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【人】 紅柱石 アンドレアス―サラハドの最後の夜― [>>100ラバン山脈からサラハドへ戻り、翌朝になればまた馬車旅が始まる。 それまでに、時間を惜しむようにして彼方此方を巡った。 街外れにある温泉が、午前は人気が少ない事にガラーシャが気付いてくれて、一緒に浸かった。 楽しくてついつい話し込んでしまい、うっかり湯あたりしそうになった。 地図で崖のようになった山の等高線を見、登山ルートの険しさに驚かされたし、 二人で広域地図を広げながら、互いの旅の話をした。 祖父への土産を探すガラーシャの傍らで、青年は手紙用の紙を買い求めた。 商人伝いにはなるが、彼らの横のつながりは馬鹿に出来ない。 宝石商人の手に渡るように駄賃を渡し、手紙を渡した。] (103) 2021/10/07(Thu) 23:40:00 |
【置】 紅柱石 アンドレアス親愛なる家族へ 帰りが遅くなってすまない。 最後の旅はもう少し長くなりそうだ。 離れたくない人が出来てしまった。 だから、まだ帰れない。 勝手をして本当にごめん。 遠い地から皆が元気で過ごせるように、祈っているよ。 (L0) 2021/10/07(Thu) 23:40:21 公開: 2021/10/07(Thu) 23:50:00 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[陽が落ちれば、初日にガラーシャと行った酒場へ夕食を食べに行った。 馬乳酒での乾杯は、初日に来た時と全く気分が違っていた。 心が痛む事も、隠し事もない。 気が抜けたのか、青年の方もそれなりに酔っぱらっていた。 宿屋についてベッドに腰を下ろす。 ベッドに横になったガラーシャも今晩はいい酔い方で終えられたようだ。] そうだね、私も。 君と此処に来られて良かったよ。 [にっこりと微笑んでみせる。] (104) 2021/10/07(Thu) 23:41:18 |
【人】 紅柱石 アンドレアス[>>101不意に、ガラーシャが寝返りを打つ。 問われた内容に、青年はしっかりと頷いてみせた。] 勿論さ。 君は私が帰りたいと言っても何度でも引き留めようとしてくれるんだろう? だったら、君がこの世からいなくなるまで一緒にいるさ。 [彼を失う時の事は考えないようにしていた。 別れが訪れる時はきっとずっと先の事なのだから、今はそれでいい。] 良かった。 [ガラーシャは顔を隠すように上掛けを被ってしまった。 それが少しだけ微笑ましくて、つい笑みが浮かんでしまう。] (105) 2021/10/07(Thu) 23:41:53 |
【人】 紅柱石 アンドレアスそうだね、明日からまた馬車旅だ。 ふふ、それもいいね。 年を重ねれば、きっと感じるものも違うだろう。 君の足腰が弱らないうちに。 [>>102青年も明かりを落としてベッドに横になる。 上掛けを掛けながら、少しだけ想像する。いつかの事を。 年の離れた二人旅を見て、周囲はどういう関係かと思うかもしれない。 けれども、周囲の事は気にしない。 ガラーシャは老いない青年を受け入れてくれると言ってくれたから。 理解してくれる人がいれば、きっとずっと先も、青年は幸せなのだ。]* (106) 2021/10/07(Thu) 23:42:46 |
【人】 人間 アンドレアス―n年後・グラジア― [カーテンの隙間から朝陽が差し込む。 青年は起き上がると、天井に向かって伸びをした。 昨日は少し飲み過ぎてしまった。 この身体は年を重ねるたび、無理はきかなくなっていくというのに、未だに昔の感覚が抜けきらない。 顔を洗いに洗面所に行き、家主と顔を合わせれば、青年は微笑んで。] やぁ、おはよう。ガラーシャ。 君は二日酔い、大丈夫かい? [昨夜は昔の旅の話で盛り上がったものだから、ついつい酒が過ぎてしまい。 部屋に戻ろうとした以降の記憶が飛んでいた。 彼に迷惑をかけていないと良いのだが。] (107) 2021/10/07(Thu) 23:44:18 |
【人】 人間 アンドレアス[あの旅から二年後に人間になってしまい、お互いに混乱や葛藤があった。 けれど数年経った今ではそれも解消されたと信じている。 今ではサラハド行きの話を、酒を飲みながら話せるようになったのだから。 青年はこれまでの経験を生かして紀行文を書き、アンダルシア名義で幾つか本を出している。 けれどそれだけでは生活の糧としては危ういので、翻訳や通訳の仕事などを請け負っていた。 青年は人間になる際に視力が落ちた。 眼鏡がないと日常生活が危うい程。 けれど人間の技術とは素晴らしいもので、眼鏡も改良されて使いやすくなっている。 故に、生じた代償も幾分かは負荷が小さくなっていた。] (108) 2021/10/07(Thu) 23:45:49 |
【人】 人間 アンドレアスねぇ、君の仕事が落ち着いた頃でいいから、またサラハドに行かないかい? [アンバー色の瞳を細めてそう問いかける青年のかたちは、人間になってから重ねた年月を感じさせるものだった。]** (109) 2021/10/07(Thu) 23:46:44 |
【人】 学生 ガラーシャ―n年後・グラジア― ああ、おはよ…う。 アンディ [洗面所に彼が起きてきたころ、自分は既に朝食を済ませていた。 自分の方が朝が早い。 今は祖父の仕事…クリーニング屋を継いでいる。 けして屑掃除ではない。 人の多いグラジアや、この周辺への街へのお届けサービスもやっていると、結構仕事は多く舞い込んでくるものなのである。 自分と変わらず年を取る、彼の言葉に笑って答えた。] ああ、お互い、馬車に二日も乗っていられるうちに、行っておこう。 [あの頃は、二人とも、随分と若かった。 今は全てが懐かしい。 けれども、また、今行けば、きっと、違う楽しみがあるのだろう。 色々変わったこと、変わらなかったこと。 全てを持って、また彼と一緒にあの街を訪れてみたい。 そう思った。]** (110) 2021/10/07(Thu) 23:59:31 |
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