17:00:29

人狼物語 三日月国


153 『Override Syndrome』

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


[犠牲者リスト]
???

二日目

本日の生存者:イヴ、カナ、サキ、ツグアキ、マユミ以上5名

【人】 内科医 カナ



  [心療内科は誤解と偏見が蔓延している。

   人の心を分かった気になり踏みにじる人が
   患者の気持ちを遠ざけて。

   心を閉ざした患者は心療内科から逃げ惑い、
   行く宛を無くした先に待つのは………

          鉄格子に囲まれた廃材置き場閉鎖病棟



(0) 2022/06/14(Tue) 2:20:29

【人】 内科医 カナ



   いまに、ここから出ても、自分はやっぱり狂人、
   いや、癈人《はいじん》という刻印を
   額に打たれる事でしょう。


   人間、失格。
   もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。



(1) 2022/06/14(Tue) 2:21:22

【人】 内科医 カナ




   いいえ。



         そんな未来を辿らせないために
          W心療内科Wはここに居るの。




(2) 2022/06/14(Tue) 2:22:57


  [投げかけた声は微妙なタイムラグを経て
   私の元へと返ってくる。

   今日最後の患者さんが応じれば
   看護婦の子達が今日の診察受付の終わりを
   告げる看板を入口にかけ始めていた。

   おぼつかない足取りのまま焦って
   あなたが転ばないように見守った私は
   あなたが目の前に辿り着くと小さく微笑み。]





   はい。こんにちは。

   来院は初めてですよね?
   緊張しなくても、大丈夫ですよ。


  [アイスブレイクをもちかけてみる。

   あの頃とは大きく異なる姿のあなたに
   微笑みかける私は、あくまで医者の顔。

   見た目に触れないのは
   ここで触れることが誰の幸せにもならないって
   そんな感じがしてならなかったからだ。






  [診察室の中へとあなたを通せば
   どうぞと手のひらで椅子を指し示す。

   先程までの穏やかな声色は
   今になればその深刻さも伝わってくるもので。

   途端に曇っていく姿を、
   目を逸らすことなく、私は受け止めようとする。]


   



  [悲鳴にも似た残響、ひび割れた円盤。
   壊れたレコードのように繰り返される挨拶が
   あなたの脳内での消化不良を物語っていた。

   けれど私があなたの異変を感じたのは
   楽園を探し求める、その指先。

   あなたが向かいそうな行く末が
   頭の中に流れ込んでくるような気さえして。]






  [瞳を覗き込むようにあなたを見つめながら
   私はその頬へと手を伸ばして。

   それが叶えば、どうか落ち着くようにと
   その頬を優しく撫ぜると。]


   気持ちが沈んだ時には
   ハーブティーが良いの。

   薬に頼らなくても
   気持ちを落ち着かせられるから、ね?


  [診察室に似つかわしくないティーポッドと
   マグカップを取り出すと、診察室中に
   爽やかなミントの香りを漂わせて。

   あなたが受け取るかどうか
   ハーブティーの入ったマグカップを差し出す。]





  [どれだけの時間を要したのか。
   決して焦らせたりすることはなく。

   あなたが椅子へと座ってくれたのなら
   私はハーブティーに口を付けて。]

   
   今も…大変そうだね。

            W佐々岡くんW


  [問診とは名ばかり。
   あの日の続きを、私から切り出して。

   先程の仕草からOverride Syndromeを疑いながら
   慎重にあなたの心の問題に触れるように。


   あの日の過去をなぞりながら、微笑ってみせた。]*



【人】 医者 サキ

 
[ 知らない為の言い訳を積み重ねてきた。

  本人が幸せなら、望むなら。

  でも、全部
  …俺がまた不幸にならないようにだ
  口にした言葉が、誰かを壊してしまうのが、
  日常を壊してしまうのが怖かったから。


  吐かれたものが
だなんて、
  最初から分かってた。 ]
 
(3) 2022/06/14(Tue) 14:56:04

【人】 医者 サキ

 
[ 唐突に、鋭い刃を向けられたような心地。>>1:84
  ヒリつく空気に、伸ばしかけた手が一度止まる。
  
  途端に湧き上がる強い、感情。
  成り代わりだなんて間違ってるかな
  本当の自分として生きなきゃなんの意味もないか


  そんなものを信仰してるなら
  俺は半年も目を瞑ってなんかいない。
  糾弾するだけ、正義を振りかざすだけなんて
  簡単で誰も救わないものなんてないんだよ。


  は、っと息を漏らして、口角を下げる。
  聞かせたこともないだろう
  低い声が室内を這った。 ]
 
(4) 2022/06/14(Tue) 14:56:55

【人】 医者 サキ



    ……周りの決定に甘えるなよ、
    君はW船越真結実Wだろ。

 
 
(5) 2022/06/14(Tue) 14:57:36

【人】 医者 サキ

  
[ 静かに1度、目を伏せて、開いて。
  つかえに触るよう喉元を抑え、呼吸をした。

  …あぁ、大丈夫、生きてる。
  俺の言葉は、まだ、微かに。

  
  続けて。 ]
 
(6) 2022/06/14(Tue) 14:58:17

【人】 医者 サキ


   もし俺に荷が重いと言われたらやめるのか
   上手く出来なくなってきたらやめるのか?

   はいそうですかってやめられないだろ。
   そうなりたくて君はなったんだろ。
   
マユちゃんの人生だから
じゃなくて、
   誰のものだってそうだ、
違うか?


   ……言いたいのはそんな事じゃないんだ

   わかってくれないか……なあ、ユミちゃん。
   俺は"最初から"、君と話を、してる。
 
 
(7) 2022/06/14(Tue) 14:59:14

【人】 医者 サキ


[ ガリガリと頭を引っ掻いて
  椅子に深く腰掛けた。

  怒るだろうか、黙って聞いてくれたとして
  この辺りが限度ではないかと思うけど。

  元々、彼女がどちらを選んでも、
  咎めようなんて思っていなかった
  捕まえる幸せの形が変わるだけだ。 ]

 
(8) 2022/06/14(Tue) 14:59:36

【人】 医者 サキ



   …俺はユミちゃんの嘘を咎めたいんじゃない。
   エデンで得られる幸せに浸かり過ぎれば
   いずれ心が現実に帰ってこられなくなる。

   今出ているのは、その兆候だ


   それだけはユミちゃんがなんて言っても、
   俺は看過できない。だから聞いてるんだよ、


[ ぽつりぽつりと呟く、隠していた本当のこと。
  どれほどに響いたかは、彼女次第か ]**

 
(9) 2022/06/14(Tue) 15:00:23

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 悲しみとは自分に価値がないと思った時に
  抱く感情である。


                   ―――スピノザ ]

 
(10) 2022/06/14(Tue) 21:49:05

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 死とは何か。
  テセウスのパラドックス同様、
  どういう理屈で考えるかで、
  いかようにも答えが変わってくる問題。
  私なら、こう回答する。


  
世界が死者一人分の、物語を喪失すること。 ]

 
(11) 2022/06/14(Tue) 21:49:34

【人】 女子大生 マユミ

 
 
 
       [ 私は一艘の宝船を、
         どうしても亡きものにしたくなかった。 ]

 
(12) 2022/06/14(Tue) 21:49:52

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 今まで恙なく流れていた筈の医者と一人の患者の時間、
  診察室にも病魔が影を差したのかしら。
  ピリピリした空気の中、
  口から出てくる本音は耳を焦がすように熱いのに、
  音自体の温度は低い。>>5 ]



   やめる素振りなんて私、見せました?
   そもそも、"船越真結実"ではないとも、
   言っていない筈ですが?>>1:84



[ 怒っているか、いないかを問われれば……答えはYes。
  けれど、怒りよりも強く燃えるのは口惜しさ。
  痛い所を突かれて、私の瞳は僅かに生気を取り戻した。 ]
 
(13) 2022/06/14(Tue) 21:51:32

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 仮に"真結実"を維持できていると、
  客観的には言えない状況になったとしても、
  そのまま"真結実"として生きていく。
  私なりの最善は尽くす。
  そのくらいの覚悟はしていたつもり。

  嘘をついているのは事実だから、
  糾弾されて正すよう強要されれば、
  私になす術はなかったかもしれないとは思うけれど。


  なんにせよ、"船越真結実"を生かすなら他に手はない。
  私は
現実
を殺して、
理想
を生かしたのだ。 ]
    
Alicia
    
Hadaly

 
(14) 2022/06/14(Tue) 21:53:30

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 一度口を挟んだきり、黙って話を聞いていた。
  初めから私が"亜結実"であると気付いていた。
  いくら一卵性双生児とはいえ、
  指紋や瞳の虹彩など、同じでないものはいくつもある。
  両親でさえ気付かなかった何かに、
  彼は気付いたのだろう。
  それはきっと、愛称だけではなかった筈。

  それ以外にも、気付いたことがあるようだ。>>9
  エデンの幸福体験を浴び過ぎた結果、
  心神喪失などの状態になり、やがて廃人と化す。


  Override Syndorome
  現代の日本において、社会問題になっている奇病。
  大学の授業でも少しだけ出てきたので、
  簡単な概要くらいは把握している。 ]
 
(15) 2022/06/14(Tue) 21:54:45

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 確かに私はここの所憑りつかれた様に、
  エデンの幸福体験に浸かっていた。
  バッグから手鏡を取り出して自分を映せば、
  "亜結実"だってもっとマシな顔をしていた
  ……という有様。 ]



   ……そうですか。
   私は、オーバーライドシンドロームに罹っている。
   或いは、罹りかけている。
   先生はそう判断したという事で合っていますか?

   オーバーライドシンドロームは、精神疾患。
   先生のご専門ではないと思いますけれど、
   随分とお詳しいですね。
 
 
(16) 2022/06/14(Tue) 21:55:25

【人】 女子大生 マユミ

 
 
   先生の仰る通り、
   私は最近エデンの幸福体験をよく聞いていました。

   ですが、その話はまだしていない。
   私は大分酷い顔をしているし、やつれています。
   でもそれだけで、分かってしまうというのは、
   流石に出来過ぎていませんか?

   私の言っていることは所詮、素人の戯言ですが、
   見ただけで判断するなら、
   うつ病だったり、ストレスや疲労の蓄積……。
   なんて線も考えられると思いますけど。

   先生は殆ど断定していましたね。
   何か理由があるのではないですか?
 
 
(17) 2022/06/14(Tue) 21:56:15

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 勿論、私は診察目的でここにきているのだから、
  先生の診察には協力するつもりであるし、
  質問には何だって答える。
  
……恐らく嘘を吐く必要など、もう何もない。


  それでも、純粋に先生に抱いた違和感が
  気になってしまった。 ]
 
(18) 2022/06/14(Tue) 21:56:39

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 診察が落ち着いた辺りだろうか、
  そういえばと思いだし、
  バッグの中から前に貰ったテーマパークの
  ペアチケットを取り出す。 ]


   これ、前に先生がくれたチケット。
   貰っちゃったけど、
   アタシも一人だけ誘う友達って言うと、
   ちょっと微妙でね?

   それに先生にあげた誰かのこと考えると、
   やっぱり申し訳ないし、このチケットは返す。
   それとも、一緒に行く人いないなら、
   アタシとでも行ってみる?……なんてね。



[ 別れるというジンクスが恋人以外にも
  適用されるとしても、相手は一患者。
  そう困ることもないだろうと、
  冗談めかして封筒を差し出した。 ]**
 
(19) 2022/06/14(Tue) 21:57:33
女子大生 マユミは、メモを貼った。
(a0) 2022/06/14(Tue) 22:03:28

【人】 会社員 ツグアキ


[ 心療内科、の文字には誤解と偏見とが
  重なって見える気がしていた。

  人の心を失った者と失ったふりをする者。
  真の患者の症状を判断するのもまた、ヒトなのだ。

  ヒトを救う、治療する、という大義名分のもと
  明らかな哀れみの視線が降り注ぐのだろう。

  心を閉ざした患者は心療内科から逃げ惑い、
  行く宛を無くした先に待つのは………>>0
 
(20) 2022/06/15(Wed) 0:08:18

【人】 会社員 ツグアキ



  世の中の人間の「実生活」というものを
  恐怖としながら、
  毎夜の不眠の地獄で呻いているよりは、
  いっそ牢屋のほうが、
 
  楽かも知れないとさえ考えていました。


 
(21) 2022/06/15(Wed) 0:09:06

【人】 会社員 ツグアキ




   面白い。
   牢屋の前の最後の砦ってわけか。
>>2


 
(22) 2022/06/15(Wed) 0:09:55

[ 目の前の笑みは、低レベルの解像度で
  網膜に映る。

  頭がいいって、苦痛だ。
  忘れない、忘れられない、
  忘れてくれない。
  記憶。刻まれたメモリ。
 
  艶やかな髪。穏やかな表情。


  目を閉じて、開く。
  肺の奥まで酸素を吸って、同じだけ吐く。
  勧められるままに腰を下ろした。 ]

 



   ─── はい、初めてですね。
   べつに、緊張していませんが
   ずいぶんお若い女医さんで驚いていました。


[ しっかりと合わせているようで、
  自分の視線は相手の鼻の位置にある。
  逸らされることのない視線を真っ向から
  受け止めることがいつからか
  こんなにも恐怖と同義になっていたことに気付く。]
 




  自分にとって、「世の中」は
  やはり底知れず、おそろしいところでした。


 


[ 伸びてきた手を避ける動きが遅れた。
  ひたりと触れる柔らかな掌が頬を撫でる

  咄嗟に腕を曲げて、
  たたき落とすように振り払った。 ]


   あ、……あぁ、ごめんなさい。
   触れられるのは、苦手なので。
   その、特に、顔は。


[ どくん、どくんと心臓の拍動が全身を駆けて響く。
  驚かせてしまったか傷つけたか、
  それともこんなことは日常茶飯事なのか。 ]
 


[ 呼吸を整えている間に、流れるような手つきで
  差し出されたのはマグカップ。
  いかにも高級だと分かるような
  造形のものだったか、薄く繊細なものだったか
  いずれにしても己が心を動かすものではなく。

  ただ、受け取った。
  部屋の中の空気に妙な匂いが混ざって不快で
  酷く眩暈がした。 ]


   ハーブティ……ありがとうございます。


[ カップを口に運ぶ動きさえ絵になる、と思った。
  あの日、約束したコーヒーではなくて。
  解像度が上がる。鮮やかに蘇る。 ]
 


   ……でも、結構です。
   吐き気がする。
   コーヒーのほうが好きなんですよ。

   あと、俺は特に大変ではありませんし
   今"も" というのは
   あまり聞いていていい気持ちはしませんね。


   ─── ご無沙汰しています、古森さん。


[ カップから湯気が立ち上り、
  顔に煙幕に似たヴェールがかかる。
  過去をなぞり優しく微笑む医者に
  俺が感じたのは、猛烈な嘔吐感。

  そしてその嘔吐感に、陶酔する。
  ポケットの中で、イヤホンが転がっている。 ]**
 

【人】 内科医 カナ




     ───閑話:幸福の裏側───



(23) 2022/06/16(Thu) 0:24:31

【人】 内科医 カナ



  [当たり前のように得ていた幸福。

   望まずともレールから外れない
   安全で、楽で、不安定な人生設計。

   そこには自分の手で掴み取った幸福なんて
   何ひとつありはせず。
   誰かに依存し、施しを受けて得た幸福は
   そのW誰かWが消えれば簡単に崩れ去り
   その先に待ち受ける未来は、破滅しかない。

   結局全ておこぼれにすぎないんだって、
   いつも心の奥底で、怯えていた。]

  
(24) 2022/06/16(Thu) 0:26:06

【人】 内科医 カナ



  [大学時代に彼を襲った悲劇。
   その一部始終を見ていた私は今も忘れられない。

   あの出来事には、身が竦む思いだったのだから。]


(25) 2022/06/16(Thu) 0:26:52

【人】 内科医 カナ



  [何かの拍子に未来が変われば
   私がW佐々岡 嗣朗Wになっていたかもしれない。

   それはたらればの話であっても
   現実的に充分有り得る話。

   私は彼とも、Override Syndromeに苦しむ
   W可哀想Wな患者たちと大して変わらないのだ、と。


   私の平和は何かの拍子に簡単に壊れるものだと、
   奥底に眠る薄汚れた感情と恐怖は、
   燻り続けて消えることを知らなかった。]



(26) 2022/06/16(Thu) 0:28:07

【人】 内科医 カナ



  [いつからのことだろう。
   Override Syndromeに苦しむ人達を
   救おうと日々奮闘する傍らで、

   彼らを見ると酷く気分が落ち着いてしまう。


   W私はまだマシなんだ。W


         W私より不幸な人がいるんだ。W



   痩せこけた自尊心を満たすために
   私には彼らが……不幸な人達が、必要だった。]



(27) 2022/06/16(Thu) 0:29:37

【人】 内科医 カナ



           私には、彼が必要だった。**


(28) 2022/06/16(Thu) 0:31:23


  ***

   ごめんなさい。
   緊張してるのかとばっかり。


  [若い医者は信用ならないという話なのか。
   いいえ、きっとそんな簡単な話でもない。

   手を振り払われればその手を引っ込めて
   それは嫌悪か、拒絶、か、それとも。


   距離感が近すぎることを素直に謝罪すると
   少しずつ彼から目線を外した。]





  [解像が整えば整うほど明らかになる。
   あの頃をなぞっているようで、全く違う世界。
   ハーブティーとコーヒーが異なるように

   私が見ていたあなたと、あなたの知るあなたは
   全く別の存在のようで。

   花柄のティーカップは
   清涼の役割を果たすことも出来なかったみたいだ。]






   そう。それは残念。


  [どんな形であれ、拒絶は日常的。
   この仕事をしていれば慣れたもの。

   あなたに拒絶されてしまった
   ティーカップの縁を指先でなぞると。]


   コーヒーはW心療内科ここWには
   あんまり似合わないかもね。


  [あの日約束したまま終わった事を思い出す。
   コーヒーは、心療内科としてじゃなくて
   普通の一人間として嗜みたいものだから。

   ハーブティーをテーブルの隅に置くと
   今度は問診票に目を通して、首を傾ける。]




   そう…?ここに来たからには
   大変なんだと思ってた。

   大学の時の佐々岡くんも
   なんだか無理してそうだったから。


  [だとしても言ってはくれないだろうか。
   それとも本当に自覚がないのだろうか。

   より事態が悪化しているとすれば後者の方。
   あなたの言葉がどっち側の言葉なのか
   私としては気にならずにいられない。]





  [私は『OS疑い有、要検診』と書かれた
   問診票をテーブルに置き直すと
   気を引き締めるようにグッと背筋を伸ばして
   それから深呼吸を済ませて。]


   ならW心療内科Wのカウンセリングは
   やめておきましょうか。

   W個人的Wにも
   あなたに聞きたいことがあるし。


  [形式張った問診の終わりを告げると
   ハーブティーを一度片付けて。

   棚に仕舞われた病室に似つかわしくない
   クッキーやチョコレートの数々を取り出すと
   最後にドリップコーヒーを見せて。]






   こんな場所でも

        W私とあなただけナンパWなら
        コーヒーがあった方がいい?








  [もしあなたが首を縦に振るなら
   その時は二人分のコーヒーを入れて

         あの日の続きへと誘うだろう。]**





 ***

  [コーヒーがそこにあったかどうかはさておき。
   問診の時間から個人的な時間へと移すと。

   私はあの日聞きたかったことを尋ねる。
   そういえば。
   あの日も、今も、背景に転がるイヤホンが
   妙に気がかりで目についていた。
   今にして思えば、そういうことなのだろうか。



   あの日の論文、私も後から読んだんだ。
   でもあなたから直接聞きたくて。

   佐々岡くんからその話を聞けなかったのが
   ずっとずっと、心残りだったの。


  [あなたに見せたのはあなたの論文のコピー。
   研究者として書かれたあなたじゃない名前は
   怒りと共にペンで激しく塗りつぶされていて。


        その上の空白の欄に
        自分であなたの名前を書き記していた。]*



【人】 医者 サキ



   反論する元気があるなら良かったよ


[ 生気の宿った瞳にくすりと微笑みを向けて
  一息つこうと落ちたペンを拾い上げる。
  焦げ付きも少しはマシになったか、
  肺に取り込まれる空気は先程より吸いやすい。
  明らかに反論への返事でないそれは
  船越真結実を守るための逸らし。

      本物は怒りなんて抱かない
      抱くとすれば代わられる驚きや恐怖
      顕にしたもので真実は透けてしまう


  向けられた怒り >>13
  けれどどうしてかな、
  咎める気にもなれなかったのは。
  
  形は違えど俺も
  願ったことがあるからかも、しれない。 ]

 
(29) 2022/06/16(Thu) 13:14:19

【人】 医者 サキ


[ 理想を殺して、現実を生かす。
  それが当たり前で、普通だ。

  壊れていく母を助ける心療内科医になりたかった。
  けれど俺に与えられたのは
  底辺私大の中のさらに底のポジション。

  壊れきった母の面倒をみながら
  壊れきった兄の面倒をみながら
  満足に成績なんか残せるわけがない

  底に与えられた選択肢は、家業を継ぐこと。
       母を助けたい
  そんな理想を
して、現実を
かした。 ]

 
(30) 2022/06/16(Thu) 13:15:34

【人】 医者 サキ


   
    ……あぁ、それは、そうだね。


[ 出来すぎている。>>16 >>17
  専門でもないのに知りすぎだと言われれば
  まずは頷くしかなかった。

  やられたな、と
  斜め上に目を逸らす。

  ただの医者と患者なら、絶対にしない話だ。
  嘘を吐こうか
  それか、少しだけ真実を混ぜるか

  
  そんな考えも浮かんだけれど、
  直ぐに首を振った。 ]
 
(31) 2022/06/16(Thu) 13:16:02

【人】 医者 サキ



   確信はなかったよ、ただ…
   気づいていないかもしれないけど、
   入ってきた時から時々、手が何か探してる
   
   スマホかな
   OS…オーバーライドシンドロームに
   かかった人から媒体を
   取り上げた時に現れる症状と似てたから。

   よく知ってるよ、…
家族に、居るからさ



[ 「理由はそんな所、」と
  区切りを入れるも、その後は言葉が続かず。
  
  表に出てこない母、兄、
  想像をつけようと思えばつけられるだろうな

  
  俺からはそれで終わりだと言うように
  視線を戻せばいい加減、診察に入ろうか。 ]
 
(32) 2022/06/16(Thu) 13:16:39

【人】 医者 サキ



   精神は俺の専門じゃないことは知ってるね?

   身体の体調不良は診れるけど、
   もし精神の病院に行く気があるなら
   薬はそっちで貰った方がいい。

   ただ、現在OSに有効な治療薬はない
   治療には疑似体験に頼らないで
   幸福を得る必要がある。

   一病院の多くを抱えてる医師が
   そこまで寄り添ってくれるかって言えば、
   限度はあるだろうね


[ どちらを選ぶかは任せる、と前置きした上で。 ]
 
(33) 2022/06/16(Thu) 13:17:06

【人】 医者 サキ



   俺はユミちゃんに幸せになって欲しいよ、
   マユちゃんにも、ね。


[ 彼女が死に際に言い残したことを知る訳では無いが
  仮に俺がその立場ならせめて精一杯やれって
  尻を叩くだろうなと。


  もし選んでここへ来ると言うなら、
  どうしてエデンに没頭するように
  なったのかは聞いただろう。


  話しにくいことだから
  全てでなくていいとも加えて。 ]
 
(34) 2022/06/16(Thu) 13:18:23

【人】 医者 サキ

 
[ 診察も一段落した頃、
  思い出したようにバッグから
  取り出されたのは見覚えのある封筒で >>19

  一人だけ誘う友達、まぁ、確かに難しいか
  女の子ってグループで居がちだもんなと
  勝手に納得して勝手に申し訳なく思いつつ。

  返されると言うならまた別の人を探すかと
  考えていたんだったな ]


    ……
一緒に?



[ 
コンプラ的に大丈夫か?

  
  …と一瞬法令が頭を過ぎる。大丈夫か。
  彼氏とかいるんじゃないのかいいのかと
  若干気になることはあるが
  その辺をこちらから突っ込むのは野暮だな。

  
  行く人が居ないと言うだけで
  行く暇がないわけじゃない。
  息抜きついでにいいきっかけにもなるだろうか。 ]
 
(35) 2022/06/16(Thu) 13:20:39

【人】 医者 サキ



    こんなおっさんの休日に
    付き合ってくれるなら、喜んで。

    後で連絡頂戴、


[ 差し出された封筒を受け取り
  中身を1枚だけ抜くと、
  封筒にメッセージアプリのIDを追記して返し。

  前回行ったのは何周年だったか、
  もう10年は軽く経っていそうな夢の国。

  日水の休診日と都合が合うなら
  実現するのはそう遠くはなかっただろう。 ]**
 
(36) 2022/06/16(Thu) 13:21:24

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 私の行いを否定する訳でも、
  不用意にその先に踏み入ろうとするでもなく。
  話の矛先を逸らされれば、>>29
  私にとっては、ただただ有り難いだけのものだから、
  姉の勝手な都合についての話は、一先ず止んだ。

  今度は先生の事情を引き出す私の手番。
  少しの逡巡の後に切り出された内緒話は、
  同じく、家族の問題だったようで……。>>32
  いつしか見なくなったという母親か、
  或いは難儀な嫡男か。
  両方……という可能性もあるけれど。


  それについての話も、それで終わり。
  ここではその話題は禁忌だったものね。
  先生も必要以上
  こちらを踏み荒らそうとはしなかったのだし、
  私もそこまで追求する気はない。 ]

 
(37) 2022/06/16(Thu) 20:22:32

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 病気について、
  そして治療についての説明を受ければ、>>33
  未だ少し鈍ったままの頭を可能な限り働かせた。 ]


   私がどちらかを選んで良いというなら、
   ここへ通う方を選びます。

   今まで精神科にお世話になることは
   ありませんでしたから、
   新しい病院で姉妹の込み入った事情を
   説明するのは気が進みませんね。
   それに見合う成果が期待出来るなら兎も角、
   治療法がそんな不確かなものとなると……。


   それにしても、
   疑似体験に頼らず幸福感を得るとは、
   何とも因果な話ですね。


[ 治療法のことまでは知らなかったので、
  その内容を聞いて思わず嘆息した。 ]
 
(38) 2022/06/16(Thu) 20:23:36

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 真結実には幸せになる義務がある。
  亜結実には幸せになる権利がない。

  この国にはLH法……通称『幸福追求法』が存在する。
  国民は皆、幸福であるべきとされている。
  でもそれは、今を生きる国民に対して与えられた権利。
  既に鬼籍に入った"船越亜結実"は対象外。


  このまま放置していれば、
  アタシは病が進行し廃人と化すだろう。
  そんなことがあってはならない。
  しかしそれを治すためには、
  私が幸せにならなくてはいけない。

            
この皮肉な矛盾は天罰だろうか? ]

 
(39) 2022/06/16(Thu) 20:24:29

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 先生はそんな私の道化のような生き方に、
  特に意見をする気はないようで、
  純粋に応援してくれているらしい。>>34 ]


   火事以降、私の記憶は不十分でした。
   最初はそれを補おうとして、
   以前にアップロードした幸福体験を、
   聞いていただけだった。
 
 
(40) 2022/06/16(Thu) 20:24:51

【人】 女子大生 マユミ

 
 
   あれがどういう仕組みなのかは分かりませんけど、
   現実で疑似体験で聞いたものと
   同じものと相対しても、
   
同じような幸福感を得られなかったんです。


   次第に気が急いてしまって、
   もっと私の心に幸福感が定着すれば、
   感じ方も変わってくるのではないかと。
   そう思って、何度も聞いている内に
   疑似体験に依存してしまったようです。



[ エデンに没頭するようになった理由を、
  ぽつぽつと説明した。
  その間もどこか落ち着かず、目は頻りに泳いだ。 ]
 
(41) 2022/06/16(Thu) 20:26:06

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 一緒に行けば、チケットをくれた人への
  面目も立つと思って提案した選択肢。
  最初に見て取れたのは、困惑。>>35 ]


   
何か問題が起こるような外出になるとでも?



[ それは参加者の心がけ次第。
  であれば、問題などある筈がない。
  人の多いテーマパーク内で、
  知り合いに見つかることも普通はないのだし。

  アプリのIDを封筒に書いて返されれば、
  バッグにしまった。
  今日はこの後、
  両親に病気のことを説明しなければいけないし、
  遊びに行くならもう少し元気にならないとね。

  それでも、お誘いの連絡が行くのに、
  そんなに時間はかからないと思う。 ]**
 
(42) 2022/06/16(Thu) 20:27:12

【人】 会社員 ツグアキ



[ 思考がまだ、まともに働く僅かな時間には
  時々、考えることがある。

  あの時の自分が
  持ち得る側の人間だったとして
  誰からも何からも
  邪魔されなかった未来があったとしたら

  俺も
   誰かを────── >>27
 
 
(43) 2022/06/16(Thu) 20:36:51

【人】 会社員 ツグアキ




[ 例えばそうだとしても
  俺が生きるために何かを必要としていたか

  そんなものがあったかどうか。>>28



 
(44) 2022/06/16(Thu) 20:37:31

[ 嫌悪、拒絶、どちらも。
  そうだな、そして、きっと恐怖。
  素直な謝罪に辛うじて頬を歪めた。

  ハーブティーが癒すもので
  コーヒーがそうではないもの

  ただの色の着いた液体に
  ヒトが勝手に乗せた種分け、期待、願望。

  さながらあなたはハーブティーだと?
  そんな気の利いた?クソみたいな?
  言葉が出てくるなら、この場はナンパ足り得た?

  はは、馬鹿馬鹿しい。
  あの時、手にできなかったのは
  ハーブティーではなくて
  コーヒーだったんだ。
 


[ ぴき、ぴし、と
  氷や鏡のようなものにヒビが入る音がする。]


   ずいぶん、上からだね。
   ……大学の時、
   俺が無理しているか否かを判断できるほど
   あなたと親しかった記憶は俺にはないけれど。


[ くす、と笑んで見せた。
  上手く出来たかは置いておいて。 ]
 



   俺は、学生でいた頃に
   大変だと思ったことはある。
   ……けれど大変だったことはないよ。
   そして、それは、
   今も、かわらない。


[ ゆっくりと首をぐるりと回した。
  ばき、ぼき、と骨が鳴る音が響いてくる。
  ぐらりと回る世界。歪む。

  吐き気と、吹き出す汗、
  そして恐らく蒼白になっているであろう顔色が

  今自ずから口にした言の葉が
  正直なものでないことのあからさまな証拠。

  そうさもちろん自覚はある。

  ただしそれを認めるわけにはいかない。  ]
 


[ しかしながら薄く脆く、ヒビが入った硝子は、
  指先でそっと触れるだけで砕けてしまうもの。
  あなたが意志を持って砕こうとしたのなら
  なおさら簡単に。
  そうだねあなたも優秀な学生だったのだから。

  彼女の手の中にある紙の束
  表面に、己の名前。
  塗りつぶされた持つ側の者の名前と
  手書きで足された見慣れた文字列。

  それを見た瞬間、ぶつん、と脳の扉を
  絡めた鎖が引きちぎれる。  ]



   ……なぜ、

 



[ 込み上げる嘔吐感と悲鳴。
  飲み込もうとすれば、
  喉からは車に轢き潰された蟾蜍の声。 ]


   やめ、ろ

 


[ 乾いた笑いが、溢れて。 ]


   お前の心残りなんて知らない。


[ ハーブティーの香りが満ちる診察室が
  狂ったOS罹患者に相応しい
  けたたましい笑い声で埋まる。 ]


   古森さん……あぁ、違うな先生
   前言撤回するかも知れないんだけど、
   大変、だと認めれば、さ