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人狼物語 三日月国


100 【身内RP】待宵館で月を待つ2【R18G】

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視点:


チャンドラ! 今日がお前の命日だ!

………
……


「身勝手なもんだなァ…」

金烏の怒りを感じたキエが抱いた感想は呆れと煩わしさの2つである。

「自ら歩こうとしないのだから勾引かされた事に寧ろ感謝するべきだと思うがねェ。神は何時何処に行っても身勝手なものだ。
 気に入らないなら大洪水でも起こしたまえよ」

キエは自身を否定する手立てが限りなく少ない事を知っている。であるから敵意を向けられても感じるのは呆れと煩わしさだけだった。

「嗚呼面倒くさい、僕らだって逆らえる立場ではないというのに。
 なァ、リーパー君?」

キエは中庭での出来事を知らないが故に呑気な呼びかけをした。

/*

誤字に今気付きました。
“金烏”ではなく“日輪”の間違いです。sorry!

 

そこには 誰もいません。
 

 

そこには 誰もいません。
 

 

そこには 誰もいません。
 

 

けど ナニカ はいます。
 

 

何かしらをやろうとして 何かしらを言おうとして
 

 

 
 

 

この時は、何もしませんでした。
 

 

何も、
出来ませんでした
 

 

 

 

 

ナニカ はどこかへ 行きました。
 

/*
ハローハロー、あなたのベル記(思い込み)、当方です。
デイリー匿名メモポルターガイストも出来る気分でなかった浮遊想でした。

当方、引き続き『
透明な描写
』を続けますが、本窓が見えている方は特筆がなくとも、任意の箇所を『半透明な描写』として認識していただいてOKです。

何かあれば都度聞いていただければ〜〜! とりあえず今日もLoveを振り撒いておきます、キャッキャッ  ٩(ˊᗜˋ*)و


>L0

 

「 
え? なにこわ。探偵さんにこの文言で呼ばれたくなくない??
 」
 


 

「 
あ、なんかくたびれてる?? 大丈夫???
 」
 

「…………」

その時、リーパーは苛ついていた。
キンウという少女が神隠しされたようだけれど、
おまけに自らの名を呼んだようだけれど。

自分は関わっていないから、知ったこっちゃあない!
あとまだ話したこと無いし!

──同じ、館の協力者ではあるけれど。

「あー、イラつく!
 なァあのゾズマとかいうやつ殺そうぜ!
 
 オレが殺人鬼ってこと、バラしちまった。
 だから知っているやつを全員殺す必要が有る!
 今までやってきたオレたちなら、簡単なコトだろ?」

そうして、また襲撃の提案を行う。
今日は永劫に続くと思っている。
”館の協力者”という安寧に、罅が入ったことすら考えない。

「……それに、アイツ。オレを見ているようでムカつくし」

「オレ“たち”ねェ…僕ァわざわざ殺す必要も無いし血など流していないよ。其処は一緒くたにしないでくれないか」

キエにとって殺人とは林檎を木の根から引き抜く事と同義である。人が死ぬ事を嫌だとは思わないが歓迎もしていない。
其れでもリーパーの凶行に口を出さないのは、此の館において其れが“神隠し”という自分達に与えられた役目に繋がるからだ。

「良いんじゃないか? 君の事だから放っておいても役目とか関係無くゾズマ君を殺してしまうだろう。
 
だったら今のうちに
行ってきなさい」

キエは夜の気配を薄らと感じている。

「あ〜〜? 色々引っ掻き回してるのテメェだろ。
 オレとオマエは一緒だよ!」

リーパーにとってはそうだった。同じ悪党同士。
あなたにとってはきっと違う。

オレ利き手怪我してんだよ!!

 ゾズマの野郎にやられて……。 ナイフが握れねえ。
 毒殺? 刺殺じゃねェと意味がねェ!」

──即ち。今の殺人鬼は、無力だ。

リーパーは華奢な女ならぬ膂力を持つが、
それは脳のリミッターが動いていないということ。

あなたと違ってどうあがいても人間だ。
怪我が治るまではろくに首も絞められない。

「つまり僕に殺せと? 人間を?」

「…………」

キエは気が短くはないが長くもない。粗暴でもないが温和でもない。感情の起伏というものが乏しくもある。

しかし――……

自分の在り方を変えようとしてくるならば其の限りではない。

 
「お前が決めるな。」

 

「殺したいなら君が殺しなさい。
 利き手? 知った事か。其れが僕に何の関係があるんだい。
 刺殺? 知った事か。君の在り方を押し付けるな」

キエは不確かな存在であるが故に生死の概念を持たない。だからこそ自分の在り方を自分で定めなければキエはキエでなくなってしまう。

「………
いいね?


「…………」


「……オマエさ、ひとのこと『お前』って言えるんだな」

 
 


 
なァんだ、こいつもオレと一緒じゃん!


 

「そりゃそうさ、言葉を知っているからね。
 しかし其れは答えになってないなァ?」

キエは喜びを知っているし悲しみを知っている。
キエは愉悦を知っているし憤怒を知っている。
キエは感情を持たないが、喰らってきた数多の夢から確かに感情を知っている。

此れを知っているのは、只1人貴方リーパーだけだ。

「で、どうするの君。僕がやるなら相手は僕が決めるけれど」

「…………」

ぐぎぎ、と歯ぎしりの音。

「あァー……。ゾズマは”役目”に関わらず、
 オレが個人的に殺す。
 
 今晩の襲撃はオマエに任せるぜ。
 相手だって好きに決めればいい!」


 

 

 

 

 

「 
好きだから
 」

「 
好きだから
? 」
 

 

 

「 
知りたいって言われたから こたえただけですよ
 」
 

 

「 
それだけさ
 」
 

 

 

 

「では相手とやり方は僕の方で決めよう。只候補はあるが成功可否は判らないから其のつもりで。

 何となくだけど彼は館の理から少し外れてる気がするんだ。
 …まァ失敗したら館の主人のせいさ。もっと便利で強大な理を僕らに与えなかったのが悪い」

先程見せたキエの怒気はすっかり霧散し一滴も見当たらない。代わりに役目に関わらず自らの意思で殺人を計画するリーパーへの感心が隠れている。
キエは殺人を好ましく捉えないが、自ら考え決意し行動に移す者は好ましいと捉えるからだ。

「また何か在れば伝えるよ。互いに運が在ると良いねェ?

 ……いってらっしゃい、リーパー君」

キエは名前を呼ぶ。名前こそが存在を示す証拠であると考える。



……
………


 

「 
  
適任? ふふ
 」
 

 

「 
傲慢もいいところだなァ?
 」
 

 

「 
君が ──に 何を出来るって?
 」
 

 

「 
ふふ
 」
 

あなたの胎の中が蠢く。
どどめ色の極彩色から、逃げ回る素朴な光。

ゲイザーには聞こえている。
それらの愁傷、苦悩、寂寥、憎悪、絶望──その声が。
その中の、僅かな後悔──その声が。

あなたは周到な手段で目的を遂行する。
相手の合意ありきで行動する。
けれど、誘われたのはリーパーの方だ。
ゲイザーは何も聞いちゃいない。 ⇒

そして、ゲイザーは。
物語のヒロインでも、守られるだけのか弱いお姫様でもない。

リーパーがゲイザーなら。
ゲイザーだって、リーパーだ。

『……さん!』


『キエさん!! 聞こえていますか!!!!』


ゲイザーは怒っている。
あなたの胎の底で逃げ回るならば、
あなたの声だって聞こえている。
語りかける寝物語も、その全てが。

『あたしあなたのこと許しませんから!!
 出してください、ねえっ!!』

『あたし、謝らなきゃいけないことがあるんですっ!』

『ミズガネさんに』

『チャンドラちゃんに』

『……リーパーに!!』

『そのどれもが、あなたのお腹じゃ成し得ない!
 リーパーと会えるのがあなたのお腹の中なら」

『あたしたち二人揃って神隠しされて、
 だれにも見えなくなったほうがずっとマシ!!』



『リーパーが頷いたからこうしたのは知ってる!』

『でもあなた、ムカつくんですよ!!』


それは正当でもなんでもない。
不当な怒りだ。

『出してくれないと
あなたのお腹蹴っ飛ばしますよ!!』


あなたは自らを定義し、そして同時に人に定義される。
人と共生することで生き永らえる存在だ。
だからこそ狡猾に動く。

ゲイザーは特別だ。記憶じゃない。
確固としたひとつの人格があなたの胎に治まっている。
だから反抗を成し得た。

この館で、願いは魔力となり力を持つ。
館の魔力を無自覚に用いて、ゲイザーは外に出たいと主張する。

さて、どうなる?
これは人ならざる怪物と、最早人の形を持たぬヒトの力比べだ。

「君に許されなくたって僕が僕を許すんだから其れで良いんだよ。人間は本当に身勝手だなァ…君達の都合に僕を付き合わせないでほしいね」

キエは胎の底から聞こえる声を聞き流していた。其れは自分が得意とする夢の世界待宵館にいるからこその余裕であり慢心でもあった。

“人格を喰らうのは僕も初めてでねェ。
 咀嚼に時間がかかってしまうだろうがそこは許してほしいな”


此の言葉に嘘偽りなくキエが胎に人格を収めたのは初めての事である。意思を持つ食べ物など初めて口にしたが故に胎の中から抗われた事も初めてだ。
だからこそ、此の展開をちっとも考えていなかった。
未だ“ゲイザー”に此処まで意思が残っているだなんて思っていなかった。


ぅえッ


キエは初めて吐き気を催す。

キエは嘘吐きであるし数え切れない程の嘘を吐いてきたが幾つか本当の事がある。其の内ひとつが食の細さだ。
大食らいでないからこそ此の在り方に馴染んでいる。

性でもなく感情でもない力が胎で溢れれば直ぐに許容量の限界は訪れてしまう。

「ちょ、
ちょっと
待って!


「待って、本当に待って………此の儘だと
全部出る
。君以外の感情も全部を撒き散らしてしまうよ、其れは望む処じゃあないだろ…」

此の小さな箱庭で禍根を全て零してしまえば結果は目に見えている。此れまで散々見せて来た高圧的な態度は今や見る影もない。

あのキエが、心底から焦燥している。……効いている!

「ええっ!?」


だが思わずゲイザーはその足を止める。
それが嘘じゃないのはわかった。胎動している。
このおどろおどろしい、感情のひとつひとつが。

その中にはきっとリソースとなったトラヴィスや、
ほかゲイザーも知らぬ契約を交わした
ゲストたちの記憶が混ざっている。

「そ、それは困ります……。けど、そうは言われたって!
 ……どうすればいいんですか!」

胎の底から1匹の鰐が浮かび上がると其の背中はゲイザーの足場になった。

「はいはい、出してあげるから大人しくしてなさい。…で、何処に出るの君」

鰐が発する声はキエのものだ。此の鰐が“キエ”だと夢を見ているゲイザーならば判るだろう。
鰐はゲイザーを乗せてゆっくりと感情と記憶の沼を泳いでいく。
………そう、沼だ。ゲイザーは人格であるから直ぐに混ざらなかったというだけで、本来胎の中は泥濘のように混ざっている。此処から特定の何かを掬い上げる事など砂浜から一粒の砂を探し当てる事に等しい。
何処かから赤ん坊の泣き声が聞こえる。


「君達が勝手に持ち込んだ魔力とやらを使わせて貰うからね。君も出られるんなら文句無いだろ?」

キエの行動は酷くあっさりとしていた。此処から出る為の試練も無ければ課題も無いが其れが“キエ”だからだ。

定義がキエを形作るとするならば、
この鰐もまた、キエの一部分なのだろうか。

ゲイザーは悍ましいアトラクションのような景色を進む。

「ま、魔力……? あたしっ、魔法使いじゃありませんし。
 よくわからないですけど……。
 わ、悪いことしないならいいですよっ!」

きっとあなたは、
”悪いことなんて滅相もない”なんて返してしまうのだろう、
そも善悪基準が人間とは違うのだから。

拍子抜けするほど簡単な脱出に、
”もっと早く声をあげればよかった”なんて思いながら。




「何処にって、勿論──リーパーの中に!」


 

「…ん、見えた」

目的地リーパーを意識に捉えると迷う事なく速度を上げた。
キエは人を導かないし救いもしないし愛していない。されど人を大切にせざるを得ない曖昧模糊な存在だ。
人によってキエは善にも悪にも成ってしまうし、キエ自身も自ら其の在り方を選んだ。其れはキエの嫌う面倒が多く在る筈なのに選んだ道だ。
赤ん坊の泣き声が遠くなっていく。


「相も変わらずおかしな事を言うねェ君は」