62 【ペアRP】ラブリーナイト【R18】
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[どこかでサクライさんが、僕の名前を
呼んでいる気がした。
くっついてしまったように重い瞼を
必死で引き剥がす。
と、ばすん、という音と刺激にようやく
瞼が持ち上がる。
倒れ込んだ身体を優しく受け止めてくれたのは
シーツだけじゃなくて、]
サクライ、さん。
[睫毛が触れそうな位置に、彼の肌がある。
髪を梳くようにまた撫でてくれる手と、
僕を呼ぶ声が穏やかで、幸せで。]
[サクライさんの胸に顔を埋めて、こくりと頷く。
そのまま暫し。
上下する規則的な動きに視線を上げれば、
サクライさんの瞼が閉じていて。
─── 睫毛が長くて、やっぱり綺麗。
僕は写真なんてスマホでくらいしか
撮ったことないけど、もし僕の手に今カメラが
あったらきっと、夢中でシャッターを切った
だろうなと思う。
僕は知るはずもない。
いつかの日、僕の知らない誰かがそうしたことを。
]
[─── さてそれはそれとして。
二回も奥で出してくれたものは、そのままだと
そう遠くない未来に大変なことになるのは
わかっているから、シャワー浴びなきゃと
サクライさんを起こさないように
そっと身体を動かそうとした。
……でも出来なくて。
散々泣かされた身体が言うことを
聞かないのももちろんあるし、
サクライさんの腕が僕を抱きしめて、
離してくれないのも、あった。
ふふ、と笑って、サクライさんの唇にキスする。
───いいや、とそのまま僕も目を閉じた。]
[自然に口角が上がってしまうから、
もしかしたらサクライさんの相棒に
似た表情になっていたかもしれない。
そうして、目を覚ました時に、
サクライさんはまだ隣にいるだろうか。
居なかったら焦って飛び起きて周りを見渡して。
居てくれたなら、照れながら
おはようございます、と伝えよう。
いま、なんじですか、って、
聞かなくちゃいけないことはわかっていながら。]*
[意識を闇に落としてから
どれくらい時間が経っただろう。
ふと目を覚ますと、身体を占めていた倦怠感は
何処かへ行って、ただ繋がったままの史郎が
俺の腕の中にいるだけだった。
精を放ったままにして過ごすと
彼の身体に障ることが分かっていても、
史郎が俺の精を腹に溜めたまま此処にいることに
どうしようも無い満足感を抱いてしまってて
……やっぱり、そんな自分が嫌だった。
傷付けないように、萎えた茎を引き抜くと
瞼を閉じたままの史郎の唇へ
そっとキスを落とした。]
[首筋の傷やら、薄く史郎の茎に残る擦過傷……
まるで、肌に残した蝋を剥がす時みたいな
恥ずかしさと申し訳なさが、
いつも行為の後を付き纏う。
史郎の身体を内も外も清めても、
まるで何も無かったことには出来なくて。
そして、疲れと汚れとを
シャワーで洗い流した後、
目覚めた史郎と目が合った。]
あ、おはよう、ございます。
[焦ったような様子を見て
安心させるように笑ってみせた。
……ただ、なんとなく恥ずかしさが残って
彼の目はきちんと見れなかったろう。]
コーヒーでもどう、かな。
……時間的にはまだモーニングにも
なってないけどね。
[カウンターにあったバリスタマシンを指して。
変な時間にカフェインを摂ると
本当に眠れなくなるかもしれないから
別にお茶でもいいし、飲み直しでもいい。
なるべく彼を引き止めるために
嫌がられなさそうなものを必死に考えてる。
部屋には吐瀉物を吸ったタオルも
えげつない道具の数々もない。
ホームセンターサクライは閉店ガラガラまた明日。
あの夜を覚えているのは、
俺と、史郎と、史郎の首に残る首輪、
それに互いの肌に尾を引く熱くらい。]
[史郎の身体が辛そうならば
空いたベッドサイドのテーブルまで
ご所望のドリンクをサービスしよう。
それから、おはようのキスも。]*
[……よかった、居てくれた、と。
その笑顔を見て心の底から安堵して、
身体中から力が抜ける。
おはようございます、と何故か敬語の
サクライさんの視線は、僕のものとは
重ならなくて。
なんとなく気まずそうに
宙を彷徨っているように感じた。
シャワーを浴びたらしいサクライさんの姿に
目を奪われて。
ふと、乱れたままの自分に目を落としたら
急に恥ずかしくなってかぁっ……といまさら顔が
熱くなる。
手近にあったバスタオルに手を伸ばして、
ばっ!と頭から被ってまたへにゃりと
ベッドに倒れ込んだ。
ついでに散々暴れたベッドの上、
奇跡的に掛け布団が残っていたなら
それも引っ張ってせめて下半身だけでも
隠そうとしただろう。]
……そう、なんですか。
よかった、まだ───
まだ、チェックアウトの時間じゃなくて。
[ぼそりと呟いた言葉は、質の良い分厚いタオルの下。
カタツムリみたいにそぉっと首を伸ばして
見やったサイドテーブルの上には何もなくて、
僕の不甲斐ない吐瀉物を黙って受け止めてくれた
タオルも、部屋には見当たらなくて。
現実と夢との境目がぼんやり霞む。
それでも首元に触れれば、そこに革の感触は
たしかにあって、両手を添えて、
身体ごとぎゅっと丸めて抱きこんだ。]
……あ、えっと。
はい、嬉しいです。
─── あの、先に、水、貰えますか。
[コーヒーを薦めてくれるサクライさんに
ゆっくり顔を上げた。
それにしても身体中痛い。
頭もぐらぐらして、胃がコーヒーを
受け付けてくれるかはわからなかったけど、
二人で飲むコーヒーにすごく惹かれて。
行為が終わったあと、こんな風に過ごすのは
もちろん初めてで、どうしていいのかわからないまま。
おまけに色々な箇所から訴えられる痛みには
まぁ慣れているはずなのに、
なんだか今日の痛みは甘く、焦ったく
身体にしがみついてくる気がする。]
[サイドテーブルまでサクライさんが水を
持って来てくれたなら、手を伸ばして
受け取ろうとするだろう。
けれども手に力が入らなくてうまく持てなくて、
困ったように眉を下げてサクライさんを見上げたら
困らせてしまうだろうか。
早く入れて、とか、奥に出して、とか、
さっき散々恥ずかしいことを言ったくせに僕の口は、
飲ませてください、とは言えなくて。
]*
普段通りので良いよ。
それに着けて見せても良いものを選んでしょう?
[特別にエッチな下着でなくとも構わないのだ。
朔月が選び持ってきた中から自分が選び、それを着てもらう。
その過程が大切なのであって下着の良し悪しと言うものは朔月が選んでくれているかによる]
大胆なものならそれも一緒に選びたいな。
季節的には後は水着とかも見てみたいけれど――。
[手の中で柔らかな膨らみの形を楽しみながら笑っている朔月の反対側の耳朶へと口づける。
それは、それは――の続きを示すものだった。
緩やかに身体を求めてゆく。
穏やかに快楽を芽生えさせてゆく]
ふふ、今は、朔月をいっぱい甘やかすことに専念しようかな。
[朔月もそちらの方が良いだろう。
目が覚めても昼になっても、そして約束の時間が過ぎ去っても。
自分は変わらず朔月を可愛がり甘やかし続けたいというのだから夢はどこまでも夢となるのだけれど*]
仰せの通りに、殿下。
[水をご所望なら、なんなりと。
深々頭を下げて見せたけど
さっきまでとは形勢逆転した様に
自分でもちょっと笑えてしまって、
カッコいい執事にはなれなかった。
ベッドサイドに腰をかけて
真新しいペットボトルのキャップを捻る。
それを手渡した……はずなのに、
史郎の手から、ボトルが転げてしまう。]
あっ……ご、め……
[咄嗟に謝ってしまったけれど
何かに向けた謝罪というより、
眩しいから目を細めてしまった、みたいな
反射的なものだった。]
[最中ならば躊躇わずに
口移しにしたかもしれない。
一夜の相手と割り切っているなら、特に。
そういうプレイなのだ、と
胸を張って言えるのだから。
けれど一方的に(?)むず痒い気持ちを抱いている
俺としては、そんな不埒な真似をする勇気もなく。]
……手、俺が支えてるから。
[と、史郎の首の後ろとボトルの底とに手を添えて
ゆっくり、水を彼の中へと注ぐだろう。
晒された喉には、しっかりと
皮の首輪が残っていて
寝にくいし、飲みにくいだろうに……
それに目を向けて、俺はぼそりと呟いた。]
その首輪、何となく取れなくって。
[可愛がった犬を捨ててしまう時みたいで、
なんて失礼なところは伏せたまま
俺は眉を下げて笑って見せた。]
……あの、勝手にキスとかして、
すんませんした……なんか、つい、
昔の事とか、思い出しちゃって。
[謝るついでに過去の話をしたがる、なんて
年寄り臭いな……と自分で苦笑しながらも
水で喉を湿して、俺は少し胸中を吐き出すんだ。]
なんていうのかな……
俺の家は多少古い考えの家で、
今日日になっても跡取りがどうとか
血縁がどうとかって話をしたがるんで……
自由になりたくて、そんな家を捨てて
一緒に来てくれる友達と一緒に
気侭に暮らせる道を選んだんですけど、
そいつが……居なくなってからというもの
何をしてても寂しくなって……
それで、探しちゃうんです。
一緒に雁字搦めにされて、堕ちてくれる人。
[だから、ただのプレイの一環よりは
重い意味を孕んでいたのを詫びなくては。
こんなの、勝手に押し付けていいものじゃない。]
[下げ眉で、何となく頬笑みを浮かべたまま
もう一度、ペットボトルに口をつける。
乾いた身体に、じんわり水が染みていく。
次の言葉を出すのには勇気がいるから
染みていくのをじっと待つ。
布団の端をにぎにぎしながら
俺はあれこれ言葉を探して、口を開いた。]
……まだ一晩、肌を重ねただけで
運命の人ぶるつもりはない、けど……
でも、もしもう一度、俺の運命を変える人に
出逢えたかもしれない……とかって、
考えて、まして……えっ…と……
[ええい何が言いたいんだ俺は。
ちんこが勃ってないと物が言えんのか俺は。
ぴしゃり、とひとつ自分を頬を軽く叩くと
勇気をだして、史郎の目を見つめよう。]
[特別なものはないけれど、自分から見て似合っているものを選んできたつもり。
それでいいと言われれば、少しだけ安堵した]
それは勿論。
好みかはわかりませんけど…。
[大胆なものも一緒に選びたい、水着も見てみたい。
そう言われて、なんて返せばいいのかわからない。
自分にとって夢であるこの一時が、日常に浸透するかもれないなんて思わなくて。
身体を緩やかに求められ、快楽を穏やかに芽生えさせられて。
今は考えなくてもいいのかなって。
思考を手放してしまう]
ふぁ…あっ…きもち…。
[彼から与えられる快楽に身を委ねて、小さく嬌声を零しながらもこの行為を満喫するのだった*]
好みかどうかは見てみないとね。
でも朔月に似合うやつが好みと言えば好みだから、
どれもこれも好みになってしまうかもしれないかな。
[逃さない。
そう言外に伝えるかのように腕は朔月の身体を抱き寄せ身体を密着させている。
心地好さに溺れ始めた様であれば耳朶を唇で食みながら繋がる二人の熱を擦り合わせてゆく。
湯に波紋が広がり、それはやがて大きくうねり始めてゆく]
可愛いよ、朔月……好きだよ。
[思考を押し流しながらも好きと謳う。
波立つ湯舟の中から立ち上がることを促して壁に手をつけるよう促してお尻を突き出させた格好をさせよう。
後ろからじっくりと熱棒による愛撫を始めれば思考を押し流す快楽は増してゆく]
可愛い声もっと聴かせて。
朔月の背中も可愛がってあげるから。
[先は触っていなかった背筋が目の前にある。
その背へと口づけはじめ、背中を隈なく愛してゆく**]
う…直継さんずるい…。
[私に似合うものが好みなんて、そんなのずるくないですか?
初めて会った時から思ってたけど絶対モテるし、ずるいよなぁって思ってしまう。
照れたように両の手を頬に当てて。
まるで逃がさないと言うように身体を抱き寄せられ、密着している。
思考を手放して心地良さに溺れ始めれば、唇で耳朶を食まれ、繋がる互いの熱を擦り合わせゆく]
はふっ…直継さん……。
[快楽に微睡みながら、好きと謳われきゅんと中の熱を優しく締め付ける。
湯舟から立ち上がるよう促され、壁に手を付けた。
お尻を突き出すような格好は少し恥ずかしいけれど、きっと可愛がってくれるから。
じっくりと彼の熱で愛撫され、背中を愛されれば唇から甘い嬌声を紡いでいっただろう*]
[こちらに向かって、どこかにお仕えの
執事のような台詞を言いながら、
深々と頭を下げるサクライさんに思わず吹き出した。
サクライさんが小さく笑った声も重なった。
わざわざきちんとキャップを捻って
開けやすくしてくれたことに胸がほわ、と弾んで。
けれど受け取ったはずのペットボトルが
手を滑り落ちて離れ、ころりと転がってしまうから、]
あっ、ごめん、なさい……
[慌てて謝った声も重なる。
髪に触れ、ひとつ掻きながら
気まずさを抱えてまた笑った。]
[サクライさんの思いなど知るはずもない
いつのまにか図々しく育った飼い犬は、
口移しが欲しかったなぁなんて思うのだけれど。
噯気にも出さず、手と首を支えてくれた
サクライさんにゆっくり
凭れてみるだけにとどめた。
注がれた水を飲み込む時
ごくりと喉が動いて首輪との距離が一瞬、詰まる。
その感覚はやっぱりどうしたって好きで。
だって、サクライさんがつけてくれたものだから。
だから、『なんとなく取れなくて』と
サクライさんの口が動いた時、
僕は咄嗟にまた首元に両手を添わせた。
───大事な宝物を取られないようにする
子供みたいな動きで。]
[切れた唇がしみて、荒れた喉がしみて、
空の胃がしみる。
見えないはずの内臓の形を示すように
小さな痛みを伴って下っていく冷たい水。
それさえサクライさんとの時間を
ひりひりと思い出させてくれるようで。
そんな感傷に浸りかけたら
さっきまでとはまるで別人のような声と表情で
サクライさんが謝ったりするから驚いて、慌てて。]
やめてください、謝らないで。
[覗き込むように瞳を見つめて、そう言った。]
[黙って聞いていた。
ぽつりぽつりと紡がれる彼自身の話、
家の事情、
───そして、大切な人のこと。
その人は今どうしているのですかなんて、
聞かなくてもなんとなくわかる気がした。
時折サクライさんの瞳に見え隠れしていた、
どこか寂しげな光の理由。
優しい手つき。]
一緒に、堕ちてくれる、人。
[サクライさんの言葉を、独り言みたいに繰り返す。
布団の端を所在無さげに
握ったり離したりを繰り返すその手に、
届くなら僕は自分の手を重ねるために伸ばした。]
[言葉を探しながら、もごもごと一生懸命
紡いでくれる声を、
一言も聞き漏らさないように、
全身に力を込めてサクライさんに近づいた。
心臓がうるさい。]
─── あの、サクライさん、え、それって
[僕はすっかりご主人様の様相が消えた彼の
真正面に向かい合う。
消え入りそうな声で、
再び誘ってくれたコーヒーは、
それは、 ]
[そのあとの言葉を咀嚼して飲み込んで。
僕はつい数時間前と同じように、
サクライさんに飛びついた。
どさくさに紛れて唇も合わせたから、
その時よりずっとサクライさんが近かった。
ただ、幸せな気持ちで。 ]
サクライさんとするセックス、
なにもかも初めてで。
セックスって、こんなだっけ、って
ずっとどこも縛られてないのに、苦しくて。
……ええと、違うな、その、すき、だな、って
……あの、愛しくなっちゃって。
僕、ちゃんとサクライさんに
応えられてましたか?
それだけが、心配。
[触れるだけの口付けをすぐ離して、
僕もぽつぽつと思いを吐き出す。]
もし、サクライさんの寂しさを、
僕で埋められるなら、全部、あげます。
僕はもう、とっくに
[言葉を切って、ちらりと視線を落とした。
彼の相棒と目が合う。
スマイリーは、全部見透かすみたいに
変わらず笑っていた。]
[いひ、とまた肩をすくめて
スマイリーの笑顔をなぞった。
ちょっとだけ、鼻の奥が熱くてつぅんとした。]
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