01/22(Sat) 19:28:32 |
【人】 魔女 イクリール──…… 魔女はひとり部屋へと戻ります。 緊張からか、いつもより表情が強張っていました。 「よいしょ……」 洗面器いっぱいに水を張り、バッグに入った一際古びた瓶を取り出します。 中に入った液体を惜しげもなく全て流しいれると、水がどす黒く染まりました。 「初めてだから、うまくいけばいいのだけれど……」 小さなナイフで掌を傷つけます。 あふれ出る鮮血注ぎ込む様にして軽くかき混ぜました。 本来は、死体を目の前にして行う術です。 ただの薬師である一族が、"魔女"と恐れられる所以となった、世界の理に反するたった一つの魔法。 神への冒涜ともいえる行為故に禁忌とされながらも、代々受け継がれてきたものです。 「アマノさん……どうか戻ってきて……」 成功するかどうかはわかりません。 でも魔女はただ祈りました。 その祈りか術の特性故か、生命力を吸い取られたかのように力が抜けていきます。 魔女は術の発動を見届けることなく、意識を手放してしまいました。 (27) 2022/01/22(Sat) 19:49:43 |
【人】 彷徨民 ウミ『ラサルハグ』 きょろきょろ。 ウミはずっとずっと赤い髪のあの人を探しています。 『――ここにもいない』 池の水が大きく盛り上がって、中心から出てきたウミは水中から空中へ戻ります。 そうしてびしゃびしゃと跡を残しながら、別の場所に移動するのでした。 (28) 2022/01/22(Sat) 20:57:24 |
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