【人】 聖杯のジン ナディル『──己の罪を数えろ』 呆れたように吐き捨てて、 アルバリは大袈裟に溜息をつく。 ほんの先刻、質問ごっこを始めたときは 全く逆の立場だったような気がするが、 いったい何が起きているのだろう。 低いテーブルを挟んだ距離をひと足に詰め、 全く飲み込めていない俺に 言い聞かせるようにアルバリは言葉を紡いだ。 (23) kintoto 2021/09/20(Mon) 10:40:11 |
【人】 聖杯のジン ナディル『俺にはお前は、価値、あるよ。 精霊じゃない、ただのお前自身に。』 ───ただの、俺? 耳の奥、眼の裏、脳の片隅で なにかがカチ、カチと小さな音をたてる。 記憶の向こう側、見えそうで見えない。 ───ただのナディルなんて……何処にいる? 『ここに来て。まっすぐ俺を見ろ。』 いつの間にか吐く息が届くほど近く、 アルバリの瞳を探して視線を合わせようと試みる。 けれど、これに何の意味がある? 『───お前が触んねぇなら、俺が触るよ。』 手を握られて、その次の瞬きの間。 唇の端に柔らかいものが触れて、離れた。 (24) kintoto 2021/09/20(Mon) 10:42:08 |
【人】 聖杯のジン ナディル口づけだと理解するまでに、2秒。 「──えっ!? なに──」 なに、いまそういう雰囲気だった!? え、これ同衾の誘い!? マジ!? 気づかなくてごめ……… 言いかけて息を飲む。 恐らく俺はひどく赤面していた──と思う。 そこに居たのは本当に「ただの俺」だったから。 (25) kintoto 2021/09/20(Mon) 10:43:40 |
【人】 聖杯のジン ナディルこんな……ガキの口づけひとつで 安いな俺は、となりつつ俯いて呼吸を整える。 早く戻ってこい精霊の俺。 そこで思い出した、 俺が『願いを叶える』人間に アルバリを選ばなかった理由のひとつ。 アルバリは『優しすぎる』。 その上でファルーサよりもずっとずっと 『怖いもの知らず』なのだ。 いわゆる『魅入られ易いタイプ』。 腰に携えている妖刀がその証拠だ。 アルバリみたいな人間は、 俺みたいな人外に近づいちゃ駄目なんだよ。 いままで何度も願いを叶えた人間のなかで 最速で死ぬタイプがこれ。 あんなやべー妖刀に憑かれて よくここまで生きてたなと思うレベル。 (26) kintoto 2021/09/20(Mon) 10:48:26 |
【人】 聖杯のジン ナディル「っお前…、ほんと、馬鹿だろ。」 そろそろ顔の火照りは落ち着いただろうか。 正直アルバリの顔はまだまともに見られない。 ああでも、これだけは言っておかなきゃいけない。 「………ありがとう…」 そう告げたのはやっぱり『ただの俺』で。 ちょっと泣きそうだった。 [パスor〆] 【絆取得:アルバリ】【感情書き換え無し】 (27) kintoto 2021/09/20(Mon) 10:51:14 |
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