【人】 導きの天使 サーリフ>>43 シャフリヤール 感情取得 === 商業地区をゆっくり歩く。 それは、政敵のいない煉獄ならではの、シャフリヤールの暇つぶしだった。 その金髪の青年の後ろを、サーリフがついて歩く。 つきまとっている、という表現の方が合っているだろう。 シャフリヤールは嘆息した。 「天使というからには、何か少しは趣向が……と思ったが、やはり期待はするものではないな」 シャフリヤールの皮肉げな呟きに、サーリフは首をかしげて応えた。 「私のことですか?」 「ただこうして俺たちを見ているだけ。 天使らしい芸のひとつを披露するでもない。 振り返ればお前がたびたび視界に入るのは、気持ちの良いものではない」 「ああ、親愛なるシャフリヤール。 私は大切なキミがっかりさせておりますか? 申し訳ありません」 ――親愛。大切。 この、どこか胡散臭い天使の青年は、たびたびそういった一方的な好意をシャフリヤールたちに向けて口にする。 それにも少々うんざりしていた。 (46) TSO 2021/09/18(Sat) 12:11:36 |
【人】 導きの天使 サーリフ「天使というのは全員そうなのか?」 「そう、と仰いますと?」 「導く対象にしつこく執着し、身勝手な慕情を押し付けてくる」 「いえいえ……そんな……」 サーリフは少し考えてから、言葉を繋いだ。 「私たちは特別……というより、皆さんが特別なんですよ。 天使は普通、神の目を借りて対象の人生を見通し、 正しく導き、次の仕事に移ります。 しかし、皆さんは…… ええ、私たちにとってあまりに愛しい」 何故そうなのか、を伝える気は、今のサーリフにはなさそうだった。 シャフリヤールも問いただす気はない。 ただ、重ねられた"愛"という言葉にいらりとした。 ――それは、シャフリヤールにとって、最も信じるに値しない言葉だ。 価値がない。実在しない。唾棄すべき…… そこまで考えて、シャフリヤールは軽く首を振って、頭の中に広がりかけた煙霧を振り払った。 こんな天使に調子を乱されてやる義理はないのだ。 歩き続けるシャフリヤールの後を、サーリフがどこまでもついて行く。 [感情:執着(-)] [こちらからは〆] (47) TSO 2021/09/18(Sat) 12:13:22 |
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