205 【身内】いちごの国の三月うさぎ
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[ 月に向かって跳ねるうさぎと、
月の明かりで獣になる狼。
似て非なるふたつ、──水面に揺れては消える月の中
うさぎが狼を食べて 狼もうさぎを喰べている。
言葉を失い、思考を奪われ、熱と互いの温もりを縁に
たったそれだけを握り締め、どうにか輪郭を保ち。
────そんな、本当にけだものじみた交わり。
知っているのは私たちだけで良い。
月も星も、夜が明けたら太陽の明かりに隠れて、
次の夜闇が訪れれば、もうすっかり忘れてしまえ。
"二人きりの 秘蜜の交わり"になるようにと。 ]
えへ、……やわたさんの味、覚えたくて。
"こっち"でも。
[ 自分が唇の近くに付着した白濁を舐めるだけで、
途端におろおろするのが面白くなって。
くす、と笑いながらそんな風に軽く言葉を返した。
今までは薄膜の中に吐き出されていた、彼の慾。
練乳のように甘いわけがなく、苦いような──
例えるのも難しい味がする。
けれど彼の味だと思えば、難なく飲めてしまう気さえする。
とはいえこのままだとキスが出来ないのは寂しいから、
ちゃんと口を濯いで、熱の残滓を洗い流そうか。 ]
[ 愛してる、の言葉には満足げに咲って。
「ん」と当たり前の顔で腕を伸ばせば、抱っこが叶い
そのまま内風呂へ戻り白濁をいちごの匂いで洗い流した。
勿体ないかも、──なんて少しの未練はあるものの
洗わなければ先へ進めないジレンマ。
バスチェアに腰掛け、指示通り首を上へ向ければ
不思議そうな顔で目を瞬かせる自分の顔が
彼の瞳には映っていたことだろう。
美容院以外で髪を誰かに洗われるのも、
記憶の限りでは初めてのこと。 ]
ん〜〜……きもちよくて、むしろ寝ちゃいそう……
……なーんて。あははっ。
[ この後にまだオーダーが控えているのだから。
ごっこ遊びには戯れで返し、鈴を転がすように笑いながら
大人しく──楽しそうに髪を洗われていた。
脱衣所で拭き合ってのじゃれあいも、
その余韻と二度の交わりのおかげか 戯れで済んで。 ]
[ 待っててと言った彼が腰にタオルを巻き、一度出て行く。
言いつけ通り良い子に待ちわびていれば
自分の鞄と、浴衣を持って帰って来てくれた。
女性用は幾つか浴衣に種類があるらしい。
一応パジャマも持って来ているけれど、せっかくなら
浴衣を着て温泉気分を楽しみたい気持ちが強い。
────たまには違う飾り付けも良いでしょう?
でも、生憎と浴衣には縁がない人生だったので。 ]
や やわたさん……
浴衣、着方わかんない……たすけて……
[ 選んだのは、夜色の記事に白い小花柄の浴衣。
帯はシンプルな赤茶色。
そもそも浴衣の下は下着を着けるものなのか。
──無い方が狼さんの食欲を煽れるかどうか。
情けなくへにょんと眉を下げ、手助けを乞いながら
浴衣を着終えた後は、ドライヤーで長い髪を乾かした。 ]
[ 髪が長い分、乾かすのには時間を要してしまう。
自分が戻った頃には彼が内線での連絡を終え、
朝まで誰のことも気にしなくて良い空間になるように
準備を整えてくれた後のことだった。
料理をのんびりと楽しみたい気持ちもあるけれど
燻り続ける熱を、あまり長く待てる余裕もない。
後で食べるということが出来ない料理だけ先に頂いて、
刺身や鍋は、"慾"の後にさせてもらおうか。 ]
やーわーたーさんっ
[ 何はともあれ、布団の用意も終えて貰ったなら
────後はもう二人の時間。
無邪気なうさぎの声音で彼へ抱き着き、腕を回して、
赤い舌をぺろりと覗かせ ]
[ ──── 朝が来るまでは、
この夜は二人だけのもの。* ]
| [枕に頭を凭せ掛けながら、 思案に老ける彼の様子を眺めてた。
唐突、と言われればそうなのかもしれない。 だけど、自分にとってはあの旅行から戻った時から、 考えていたものでもあったから、そう?と緩く笑みを添えた。]
香りがあれば、いつも傍に居るような気がして。
[寝転がりなら、彼の髪を撫でる。 風呂上がりにするシャンプーの香りも好きだけど、
時間と場所よって変わるフレグランスはまた、 違ったあなたを引き立たせてくれるだろうから、 それも楽しみの一つ。
自分が選んだ香りを纏わせながら、仕事に行く彼も。 なにかの合間に、自身を思い出してくれたら。] (14) 2023/04/03(Mon) 21:41:57 |
| [名乗りを上げれば、彼からも見立ての注文が入って。 笑いながら、いいよ。と応えた。 考えつく先は、同じなのかもしれない。]
仕事中は付けられないから、休みの日だけ。
[それは、同僚も従姉妹も知らない香りになるだろう。 だとするなら、彼と並んだときに、 噛み合う香りがいいだろうか。
選ぶといいながら、あまり詳しくはないけれど。 彼に送りたいものは、いくつか検討がついていたから。
オーダーメイドという話が、 そういうものもあるのか、と感心しただろう。
それはそれで、互いにまた作ることにして。] (15) 2023/04/03(Mon) 21:42:14 |
| [季節は春から梅雨へ、梅雨から夏へと移り変わる頃。 旅行のときに、話していた蛍も >>+186 そろそろ見頃の季節がだろうか。 師範代だという祖父は彼に厳しいのだったか。 その話をするときだけ、彼の表情が、 いささか強張ったようなものになったのは、 無意識に祖父を思い出していたのかもしれない。 家族仲が悪いわけではなさそうだけれど。 その話も、これからは耳にする機会もあるかもしれない。 風呂上がりに、いつも。 彼が自身を抱き寄せるのが癖になっているみたいに。 隣に寝転ぶ彼に、寄り添うように身を詰めて、 まだ眠る気配のない彼を下から見上げるのは俺の癖。] (16) 2023/04/03(Mon) 21:42:38 |
|
……蛍を見に行くの、 景斗さんのお爺さんの家の近くがいいな。
[寝転がりなら、ふわりと柔らかく笑って。 少し、無茶な注文をしただろうか。
難しいと言われたらなら、ごめん、と笑って。 もし、彼も頷いてくれたなら、少し具体的な話をして。
今日も彼の腕の中で、眠りにつく。] (17) 2023/04/03(Mon) 21:42:58 |
| [休みを合わせた休日に、彼を引き連れて、 デパートへ足を運んだ。 男性だけでは、少し足を運びにくいかとも考えたけれど、 やはり種類を求めるなら、場所を選んだほうがいい。
いくつかの店を周りながら、 今度はやっぱりオーダーメイドにしようと、彼が言うから。 その時ばかりは、笑って頷いただろうか。 ひと目につく所に連れてきてしまったことに、 少々申し訳なさを感じながら、いろいろな香水を試して、
ようやく選んだ香水は、どこか彼を思わせる。 黒いシックな容器のもの。
最初は情熱的な獣のような匂いすらするけれど、 少し時間をおけば、フローラルな香りも混じって 格段にマイルドな印象になる。
何より、香りを試した際に店員の人が教えてくれた 名前の由来がとても気に入ったものだから。] (18) 2023/04/03(Mon) 21:43:14 |
| [俺にとっての日常は、優しく穏やかなものだった。 日々代わりになく過ごすことに、不満はなく。 慣れた道を通り抜けて、店に向かい。
毎日のように顔を合わせる同僚たちと、 今日はどんな料理を作ろうか。と、 少しの不安と、半分以上の期待に胸を膨らませ、 お客様に喜んでもらえるようなサービスを考える。
そんな一日一日は、大した不満はなく、 過ごしていたものだったけれど。
ときに失敗をした夜もある。
疲労した身体をなんとか家まで運んで、 熱いシャワーで洗い流して、 気持ちを切り替えようと、取り出した缶ビール。 話し相手はいないから、AIシステムから流れる ラジオが耳の拠り所だった。] (19) 2023/04/03(Mon) 21:43:59 |
| [同じ月を見ていても、 どこか遠いもののように思えいてた世界。 決して混じり合うことのないだろうラジオの向こう。 それが、あるとき。 不意に目の前に形になって現れた。 こんなこともあるのか、なんて驚きが一番近くて。 常連として見慣れていた姿が、一気に身近に感じた。 あなたの声が好きです。 いきなりそう告げてもきっと驚かれるだろう。 距離感は保ったまま、それでもいつか。 伝えられたらと思っていた日々はあっという間に過ぎて。] (20) 2023/04/03(Mon) 21:44:15 |
| [俺が伝えるよりも早く、彼が一歩踏み込んだ。 好きなタイプを聞かれたときに、 ふと頭に思い浮かんだもの。 今思い返してみれば、少し恥ずかしい。 だけどきっと、その時から、大切だった。 優しくて穏やかな声を、聞いた日は。 あの月を探した夜を思い出す。 一人でいても、どこかで繋がっているような。 ひとりじゃないと、思わせてくれた声が確かに 在 った。] (21) 2023/04/03(Mon) 21:44:35 |
| [今は、一人ではなく、隣に貴方がいる。 一人じゃないと教えてくれた貴方が。
二人で過ごすことの心地良さを、 大切な人が居ることの強さを教えてくれる。
夏に近づいた帰り道、数歩先を進んで、 彼が追いついてくるのを待つ。
再び隣にならんだら、プレゼントを持っていない手を 伸ばして、小指だけを絡めるように少しだけ繋がって。]
……もうすぐ、夏ですね。
[『なんでもない』ことを、 さも日常に溶かすように口にする。
なんでもないことが特別なように、一日一日を過ごして、 これからも、ずっと貴方と過ごせていけるなら――。] (22) 2023/04/03(Mon) 21:44:56 |
|
[ ―――それは、最高の『なんでもない日』。**]
(23) 2023/04/03(Mon) 21:45:15 |
[狼が育てた白うさぎ。
「好き」がはっきりしている自分は服装や髪型について言葉にしてきたし、
初めて身体を重ねた夜から彼女の性感を暴くことに執心してきたけれど。
ひらいた華は思っていたよりもずっと――
えっちだった。
足りないならたべて、なんて煽る台詞。
明日助手席でぐったりするかもしれないのに、
手加減が出来る気がしない。]
[撫で方を教わって、洗い方はとりあえず自己流。]
寝たら朝になっちゃうよ?
[食べられたいのにそれでもいいの?なんて笑って。
身体を拭く間もずっと笑い声を響かせていた。]
着てから外に出るなら下着はつけてて欲しいけど、
……脱がせちゃうからね。
[スリップはとりあえず今はおいておいて、ショーツだけ。
ブラジャーはつけずに後ろに回って一緒に浴衣を持つ。
自分の名前の「夜の空」に咲いた「白い花」。
まるで狙ったみたいな柄が嬉しい。
背中心を合わせて、次は身頃。
女性の場合はおはしょりを作ることになるが
女性の着付は慣れないのでちょっと戸惑った。
身八つ口から手を入れたら素肌の胸が当たるし。]
帯は蝶結びにするね。
[というか蝶結びしかできないのだが。
腰紐で固定した上から兵児帯を被せて蝶結び。
それなりには出来た、と思う。]
[そしてドライヤーを教わるのはまた今度、と部屋の方へ戻って仲居とのやり取りも済ませてから、浴室に呼びに行く。
名前を呼んで抱き着く様は無邪気なようでいて。]
……お刺身、冷蔵庫に入れてからね。
[抱き着いた手を押さえて電車ごっこのような様相で傷むのが心配な食材だけしまっておく。
「おなかがすいた」は、目の前の食事が食べたいという意ではないことは、表情がよく物語っている。]
やっぱりこの衣紋は抜けてる方が色っぽいよね。
[布団まで着いたなら、体勢変更。
後ろから項にくちづけて袂に手を入れる。
ブラジャーに守られていない胸を揉んではだけさせてから今度は前に回った。]
ね、裾持ち上げられる?
[折角のデコレーション。
普段はしないことがしたくて、跪いた。]
ふ
、
[裾を分け、ショーツの上から秘部に息を吹きかける。
替えの下着を何枚用意しているかは知らないから、
早目に脱がせてしまおう。
真白の両手が塞がっているのを良いことにずらして、
今度は直接ちゅう、と口接ける。*]
[ 二人だけの食卓に並ぶのは、
夜綿が育てた真白と
一緒に作った愛情、
太陽というよりは月のようなやわらかな灯に照らされて
愛は花開き、戀はもっともっと絡まり合う。
明日助手席でぐったりしてしまっても構わなかった。
はしゃぎ疲れた、なんて言い訳の下準備は終えてある。
────手加減しないで、骨まで愛して。 ]
朝になっちゃう……のは、やだ。だめ。
[ そうは言っても朝は平等に訪うもの。
だからこれは、ただの戯れ。
響き合う笑い声、──憧れた家族のかたち。
家族を識らなくても、こうして自然に"なれる"のは
相手がきっと貴方だから。 ]
……外へのお散歩なんて、"行けない"でしょ?
[ 行かないのではなく、行けない。
にんまりチェシャ猫のように口角を上げて笑い、
ショーツだけ身につけて浴衣を着せてもらう。
夜の空に咲いた白い花、──だからこれを選んだのだ。
恋人になってから、夜が好きになった。
貴方の名前。貴方の愛し方。貴方を象徴するものみたい。
朧月夜みたいに心が安らぐひと。
──夜空の月明かりには、白い花が一番似合うはず。 ]
蝶結び!
わあ、かわいい……!
[ 女性の着付けには少し慣れていなさそうな手付きに、
ふふんと満足げにしながら、最後まで任せてしまう。
着方が分からないのは本当だし
下手に手伝うと悲惨に変えそうな予感がしたので。
不器用ではないけれど、慣れないことは当然下手だ。
──脱がされるための服を着せて貰うという
シチュエーションに少し楽しみを覚えたのも、否定しない ]
ね、ね、似合う? かわいい?
[ くるんとその場で浴衣の袖を翻し、一回り。
無邪気にはしゃぐ様相だけならば
腹の奥で男の精液を慾する雌の側面なんて、
想像もつかないだろう。
期待通りの返事が貰えたなら「えへへ」と頬を緩め
髪を乾かし、丁寧に櫛で整える。
持参したヘアオイルのおかげで艶々のさらさらだ。
──それもこれも、美味しくなるための下拵え。
自分で覚えた、自分なりの味付けと飾り付け。 ]
[ 傷んでしまう食材を冷蔵庫に仕舞うのを見守り、
「はぁい」といい子のお返事でぺたりと引っ付く。
こんな風に甘え倒してしまうのも、
少しは自重を覚えなければ …とも思うのだけど。
だめなことは「だめ」と言って、無理をしない、と
"約束"してくれた彼が受け入れてくれるのなら
これは多分、言ってもいい我儘なのだ。 ]
ん、 ンぅ、……っふ、
[ 布団に着けば、早々に項へ口付けられて
袂から彼の手が入り込み、何にも守られていない
やわい胸を揉まれては 甘い声を零す。
育つくらい触れられた両胸もすっかり華開いた性感帯。
待ち侘びた刺激へぽやんと浮かんだ思考回路は
彼のお願いを聞き入れ、素直に裾を持ち上げた。 ]
──── ッひゃ、んっ!?
[ 跪いた彼が裾を分け、ショーツに覆われた秘部へ
あつい吐息を吹きかけたのに、脚をびく、と跳ねさせる。
なに、と混乱しているうちに下着をずらされ
咄嗟に持ち上げた裾を握り締めた。 ]
ッや、 ぁぅ、っ……!
だ、だめっ、そんなとこ、……っ
[ 直接秘部へ口付けられる感覚と熱。
抵抗は言葉だけ、脚も手も制する気配はない。
──いつもならしないこと。
未だ知らない快感を教えて貰えるに等しい行為に、
心臓が跳ねているのは、どうか、バレないで。* ]
よくわかってるね。
[行かせてあげない、と微笑む。
二人の名前を象徴する柄の浴衣姿の真白はこの部屋限定。
それは、自分の着つけに自信がないとかそういうことではなく。
――浴衣は首元を隠せないので。]
うん、すっごく似合っててかわいい。
あ、カメラ置いてきたな。
スマホで撮ろ。
[乱す前に一枚。
インカメラで確認しながら浴衣のツーショット。
今までずっと自分の写真は撮らなかったが、
真白と恋人になってから積極的に撮るようになっている。
後で写真を見返した時に、彼女の隣に自分がいないのが寂しいと思ったので。]
[甘えられることが嬉しいというのは多分真白限定。
素の自分は本当はそんなに優しくはないと思っている。
人が与えられるやさしさの量が決まっているのなら、全部を真白に振りたい、なんて昏い考えまでは明かさないけれど。]
後れ毛とか堪んない。
[項は痩せている真白は特に痕を残しにくく、ついた赤もすぐに引いてしまうだろうからまたつけないと。
胸を揉んで真白の身体に火を灯しておいて、下に潜る。]
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