196 【身内】迷子の貴方と帰り道の行方
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そうだね。僕は自分の魔法を疑ってない
[その言葉で推測は確信になった。
やっぱり、という思いしかわいてこない。
門に向かう前に遮断の魔法はといておいた。
ネリリの不機嫌さがなんとなく空気で伝わってくる
けどそっちだって二人で話したんだから
そこはお互い様だよ。]
うん、聞こえてるよ。エルメスお姉ちゃん
二人してそうしてるって……
答えが出たの?
[呼びかけに対して不安そうな声が響く。
そうして響いた言葉。
それにネリリの方はえっ! と
泣き出しそうな声を出した。]
[僕の方は推測通りとしか言いようがない。
ここに残る人は他に道がない人や
現実を放り投げれる人等々。
彼女が残る理由は僕視点見当たらなかったからね。
告げる言葉を静かに聞く。
成程。人づてに何かを聞くじゃなくて自分の目と耳を使うか
それは、思っていた以上にいい答えだった。]
ここに迷った事が何かの糧になったならよかったよ。
え〜〜〜〜!!!
やだやだやだやだお姉ちゃん帰っちゃうの
やだ〜〜〜
なんで、どうして!?
何が足りなかったの? ねえねえ
こっちの方がい〜〜っぱい楽しいのにっ!
取り込まれるのが嫌? なら考えるよ!?
[ネリリの言葉はもうただの駄々っ子でしかない。
僕は苦笑いした。]
ネリリ。
それがこの子の選択だ。
さて、じゃあ約束だ。帰してあげる。
その前にお土産を渡さないとね。
ええと、まずは……家族への手紙と詫びの品と……
[魔法で手紙をどこからともなく生み出し
そこに光が文字を書いていく。]
この手紙には、誕生日に娘さんを此方の都合に
巻き込んだ詫びと、口外出来ない実験に付き合って貰った
そう書いてあるから。適当に口裏合わせてね。
実験については極秘で口外出来ないよう魔法をかけた
って書いておいたからそう追及はされないと思う。
魔法使いの印を押してあるから保証になる。
あと、ここにいた魔法使いは女性という事にしておきな
異性と一晩いたというのは嫁入り前によくないし
ネリリが魔法使いの役割なのは嘘じゃないからね
[物は言いようだ。
補足するなら魔法使いの印は魔法がかかっていて
そうじゃない人が真似するのは決して不可能だ。
あと捜索されてたかもしれないから
売ればかなりの額になるであろう
魔法で作った美しい石をいくつか。
魔法で作り出したそれは持っているだけで
ある程度のステータスになるはずだ。
そんな解説をしながら袋に土産をつめていく。]
あとこれはエルメス嬢へのお土産。
[手を開けばそこには珊瑚のような石がはまったブローチ
所有者は彼女一人。他の人の手には絶対渡らない。]
何もないに越したことは無いけど
身の危険から守ってくれるから。
君にケガさせるような攻撃は絶対に当たらない
そんな魔法だよ。
[因みに
受け取り拒否を認める気はない。
貴族令嬢のお嬢様を手ぶらで帰すわけがない。]
じゃあ準備が出来たら言って。
秘匿事項を言えなくする魔法をかけて
それから 迷子の君の帰り道を示そう
迷わず行って
もう二度と会わないけど
君の幸せを願うよ─────
お、おねえちゃん……うううぅぅぅ……
─────……
[まだ話があるなら気がするまで付き合うけど
そうじゃないなら道を開こう。
門から出れば、君の家がすぐそばに見える事になる。
今度は長く歩かないですぐ、たどりつけるよ。
君が振り向くなら、白いワンピースを着た緑の短い髪
そしてどこか全体的に透けている小さな少女が
僕の背中にいるのが見えたかもね。]**
- 回想 -
[ぼくは許せなくなっていったんだ。
ここに招かれて、最初から帰るという人はいい。
いいけど、残ると決めたくせに帰る人
そして魔法使いさんを恐れて逃げる人を
ここは幸せなのに。
魔法使いさんは優しいのに。
満ち足りた生活の何が不満なんだろう。
許せなくなった。どうしても。]
[我慢が限界を超えたある時。
ぼくは帰らない人を逃げれなくしてあげた。
体をとりこんだ。
もう飢える事もない、寒さに凍える事もない
家がなくて迷う事もないんだ。
[僕はネリリの行為を止めることが出来なかった。
最初はあまりに唐突で、信じられなかったから。
幼いまま体を失った彼女にはそれが正しんだ。
間違っていると教えるのが大人の
保護者の役割だというのに。
これで、ずっと一緒
その誘惑に、負けてしまったんだ───── ]
[せめて、せめて。
この弱い心を抱えながらでも
帰りたい人は絶対に帰す。それは約束にした。
取り込むこともせめて説明をするよう言ったけど
それはなかなか聞いて貰えない。
権限を取り上げることも考えた。
でも、彼女はそれがあるから今も精神を保ってる。
それを実行すると存在がどうなるか分からなかった。
彼女を殺す選択肢だけは僕には取れなかったんだ。]**
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