灯守り 立夏は、メモを貼った。 (a45) 2022/01/17(Mon) 1:32:57 |
【人】 灯守り 冬至―――領域内 [ 天は宵に満ち 地は白雪満ちる世 ] [ 薄暗がりの織りなす地平線 世を覆う夜に昇る陽は無く 見渡す限りに遮るものは無い 常夜の如き世に ] [ 今、帰る 子 一つ ][ 未だ灯ったばかりの 小さな小さな 悲しみに暮れた灯火 ] (185) 2022/01/17(Mon) 1:43:21 |
【人】 灯守り 冬至[ 当て所無く漂う灯は やがて白絨毯の上 ぴょんぴょん跳ねる雪うさぎと戯れる 悲しみの残滓を散らすように 暫し 舞 い揺らめいて ]――――… [ そっと夜に翳す手のひら そうして灯は 静かに降り立つ 終わりの終わりを受け入れるが如くに ] (186) 2022/01/17(Mon) 1:45:20 |
【人】 灯守り 冬至[ 傍らの足許 静かに佇む雪うさぎ 長いようで短い 短いようで長い刹那 常夜に訪れる静寂は 祈りにも似たひと時 ] ―――…おかえりなさい [ 背を押すように 天へと 送 り出した ] * (187) 2022/01/17(Mon) 1:45:37 |
【人】 灯守り 白露[ 遅れちゃう、遅れちゃう! さ わ さ わ と、まだ 緑 の小麦 を撫でる風カッ カッ と、 靴音 を軽やかに奏でる石畳 どれも、白露の領域のもの ] (188) 2022/01/17(Mon) 3:10:53 |
【人】 灯守り 白露—領域— 「白露、今日は集まりの日ではなくて?」 [朝 まだ大きな葉のおもてに露が乗るような時間 朝ごはんのトーストをかじるわたしに、蛍である鶺鴒鳴 -わたしはセキレイて呼んでる- が尋ねてきた セキレイは、前任の灯守りの蛍だった人 灯守りが変わっても、変わらず蛍を続ける人だった 前任と比べたりしないし、甘やかしてくれもしないけれど、決して手を離したりはしない人 わたしはセキレイが大好きだった ]あ…うん…… ……これ、食べたら…… 「はいはい 食べ終わりましたらお召し物を選びますのよ お顔を洗ってきてくださいまし」 ……うん [セキレイって、実はお母さんだったりする?] (189) 2022/01/17(Mon) 3:11:53 |
【人】 灯守り 白露[白露域の人たちは、優しい人が多い みんな何か作るのが好きみたいで、よく編んだものとか縫ったものとかをわたしに持ってきてくれる みんながくれるモノはどれも綺麗で、可愛くて、心があったかくなるものばかり わたしは、そんなみんなのことが好き] 「白露、本日はこちらのものでいかが?」 セキレイが、いいと思うなら…… [お洋服のことなんて、とんと知らないわたしは全てをセキレイに任せた わたしは 正しく お人形になるだけで、セキレイがとても可愛くしてくれる今日セキレイが出してくれたのも、みんなが贈ってくれたドレスだった 真っ白なレース袖、幾重に重ねられたチュールのスカートはビジューで飾られていて、朝露みたく 全体的に淡い雪のようなふんわりとしたドレス] 「外はとても冷えますのよ 外套をお召しになって」 ……ドレス…… 「風邪を引かれましては、元も子もありませんの いいからきてくださいまし」 (190) 2022/01/17(Mon) 3:12:46 |
【人】 灯守り 白露[そういってセキレイは、濃紺の外套をわたしに着せた せっかくの可愛いドレスが隠れてしまうのが、わたしは不満だったけれどセキレイには勝てなかった この領域はずっと秋の風が吹いているから、レース袖のドレスで過ごせるけれど、外は今冬だったらしい] (どうにも……しばらく出ないと、忘れるのね) [わたしは、この領域から出ることはない ……ううん、ほとんど出ないって言った方が正しいのかな お外は怖いから、こわいせかいだから、 こわくて それで? ]……あっ、ねこちゃん [遅れないように!と念を押したセキレイの言葉も忘れて、統治域の畑で寝転ぶ猫ちゃんに、スケッチブックをむけて──] (191) 2022/01/17(Mon) 3:13:10 |
【人】 灯守り 白露ううう……!!! [また!まただ! うっかりスケッチに時間をかけてしまったの! セキレイにあんなに言われてたのに、やっぱりわたしってば外に出ない方がいいの!] ……っ、 [はた、と弾む息を整えながら手にしたスケッチブックを見つめる 絵を描くのも、素敵な景色を切り取るのも、そうだけれど わたしの言葉を伝えられるたった一つの手段 わたしはお喋りが苦手だから いつもは、ちょっとしか喋らないわたしのことを、セキレイはわかってくれるけれど セキレイだっていつもいるわけじゃないから …そこで、生み出したのがスケッチブックにお返事を書くという、原始的、かつ、絶対伝わる方法] …… [本当は、わたしだって、いっぱいお喋りしてみたいんだけどな] (192) 2022/01/17(Mon) 3:13:57 |
【人】 灯守り 白露……は、は…… まに、あった……? [どうやら随分と遅くきてしまったような、そうでもないような…? あまりに走って走って、急いだものだから息が整わなくって 会場の奥の壁にもたれかかって、胸を抑えた 深呼吸をしながら、吸って吐いて、吸って吸って吐いて……??] (……これは、違ったかも) [弾む呼吸がようやく整った頃 思わずすん、とお顔が真顔に ……なりつつ、冷静になってきたので、会場を見回してみた] ……! [スケッチブック…じゃなかった、手帳を開く人>>12を見つけた! もしかしたら、わたしといっしょかもしれない 後で声をかけてみよう、とひとまず顔を覚えておくことにした ……女の人かなあ?男の人かなあ? ] (195) 2022/01/17(Mon) 3:16:02 |
【人】 灯守り 白露……あ [さて、次はと見渡せば靴のない女の人>>104 どうにもこうにも、わたしは他の人との交流が少ないのもあって 人の名前と顔 -号も然り- が一致しなかった] …… [ただ、どうにもその素足が気になって -白露は寒いと感じたので- ちらりと様子を伺った 伺って……伺って…… ……ええい、ままよ!] ……あっ、 あのっ…… ……あ、えと、……はっ…白露、といい、 ます…… [何度もつっかえながらやっと出た言葉は、名乗りで… 裸足で、寒くありませんかと聞きたいだけだったのに、わたしってば!] ……あ、足…… えと、 ≪裸足のようですが、寒くありませんか?≫ [耐えきれずに、言葉をスケッチブックに託した もしかしたら、スケッチブックに綴られた字に見覚えがあるかもしれない*] (196) 2022/01/17(Mon) 3:18:24 |
灯守り 白露は、メモを貼った。 (a46) 2022/01/17(Mon) 3:30:22 |
【人】 小満末候 麦秋至[仕事場に向かう前から、すでに仕事は始まっているも同然なのだ] むーーーー……。 [まあるい手鏡を取り出して自分の顔をしげしげと眺める。 おもむろににこっと笑みを浮かべれば、 鏡の中のわたしもにこっと笑う。 うん、今日も上出来だ。 お客さまを迎えるのに相応しい。 それじゃあ、今日も頑張ろっか] (197) 2022/01/17(Mon) 3:51:38 |
【人】 小満末候 麦秋至[小満域の中央は今日もうららかでのどかな陽気に満ちている。 開店時刻すこしだけ手前、当然まだお客様も入っていない時間帯に、 外がよく見える窓辺で笑顔の練習をするのが、 わたしが今いるこの場所――『慈雨』で給仕をする際の日課だ。 もちろん机とか床とかピッカピカにしてからね。 それから程なくして、最初のお客さまを迎える。 ピッカピカな店内にピッカピカの笑顔] (198) 2022/01/17(Mon) 3:53:44 |
【人】 小満末候 麦秋至いらっしゃいませー! [そのひとはわたしが顔を覚えてるお客さまで、 向こうもわたしのことを覚えてて、「最近ご無沙汰してたじゃないか」と声をかけてきた。 確かにこうしてエプロン姿でお店に立つのは久しぶりだ。 正確な日付は数えてないけど、とにかく統治域の方に閉じこもり気味だったから。 書類とにらめっこするのは嫌いじゃない。 けどたまには息抜きだって必要じゃないか、と思ってやってきちゃいました。 事前に“あの方”の許可は取ったから、サボりってことにはならない……はず] (199) 2022/01/17(Mon) 3:54:14 |
【人】 小満末候 麦秋至[ぼちぼち、わたしが何者かって話をしよう。 わたしはただの女給さんではなく、 この店をやってる方――灯守りがひとり小満さまの“蛍”だ。 とはいえ堅苦しいのは苦手だから、 「気軽にムギちゃんとでも何でも呼んでね!」なんてお客さまやら町の人に言ってはばからない。 蛍になる前はなにをやってたかっていうと、 正直に言うと「流れ者をやってました」と答えざるを得ない。 何せわたしが生まれた場所はここ、小満じゃない。 最初に蚕さんと紅さん(小満さまの他の蛍のことをそう呼んでいる)と顔を合わせた時も、 「元流れ者現蛍でーす」って自己紹介した記憶がある。 根掘り葉掘り素性を訊かれたら、 流石に(実家のことは濁しながらも)答えたはずだけど] (200) 2022/01/17(Mon) 3:55:12 |
【人】 小満末候 麦秋至[……さて、いったい何日たったんだっけ。 わたしが最初に小満域の地を踏んでから。 生まれ育った小雪域を出て、真反対とも呼べる場所に辿り着いてから。 両手の数で数えられないほど多いっていうのは確かだ。 どうしてこんなに長居することに………… っていけないいけない。 曲がりなりにも仕事中なのに。 お客様が席に着いたのを見届けると、 いそいそとお冷やを取りに向かうわたしであった] (201) 2022/01/17(Mon) 3:56:10 |
【人】 灯守り 芒種 ここは、いつでも水の匂いに満ちている。 いっそ溺れてしまえたのならば、楽になれるのだろうか そんな、くだらない夢を、 ずっと、ずっと見続けている。 (202) 2022/01/17(Mon) 4:09:46 |
【人】 灯守り 芒種 ── 領域内 ── [ 風を伴わず静かに真っ直ぐ落ちる細かな水垂れの音は しとしとと鬱陶しく耳鳴りのように頭の奥に張り付いて すり硝子で覆ったみたいな半透明の景色は こころのうちを何時だって薄灰色に染めてゆく。 本当に、気が滅入る。 こんな場所を欲しがるなんてどうかしていると 子供の頃からずっと、今でも思っている。 本当に、どうかしている。 彼らも、そして、わたし自身も。 ] ( でも、そうね。これしかないのだものね ) [ 哀れに思う。 すべて投げ出してしまえばいいのに。 それができずに囚われている 彼らと、そして自分を。 ] (203) 2022/01/17(Mon) 4:10:53 |
【人】 灯守り 芒種[ 前略、あほみたいな希死念慮が有る。 正直、あっても仕方ないなと冷静に思うし なくなるのは気が狂った時だと思うので いまのところ特別、医者には罹っていない。 環境を変えろと言われて終わる話だ。 それができないのならば、 抱え続けるしかないのだと思う。おそらく。 ] ……あら、いいかおりね。 これ、この間あの子が送ってくれた茶葉かしら? [ 雨音と同じくらいに麻痺するほどに聞かされてきた 偉ぶりたいだけの年寄りたちの中身のない説教を 聞き流して、ひとこと、そう呟けば 途端、雷鳴のように劈いたのは、癇癪を起こした怒鳴り声。 思い通りにならないと、大きな声で脅かして脅すだなんて まるで赤子のようだと微笑ましさすら覚えた。 この環境で心安らかに在れるほどの 図太さや鈍感さと同義のおおらかさの持ち合わせはなく けれど持ち前の無駄すぎる反骨精神を捨てることもできない。 生き辛くて当然だ。 ここで生きる適性を、わたしは持ち合わせていない。 ] (204) 2022/01/17(Mon) 4:12:53 |
【人】 灯守り 芒種[ 目上の、そして男であるだけで、 女よりも強く偉いのだという漠然とした思い込みを常識と強い 許しもなしに押しかけてきて、散々ひとをこき下ろしたうえで 望んでもいない教えを解こうとする慇懃無礼な年寄りに ゆったりと、皮膚一枚で微笑んで返す。 そう、事実偉くも強くもないわたしの武器はこれしかない。 ならばいっそ抗うことをやめてしまえば 甘えて懐いたふりをして、 ただ命じられて断れなかっただけの飾りとして 適度に頼って自尊心を満たしてやれば きっともっと平穏に過ごせるのだとは思う。けれど。 ] いいえ、『大伯父様』。 勿論聞いておりませんわ。 [ 媚びるなんて、向いていないのだ、生憎と。 それこそ今以上の心労で、禿げ上がるかもしれない。何かが。 目の前の禿げ上がった頭が急激に近づいて 生意気な『小娘』と罵り掴みかかろうとした。 喉元に伸びてきた嗄れた手はほかの二人が押さえ込んで止め、 横に控えていたわたしの猫が庇うように間に入る。 ] (205) 2022/01/17(Mon) 4:14:18 |
【人】 灯守り 芒種あらあら、たいへん。 そんなにお顔を真っ赤になさって。 血圧のお薬、今日は忘れずきちんとお飲みになった? [ 彼が喚き呼んだ通りの生意気な女の顔で嫌味ったらしく 白々しく場違いな案ずる振りをしてみせる。 強くも偉くもない何も持たない弱者であるがゆえに 虚勢を張らずにいられない自分の滑稽さに吐き気がする。 ああ、うんざりする。 きっと、誰かが死ぬまで変わらない 退屈な、いつもの光景。 ] (206) 2022/01/17(Mon) 4:15:04 |
【人】 灯守り 芒種[ 暇さえあれば教育と称しご高説を垂れたがる年寄りは三人。 先代の頃からのそれぞれの蛍を務めるご老体だ。 彼らがわたしを灯守りと認めないように わたしが彼らを蛍名で呼ぶことはない。 出て行く気がないから追い出さないだけで 必要なわけでもなければ無礼に礼を返す可愛げもない。 血族に拘り続け途絶えぬように枝を広げた芒種の家系には 蛍の代わりなんて余る程にいくらでもいるのだから 挿げ替えられた頭が気に入らぬのなら さっさと他に押し付けて辞めてしまえばいいものを…… ああ、それでも。 このために生まれこのために生きて このために学びこのために尽くし このためだけに過ごしてきた時間が長すぎて もう身動きも取れないんだろう。 なんとも気の毒なことだ。同情はする。 ] (207) 2022/01/17(Mon) 4:17:17 |
【人】 灯守り 芒種[ 先代は大叔父、現在賑やかに激昂している老人の兄だった。 次は自分だと信じて疑わずにいた席を、 ある日『小娘』にかっ攫われては 血圧くらい爆上がりもするだろう。 それはとうぜんだ。それはわかる。 ] ( けれど、仕方がないじゃない。 ) ( 向いていなかったのだから。 ) [ 何を以て、向き・不向き、を定めるかは 生憎とわたしにはこれっぽっちもわからない。 代々受け継ぐ役目を御大層な何かと思い込みたいがために 特別な素質が必要だとか一族総出で夢を見ているだけで 受け継がれる能力さえあれば、素質も、血筋も問わず 子供にだって出来る役目と個人的には思っている。 あえて大伯父が『不向き』だったことを挙げるのなら 先代に選ばれることが上手くなかったのだろうと思う。 本当に気の毒だけれど、本当にそれだけの話だと思う。 ] (208) 2022/01/17(Mon) 4:20:49 |
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