(a7) 2020/10/23(Fri) 2:37:50
[ あの時間が嘘だったかのように、旅は順調だった。 当然のように戦いばかりの日々であっても、自分には“神託の力”があり 仲間を引き入れながら一つ一つ、着実に聖木の根を巡った。 高度な擬態で人里に紛れ、夜な夜な人間を襲う獣人を 狙われそうな村人の家を監視することで発見し、倒して。 砂漠の国では野垂れ死にそうなところを助けられ、 お礼に無償で魔族に拐われた姫を助け出し。 魔物退治は一行にとって日課であり、結果的に多くの人々を救った。 海の国に至る頃には“刃の勇者”の異名だけが既に到着していたらしく。 立派な船を譲渡してもらうことが出来たのだ。 ]
(144) 2020/10/23(Fri) 9:44:21
[ ある時、比較的弱い魔物しかいない筈の村で 民が恐怖し家に閉じ籠もる程の脅威であり、 村長が必死に討伐を頼み込んできた巨大な魔物だけが ] 嘘だろ……俺の、見間違えか? あれは、どう見ても [ 描かれた筋書きのイレギュラーだったに違いはない。 ]
(145) 2020/10/23(Fri) 9:44:40
[ まるで頭髪のようだと思った。 滑らかな銀の毛なみが、頭頂部の長角の間だけ色が変わっていた。 見間違えだと信じたかった。 その部分が乱れると、額に刻まれた紋様が垣間見えた。 黒い痣のような、複雑に描かれた──── ] 違う、魔物に御印があるわけがない……! [ そんな否定は言葉ばかりだった。 生まれたのは、信仰で抑えきれない疑念。 胸の中央、その奥の奥で 今も神託の実が、あの赤い姿で脈を打つ。 魔物の血と人々の称賛を浴びている日々では、 意識から遠ざかっていたその感覚が蘇る。 まだ消えてはいない傷跡が、痛覚を刺激し主張する。 ]
「ねえフォーク、まだ本は読み終わらないの? 久しぶりの街なのにつまらないわ、わたし。」 [ ────その出来事から習慣が増えた。 人里に立ち寄る度、貴族や長老の家に足を運んで 歴史、勇者、それに教会が関わる本を読ませてもらう。 世界を背負う勇者様のお願いだ、 先人から学び、自身が魔王を倒したいと語る若者だ。 誰もが快く受け入れ、自ら棚を漁り望んだ本を見つけてくれたけれど 仲間達にとっては退屈だったのだろう、いつも不満を漏らしていた。 ]
(146) 2020/10/23(Fri) 9:45:15
[ 女神に選ばれし者は本来、勇者もしくはヤドリギの勇者と呼ばれるが 危険な旅路に生きる彼らの命は非常に儚く、 民一人の一生の中で何度も代替わりが行われる。 故に神託により身に宿った異能を元にした名を、 人々は生まれ散ってゆく勇者達の識別名のように使う。 フォルクスと語感が似ているから、 フォークを床に落とした時に初めて力が表に出たから。 仲間達に付けられた愛称のほうが自分にとっては身近だったけれど。 食器の名前で呼ばれるのはあまり良いことじゃないと思う。 実際、嫌がってみせたことはあった筈だ。 でも、楽しそうに笑っているから 勇者ではなく自分自身への呼び名だから、やめさせなかった。 ]
(147) 2020/10/23(Fri) 9:45:43
[ 仲間達も決して、楽な立場ではない。 十三の根、十三の教会。 それぞれで仲間を得れば大所帯になる筈の一行は、 多くて七人、少なくて三人。殆どは四人か五人程度。 ……多くが旅路の途中で倒れ、或いは心が折れ故郷へ戻り 時に立ち寄った土地で出会った民をそこに留まり守ることを、 決断する者も中にはいたのだ。 勇者を騙ったり、自らが取って代わろうとする者が現れないのは 教会の管理が徹底されていることや背信行為である部分よりも、 どれ程鍛錬しても神託の異能には届かない事実が大きい。 ]
(148) 2020/10/23(Fri) 9:46:00
[ 始まりの勇者は、そんな勇者達の殆どより強かった筈だ。 世界に光を取り戻し、根絶に至らずとも生き残った魔族を追いやり 絶滅寸前の人類を現在の繁栄に導いたのだから。] なのに、何故…… 「ねえフォークってば、フォークー!」 [ 何故、彼がどのような人物だったのか記録されていない? 生い立ちは、性格は、容姿は、勇者になる以前の職業は? そもそも女神歴に至る前の歴史は何処だ、 闇に奪われる前の世界はどんなものだったのか? 仲間達はこの疑問を理解しなかった。 殆ど魔に支配されていたのなら、過去の記録が失われても仕方ない。 自分達のするべきことは歴史の研究なんかじゃない──── 正論ではあった。 それで納得するには、教会の存在がネックだった。 ]
(149) 2020/10/23(Fri) 9:46:22
[ 女神歴の歩みと共に在り続け、遥かなる伝説を語り継ぎ 聖木と勇者を管理し続けたというのに。 そんな連中が始まりの勇者のことすら記録出来ていなかった? 彼亡き後教会を立ち上げたのは一体誰だというのか。 勇者、勇者、勇者。どいつも同じことばかり口にする癖に。 民は誰も神託がどんなものかすら知らない、 どのような原理で全員の能力が違うのか、誰も説明出来ない。 ただ口を開けて潰えては芽生える様を眺めている。 ]
(150) 2020/10/23(Fri) 9:46:37
「もうやめておけ、余計なことを考えるから そうやって身体までおかしくなるんだろうが。」 [ 何も仲間達は不理解だけで否定しているわけではなかった。 痣の発熱と体調不良が始まったのも、実らぬ調べ物を始めた頃から ただでさえ発動に激痛を伴う力、無駄に体力を奪われるのは辛かった。 心配してくれていた。俺達はきっと、本当に仲間だったと思う。 それくらいは信じないと、あの日々に救いが見えない。 ]
[ 俺達は世界中を巡った、 いつしか身体は随分逞しくなり幾つも年を重ねていた。 望んだ情報は、その何処にもありはしなかった。 全てを知ることになったのは、魔王領に踏み入りついに城に辿り着き ────魔王と刃を交えた後のことだった。 ]
(151) 2020/10/23(Fri) 9:48:36
ヤドリギ
[ 寄生木の勇者とは、
月を引きずり落とさんと高く伸びてゆく塔であり、
夥しき屍で構成された無銘の墓標であり、
結果に至る為に存在する無意味な途中経過であり、
魔樹を育む生贄たる宿主である────** ]
(152) 2020/10/23(Fri) 9:49:02
[音声アナウンスが聞こえる。 どこをどうとかじょうずだとか。 これ何だっけって思いながら、 先っぽだけしゃぶってたものを口から引き抜く。 うん、いい感じに勃起したじゃん。 いいぞ、つよそうだ。 封だけ切って投げっぱなしだったノルマ分を取っり出して 少々もたつきながら被せて根元まで下ろして行く。 ラテックスだったかポリウレタンだったかの 透明なやつに包み込まれたグロテスクな肉は 窮屈そうで気の毒にみえて。 わかる、めっちゃわかるわ。 イきたいよなぁ、って心の中で語り掛けて 今楽にしてやるからなって良く解らない使命感で 自慰の続きをするつもりで扱き始める。 液だまりに先走りが溜まり始めてぷくりと膨らむのなんて 普段あんまり見てないからなんか面白くて 弄ってみたり、舌を這わせたり好き放題だ。 競り上がってくる睾丸を皺をのばして転がして遊んでたら びくびく震え始めたから、あ、これイくなって 理解して、駄目押しに薄い膜越しにじゅ、っと 先っぽをきつく吸い上げてやった。]
[いつの間にか重なってた手が強引に 狙いを定めるみたいに角度を変えたから。 顔に掛かる覚悟をしてぎゅっと目を瞑ったけど 薄い膜に阻まれたそれが飛び出してくるはずもなく 無事に済んだ目元を、あれ?と不思議そうに瞬かせた。 きょとんとしながらも手癖で外して片付けて。 中身が零れないよう結んだそれをティッシュに包んで ゴミ箱に捨てるまでの一連の動作の間 漸く理解したみたいな顔になる] なるほど… [神妙な顔で頷く。 さてはおまえ、俺のチンポじゃないな? それなら気持ちよさそうにイってたくせに 全然気持ちよくなかったのも納得だ。 ひとりしみじみと頷いてる間に 転がされて尻が涼しくなったがよくわかっていない。 芯を持ち始めてるけどまだぐにゃっとしてるのが ぽろんと下着の引っ掛かりから零れて。 シーツに触れるのがちょっと気持ちよくて腰が揺れたら 相手からは誘うみたいに 尻を振ってるようにも見えたかもしれない。]
[なんかきかれた。こんなのってどんなのだ。 聞き返す前に微妙に閉じ切ってない腿の間に何かの感触。 擽っては逃げて行くそれを捕まえようと 腿の内側に触れた瞬間足を閉じて挟んでみる。 けどまた逃げられた、なんだこれ。 よくわからないけどちょっと気持ちよくて ん、って鼻から甘えた音が抜ける。 気持ちいいけど、全然足りない。 入る穴を求めて無意識に、マットレスに押し込もうとして シーツに擦り付けるかたちに腰が揺れる。 顔を覗き込もうとして被さる影に何度か目で気付いて のろのろ見上げてみたら、何か知ってる顔が在った。 こんな近すぎるバグった距離感なのはこいつしかいない。 そんな観点であんまり見えてないけど間違いなく認識する。] 御門……? なにしてんだ、これ。 [なんか、気持ちいいけど物足りなくて。 けどお前が居るとこでそんなことはしない筈だ。 何となくそんな気にならなくて自分でも処理してなかったから シーツに擦り付けただけでももうがちがちなのに。 このまま気持ちよくなりたいのに、お前が居るならだめだね。 うん、しゃかいじんとしてしぬ。]
[あれ?でもここは俺の家で俺のベッドだ。 おまえがいるはずがない。 自分で連れて来たくせにすっかり忘れているようで そう自分に断言できる妙な自信があった。 というか、このまま気持ちよくなりたいから 居ないで欲しいという願望に大分負けている] ……ああ、なんだ。 ゆめか、これ。 [よかった、御門はここにいない。 よって続けてもしゃかいてきにしなない。 だいじょうぶだ、もんだいない。 そうか人肌恋しさに可笑しな夢を見ているんだ。 思い返せば確かに最近一番感じる他人の体温は こいつのちょっとやりすぎなスキンシップくらいだ。 距離感バグってんだよなぁ、こいつ。 ならしかたないね、おれはわるくない]
[夢なら好きに触れていいですね、って 誰かに言い訳しながら体を捻って 唇を重ねてみたがちょっとずれた。 あれ?おかしいな。 やりにくいので殆どラリアットみたいな勢いで ベッドの上に引き摺り倒す。] うん、御門だ。ゆめだな。 [近くで確認して、再度納得。 半端にずり下ろされて引っ掛かった 邪魔なスラックスと下着を足でけって脱げば 片足だけしつこく残ってた靴もついでに脱げて自由になる。 脱げ掛けの靴下が引っ掛かった足で もっとこっちに寄れと口で言う代わりに力技で引き寄せた。 改めて唇を重ねるけれど まだどこかへ行ってくれない眠気に捕らわれたままなので 唇を擦り合わせながら時々一時停止する。 夢なんだから都合よく女みたいな穴がないものか 適当に腰を揺らしてみたら棒にあたった。 なんだよ、リアルだな。まぁいいか。]
[どっちがどっちかよくわからなくなって 二本まとめてひっつかんでみたら 熱くてつるつるしたのが擦れて気持ちよかったから 擦り合わせるように捏ね合わせながら興が乗って腰を揺する。 重量オーバーのベッドが揺れて マットレスのバネが支えきれずちょっと軋んだ。 もっと、密着させたくて足を絡めなおしたら 押し込む様に揺らすたびに乾いた肌と肌が当たって ぱつぱつ鳴るようになって聴覚から犯されて 頭の中まで完全にその気になっていく] は ……っ、…ふ 、ン…… ふふ、なんか、…せっくす、してるみてぇだ。 ね? へんなの。 っ、……あーー…きもち… [こっちは何もつけてないから、だらだら漏らしてるみたいに 溢れるカウパーがかぶせてあるつるつるの表面に擦れて ぬるぬるするのが堪らなくて。 段々腰を振る速度が早くなってゆく。]
[まずい、まずい、このままじゃシーツ汚す。 まだ我慢してるつもりでもいまいちその辺の感覚が 普段より若干緩い自覚はあって 手探りに定位置のティッシュを探すが、 さっき床に落としたようで指に触れない。 焦れば余計に、変に焦れて。 良く解らない拍子に一気に堪らなくなったから さっき足で脱ぎ捨てたスラックスを手繰り寄せた。 シーツを汚すよりそっちを汚す方が厄介な事くらいは 理解しているので目当てはそれ自体じゃない。] はあ……っ、あ、あ……っ、も、出す、出る…… [譫言みたいに吐息で喘ぎながら 間一髪で手繰り寄せた下着で先端を包み込んで、吐き出した。]
[濃いのが数回に分けて、どぷどぷとあふれ出す感触を 息を詰めてやり過ごし、はぁ、と充足の滲む溜息を零す 汚した下着はゴミ箱辺りに放り投げた。 多分音的にちゃんと入った気がするので確認はしない。 じんわり額に滲む汗に前髪が張り付いているが もう払い除けるのも面倒くさい。 けど幾分か、瞬間的に目は醒めた。 多分この後倍になって雪崩みたいな眠気に襲われるけど] なぁ、これ…つぎ、どうするか、しってる? [セックスみたいなこれの終わりが良く解らないので 目の前の男に聞いてみる。 返事を待つ傍ら唇に唇でじゃれつく。 なんかほんとにセックスしてるみたいだ。 とくとくと少し早くなった心臓の音が 摺り寄せて重なった相手の胸にも伝わっただろう。*]
えー… いたずら…? [なにしてんだって聞かれて、ぼやけ頭で考える。 セックスかなって思ったけどまだ入れてないし そうだ、なんかヤったっぽい雰囲気にしとこうって そう思ったのを思い出して適当な単語を選ぶ。 俺が何もしなくても腰が揺れ始める光景が なんか面白くて少し好きなようにさせてみるけど やっぱり見てるだけじゃ物足りなくなった。] シーツに擦りつけてるだけなのにね。 よっぽど溜まってたんですか? そこんとこ、どうなん――うわっ [時折見上げてくる視線がまともじゃないのは明らかで それでも相手の口から言わせたくて 答えが返って来るかも分からない質問を投げかける。 ちょっとウザいインタビュアーみたいな口調で マイク替わりの拳を相手に近付けようと顔を寄せたら 突然衝撃に襲われてマットレスに沈んだ。]
[間近でなんか納得したみたいに俺の名を呼ぶ彼。 ゆめか。そうですね。こんなバカげた状況、夢だ。 でもいつもの夢とだいぶ違う。 いつもの彼は自分からキスしてくれないし 恥ずかしいから見ないでくれとか言うし、 もちろん自分で腰を押し付けたり絶対しないし、力もこんな強くない。] …積極的ですね。どうしたんですかー? [俺のこと、好きになってくれたのかなとか ちょっと想像して浮かれてしまう。 まとめて掴まれた場所が少し窮屈だったけど それでも夢中になって腰を振る様子がおかしくて なんか自分の方が犯されてるみたいな気になってくる。 ギシギシと普段の夢じゃ聞こえない音が鳴る。 いつもよりずっと、色んなとこが気持ちよかった。 腕は2本しかないんだから気持ちい場所なんて限られるのに。 なんかあちこち触れてるみたいに 自分のじゃない熱が伝わってきて気持ちいい。]
[けどなんか物足りない。 気持ちいのにあとちょっとだけ足りない。 ああ、そうだ。尻いじってないや。 後ろの気持ち良さを知ってる身体は もっとって強請るのに手が届く状態じゃない。 寂しがってるみたいにきゅうきゅうと尻の穴が収縮する。 ちょっと我慢してろよ。今日はお前の出番じゃない。] せっくす、しましょうよ。 ふふ、ぜったい今よりきもちいーから… [みたい、じゃ足りなくなって 訳も分からず腰を揺らす相手に囁いてみる。 耳元まで口を寄せなくたって、 聞こえてるのはやらしくて生生しい音だけだ。 きっと届いてはいるだろう。]
[動く身体のスピードが徐々に速くなって 相手の限界を近い事が伝わってくる。 一度出した俺の方も敏感にはなってはいるから 似た速度で追いかけてはいるけど、 相手が主体の刺激じゃ時々イイ所を外されて] もうちょっと、…っ、 葛西さん、もうちょっと頑張って…ん、っふ… [どうせなら今度は一緒にイってみたい。 頑張れって励ましたり、自分も腰を動かして 一番いいとこを擦ろうとしてはみたんだけど間に合わなかった。 一緒くたに布を被せられて押さえられて 突然寸止めされた快感が名残惜しくて腰を寄せる。 でも伝わってきたのは相手が吐精する僅かな震えだけで 放置を食らった俺の方は痛いくらいに張り詰めていた。 恨み節の一つでも言ってやろうと思ったけど しおらしく胸を寄せてくる彼が可愛かったので 甘える唇に答えながら汗でへばりついた髪を払ってやる。]
次、は… [だいぶぼんやりしてきた頭で考える。 せっくす。そうだ、せっくすするんだ。] 穴に入れるんですよ。 [どうやってやるんだったかって記憶を辿る。 俺自身は入れた事ないから、自分がやられた記憶を。] こうやって、ひっくり返して… [むくりと起き上がると寝ている相手を転がして 俯せの状態から腰だけ引き上げる。 気遣いとか全然ない乱暴な動作だから 彼の顔がシーツと擦れようがお構いなしだ。] ここの穴にね、入れるんですよ。 [そう言って未だ中途半端で放置の先端を どこだったかな、と感触と微妙な記憶を頼りに 尻たぶや割れ目に擦りつけながら探っていく。 そうして太腿の隙間に挟んでみたところ 上手く入りそうだなと一人で納得して、 自信満々に汗で濡れた内腿に陰茎を擦りつけた。]
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